勉強計画テンプレート
院試 勉強計画テンプレート
院試対策は専門科目・数学・英語と扱う範囲が広く、限られた時間でどの科目にどれだけ寄せるかの時間配分が合否を分けます。院試hub では大学・専攻別の対策ガイドを年度ごとに更新していますが、ガイドを読んだ後に「結局、今日から何をどの順番でやれば良いのか」が見えにくいという声が多いため、本ページでは勉強計画の骨組みを3パターン用意しました。残り6か月の標準プラン、残り3か月の集中プラン、直前1か月の答案精度向上プランの3種類を月別・週別のタスク粒度で整理しています。 自分の受験科目・現在の実力・併願先の有無に合わせて、各プランを叩き台として調整してご利用ください。
プラン1
残り6か月の標準プラン
東大数理・京大物理・阪大数学のような専門科目の負荷が大きい研究科を、内部生・外部生を問わず狙う場合の標準プランです。試験日のおおむね6か月前から起算し、最初の2か月で学部レベルの基礎を取り戻し、3か月目から過去問演習に移行、最後の2か月で答案精度と口述試験対策を仕上げる、という流れを想定しています。月当たり120〜160時間程度(平日2時間+土日6時間)の学習時間を確保できる人を主な対象としていますが、研究室配属・卒論進捗との兼ね合いで前後しても問題ありません。 ここで重要なのは、過去問に着手するまでに教科書を一冊残らず復習しようとしないことです。半年で全範囲を完璧に仕上げる時間はないので、月3 以降の過去問演習で発見した弱点に教科書を戻すアプローチを採ります。
月別の主要タスク
- 月1: 学部教科書の通読復習
数学なら線形代数・微分積分・複素関数・常微分方程式、物理なら力学・電磁気学・量子力学・統計力学、化学なら物理化学・有機化学・無機化学の標準教科書を、章末問題まで通して解き直します。新しい教科書には手を出さず、学部の授業で使った1冊に絞ること。1日あたり1章を目安にし、章末問題は7割以上完答できるレベルまで戻ります。 - 月2: 専門基礎の固め直し+専門教科書に着手
月1で残した章を片付けたら、専攻特有の専門教科書(情報系なら計算機アーキテクチャやアルゴリズム、応用物理系なら固体物理や統計力学第二段)に着手します。過去問はまだ開かず、教科書の例題と章末問題に絞って完答力を上げる時期です。同時に英語要件(TOEIC/TOEFL)の出願基準スコアを満たしていない人は、この時期に最終受験を済ませます。 - 月3: 過去問1周目開始(時間制限なし)
対象大学の過去問を、時間を計らず完答狙いで1周します。1年分を解いたら必ず答え合わせをし、得点率を分野別に記録します。この段階では満点を狙う必要はなく「どの分野が手も足も出ないか」を可視化することが目的です。公式過去問配布ページで問題冊子のPDFを取得し、院試hub の対象大学の解答パックを照合しながら進めます。 - 月4: 弱点分野の教科書再演習 + 過去問2周目
月3 で得点率が50%を下回った分野を洗い出し、対応する教科書の章だけに絞って例題・章末問題を再演習します。並行して過去問2周目に入り、1周目で誤答した設問に再挑戦します。2周目以降は答案を写真に撮ってから解答例と比較すると、論理の飛びや条件抜けが見つけやすくなります。 - 月5: 過去問本番形式 + 口述試験対策の開始
制限時間を本番通りに設定して過去問を解き、答案の組み立て(方針宣言・条件明示・部分点の確保)を訓練します。同時に研究計画書のドラフトを作り、想定される面接質問(志望理由・研究テーマ・所属希望研究室の理解)に対する回答を口頭で組み立てる練習を開始します。研究室訪問が未実施の場合はこのタイミングで予約します。 - 月6: 直前期の調整と研究計画書ブラッシュアップ
新しい問題集には手を出さず、これまで解いた過去問と弱点ノートの見直しに絞ります。試験会場までの動線・宿の手配・当日の持ち物・休憩時間の過ごし方までシミュレーションし、研究計画書は指導予定の先輩や指導教員候補に最終チェックを依頼します。試験前日には早めに就寝し、当日に体調を持っていく週です。
弱点リカバリのチェックリスト
- 過去問で得点率50%未満の分野は、翌週に必ず該当章の教科書例題に戻る。先送りにすると、本番直前にまとめて潰す時間がない。
- 同じ分野で2年連続失点した場合は「公式の暗記不足」ではなく「概念理解の不足」を疑う。教科書の冒頭から該当概念の導出を辿り直す。
- 答案を写真に撮って解答例と並べ、論理の飛び・条件の書き落とし・記号の不統一を週1で振り返る。
- 月3以降は、新規問題と復習問題の比率を概ね1:2に保つ。新しい問題ばかり解くと、得点が伸びている錯覚が起きやすい。
このプランで使う院試hub の解答パック
月3〜月6 のフェーズで、対象大学の年度別解答パックを参照しながら過去問演習を進めます。大学・専攻別の対策ガイドと組み合わせて使うと、各大学の出題傾向・配点比重・採点基準に合わせて計画を微調整しやすくなります。過去問の問題冊子そのものは公式過去問配布ページから取得し、院試hub の解答PDF と並べてご利用ください。
プラン2
残り3か月の集中プラン
外部生・併願組・研究室変更組に多い「気付いたら試験3か月前で本格対策がほぼ未着手」という状況向けの集中プランです。期間が短い分、教科書通読のような網羅型アプローチは現実的でなく、出題頻度の高い分野を絞り込んで深堀りする戦略を採ります。週あたり25〜35時間程度(平日3時間+土日合計10時間)の学習時間を3か月確保できる前提で、12週間を6つのフェーズに分解しています。 このプランの肝は、最初の2週間で過去問1年分を解いてしまい、自分の弱点と捨て分野の判断を一気に終わらせる点です。教科書全範囲をやってから過去問に着手するルートは時間切れを招くため、敢えて順序を逆転させます。
週別の主要タスク
- 週1-2: 過去問1年分を時間制限なしで解く+科目選択判断
対象大学の直近1〜2年分の過去問を、時間を計らず教科書参照ありで解きます。目的は採点ではなく「自分にどの分野の蓄積があり、どの分野がゼロか」の把握です。同時に選択科目制の専攻なら、ここで本番の科目選択を確定します。例えば東大数理の代数・解析・幾何3科目のうち2つを選ぶ形式、京大物理の専門科目選択など、初手の選択ミスは後工程の負担を大きくするので、ここで腹を決めます。 - 週3-4: 得点見込みの高い分野を集中復習
週1-2 の結果から、得点率が比較的高かった2〜3分野を「主軸分野」として指定し、対応する教科書の章末問題を完答できるレベルまで仕上げます。主軸分野は本番で確実に部分点8割以上を狙う領域です。残りの分野は「基本問題だけ確保」のスタンスに切り替え、難問は捨てる前提で計画を立てます。 - 週5-6: 過去問2周目(時間制限なし)+典型ミスのリスト化
主軸分野を中心に過去問2周目に入ります。直近5年分を最低1周は通します。誤答した設問は「概念理解不足」「計算ミス」「条件抜け」「設問の読み違い」に分類し、自分の典型ミスをノート1ページにまとめます。このノートが本番直前の最強の見直し材料になります。 - 週7-8: 弱点の追加補強+過去問3周目の準備
週5-6 で見えた追加の弱点(主軸分野の中でも穴がある単元)を、再度教科書例題に戻って潰します。同時に過去問3周目に向けて「本番形式で何点取れる状態を目指すか」の目標点を設定し、目標点との差分を見える化します。研究計画書のドラフト作成と並行して、研究室訪問が未済なら早急に予約します。 - 週9-10: 過去問3周目(時間制限あり)+答案の組み立て訓練
本番と同じ制限時間で過去問を解きます。3周目は単に解けるかではなく、答案の質を上げる週です。冒頭の方針宣言、条件・仮定の明示、部分点の取りやすい設問順、時間配分の3点を意識し、書き上げた答案を必ず写真に撮って解答例と比較します。 - 週11-12: 直前期、口述試験対策、面接準備
新しい問題には手を出さず、これまでのミスノートと過去問の見直しに絞ります。研究計画書を最終仕上げし、想定面接質問への口頭回答を最低5回練習します。当日の試験会場までの動線、宿の手配、持ち物、休憩時間の戦略を確定します。
取捨選択の原則
時間が無いときは「広く浅く」より「狭く深く」が現実的です。出題頻度の高い2〜3分野に主軸を置き、それ以外の分野は基本問題だけ確保する戦略を採ります。主軸分野で8割を取り、残り分野で3〜4割を確保できれば、専門科目全体で合格者平均の得点帯に届くことが多いです。逆に、全分野で5割を狙う戦略は、本番で時間切れになり全体で4割未満に着地するリスクが高いため、3か月プランでは避けます。なお、捨てる判断は早ければ早いほど後工程の心理的負担が軽くなるため、週3-4 の段階で確定させ、それ以降はぶれない運用が望ましいです。
このプランで使う院試hub の解答パック
週3 以降で対象大学の解答パックを参照しながら、自分の答案と解答例を毎週突き合わせます。3か月プランは過去問演習が主軸になるため、院試hub トップから対象大学・専攻のページを開き、年度別の解答パックを早めに揃えておくと迷いが減ります。出題傾向の概観は対応する対策ガイドで先に把握しておくと、過去問1年分を解いた後の振り返りが効率化されます。
プラン3
直前1か月の答案精度向上プラン
過去問はすでに5年分程度を1〜2周しており、専門科目の知識は概ね揃っている状態の人が、本番までの最後の1か月で答案の質を底上げするためのプランです。1か月では新しい知識を積み上げる時間はなく、「すでに知っていることを試験会場でどう書き切るか」に集中する時期になります。週20〜30時間の学習時間を確保し、新規問題と復習の比率を1:3〜1:4まで下げ、答案の組み立て・時間配分・条件明示の癖付けに専念します。 なお、このプランは「過去問は触ったが、本番形式で時間を計って解く経験が足りない」「答案を書いてはみるが採点者目線で読み返したことがない」という状態の人に特に効きます。逆に、過去問にほぼ未着手の状態でこのプランに入るのは無理筋なので、その場合は3か月プランを圧縮版として運用する方が現実的です。
週別の主要タスク
- 週1: 過去問3年分を本番形式で再演習+自分の答案を客観視
直近3年分の過去問を、本番と同じ制限時間・図表参照禁止の条件で解きます。書き上げた答案は必ずスマホで写真に撮り、翌日に「解答例」と「自分の答案」を並べて読み返します。当日に振り返ると「書いた直後の高揚感」で穴が見えにくいので、必ず一晩寝かせてから比較する運用にします。 - 週2: 答案の組み立て修正、方針宣言と条件明示の習慣化
週1で見つかった答案上の欠陥(方針が伝わらない、条件が抜けている、記号の定義が曖昧、計算過程が飛んでいる)を1つずつ修正します。具体的には、各問題の答案冒頭に1行で「何を求めるか・どの方法で進めるか」を宣言する癖、未定の記号は必ず「以下、Xを〜とおく」と明示する癖、最終答に単位や次元を必ず添える癖の3点を、書き写し練習で身体に入れます。 - 週3: 想定外問題への対応訓練
過去問の中でも難しめの年度や、同分野の別大学の類題に手を広げて、本番で見たことのない問題に出会ったときの初動を訓練します。具体的には、解法が即座に思いつかない問題に対し「定義に戻る」「特殊例を試す」「次元・対称性を確認する」「もし〜であれば、と仮定を置く」の4つの初動パターンを試して、5分以内に方針候補を3つ書き出す練習を反復します。 - 週4: 当日シミュレーションと口述試験対策の仕上げ
試験会場までの動線(駅からの徒歩経路、想定遅延、雨天時の代替ルート)、宿の手配、持ち物リスト、休憩時間の過ごし方を確定します。試験当日のスケジュールに合わせて起床時間と食事のタイミングを調整し、口述試験用の研究計画書を最終チェック、想定質問への回答を声に出して練習します。前日は新しい問題に触れず、ミスノートと答案テンプレートだけを見直して早めに就寝します。
答案の最終チェックリスト
- 答案冒頭で「何を求めるか・どの方針で進めるか」を1行で宣言しているか。
- 用いる記号・仮定・前提条件を、登場前に必ず明示しているか。
- 単位・次元のチェックは済んでいるか。物理・化学なら次元解析、数学なら定義域・値域の確認が漏れていないか。
- 部分点を取りやすい設問・小問から先に解いており、難問に時間を吸われていないか。
- 時間配分は守れているか。1科目あたり最終5分は見直し時間として確保できているか。
- 最終答の前に「したがって」「以上より」など、結論を視覚的に示す導入語を置いているか。採点者が結論箇所を見落とすリスクを減らせる。
このプランで使う院試hub の解答パック
院試hub の解答パックには、各設問について「解答方針」「典型ミス」「部分点の置き所」のコメントが付いています。直前期は自分の答案を客観評価する基準として、このコメントが特に効きます。対応する大学・専攻のページは院試hub トップから開いてください。問題冊子の取得は公式過去問配布ページの一覧から行えます。
共通原則
3プラン共通の原則
1. 過去問は「解いてから」教科書に戻る
院試対策で最も時間を奪われがちなのが「教科書全部を1から復習する」アプローチです。半年あっても全分野の章末問題を完答できるレベルまで戻すのは難しく、まして3か月や1か月では確実に時間切れになります。3つのプラン全てで採用しているのは、過去問を先に解いて自分の弱点を可視化し、必要な章だけ教科書に戻る逆順アプローチです。これにより、復習対象が「自分の答案で実際に詰まった単元」に絞り込まれ、残り時間で潰せる規模になります。教科書通読は時間に余裕があるときの仕上げ作業として位置付け、最初の一手にはしないようにします。
2. 自分の答案を客観視する仕組みを作る
自分の答案を自分で採点しようとすると、書いた直後はどうしても甘くなります。論理の飛びを「分かっているから省略した」と片付け、条件の書き落としを「自明なので書かなくていい」と判断してしまいがちです。これを防ぐ最も簡単な仕組みは、書き上げた答案をスマホで写真に撮り、一晩寝かせてから「他人の答案」のつもりで読み返すことです。さらに、口頭で解答を説明する練習を組み合わせると、論理の連結部分の弱さに自分で気付きやすくなります。模試や勉強会、研究室の先輩への添削依頼、SNSでの相互添削など、外部視点を取り入れる仕組みも有効です。
3. 公式情報は出願前に必ず再確認する
試験科目・実施時期・出願期間・英語要件は、年度ごとに変更されることがあります。特に近年は東京科学大の発足、東北大・名大の試験制度改革、共通外部試験化の動きなど、制度面の変化が続いています。本ページの3プランは一般的な傾向に基づく骨組みなので、必ず最終的には対象専攻の最新の募集要項と公式過去問配布ページで出題形式・配点・科目構成を確認してください。院試hub の対策ガイドも年度ごとに更新していますが、最終決定は必ず公式発表に従う運用にします。
4. 一人で抱え込まない
院試は情報格差が大きい試験です。内部生は研究室の先輩・同期から自然に過去問の進め方や面接の傾向を得られる一方で、外部生は能動的に動かないと情報が手に入りません。研究室訪問、指導教員候補との面談、先輩への過去問添削依頼、SNSでの情報交換などを計画に明示的に組み込み、孤立しないことが大切です。本ページの3プランも、定期的に第三者の視点を入れて軌道修正することを前提に組んでいます。専門用語が分からなくなったときは院試 用語集、計画のベースとなる対策方針は対策ガイドを併せて参照してください。