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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2004年度 院試 解答例・解説

東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2004年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全1問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

1 — 線形写像の階数

固定された中間空間を通る写像の線形包

hgfhgf は必ず G=ImgG=\operatorname{Im}g を経由する。ただし r>0r>0 なら,そのようにして得られる写像の線形包はすでに全ての ADA\to D の写像である。ここで「各写像が階数 rr 以下」と「それらの線形包」は別物である点が採点上の落とし穴である。

[巡回置換の不変体]

対角化してから不変式を作る

巡回置換はそのまま扱うより,離散 Fourier 変換で対角化すると見通しがよい。不変体は「重みの和が 00 になる単項式の比」で生成される。多項式で生成したいときは分母を X1nX_1^n に吸収すればよい。

[二面体型の表現]

行列の同時分類を表現論に変換する

二つの行列を直接同時標準形にするより,関係式を満たす群の表現として読む方が速い。有限群なので完全可約性が使え,閉軌道性も半単純性から説明できる。

[可換環の単元群]

まず標数を決める

単元群に 1-1 が必ず入ることが出発点である。奇数位数の単元群なら 1=1-1=1 となり,標数 22 に落ちる。あとは有限体の単元群の位数 2m12^m-1 が奇素数平方にならないことを使う。

[回転面と微分形式]

半平面にあることの意味

ρ(s)>0\rho(s)>0 なので回転させても軸上でつぶれない。したがって球面ではなく常にトーラス型になる。積分では cos2θ\cos^2\theta の平均が 1/21/2 で,周回積分が π\pi を生む。

[線形従属対の位相]

係数対と直線方向に分ける

XX は単なる錐ではなく,直線方向の符号同一視を含む。球面束まで縮めると mapping torus と見られ,反対写像が二次ホモロジーに 1-1 で作用することが計算の核心である。

[球面三つの和]

微分の像は接平面の和

球面上で動かせる方向は半径ベクトルに垂直な方向である。三つの接平面の和が落ちるのは,三つの半径方向がすべて同じ直線上に乗る場合だけである。

ファイバーは単位接束

PP の長さが 11 であることにより,二つの球面の交わりが退化しない。残る自由度は,球面上の点 nn とその接方向の単位ベクトルであり,これが UTS2UTS^2 である。

[微分同相写像の局所摂動]

後ろから合成する

dfpd f_pGG に変えたいので,目標点 f(p)f(p) の近くで微分だけを G(dfp)1G(df_p)^{-1} に補正する。DD 上で固定したい条件は,補正の台を f(D)f(D) から離して取れば同時に満たせる。

[畳み込みと安定分布]

Cauchy 分布が出る

条件は「同じ分布を足して kk 倍し,空間を kk 倍に縮めると元に戻る」という安定性である。指数が ξ|\xi| に比例する Fourier 変換だけがこの一次のスケーリングに合う。

[正部分の劣調和性]

凸関数を調和関数に合成する

調和関数 uu に凸関数を合成すると,二階微分の項 η(u)u2\eta''(u)|\nabla u|^2 が非負に残る。t+t_+ は滑らかでないため,平滑化してから極限を取るのが答案として安全である。

[零点重複度と正則関数列]

円板では Schwarz 型評価

零点の重複度が大きいほど zμnz^{\mu_n} が強く効く。一般領域では局所座標で押し切るより,正規族と恒等定理を使う方が短く確実である。

[積分汎関数の下半連続性]

下半連続関数は下から連続関数で近似する

Fatou の補題だけで済ませようとすると,合成関数の収束の扱いが曖昧になりやすい。下からの連続近似を挟むと,ノルム収束で扱える部分と単調収束で扱う部分が明確に分かれる。

[Hilbert 変換の高周波極限]

変調は周波数をずらす

この問題は特異積分を直接評価するより,Fourier multiplier として読むのが最短である。高周波にずらすと,sgnξ\operatorname{sgn}\xi が全体として 1-1 または +1+1 に見える。

[一ソリトン型の有理関数解]

極を一つだけ持つ形に固定する

λ\lambda\to\infty11 に近づき,一位の極が一つだけなら形は 1+R/(λs)1+R/(\lambda-s) に限られる。あとは λ\lambda の係数比較で RRss が決まる。

[差分熱方程式の最大値原理]

陽的部分は凸結合,陰的部分は最大値原理

λ\lambda の条件は右辺の係数を非負にするための条件である。陰的な左辺は三重対角行列になるが,最大成分で評価すれば逆行列を明示しなくても上限と下限が保たれる。

[概収束する級数]

収束する級数の項はゼロへ行く

YnY_n では係数が付いていないため,独立同分布の項がゼロへ行くには退化分布しかない。一方 ZnZ_n は係数 2k2^{-k} があるため,可積分性があれば絶対収束で十分である。

[束の準同型像]

不等式を満たすように持ち上げを補正する

準同型像で不等式を扱うとき,任意の持ち上げが同じ不等式を満たすとは限らない。そこで a0(b0x0)a_0\wedge(b_0\vee x_0)d0(x0c0)d_0\vee(x_0\wedge c_0) のように,像を変えずに不等式だけを整える。

[空間感染モデル]

最終規模方程式に落とす

感染モデルでは u+v+w=1u+v+w=1wt=γvw_t=\gamma v が鍵である。uu の式を時間積分すると WW を使った指数表示が出て,最後は各点の最終規模方程式と畳み込みの下限評価になる。

2004年度は公開から時間が経過しているため、解答・最終答まで全文公開しています

G=ImgG=\operatorname{Im}g とおく。まず r=0r=0 なら g=0g=0 なので F=0F=0 であり,階数は 00 である。

r>0r>0 とする。写像 Hom(A,B)Hom(A,G),fgf \operatorname{Hom}(A,B)\longrightarrow \operatorname{Hom}(A,G),\qquad f\longmapsto gf は全射である。実際,GG への右逆写像 s:GBs:G\to B を一つ取れば,任意の u:AGu:A\to Gg(su)=ug(su)=u と書ける。同様に,任意の :GD\ell:G\to D=hG\ell=h|_G となる h:CDh:C\to D に延長できる。

したがって ImF\operatorname{Im}Fu(u:AG, :GD) \ell u\qquad (u:A\to G,\ \ell:G\to D) の線形包である。GG の非零ベクトル ee を固定すると,任意の αA\alpha\in A^\vee, dDd\in D に対して u(a)=α(a)e,(e)=d u(a)=\alpha(a)e,\qquad \ell(e)=d とすれば u(a)=α(a)d\ell u(a)=\alpha(a)d である。これは ADA\to D の任意の階数 11 型写像を与える。階数 11 型写像は Hom(A,D)\operatorname{Hom}(A,D) を張るので, ImF=Hom(A,D) \operatorname{Im}F=\operatorname{Hom}(A,D) である。

(1)σ\langle\sigma\rangle は位数 nn で,LL への作用は忠実である。有限群の不変体なので [L:K]=n [L:K]=n である。

(2) ζ=exp(2πi/n)\zeta=\exp(2\pi i/n) とおき, Xk=j=1nζk(j1)Tj(k=0,1,,n1) X_k=\sum_{j=1}^{n}\zeta^{-k(j-1)}T_j\qquad (k=0,1,\ldots,n-1) と定める。すると σ(Xk)=ζkXk \sigma(X_k)=\zeta^k X_k であり,jCTj\sum_j\mathbb C T_jCX0CX1CXn1 \mathbb C X_0\oplus\mathbb C X_1\oplus\cdots\oplus\mathbb C X_{n-1} に分解される。

(3) 次に不変体の生成元を与える。n=1n=1 は自明なので n2n\ge2 とする。 f0=X0,f1=X1n,fk=XkX1nk(k=2,,n1) f_0=X_0,\qquad f_1=X_1^n,\qquad f_k=X_kX_1^{\,n-k}\quad (k=2,\ldots,n-1) とおけば,いずれも σ\sigma-不変な多項式である。さらに fkf1=XkX1k(k=2,,n1) \frac{f_k}{f_1}=\frac{X_k}{X_1^k}\qquad (k=2,\ldots,n-1) であるから, K=C(X0, X1n, X2X12,,Xn1X1n1)=C(f0,f1,,fn1). K=\mathbb C\left(X_0,\ X_1^n,\ \frac{X_2}{X_1^2},\ldots, \frac{X_{n-1}}{X_1^{n-1}}\right) =\mathbb C(f_0,f_1,\ldots,f_{n-1}).

(4) n=6n=6 では L/KL/K は巡回群 C6=σC_6=\langle\sigma\rangle を Galois 群にもつ。部分群は {1},σ3,σ2,σ \{1\},\quad \langle\sigma^3\rangle,\quad \langle\sigma^2\rangle,\quad \langle\sigma\rangle だけであるから,中間体は L,Lσ3,Lσ2,K L,\quad L^{\langle\sigma^3\rangle},\quad L^{\langle\sigma^2\rangle},\quad K の四つで尽くされる。

(1) 関係式は A2=I,B4=I,ABA=B1 A^2=I,\qquad B^4=I,\qquad ABA=B^{-1} であり,これは位数 88 の二面体群の二次元複素表現を考えていることに等しい。複素数体上では有限群の表現は完全可約である。

この群の一次元表現では B=B1B=B^{-1} でなければならないから B=±1B=\pm1,また A=±1A=\pm1 である。したがって一次元表現は 44 個ある。二次元既約表現は一つで,例えば B=(i00i),A=(0110) B=\begin{pmatrix}i&0\\0&-i\end{pmatrix},\qquad A=\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix} で与えられる。

二次元表現は,この二次元既約表現そのもの,または一次元表現二つの直和である。一次元表現 44 個から重複を許して二つ選ぶ方法は (4+212)=10 \binom{4+2-1}{2}=10 通りである。よって軌道は合計 1111 個である。

(2) 各軌道は同型な半単純表現全体であり,半単純表現の同型類は退化で別の半単純型へ移らない。したがって各軌道は閉集合である。

(3) 固定群は表現の自己同型群である。二次元既約表現では Schur の補題により EndG(V)=C \operatorname{End}_G(V)=\mathbb C なので固定群は C×\mathbb C^\times,次元は 11。相異なる二つの一次元表現の直和では自己準同型環は CC\mathbb C\oplus\mathbb C で,固定群の次元は 22。同じ一次元表現を二回足した場合は群がスカラーとして作用し,固定群は GL2(C)\operatorname{GL}_2(\mathbb C),次元は 44 である。

仮に A×A^\times が位数 p2p^2 の巡回群であるとする。pp は奇素数なので,この群には位数 22 の元がない。従って 1=1-1=1 であり,AA は標数 22 の環である。

単元群の生成元を xx とし,部分環 R=F2[x]R=\mathbb F_2[x] を考える。R×A×R^\times\subset A^\times であり,しかも xR×x\in R^\timesA×A^\times を生成するから R×=A× R^\times=A^\times である。従って RR は有限な F2\mathbb F_2-代数で,その単元群が巡回群 Cp2C_{p^2} である。

有限可換環を局所因子に分解する。標数 22 の局所環で冪零元が非零なら,1+n1+\mathfrak n には 22-冪位数の非自明な単元が現れる。しかし R×R^\times は奇数位数なので冪零部分は存在しない。よって RR は有限体の直積である。

有限体 F2m\mathbb F_{2^m} の単元群の位数は 2m12^m-1 である。直積の単元群が巡回な p2p^2 群になるには,ある mm について 2m1=p2 2^m-1=p^2 が必要である。しかし m3m\ge3 なら左辺に 11 を足した 2m2^m88 で割り切れる一方,奇数 pp について p2+12(mod8)p^2+1\equiv2\pmod8 で矛盾する。m=1,2m=1,2 もそれぞれ 1,31,3 しか与えず,奇素数の二乗にならない。

従って仮定は不可能である。

(1) 具体例では,半平面 x>0x>0 内の円 (x2)2+y2=1 (x-2)^2+y^2=1 yy-軸のまわりに回転している。したがって SS はトーラスである。

(2) 一般の場合を示す。CCx>0x>0 に含まれる滑らかな単純閉曲線なので,滑らかな周期的パラメータ表示 γ(s)=(ρ(s),η(s)),ρ(s)>0 \gamma(s)=(\rho(s),\eta(s)),\qquad \rho(s)>0 を取れる。このとき Φ(s,θ)=(ρ(s)cosθ, η(s), ρ(s)sinθ) \Phi(s,\theta)=\bigl(\rho(s)\cos\theta,\ \eta(s),\ \rho(s)\sin\theta\bigr) S1×S1S^1\times S^1 から SS への滑らかな埋め込みである。よって SSS1×S1S^1\times S^1 と微分同相であり,連結・コンパクト・向き付け可能な二次元多様体である。

(3) 最後に積分を計算する。上のパラメータ表示で空間座標を (X,Y,Z)(X,Y,Z) と書けば X=ρcosθ,Y=η,Z=ρsinθ. X=\rho\cos\theta,\quad Y=\eta,\quad Z=\rho\sin\theta. したがって dYdZ=η(s)ρ(s)cosθdsdθ dY\wedge dZ=\eta'(s)\rho(s)\cos\theta\,ds\wedge d\theta であり, XdYdZ=ρ(s)2η(s)cos2θdsdθ. X\,dY\wedge dZ =\rho(s)^2\eta'(s)\cos^2\theta\,ds\wedge d\theta. よって SXdYdZ=02πcos2θdθCx2dy=πCx2dy. \int_S X\,dY\wedge dZ =\int_0^{2\pi}\cos^2\theta\,d\theta \int_C x^2\,dy =\pi\int_C x^2\,dy.

(1) UVU\cap V では u0u\ne0 かつ v0v\ne0 で,さらに u,vu,v は同一直線上にある。従って v=tu,tR× v=tu,\qquad t\in\mathbb R^\times と一意に書ける。よって UV(R3{0})×R× U\cap V\simeq(\mathbb R^3\setminus\{0\})\times\mathbb R^\times である。これは二つの成分を持ち,各成分は S2S^2 にホモトピー同値である。従って UVS2S2 U\cap V\simeq S^2\sqcup S^2 である。

(2) 次に XX を調べる。直線 RP2\ell\in\mathbb RP^2 と係数対 (a,b)(0,0)(a,b)\ne(0,0) により (u,v)=(ae,be),e (u,v)=(ae,be),\qquad e\in\ell と書ける。ただし eee-e に替えると (a,b)(a,b)(a,b)(-a,-b) に替わる。従って XX は,RP2\mathbb RP^2 上の tautological line bundle γ\gamma に対する (γγ){零切断} (\gamma\oplus\gamma)\setminus\{\text{零切断}\} である。半径方向に変形収縮して,球面束 (S2×S1)/((n,z)(n,z)) (S^2\times S^1)/((n,z)\sim(-n,-z)) を得る。これは S2S^2 の反対写像の mapping torus と同相である。

反対写像は H2(S2;Z)H_2(S^2;\mathbb Z)1-1 として作用する。Wang 完全列から H0(X;Z)=Z,H1(X;Z)=Z,H2(X;Z)=Z/2Z, H_0(X;\mathbb Z)=\mathbb Z,\qquad H_1(X;\mathbb Z)=\mathbb Z,\qquad H_2(X;\mathbb Z)=\mathbb Z/2\mathbb Z, かつ k3k\ge3 では Hk(X;Z)=0H_k(X;\mathbb Z)=0 である。

(1) まず正則値を求める。点 (x1,x2,x3)(x_1,x_2,x_3) での微分の像は x1+x2+x3R3 x_1^\perp+x_2^\perp+x_3^\perp\subset\mathbb R^3 である。この和が R3\mathbb R^3 でないのは,ある非零ベクトルが三つの接平面すべてに直交する場合,すなわち x1,x2,x3x_1,x_2,x_3 が同一直線上にある場合に限られる。

そのとき値は ±3e±4e±5e \pm3e\pm4e\pm5e の形であり,長さは 2, 4, 6, 12 2,\ 4,\ 6,\ 12 のいずれかである。従って正則値全体は,半径 2,4,6,122,4,6,12 の球面を除いた R3\mathbb R^3 である。

(2) 次に P=(1,0,0)P=(1,0,0) とおく。x3S3x_3\in S_3 を決めると,y=Px3y=P-x_3 は長さが常に 4466 の間にあり,x1+x2=yx_1+x_2=y, x1=3|x_1|=3, x2=4|x_2|=4 を満たす x1x_1 は,yy に垂直な平面内の円をなす。

さらに n=y/yS2n=y/|y|\in S^2 とおけば,x3nx_3\mapsto n は球面から球面への微分同相である。各 nn 上の円は nn^\perp の単位ベクトルの選択と同一視できる。従って F1(P) F^{-1}(P) S2S^2 の単位接束と同相である。単位接束 UTS2UTS^2 は,向き付けられた正規直交フレームを対応させることで SO(3)\operatorname{SO}(3) と同相である。

q=f(p)q=f(p) とおく。pDp\notin D かつ ff は微分同相なので,qf(D)q\notin f(D) である。従って qq の十分小さい座標近傍 WW を,f(D)f(D) と交わらないように取れる。

線形写像 L=G(dfp)1:TqMTqM L=G\circ (df_p)^{-1}:T_qM\to T_qM を考える。仮定より KK を大きくすれば LL は恒等写像に任意に近い。座標で q=0q=0 とし,00 の近くで 11WW の外で 00 となる滑らかな bump 関数 χ\chi を取る。局所写像 ψ(y)=y+χ(y)(LI)y \psi(y)=y+\chi(y)(L-I)y を定め,座標外では恒等写像として延長する。LIL-I が十分小さければ,逆写像定理とコンパクト台を持つ摂動の標準的議論により ψ\psiMM 上の微分同相である。

ここで g=ψf g=\psi\circ f と定める。すると dgp=dψqdfp=Ldfp=G dg_p=d\psi_q\circ df_p=L\circ df_p=G である。また ψ\psi の台は f(D)f(D) と交わらないので,xDx\in D では g(x)=f(x) g(x)=f(x) である。最後に ψ\psiC1C^1-位相で恒等写像に任意に近くできるので,KK を十分大きくすれば f(x)g(x)ε,dfx(v)dgx(v)εv \|f(x)-g(x)\|\le\varepsilon,\qquad \|df_x(v)-dg_x(v)\|\le\varepsilon\|v\| が全ての xMx\in M, vTxMv\in T_xM で成り立つ。

(1) Fourier 変換を f^(ξ)=Reixξf(x)dx \widehat f(\xi)=\int_{\mathbb R}e^{-ix\xi}f(x)\,dx で定める。条件から f^(kξ)=f^(ξ)k(k=1,2,) \widehat f(k\xi)=\widehat f(\xi)^k\qquad (k=1,2,\ldots) が従う。特に f^(0)=f^(0)k\widehat f(0)=\widehat f(0)^k なので f^(0)=0\widehat f(0)=0 または 11 である。

f^(0)=0\widehat f(0)=0 のときは,任意の ξ\xi について f^(ξ)=f^(ξ/m)m0 \widehat f(\xi)=\widehat f(\xi/m)^m\to0 となるため,f^0\widehat f\equiv0,従って f=0f=0 である。

(2) 次に f^(0)=1\widehat f(0)=1 とする。ff は実数値偶関数なので f^\widehat f は実数値偶関数である。また f^(2ξ)=f^(ξ)20 \widehat f(2\xi)=\widehat f(\xi)^2\ge0 より,連続性から f^(ξ)>0\widehat f(\xi)>0 である。そこで ψ(ξ)=logf^(ξ) \psi(\xi)=-\log \widehat f(\xi) とおくと, ψ(kξ)=kψ(ξ) \psi(k\xi)=k\psi(\xi) である。さらに f^(ξ)=f^(ξ/k)k\widehat f(\xi)=\widehat f(\xi/k)^k を用いれば有理数倍率にも拡張でき,連続性から ψ(tξ)=tψ(ξ)(t0) \psi(t\xi)=t\psi(\xi)\qquad (t\ge0) である。偶性より ψ(ξ)=aξ \psi(\xi)=a|\xi| となる。a=0a=0 なら f^1\widehat f\equiv1 で,これは可積分関数の Fourier 変換ではない。従って a>0a>0 である。

逆変換により f(x)=aπ(a2+x2) f(x)=\frac{a}{\pi(a^2+x^2)} を得る。これは実際に条件を満たす。なぜなら Fourier 変換が eaξe^{-a|\xi|} であり,畳み込みは Fourier 変換の積に対応するからである。

ηδ:RR\eta_\delta:\mathbb R\to\mathbb R を滑らかな凸関数で,ηδ(t)max(t,0)\eta_\delta(t)\to\max(t,0) かつ ηδ\eta_\delta', ηδ\eta_\delta'' が局所的に有界になるように取る。例えば t+t_+ を小さく平滑化したものを使えばよい。

uu は調和なので Δu=0\Delta u=0 である。連鎖律から Δ(ηδ(u))=ηδ(u)u2+ηδ(u)Δu=ηδ(u)u20. \Delta(\eta_\delta(u)) =\eta_\delta''(u)|\nabla u|^2+\eta_\delta'(u)\Delta u =\eta_\delta''(u)|\nabla u|^2\ge0. 非負の ϕC0(Ω)\phi\in C_0^\infty(\Omega) に対して部分積分を二回行うと Ωηδ(u)Δϕdx=ΩϕΔ(ηδ(u))dx0. \int_\Omega \eta_\delta(u)\Delta\phi\,dx = \int_\Omega \phi\,\Delta(\eta_\delta(u))\,dx \ge0. 最後に δ0\delta\downarrow0 とし,ϕ\phi の台上での一様収束と有界収束を用いれば Ωmax(u,0)Δϕdx0 \int_\Omega \max(u,0)\Delta\phi\,dx\ge0 が得られる。

(1) まず単位円板で a=0a=0 の場合を示す。一様有界性により fnM|f_n|\le M とする。零点の重複度を μn\mu_n とすれば fn(z)=zμngn(z) f_n(z)=z^{\mu_n}g_n(z) と書ける。0<r<ρ<10<r<\rho<1 に対して,最大値原理より gn(z)Mρμn(zr) |g_n(z)|\le M\rho^{-\mu_n}\qquad (|z|\le r) である。従って fn(z)M(rρ)μn0 |f_n(z)|\le M\left(\frac r\rho\right)^{\mu_n}\to0 zr|z|\le r で一様に成り立つ。これで円板内の任意のコンパクト集合上の一様収束が分かる。

(2) 一般の領域では Montel の定理を使う。任意の部分列を取ると,一様有界な正則関数族なので,さらに部分列を取って DD 上広義一様に正則関数 ff へ収束する。各階導関数も局所一様収束する。一方,μn\mu_n\to\infty なので,任意の m0m\ge0 に対して十分大きな nn では fn(m)(a)=0 f_n^{(m)}(a)=0 である。従って極限 ffaa で全ての階数の導関数が 00 になり,恒等定理により f0f\equiv0 である。

任意の部分列からさらに 00 に収束する部分列が取れるので,元の列全体も 00 に広義一様収束する。

(1) 下半連続な非負関数 φ\varphi は,連続有界関数列 ψm\psi_m を用いて 0ψmφ,ψm(t)φ(t) 0\le\psi_m\le\varphi,\qquad \psi_m(t)\uparrow\varphi(t) と近似できる。

まず C(D)C(D) の場合を考える。fnff_n\to f が一様収束すると,ψm\psi_m の連続性と有界性から Dψm(fn(x))dxDψm(f(x))dx. \int_D\psi_m(f_n(x))\,dx\to\int_D\psi_m(f(x))\,dx. 従って lim infnΦ(fn)limnDψm(fn(x))dx=Dψm(f(x))dx. \liminf_{n\to\infty}\Phi(f_n) \ge \lim_{n\to\infty}\int_D\psi_m(f_n(x))\,dx =\int_D\psi_m(f(x))\,dx. mm\to\infty として単調収束定理を用いれば lim infnΦ(fn)Φ(f) \liminf_{n\to\infty}\Phi(f_n)\ge\Phi(f) を得る。

(2) Lp(D)L^p(D) の場合も同様である。fnff_n\to f in LpL^p なら fnff_n\to f in measure である。任意の部分列からさらに概収束する部分列を取れるので,ψm(fn)ψm(f)\psi_m(f_n)\to\psi_m(f) が測度収束し,ψm\psi_m が有界で DD の測度が有限であることから Dψm(fn)dxDψm(f)dx \int_D\psi_m(f_n)\,dx\to\int_D\psi_m(f)\,dx が従う。あとは C(D)C(D) の場合と同じく mm\to\infty とする。

本問の作用素 HH は Fourier 変換側で Hf^(ξ)=sgn(ξ)f^(ξ) \widehat{Hf}(\xi)=\operatorname{sgn}(\xi)\widehat f(\xi) として働く。これは通常の Hilbert 変換の multiplier 表示から従う。

一方,Mλ1f=eiλxf(x)M_\lambda^{-1}f=e^{-i\lambda x}f(x) は Fourier 変換を λ\lambda だけ平行移動する。従って MλHMλ1f^(ξ)=sgn(ξλ)f^(ξ). \widehat{M_\lambda H M_\lambda^{-1}f}(\xi) =\operatorname{sgn}(\xi-\lambda)\widehat f(\xi). fC0(R)f\in C_0^\infty(\mathbb R) なので f^\widehat f は急減少関数である。よって dominated convergence により,λ+\lambda\to+\infty では sgn(ξλ)1 \operatorname{sgn}(\xi-\lambda)\to-1 から MλHMλ1ff M_\lambda H M_\lambda^{-1}f\to -f が各点で成り立つ。同様に λ\lambda\to-\infty では multiplier が +1+1 に収束するので MλHMλ1ff M_\lambda H M_\lambda^{-1}f\to f である。

η=(pq)x+(p2q2)y,E=eη,τ=1+E \eta=(p-q)x+(p^2-q^2)y,\qquad E=e^\eta,\qquad \tau=1+E とおく。このとき u=(logτ)xx=(pq)2E(1+E)2. u=(\log\tau)_{xx}=\frac{(p-q)^2E}{(1+E)^2}. 条件 (b), (c) から,λ\lambda に関して φ=1+R(x,y)λs \varphi=1+\frac{R(x,y)}{\lambda-s} と書ける。偏微分方程式に代入して λ\lambda の係数を比較すると Rx=u R_x=-u である。従って定数を吸収して R=(logτ)x=(pq)E1+E R=-(\log\tau)_x=-\frac{(p-q)E}{1+E} と取れる。残りの係数を比較すると極の位置は s=ps=p でなければならない。

よって φ(x,y;λ)=1(pq)e(pq)x+(p2q2)y(λp){1+e(pq)x+(p2q2)y} \varphi(x,y;\lambda) =1-\frac{(p-q)e^{(p-q)x+(p^2-q^2)y}} {(\lambda-p)\{1+e^{(p-q)x+(p^2-q^2)y}\}} である。実際, Ry=(p+q)u,Rxx=ux R_y=-(p+q)u,\qquad R_{xx}=-u_x を用いれば,代入後の定数項は ux+2u(logτ)x(p+q)u+2pu=0 u_x+2u(\log\tau)_x-(p+q)u+2pu=0 となり,方程式を満たす。

内部点 1iN11\le i\le N-1 について式を整理すると λθui1,j+1+(1+2λθ)ui,j+1λθui+1,j+1 -\lambda\theta u_{i-1,j+1}+(1+2\lambda\theta)u_{i,j+1} -\lambda\theta u_{i+1,j+1} =λ(1θ)ui1,j+(12λ(1θ))ui,j+λ(1θ)ui+1,j. = \lambda(1-\theta)u_{i-1,j} +(1-2\lambda(1-\theta))u_{i,j} +\lambda(1-\theta)u_{i+1,j}. 仮定より右辺の三つの係数は非負で,和は 11 である。従って時刻 jjmui,jM m\le u_{i,j}\le M が全ての ii について成り立つなら,右辺も mmMM の間にある。

左辺の三重対角行列を AA と書く。もし AyM1Ay\le M\mathbf1 で,ある成分 yiy_iMM を超えて最大になるとすると, (Ay)i=yi+λθ(2yiyi1yi+1)yi>M (Ay)_i =y_i+\lambda\theta(2y_i-y_{i-1}-y_{i+1}) \ge y_i>M となり矛盾する。従って yiMy_i\le M。同様に Aym1Ay\ge m\mathbf1 なら yimy_i\ge m である。

初期値と境界値を含めて M=max0iNφi,m=min0iNφi M=\max_{0\le i\le N}\varphi_i,\qquad m=\min_{0\le i\le N}\varphi_i とすれば,帰納法により全ての jjmui,jM m\le u_{i,j}\le M が成り立つ。

一意存在については,各段階で上の三重対角行列 AA を解けばよい。AA は狭義対角優位な MM-行列であり,特に正則である。したがって u,ju_{\cdot,j} から u,j+1u_{\cdot,j+1} が一意に定まり,帰納的に全体が一意に存在する。

(1) YnY_n が概収束するなら,差 Xn=YnYn1 X_n=Y_n-Y_{n-1} 00 に概収束する。ところが XnX_n は同分布独立である。もしある ε>0\varepsilon>0 について P(X1>ε)>0 \mathbb P(|X_1|>\varepsilon)>0 なら,Borel--Cantelli の補題により Xn>ε|X_n|>\varepsilon が無限回起こる。これは Xn0X_n\to0 に反する。従って全ての ε>0\varepsilon>0 でこの確率は 00,すなわち P(X1=0)=1 \mathbb P(X_1=0)=1 である。逆は明らかである。

(2) 次に X1X_1 が可積分なら Ek=12kXk=k=12kEX1< \mathbb E\sum_{k=1}^{\infty}2^{-k}|X_k| =\sum_{k=1}^{\infty}2^{-k}\mathbb E|X_1| <\infty である。従って 2kXk\sum2^{-k}X_k は絶対収束し,ZnZ_n は概収束する。

(3) 最後に反例を与える。 P(X1=2m)=1m(m+1)(m=1,2,) \mathbb P(X_1=2^m)=\frac1{m(m+1)}\qquad (m=1,2,\ldots) とする。この確率の和は 11 である。事象 Ak={2kXk1} A_k=\{2^{-k}X_k\ge1\} について P(Ak)=P(X12k)=1k \mathbb P(A_k)=\mathbb P(X_1\ge2^k)=\frac1k であり,kP(Ak)=\sum_k\mathbb P(A_k)=\infty である。独立性と Borel--Cantelli の補題より AkA_k は無限回起こる。従って級数の項 2kXk2^{-k}X_k00 に収束せず,ZnZ_n は概収束しない。

(1) まず LL が分配束であるとする。abxa\le b\vee x かつ xcdx\wedge c\le d なら ac(bx)c=(bc)(xc)bd. a\wedge c\le (b\vee x)\wedge c =(b\wedge c)\vee(x\wedge c) \le b\vee d. 従って性質 (C) が成り立つ。

(2) 次に f:LMf:L\to M を全射束準同型とし,LL が (C) を満たすとする。MM の元 α,β,γ,δ,ξ\alpha,\beta,\gamma,\delta,\xiαβξ,ξγδ \alpha\le\beta\vee\xi,\qquad \xi\wedge\gamma\le\delta を満たすとする。任意に持ち上げ a0,b0,c0,d0,x0a_0,b_0,c_0,d_0,x_0 を取り, a=a0(b0x0),d=d0(x0c0) a=a_0\wedge(b_0\vee x_0),\qquad d=d_0\vee(x_0\wedge c_0) と置き直す。すると f(a)=α,f(d)=δ, f(a)=\alpha,\qquad f(d)=\delta, かつ ab0x0,x0c0d a\le b_0\vee x_0,\qquad x_0\wedge c_0\le d である。LL の (C) より ac0b0d a\wedge c_0\le b_0\vee d であり,ff を施して αγβδ \alpha\wedge\gamma\le\beta\vee\delta を得る。よって MM も (C) を満たす。

(3) (C') も同じ方針でよい。さらに βγ\beta\le\gamma があるので,b0b_0b=b0c0 b=b_0\wedge c_0 に置き換えれば f(b)=βf(b)=\beta かつ bc0b\le c_0 である。上と同じく a=a0(bx0),d=d0(x0c0) a=a_0\wedge(b\vee x_0),\qquad d=d_0\vee(x_0\wedge c_0) とすれば,LL の (C') が使え, ac0bd a\wedge c_0\le b\vee d を得る。ff を施せば MM の (C') が従う。

(1) まず三つの式を足すと t(u+v+w)=0 \frac{\partial}{\partial t}(u+v+w)=0 である。初期値では u+v+w=1u+v+w=1 なので,全ての ttu+v+w=1 u+v+w=1 が成り立つ。また ut0u_t\le0 であり,非負性は方程式の右辺の形から保たれる。従って 0u,v,w1 0\le u,v,w\le1 である。

(2) W(x,t)=Rλ(xy)w(y,t)dy W(x,t)=\int_{\mathbb R}\lambda(x-y)w(y,t)\,dy とおくと,wt=γvw_t=\gamma v より Wt(x,t)=γRλ(xy)v(y,t)dy. W_t(x,t)=\gamma\int_{\mathbb R}\lambda(x-y)v(y,t)\,dy. したがって utu=βσRλ(xy)v(y,t)dy=R0Wt. \frac{u_t}{u} =-\beta\sigma\int_{\mathbb R}\lambda(x-y)v(y,t)\,dy =-R_0 W_t. 初期値から u(x,t)=(1ε(x))eR0W(x,t) u(x,t)=(1-\varepsilon(x))e^{-R_0W(x,t)} である。

(3) さらに v=1uwv=1-u-wwt=γvw_t=\gamma v に代入すると 1γwt+w=1(1ε(x))eR0W(x,t) \frac1\gamma w_t+w =1-(1-\varepsilon(x))e^{-R_0W(x,t)} を得る。

(4) uu は単調減少で下に有界,ww は単調増加で上に有界なので,各点で u(x),w(x) u_\infty(x),\qquad w_\infty(x) が存在する。従って v=1uwv=1-u-w も極限を持つ。さらに wt=γvw_t=\gamma v かつ ww は有界増加なので 0v(x,t)dt<\int_0^\infty v(x,t)\,dt<\infty であり,極限を持つ非負関数 v(x,t)v(x,t) の極限は 00 でなければならない。よって v(x)=0. v_\infty(x)=0. また u(x)=(1ε(x))eR0W(x)>0 u_\infty(x)=(1-\varepsilon(x))e^{-R_0W_\infty(x)}>0 である。初期感染が正の区間にあり,λ\lambda は非負連続で積分が 11 なので,感染項の正性は畳み込みにより各点へ伝わり,w(x)>0w_\infty(x)>0 である。

(5) 最後に R0>1R_0>1 とする。 h(s)=1eR0ss h(s)=1-e^{-R_0s}-s とおくと,h(0)=0h(0)=0, h(0)=R01>0h'(0)=R_0-1>0, h(1)<0h(1)<0, かつ h(s)<0h''(s)<0 である。従って h(s)=0h(s)=0 は正の根をただ一つ持つ。それを pp とする。

極限方程式から w(x)=1(1ε(x))eR0W(x)1eR0W(x). w_\infty(x) =1-(1-\varepsilon(x))e^{-R_0W_\infty(x)} \ge 1-e^{-R_0W_\infty(x)}. m=infxw(x)m=\inf_x w_\infty(x) とおけば,λ0\lambda\ge0, λ=1\int\lambda=1 より W(x)m. W_\infty(x)\ge m. 従って m1eR0m. m\ge1-e^{-R_0m}. もし m<pm<p なら,0<m<p0<m<ph(m)>0h(m)>0,すなわち m<1eR0mm<1-e^{-R_0m} となって矛盾する。よって infxRw(x)p \inf_{x\in\mathbb R}w_\infty(x)\ge p である。

最終答

rankF={ad,r>0,0,r=0. \operatorname{rank}F= \begin{cases} ad,& r>0,\\ 0,& r=0. \end{cases}

東京大学 専門科目B — 他の年度