東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2019年度 院試 過去問 解答例・解説(全18問)
全18問。微分積分・解析5問。テーマタグは8件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・調和振動子)。2018年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・正定値行列。
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- 解説18問と大問1問の途中式・最終答(全18問)
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- 途中式と最終答(最終答つき18問)
- 問題本文
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東大 専門科目B 2019年度 院試 過去問の出題内容(全18問)
この18問の分野は微分積分・解析5問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | 余次元1の部分環 | 見落としやすい点 | あり |
| 第2問 | — | 三項式の既約性 | — | あり |
| 第3問 | 微分積分・解析 | 対称関数体と中間体 | 数え上げの要点 | あり |
| 第4問 | — | 分数線形変換の表現 | 採点上の注意 | あり |
| 第5問 | 微分積分・解析 | 射影空間上の関数 | — | あり |
| 第6問 | — | 曲面の漸近曲線 | — | あり |
| 第7問 | — | 二次曲面のホモロジー | 射影化の扱い | あり |
| 第8問 | — | 三次元球面への指数写像 | — | あり |
| 第9問 | — | 合成作用素 | — | あり |
| 第10問 | — | Hamilton-Jacobi方程式 | 解法の核 | あり |
| 第11問 | 微分積分・解析 | Hankel型積分 | 採点上の注意 | あり |
| 第12問 | — | 非原子的測度と正規直交基 | 最後の一押し | あり |
| 第13問 | 微分積分・解析 | 正規二乗和の極限 | 台の判定 | あり |
| 第14問 | — | Airy方程式 | 符号の確認 | あり |
| 第15問 | — | 一次元Potts模型 | 計算の短縮 | あり |
| 第16問 | 微分積分・解析 | 反復法の収束 | 反復の性質 | あり |
| 第17問 | — | 有限有向グラフ上のEGとAF | — | あり |
| 第18問 | — | Euler方程式と流れ | 圧力条件の使い所 | あり |
この年度の解説には検算3件・典型ミス3件・採点上の注意2件が付いています。
2019年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は8問に8テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第9・15・16問 | 25大学・544問 | |
| 線形空間・基底 | 第8問 | 21大学・152問 | |
| 調和振動子 | 第10問 | 16大学・110問 | |
| 正定値行列 | 第5問 | 17大学・70問 | |
| 一様収束 | 第11問 | 14大学・63問 | |
| 二次形式 | 第10問 | 16大学・63問 | |
| ラグランジュの未定乗数法 | 第5問 | 12大学・33問 | |
| 微分方程式の級数解法 | 第14問 | 3大学・7問 |
前年度(2018年度)との違い
- 大問数
- 2018年度 18問 → 2019年度 18問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・正定値行列・ラグランジュの未定乗数法
- 2019年度で新しく出たテーマ
- 調和振動子・一様収束・二次形式・微分方程式の級数解法
第1問 — 余次元1の部分環
見落としやすい点
余次元1の部分空間を直接数えようとすると乗法閉性の条件が重い。先に [数式] の余次元2商へ落とすと,2次多項式の分解型だけで済む。
第2問 — 三項式の既約性
典型ミス
自体は によって因数分解することがある。しかしここで必要なのは 「 乗そのものか」であり,これは2項式の項数を見れば排除できる。
第3問 — 対称関数体と中間体
数え上げの要点
だけを見ると巡回9次だが,対称関数体との交わりでは 共役をすべて加えた 対角群 が効く。中間体の個数は,この の -安定部分群の個数に変換する。
第4問 — 分数線形変換の表現
採点上の注意
軌道は6個あるが,線形包は6次元ではない。3つの一次関係で の4次元に落ちるところが最初の山である。
第5問 — 射影空間上の関数
典型ミス
では と が同じ点である。レベル集合の2つの は消えるのではなく, 反対点同一視で互いに貼り合わされて1つの になる。
解答
(1)
の単位ベクトル が表す直線を と書く。単位ベクトル の への直交射影は なので である。
を で引き戻すと であり,これは 内の互いに反対側の2つの である。反対点同一視はこの2つを入れ替えるため,商は に微分同相である。
(2)
臨界点は 上の関数 の臨界点を見ればよい。ラグランジュ未定乗数法から である。従って臨界集合は 各成分は滑らかな部分多様体である。
(3)
最後にMorse-Bott性を確認する。 の近くでは と書け, である。従って法方向Hessianは負定値で非退化である。一方, の近くでは と書け, である。こちらの法方向Hessianは正定値で非退化である。
最終答
。臨界集合は で,各成分の法Hessianは非退化である。
第6問 — 曲面の漸近曲線
検算
, は独立で,対応する2つの漸近方向を確かに与えている。
第7問 — 二次曲面のホモロジー
射影化の扱い
は単に ではない。 方向の半周移動と の反対写像が同時に起こるため, 写像トーラスとして見るのが安全である。
第8問 — 三次元球面への指数写像
検算
では積分値が となり,これは の体積である。指数写像が半径 の球を1回分覆うことと合っている。
第9問 — 合成作用素
典型ミス
第3問では無限遠でなく原点近くを見る。 なので,原点近くの短い区間の指示関数が近似固有ベクトルになる。
第10問 — Hamilton-Jacobi方程式
解法の核
二次形式は偶然ではなく を満たす。これに気づくと,調和振動子2本へ分離できる。
第11問 — Hankel型積分
採点上の注意
負の実軸を回る路なので,無限遠での減衰は に依存する。一方,整関数への延長では として 依存を指数の に集めるのが自然である。
第12問 — 非原子的測度と正規直交基
最後の一押し
Parsevalだけでは までしか出ない。 を何個にも分割して各部分で同じ評価を足すことで, 任意に大きい下界を得る。
第13問 — 正規二乗和の極限
台の判定
収束と 収束は別物である。下側の端が有限かどうかは で決まり, 収束を保証する では決まらない。
第14問 — Airy方程式
符号の確認
指数部を とするのが重要である。これにより鞍点 が減衰指数 を与える。
第15問 — 一次元Potts模型
計算の短縮
行列成分を直接畳み込むより, 方向とその直交補空間の2つの固有値だけを追う方が速い。
第16問 — 反復法の収束
反復の性質
最初の反復は だけを見る1次元問題に落ちる。2つ目は3次方程式になるが,問題が求める範囲では 固有値の絶対値評価だけで十分である。
第17問 — 有限有向グラフ上のEGとAF
検算
は「すべての路がいつか に入る」なので,補集合の中に永久に残る路があるかを見ればよい。 有限グラフではこれは固定点反復で完全に判定できる。
第18問 — Euler方程式と流れ
圧力条件の使い所
は最後に を強制する条件である。ここを使わないと, 見かけ上 方向に圧力勾配を持つ余分な解を残してしまう。
東大 専門科目B 院試 過去問の収録19年度
整行列の部分環と格子加群 / Kummer拡大と四元数群 / 上三角群と双対数環上の持ち上げ
有限推移群の derangement / 三次商環の単元群 / 自己テンソルで消える加群
冪零行列のSL共役類 / 曲線特異点とHom加群 / 切断された次数付き加群
行列成分の軌道 / 平方零イデアルによる拡大 / 多項式環の自由性
Galois閉包と中間体 / 二変数多項式環の極大イデアル / 特異点の随伴次数環
2019年度(このページ・全18問)
余次元1の部分環 / 三項式の既約性 / 対称関数体と中間体
位数pの持ち上げ / 交叉曲線の正則性 / 尖点環上の二次曲面
部分格子と有限アーベル群 / 2重可移作用 / 二次超曲面の特異点
2016年度(全18問)解答・最終答まで全文公開
巡回商をもつ群拡大 / 三直線の座標環と巡回作用 / 有理関数体のガロア閉包
2015年度(全18問)解答・最終答まで全文公開
有限p群の共役類と既約表現 / 数値半群環の conductor / BGG 型複体
2014年度(全18問)解答・最終答まで全文公開
Artin--Schreier拡大 / 実代数曲線の極大イデアル / ファイバーと接空間次元
2013年度(全18問)解答・最終答まで全文公開
有限体上の2次一般線形群 / 3本の直線の有限被覆 / Nakayamaの補題と単項曲線
2012年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
有理関数体の不変体
2011年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
有限可換群と巡回因子
2010年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
有限環の分解と単数群
2007年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
半直積の正規部分群
2006年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
分解体と中間体
2005年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
行列の位数
2004年度(全1問)解答・最終答まで全文公開
線形写像の階数