東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2019年度 院試 解答例・解説
東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2019年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全18問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 余次元1の部分環
見落としやすい点
余次元1の部分空間を直接数えようとすると乗法閉性の条件が重い。先に [数式] の余次元2商へ落とすと,2次多項式の分解型だけで済む。
第2問 — 三項式の既約性
典型ミス
自体は によって因数分解することがある。しかしここで必要なのは 「 乗そのものか」であり,これは2項式の項数を見れば排除できる。
第3問 — 対称関数体と中間体
数え上げの要点
だけを見ると巡回9次だが,対称関数体との交わりでは 共役をすべて加えた 対角群 が効く。中間体の個数は,この の -安定部分群の個数に変換する。
第4問 — 分数線形変換の表現
採点上の注意
軌道は6個あるが,線形包は6次元ではない。3つの一次関係で の4次元に落ちるところが最初の山である。
第5問 — 射影空間上の関数
典型ミス
では と が同じ点である。レベル集合の2つの は消えるのではなく, 反対点同一視で互いに貼り合わされて1つの になる。
第6問 — 曲面の漸近曲線
検算
, は独立で,対応する2つの漸近方向を確かに与えている。
第7問 — 二次曲面のホモロジー
射影化の扱い
は単に ではない。 方向の半周移動と の反対写像が同時に起こるため, 写像トーラスとして見るのが安全である。
第8問 — 三次元球面への指数写像
検算
では積分値が となり,これは の体積である。指数写像が半径 の球を1回分覆うことと合っている。
第9問 — 合成作用素
典型ミス
第3問では無限遠でなく原点近くを見る。 なので,原点近くの短い区間の指示関数が近似固有ベクトルになる。
第10問 — Hamilton-Jacobi方程式
解法の核
二次形式は偶然ではなく を満たす。これに気づくと,調和振動子2本へ分離できる。
第11問 — Hankel型積分
採点上の注意
負の実軸を回る路なので,無限遠での減衰は に依存する。一方,整関数への延長では として 依存を指数の に集めるのが自然である。
第12問 — 非原子的測度と正規直交基
最後の一押し
Parsevalだけでは までしか出ない。 を何個にも分割して各部分で同じ評価を足すことで, 任意に大きい下界を得る。
第13問 — 正規二乗和の極限
台の判定
収束と 収束は別物である。下側の端が有限かどうかは で決まり, 収束を保証する では決まらない。
第14問 — Airy方程式
符号の確認
指数部を とするのが重要である。これにより鞍点 が減衰指数 を与える。
第15問 — 一次元Potts模型
計算の短縮
行列成分を直接畳み込むより, 方向とその直交補空間の2つの固有値だけを追う方が速い。
第16問 — 反復法の収束
反復の性質
最初の反復は だけを見る1次元問題に落ちる。2つ目は3次方程式になるが,問題が求める範囲では 固有値の絶対値評価だけで十分である。
第17問 — 有限有向グラフ上のEGとAF
検算
は「すべての路がいつか に入る」なので,補集合の中に永久に残る路があるかを見ればよい。 有限グラフではこれは固定点反復で完全に判定できる。
第18問 — Euler方程式と流れ
圧力条件の使い所
は最後に を強制する条件である。ここを使わないと, 見かけ上 方向に圧力勾配を持つ余分な解を残してしまう。