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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2010年度 院試 解答例・解説

東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目B 2010年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全1問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

1 — 有限環の分解と単数群

評価写像の選び方

関係式を有理数体上で見ると三つの点に分解する。整係数ではそのまま直積にはならず, 指数 1818 の部分環として入る。この指数を基底 1,S,T1,S,T の像の行列式で読むのが最短である。

単数群の検算

22 を逆にした後の単数は三成分すべてで単数でなければならない。さらに三成分は mod3\bmod 3 で同じ値を持つ必要があるため,符号と 22 の指数の偶奇がそろう。

[トーリックイデアルと局所長]

生成元は二次関係だけでよい

五つの単項式 r2,s2,rs,rt,str^2,s^2,rs,rt,st の間の最小の関係は,二行三列行列の階数が 11 以下であるという条件として整理できる。これにより高次関係を探す必要がなくなる。

局所化後の計算

x=1,u=v=0x=1,u=v=0 を入れた後は y=z2y=z^2 だけが本質である。最後に 1z21-z^2 が局所環で単元になることを見落とさなければ,長さは z6z^6 の指数そのものになる。

[六次有理関数拡大のガロア閉包]

根の形を見る

X3X^3X3X^{-3} が入れ替わり,さらに三乗根を掛ける対称性がある。 したがって閉包には ζ3\zeta_3 が必要で,次数は 66 ではなく 1212 になる。

中間体は群で数える

二次拡大はガロア群から C2C_2 への非自明な準同型で数える。 六次ガロア拡大は位数 22 の正規部分群で数えるため,中心の一つだけが残る。

[対称群の線形表現]

三次元表現

四次元の置換表現から対角方向 C(1,1,1,1)\mathbb C(1,1,1,1) を除くと,三次元の標準表現が残る。 これが S4S_4 の自然な忠実表現である。

二次元ではなぜ駄目か

S4S_4 には二次元既約表現があるが,それは S3S_3 への商を通る。 「二次元既約がある」ことと「忠実に入る」ことを混同しないのが採点上の要点である。

[距離管と焦点]

管状近傍として読む

r<1r<1 では S2S^2 の管状近傍の境界を見ている。法束は RR2\mathbb R\oplus\mathbb R^2 の自明束なので,境界は S2×S2S^2\times S^2 になる。

半径が大きい場合

r=2r=2 では中心軸 ρ=0\rho=0 に到達し,最近点方向が一意でなくなる。 この焦点の出現が r<1r<1 の場合との決定的な違いである。

[写像トーラスとホモロジー]

空間の見取り図

f(S1)f(S^1) を滑らかな曲線としてではなく,二つのループを持つグラフとして見ると ホモロジー計算が標準的な写像トーラス計算に落ちる。

誘導写像の注意点

S1S^1 は二つのループを一周ずつ通るが,写像トーラスの関係で a+b=0a+b=0 になる。 そのためファイバー方向は H1(X)H_1(X) では消える。

[フロー不変関数の延長]

第一積分を探す

フローは xx を伸ばし yy を縮めるので,積 xyxy が保存される。 したがって不変関数を作るには xyxy の関数に落とすのが自然である。

C1C^1 条件の意味

sin\sin の端点では逆関数の微分が発散する。ff' がその発散を打ち消すだけの消え方を 持つことが,平面上の C1C^1 関数として延長できるための本質である。

[同次関数と球面積分]

Eulerの公式

同次関数では,半径方向微分が次数倍になる。球面上の法線微分も同じ半径方向微分なので, 発散定理と非常に相性がよい。

球面平均の検算

単位球面上の一座標の四乗平均は 1/51/5 である。二乗平均の 1/31/3 と混同しないように 注意する。

[短時間Fourier変換型の等式]

連続性の分け方

xx 方向は L2L^2 平行移動の連続性,yy 方向は優収束定理で処理する。 同じ議論でまとめようとすると,φ\varphi の一様連続性を誤って仮定しやすい。

等式の正体

後半は短時間Fourier変換の Plancherel 型等式である。固定した xx ごとに Fourier変換の等長性を使い,最後に Fubini で順序を入れ替える。

[劣調和関数とHopfの補題]

Bochner型の計算

平面の調和関数では Δu2=2D2u2\Delta|\nabla u|^2=2|D^2u|^2 が成り立つ。 これが劣調和性の中心である。

上端での最大値を排除する

下端では w=0w=0。上端では値そのものは分からないが,法線微分が 00 である。 正の最大値が上端にあれば Hopf の補題と矛盾する,という流れで押さえる。

[Schwarz--Christoffel型積分]

境界対応で決める

Schwarz--Christoffel 型の積分では,実軸上で微分の偏角がどの向きになるかを追う。 像領域はその境界折れ線から決まる。

長さの計算

必要な長さはベータ積分に落ちる。 01x(1x)dx=π/8\int_0^1\sqrt{x(1-x)}dx=\pi/80π/2tanxdx=π/2\int_0^{\pi/2}\sqrt{\tan x}dx=\pi/\sqrt2 を混同しない。

[熱方程式と観測点の一意性]

指数列の一意性

en2te^{-n^2t}zn2z^{n^2} と見れば,通常の正則関数の係数一意性になる。

観測点が無理比である意味

cos(nx0)\cos(nx_0) が消えるとそのモードは観測できない。x0/πx_0/\pi が無理数なら どの cos(nx0)\cos(nx_0)00 にならず,全モードが消えたと結論できる。

[波動型Fourier積分作用素の減衰]

カットオフの役割

ρ(ωxωξ)\rho(\omega_x\cdot\omega_\xi) は,波が xx の方向へ進む領域を切り落としている。 そのため時刻 tt 後に xx へ届く寄与は,もともと大きな y|y| から来る。

証明の型

核心は非停留位相による核評価と Schur の補題である。 重み ys\langle y\rangle^{-s} が移動距離 tt によって (1+t)s(1+t)^{-s} を生み, 出力側の重み xδ\langle x\rangle^\delta(1+t)δ(1+t)^\delta を戻す。

[Burgers方程式と熱多項式]

Cole--Hopf変換

u=Px/Pu=P_x/P と置くと非線形項がまとまり,Pt+Pxx=0P_t+P_{xx}=0 に落ちる。 符号を間違えると母関数の指数の tz2tz^2 の符号も逆になる。

同次性の使い方

重み付き同次多項式では係数が隣同士の漸化式で決まる。 先頭係数を決めれば全体が一意に決まるため,各次数で本質的に一つしかない。

[感染症モデルの平衡点]

不変領域

S+IS+IM+VM+V を先に見ると,四変数系の境界条件が一次元の微分不等式に落ちる。

R0R_0 の出方

感染成分の二次元線形化の determinant が μ2(μ1+γ)(1R0)\mu_2(\mu_1+\gamma)(1-R_0) になる。trace は常に負なので,符号判定は determinant だけでよい。

[正定値行列の反復法]

固有値で見る

正定値エルミート行列はユニタリ対角化できるので,前半は実数 (rλ)/(r+λ)(r-\lambda)/(r+\lambda) の評価に帰着する。

反復法の本質

二段進めると Cayley 変換の積による誤差反復になる。 各変換が単位円内にスペクトルを持つため,誤差は幾何的に減衰する。

[格子路とGaussian二項係数]

面積を反転数に直す

格子路の面積は,ステップ列における UURR の反転数である。 この変換をすると,問題は Gaussian 二項係数の標準的な組合せ解釈になる。

漸化式の検算

最後が RR のときだけ nn 個分の面積が増える。 この qnq^n を落とすと通常の二項係数の漸化式になってしまう。

[全ての接尾語を受理するBuchi条件]

breakpoint構成

XX が空になることを受理条件にするのは,現在検査中のすべての実行候補が 少なくとも一度 FF を見た,という区切りを表すためである。

なぜ接尾語が全部入るか

各時刻で q0q_0YY に追加するので,すべての接尾語が同時に監視対象になる。 受理集合を無限回訪れることが,各接尾語で FF を無限回訪れることに対応する。

[有限個のPareto型確率変数の和]

一つの大ジャンプ

Pareto型の重い尾では,有限個の和が大きくなる主因は一つの変数だけが大きくなる事象である。 二つ以上が同時に大きい確率は一桁小さい。

上界の作り方

全てが xx 以下なのに和が xx を超えるなら,少なくとも二つは x/Kx/K を超える。 この包含を使うと,下界と同じ極限 KK に挟める。

2010年度は公開から時間が経過しているため、解答・最終答まで全文公開しています

(1) A=Z[S,T]/(S23S, T26T, ST3T) A=\mathbb Z[S,T]/(S^2-3S,\ T^2-6T,\ ST-3T) とおく。三つの点 (S,T)=(0,0), (3,0), (3,6) (S,T)=(0,0),\ (3,0),\ (3,6) での値を並べる写像 g:AZ3,f(S,T)(f(0,0),f(3,0),f(3,6)) g:A\longrightarrow \mathbb Z^3,\qquad f(S,T)\longmapsto \bigl(f(0,0),f(3,0),f(3,6)\bigr) を考える。AAZ\mathbb Z-加群として 1,S,T1,S,T で生成され,関係式で任意の高次項は これらに落ちる。これらの像は 1(1,1,1),S(0,3,3),T(0,0,6) 1\mapsto(1,1,1),\quad S\mapsto(0,3,3),\quad T\mapsto(0,0,6) であるから,行列式は 1818 である。従って gg は単射で, #Z3/g(A)=18 \#\mathbb Z^3/g(A)=18 である。

(2) 22 を含む素イデアルは A/(2)A/(2) の素イデアルに対応する。 A/(2)F2[S,T]/(S2S, T2, T(S1)). A/(2)\simeq \mathbb F_2[S,T]/(S^2-S,\ T^2,\ T(S-1)). S=0S=0 側では T=0T=0S=1S=1 側では TT は冪零元である。したがって素イデアルは (2,S,T),(2,S1,T) (2,S,T),\qquad (2,S-1,T) の二つで尽きる。

(3) 最後に 22 を逆にする。gg によって A[1/2]{(x,y,z)Z[1/2]3xyz(mod3)} A[1/2]\simeq \{(x,y,z)\in \mathbb Z[1/2]^3\mid x\equiv y\equiv z\pmod 3\} と見てよい。ここで Z[1/2]×={±2nnZ}\mathbb Z[1/2]^\times=\{\pm2^n\mid n\in\mathbb Z\} であり, 合同条件は三つの成分の ±2n\pm2^n が同じ F3×\mathbb F_3^\times の元に落ちることを意味する。 よって A[1/2]×{±1}×Z3. A[1/2]^\times \simeq \{\pm1\}\times \mathbb Z^3. 具体的な生成元として 1,S2,1S+T2,1T2 -1,\quad S-2,\quad 1-S+\frac{T}{2},\quad 1-\frac{T}{2} を取れる。

(1) 準同型の像は x=r2,y=s2,z=rs,u=rt,v=st x=r^2,\quad y=s^2,\quad z=rs,\quad u=rt,\quad v=st で与えられる。従って明らかに q1=z2xy,q2=zuxv,q3=zvyu q_1=z^2-xy,\qquad q_2=zu-xv,\qquad q_3=zv-yu は核に入る。逆に,これは行列 (xzuzyv) \begin{pmatrix} x&z&u\\ z&y&v \end{pmatrix} 22 次小行列式であり,対応する有理正規スクロールの定義イデアルである。 したがって I=(z2xy, zuxv, zvyu) I=(z^2-xy,\ zu-xv,\ zv-yu) で,特に II22 次同次式で生成される。

(2) 局所環 RmR_{\mathfrak m}u=v=x1=0 u=v=x-1=0 を課すと,xx11 になり,q1q_1 から y=z2y=z^2 を得る。残る条件は x5y3z8=0 x^5y^3-z^8=0 であるから,局所的には y3z8=z6z8=z6(1z2). y^3-z^8=z^6-z^8=z^6(1-z^2). m\mathfrak m で局所化しているため 1z21-z^2 は単元である。よって商は C[z](z)/(z6) \mathbb C[z]_{(z)}/(z^6) と同じ長さを持ち, dimCRm/J=6 \dim_{\mathbb C}R_{\mathfrak m}/J=6 である。

(1) Y=X3+X3 Y=X^3+X^{-3} とおくと K=Q(Y)K=\mathbb Q(Y) である。XXZ6YZ3+1=0 Z^6-YZ^3+1=0 を満たすので,[L:K]=6[L:K]=6 である。根は ζ3iX,ζ3iX1(i=0,1,2) \zeta_3^iX,\qquad \zeta_3^iX^{-1}\qquad (i=0,1,2) であり,ガロア閉包は F=Q(ζ3,X) F=\mathbb Q(\zeta_3,X) である。定数体を Q(ζ3)\mathbb Q(\zeta_3) まで拡大する分だけ次数がさらに 22 倍され, [F:K]=12 [F:K]=12 となる。

ガロア群は r:Xζ3X,s:XX1,τ:ζ3ζ32, XX r:X\mapsto \zeta_3X,\quad s:X\mapsto X^{-1},\quad \tau:\zeta_3\mapsto\zeta_3^2,\ X\mapsto X で生成される。ここで r3=s2=τ2=1r^3=s^2=\tau^2=1,かつ srs=τrτ=r1srs=\tau r\tau=r^{-1} である。 従って Gal(F/K)S3×C2 \operatorname{Gal}(F/K)\simeq S_3\times C_2 と見てよい。

(2) 二次拡大はこの群の指数 22 の正規部分群に対応する。三つあり, K(3),K(Y24),K(3(Y24)) K(\sqrt{-3}),\qquad K(\sqrt{Y^2-4}),\qquad K(\sqrt{-3(Y^2-4)}) である。ここで Y24=(X3X3)2Y^2-4=(X^3-X^{-3})^2 を用いた。

(3) 六次のガロア拡大は,位数 22 の正規部分群の固定体に対応する。 S3×C2S_3\times C_2 の中心の位数 22 部分群は一つだけなので,該当するものも一つだけである。 具体的には c=sτ c=s\tau で生成される部分群の固定体 Fc F^{\langle c\rangle} である。

(1) S4S_4 は四つの文字を置換するので,標準基底 e1,,e4e_1,\ldots,e_4 を置換する 置換行列により S4GL4(C) S_4\hookrightarrow GL_4(\mathbb C) を得る。

(2) また W={(x1,x2,x3,x4)C4x1+x2+x3+x4=0} W=\{(x_1,x_2,x_3,x_4)\in\mathbb C^4\mid x_1+x_2+x_3+x_4=0\} は置換表現で保たれる三次元部分空間である。非自明な置換は WW 上でも自明には ならない。従って S4GL(W)GL3(C) S_4\hookrightarrow GL(W)\simeq GL_3(\mathbb C) である。

(3) 一方,S4S_4GL2(C)GL_2(\mathbb C) に忠実に入ると仮定する。二次元表現が可約なら, 像は二つの一次元表現の直和であり,交換子群を殺すので忠実ではない。従って既約で なければならない。しかし S4S_4 の二次元既約表現は,正規部分群 V4V_4 を核に持ち, S4/V4S3 S_4/V_4\simeq S_3 を通じて得られる表現である。従って忠実な二次元表現は存在しない。

(1) R5=R3R2\mathbb R^5=\mathbb R^3\oplus\mathbb R^2 と分け, x=(u,v),ρ=u,η=v x=(u,v),\qquad \rho=|u|,\quad \eta=|v| と書く。SSR3\mathbb R^3 側の単位球面なので,SS からの距離は d(x,S)2=(ρ1)2+η2 d(x,S)^2=(\rho-1)^2+\eta^2 である。従って Xr={(u,v)(ρ1)2+η2=r2}. X_r=\{(u,v)\mid (\rho-1)^2+\eta^2=r^2\}.

0<r<10<r<1 のときは ρ>0\rho>0 が保たれる。点は u=(1+ra0)ω,v=r(v1,v2) u=(1+r a_0)\omega,\qquad v=r(v_1,v_2) と一意的に書ける。ただし ωS2\omega\in S^2(a0,v1,v2)S2(a_0,v_1,v_2)\in S^2 である。 よって X1/2S2×S2 X_{1/2}\simeq S^2\times S^2 であり,特に部分多様体である。

(2) r=2r=2 では ρ=0,η=3\rho=0,\eta=\sqrt3 となる点が現れる。この点では u/uu/|u| という 方向が消えるため,近傍は S2S^2 方向が円周上でつぶれた形になり,局所的に R4\mathbb R^4 と同相ではない。従って X2X_2S2×S2S^2\times S^2 と同相ではない。

(1) f(S1)f(S^1) は原点で二つの円が接する空間,すなわち S1S1S^1\vee S^1 と同相である。 二つのループのホモロジー類を a,ba,b とする。原点対称は二つのループを入れ替え, 向きを反転するので ab,ba a\mapsto -b,\qquad b\mapsto -a を誘導する。

写像トーラスのホモロジー完全列を使うと H1(X)Zcoker(h1),H2(X)ker(h1) H_1(X)\simeq \mathbb Z\oplus \operatorname{coker}(h_\ast-1),\qquad H_2(X)\simeq \ker(h_\ast-1) である。ここで h1:(ab)(abab). h_\ast-1: \begin{pmatrix}a\\ b\end{pmatrix} \longmapsto \begin{pmatrix}-a-b\\ -a-b\end{pmatrix}. 従って H0(X)=Z,H1(X)Z2,H2(X)Z H_0(X)=\mathbb Z,\quad H_1(X)\simeq\mathbb Z^2,\quad H_2(X)\simeq\mathbb Z で,それ以上は 00 である。

(2) 一方 YY は円周の反転写像の写像トーラス,すなわち Klein bottle である。従って H0(Y)=Z,H1(Y)ZZ/2Z,H2(Y)=0. H_0(Y)=\mathbb Z,\quad H_1(Y)\simeq\mathbb Z\oplus\mathbb Z/2\mathbb Z,\quad H_2(Y)=0.

(3) F~(θ,u)=(f(θ),u)\widetilde F(\theta,u)=(f(\theta),u) は同値関係を保つ。実際 f(θ)=f(θ) f(-\theta)=-f(\theta) であるから,商写像 F:YX F:Y\to X が誘導される。

(4) 誘導準同型は,写像トーラス方向の Z\mathbb Z を同じ写像トーラス方向へ写す。 円周ファイバーの基本類は ff により a+ba+b に送られるが,H1(X)H_1(X) では a+b=0a+b=0 である。よって F:H1(Y)H1(X) F_\ast:H_1(Y)\to H_1(X) は自由部分 Z\mathbb Z を写像トーラス方向へ同型に送り,Z/2Z\mathbb Z/2\mathbb Z 成分を 00 に送る。H2(Y)=0H_2(Y)=0 なので二次ホモロジー上の写像は零写像である。

(1) ベクトル場のフローは φ(t;(x,y))=(etx,ety) \varphi(t;(x,y))=(e^t x,e^{-t}y) であり,積 xyxy が第一積分である。従って条件 (a) を満たす関数は,少なくとも 軌道の閉包を考えると xyxy の関数として作るのが自然である。

曲線 gg 上では xy=12sin(πt) xy=\frac12\sin(\pi t) である。条件 f(1t)=f(t),f(t+1)=f(t) f(1-t)=f(t),\qquad f(t+1)=f(t) により,12sin(πt)\frac12\sin(\pi t) が同じ値を取る点で ff の値も同じである。したがって h ⁣(12sin(πt))=f(t) h\!\left(\frac12\sin(\pi t)\right)=f(t) により [1/2,1/2][-1/2,1/2] 上の連続関数 hh が定まる。hhR\mathbb R 上へ連続に延長して F(x,y)=h(xy) F(x,y)=h(xy) とすれば (a), (b) を満たす。

(2) C1C^1 級で同じ構成を行うには,hh[1/2,1/2][-1/2,1/2] 上で C1C^1 級でなければならない。 すなわち h(s)=f ⁣(1πarcsin(2s))(1/2<s<1/2) h(s)=f\!\left(\frac{1}{\pi}\arcsin(2s)\right)\quad(-1/2<s<1/2) で定まる関数について,端点を含めて C1C^1 に延長できることが必要十分である。 同値に, 2πf(t)cos(πt) \frac{2}{\pi}\frac{f'(t)}{\cos(\pi t)} 1/2<t<1/2-1/2<t<1/2 で定める関数として t=±1/2t=\pm1/2 まで連続に延長できることが条件である。

(1) 同次性 f(tx,ty,tz)=tkf(x,y,z) f(tx,ty,tz)=t^k f(x,y,z) tt で微分して t=1t=1 とおくと (xx+yy+zz)f=kf \left(x\frac{\partial}{\partial x} +y\frac{\partial}{\partial y} +z\frac{\partial}{\partial z}\right)f=kf を得る。

(2) 次に発散定理を使う。単位球面上の外向き単位法線は ν=(x,y,z) \nu=(x,y,z) であるから DΔfdxdydz=S2fνω=S2(xfx+yfy+zfz)ω=S2kfω. \int_D \Delta f\,dx\,dy\,dz =\int_{S^2}\frac{\partial f}{\partial \nu}\,\omega =\int_{S^2}\left(xf_x+yf_y+zf_z\right)\omega =\int_{S^2}kf\,\omega. これが求める等式である。

(3) 最後に f=ax4+by4+cz4f=ax^4+by^4+cz^4 とする。球面上の対称性から S2x4ω=S2y4ω=S2z4ω. \int_{S^2}x^4\,\omega =\int_{S^2}y^4\,\omega =\int_{S^2}z^4\,\omega. また単位球面上で (x2+y2+z2)2=1 (x^2+y^2+z^2)^2=1 なので 3x4ω+6x2y2ω=4π. 3\int x^4\,\omega+6\int x^2y^2\,\omega=4\pi. 標準的な球面平均 14πS2x4ω=15 \frac{1}{4\pi}\int_{S^2}x^4\,\omega=\frac15 から S2x4ω=4π5 \int_{S^2}x^4\,\omega=\frac{4\pi}{5} を得る。従って S2fω=4π5(a+b+c). \int_{S^2}f\,\omega=\frac{4\pi}{5}(a+b+c).

(1) φ\varphi は有界とし,φ=M\|\varphi\|_\infty=M とおく。各 (x,y)(x,y) について Rf(x+t)g(t)dtf2g2 \int_{\mathbb R}|f(x+t)g(t)|\,dt \le \|f\|_2\|g\|_2 であるから FF はよく定義される。xx を動かしたときは,L2L^2 における平行移動の 連続性により f(+x+h)f(+x)20 \|f(\cdot+x+h)-f(\cdot+x)\|_2\to0 が成り立つ。yy を動かしたときは,固定した xx に対して φ(t,y+h)φ(t,y)f(x+t)g(t) |\varphi(t,y+h)-\varphi(t,y)|\,|f(x+t)g(t)| 2Mf(x+t)g(t)2M|f(x+t)g(t)| で支配され,これは可積分である。従って優収束定理により FF は連続である。

(2) φ(t,s)=e2πits\varphi(t,s)=e^{-2\pi its} の場合,固定した xx について F(x,y)=Ft{f(x+t)g(t)}(y) F(x,y)=\mathcal F_t\{f(x+t)g(t)\}(y) である。Plancherel の定理から RF(x,y)2dy=Rf(x+t)2g(t)2dt. \int_{\mathbb R}|F(x,y)|^2\,dy =\int_{\mathbb R}|f(x+t)|^2|g(t)|^2\,dt. さらに xx で積分すると RRF(x,y)2dxdy=Rg(t)2(Rf(x+t)2dx)dt=f22g22. \int_{\mathbb R}\int_{\mathbb R}|F(x,y)|^2\,dx\,dy =\int_{\mathbb R}|g(t)|^2 \left(\int_{\mathbb R}|f(x+t)|^2\,dx\right)dt =\|f\|_2^2\|g\|_2^2.

(1) w=u2y w=|\nabla u|^2-y とおく。uu は調和関数なので Δu2=2D2u2+2u(Δu)=2D2u20. \Delta |\nabla u|^2=2|D^2u|^2+2\nabla u\cdot\nabla(\Delta u)=2|D^2u|^2\ge0. また Δy=0\Delta y=0 であるから Δw0 \Delta w\ge0 であり,ww は劣調和である。

(2) 上端 y=1y=1 では u(x,1)=cu(x,1)=c が定数なので ux(x,1)=0,uxx(x,1)=0. u_x(x,1)=0,\qquad u_{xx}(x,1)=0. 調和性から uyy(x,1)=uxx(x,1)=0u_{yy}(x,1)=-u_{xx}(x,1)=0 である。従って u2y=2uxuxy+2uyuyy=0 \frac{\partial |\nabla u|^2}{\partial y} =2u_xu_{xy}+2u_yu_{yy}=0 y=1y=1 で成り立つ。

(3) 下端 y=f(x)y=f(x) では仮定より w(x,f(x))=u(x,f(x))2f(x)=0. w(x,f(x))=|\nabla u(x,f(x))|^2-f(x)=0. 周期性により一周期分の閉領域で最大値原理を適用できる。もし ww が正の最大値を 内部で取れば劣調和性に反する。上端で正の最大値を取れば,Hopf の境界点補題により 外向き法線方向,すなわち yy 方向の微分が正になるはずである。しかし上で示した通り その微分は 00 である。よって正の最大値は存在せず, u(x,y)2y |\nabla u(x,y)|^2\le y である。

(1) 平方根は上半平面で値が上半平面に入る分枝を取る。第一の積分では,実軸上の三つの 区間で微分の向きが (,0):負の実方向,(0,1):正の虚方向,(1,):正の実方向 (-\infty,0):\text{負の実方向},\quad (0,1):\text{正の虚方向},\quad (1,\infty):\text{正の実方向} となる。従って境界は,幅 01x(1x)dx=B(3/2,3/2)=π8 \int_0^1\sqrt{x(1-x)}\,dx =B(3/2,3/2)=\frac{\pi}{8} の半帯の境界に写る。従って像は {wCRew>0, 0<Imw<π/8} \{w\in\mathbb C\mid \operatorname{Re}w>0,\ 0<\operatorname{Im}w<\pi/8\} である。

(2) 第二の積分では,実軸は tanz\tan z の零点と極で分割される。 (kπ,kπ+π/2) (k\pi,k\pi+\pi/2) では微分は正の実方向, (kπ+π/2,(k+1)π) (k\pi+\pi/2,(k+1)\pi) では正の虚方向を向く。各辺の長さは 0π/2tanxdx=12B(3/4,1/4)=π2. \int_0^{\pi/2}\sqrt{\tan x}\,dx =\frac12B(3/4,1/4)=\frac{\pi}{\sqrt2}. したがって像は,一辺の長さ π/2\pi/\sqrt2 の水平辺と垂直辺が交互に続く無限階段境界の 上側の領域である。境界の頂点は nπ2(1+i),nπ2(1+i)+π2(nZ) n\frac{\pi}{\sqrt2}(1+i),\qquad n\frac{\pi}{\sqrt2}(1+i)+\frac{\pi}{\sqrt2}\qquad(n\in\mathbb Z) と書ける。

(1) まず z=etz=e^{-t} とおくと, n=0αnzn2=0(0<z<1) \sum_{n=0}^{\infty}\alpha_n z^{n^2}=0\qquad(0<z<1) である。左辺は単位円板で絶対収束する正則関数であり,実区間上で消えるので恒等的に 消える。従って全係数が 00,すなわち αn=0\alpha_n=0 である。

(2) Neumann 条件の固有関数は 1,cosnx(n1) 1,\quad \cos nx\quad(n\ge1) である。ff の係数を問題の記号で ana_n とすれば,解は u(x,t)=a00tμ(τ)dτ+n=1ancos(nx)0ten2(tτ)μ(τ)dτ u(x,t)=a_0\int_0^t\mu(\tau)\,d\tau +\sum_{n=1}^{\infty} a_n\cos(nx)\int_0^t e^{-n^2(t-\tau)}\mu(\tau)\,d\tau で与えられる。

(3) ある x0/πx_0/\pi が無理数で,すべての t>0t>0u(x0,t)=0u(x_0,t)=0 とする。Laplace変換を取ると M(s)(a0s+n=1ancos(nx0)s+n2)=0 M(s)\left( \frac{a_0}{s}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{a_n\cos(nx_0)}{s+n^2} \right)=0 となる。ここで M(s)M(s)μ\mu の Laplace 変換であり,μ(0)0\mu(0)\ne0 だから恒等的には 消えない。従って括弧内の有理型関数は恒等的に 00 である。各極の留数から ancos(nx0)=0 a_n\cos(nx_0)=0 を得る。x0/πx_0/\pi が無理数なので cos(nx0)0\cos(nx_0)\ne0 であり,すべての an=0a_n=0 である。 よって f=0f=0 である。

作用素の核を Kt(x,y)=(2π)nei((xy)ξtξ)p(x,ξ)dξ K_t(x,y)=(2\pi)^{-n}\int e^{i((x-y)\cdot\xi-t|\xi|)}p(x,\xi)\,d\xi と書く。シンボルは ξ[a,b]|\xi|\in[a,b] に台を持つので,ξ\xi 方向での特異性はない。 また ρ(ωxωξ)\rho(\omega_x\cdot\omega_\xi) により,ξ\xixx と鋭角に近い方向には向かない。 従って位相の ξ\xi-勾配 xytωξ x-y-t\omega_\xi が小さくなるのは,yyxtωξx-t\omega_\xi の近くにある場合に限られる。 その場合でも ωxωξ1/2\omega_x\cdot\omega_\xi\le1/2 の範囲では幾何的に yc(x+t) \langle y\rangle\ge c(\langle x\rangle+t) が成り立つ。一般の場合は非停留位相の部分積分により任意の次数の減衰を得る。

従って任意の NN に対して Kt(x,y)CNxytωξN |K_t(x,y)| \le C_N\langle x-y-t\omega_\xi\rangle^{-N} 型の評価を積分後に得ることができ,特に Schur の補題に使える形で xδKt(x,y)ysCN(1+t)s+δ(xyN+xN+yN) \langle x\rangle^\delta |K_t(x,y)|\langle y\rangle^{-s} \le C_N(1+t)^{-s+\delta} \bigl(\langle x-y\rangle^{-N}+\langle x\rangle^{-N}+\langle y\rangle^{-N}\bigr) が得られる。N>nN>n とすれば右辺の積分核は x,yx,y の両方で可積分に支配される。 Schur の補題から (1+x2)δ/2P(t)(1+x2)s/2u2C(1+t)s+δu2 \left\|(1+|x|^2)^{\delta/2}P(t)(1+|x|^2)^{-s/2}u\right\|_2 \le C(1+t)^{-s+\delta}\|u\|_2 となる。

(1) u=PxP u=\frac{P_x}{P} とおくと,直接計算により ut+uxx+2uux=x(Pt+PxxP) u_t+u_{xx}+2uu_x =\partial_x\left(\frac{P_t+P_{xx}}{P}\right) である。従って Pt+Pxx=0P_t+P_{xx}=0 を満たす多項式から解が得られる。

重み degx=1,degt=2\deg x=1,\deg t=2 の同次多項式を P(x,t)=j=0n/2ajxn2jtj P(x,t)=\sum_{j=0}^{\lfloor n/2\rfloor}a_jx^{n-2j}t^j と書く。熱方程式 Pt+Pxx=0P_t+P_{xx}=0 は係数に (j+1)aj+1+(n2j)(n2j1)aj=0 (j+1)a_{j+1}+(n-2j)(n-2j-1)a_j=0 を課す。従って各 nn について解空間は一次元である。

n=1n=1 では P=xP=xu=1x. u=\frac1x. n=2n=2 では P=x22tP=x^2-2tu=2xx22t. u=\frac{2x}{x^2-2t}.

(2) 一般の n3n\ge3 では,定数倍を除いて pn(x,t)=n!j=0n/2(t)jxn2jj!(n2j)! p_n(x,t)=n!\sum_{j=0}^{\lfloor n/2\rfloor} \frac{(-t)^j x^{n-2j}}{j!(n-2j)!} であり,解は u=xpnpn u=\frac{\partial_xp_n}{p_n} である。

(3) 正規化 xnpn=n!\partial_x^np_n=n! を満たす pnp_n の母関数は,初期値 G(x,0;z)=exz G(x,0;z)=e^{xz} を持つ熱方程式 Gt+Gxx=0G_t+G_{xx}=0 の解である。よって G(x,t;z)=exztz2. G(x,t;z)=e^{xz-tz^2}.

(1) N=S+I N=S+I とおくと N=b1μ1NγI. N'=b_1-\mu_1N-\gamma I. N=b1/μ1N=b_1/\mu_1 では N0N'\le0N=b1/(μ1+γ)N=b_1/(\mu_1+\gamma) では Nb1(μ1+γ)N=0 N'\ge b_1-(\mu_1+\gamma)N=0 である。また (M+V)=b2μ2(M+V) (M+V)'=b_2-\mu_2(M+V) なので,M+V=b2/μ2M+V=b_2/\mu_2 は保たれる。従って Ω\Omega は正に不変である。

(2) 感染のない平衡点は E0=(b1μ1,0,b2μ2,0) E_0=\left(\frac{b_1}{\mu_1},0,\frac{b_2}{\mu_2},0\right) である。感染成分 (I,V)(I,V) の線形化は ((μ1+γ)αβb2μ1b1μ2μ2). \begin{pmatrix} -(\mu_1+\gamma)&\alpha\\ \dfrac{\beta b_2\mu_1}{b_1\mu_2}&-\mu_2 \end{pmatrix}. 行列の trace は負で,determinant は μ2(μ1+γ)(1R0) \mu_2(\mu_1+\gamma)(1-R_0) である。従って R0<1R_0<1 なら局所漸近安定,R0>1R_0>1 なら不安定である。

(3) 正の平衡点では S=b1μ1+λ1,I=λ1Sμ1+γ, S^\ast=\frac{b_1}{\mu_1+\lambda_1^\ast},\qquad I^\ast=\frac{\lambda_1^\ast S^\ast}{\mu_1+\gamma}, M=b2μ2+λ2,V=λ2Mμ2. M^\ast=\frac{b_2}{\mu_2+\lambda_2^\ast},\qquad V^\ast=\frac{\lambda_2^\ast M^\ast}{\mu_2}.

(4) さらに λ2=βIS+I \lambda_2^\ast=\frac{\beta I^\ast}{S^\ast+I^\ast} から λ1=(μ1+γ)λ2βλ2(0<λ2<β) \lambda_1^\ast=\frac{(\mu_1+\gamma)\lambda_2^\ast}{\beta-\lambda_2^\ast} \qquad(0<\lambda_2^\ast<\beta) を得る。これを λ1=αV/(S+I)\lambda_1^\ast=\alpha V^\ast/(S^\ast+I^\ast) に代入すると, 0<λ2<β0<\lambda_2^\ast<\beta 上の一変数方程式 Ψ(λ2)=1 \Psi(\lambda_2^\ast)=1 になる。ただし Ψ(y)=αb2y(μ1+λ1(y))(μ1+γ)b1μ2(μ2+y)(μ1+γ+λ1(y))λ1(y),λ1(y)=(μ1+γ)yβy. \Psi(y)= \frac{\alpha b_2y(\mu_1+\lambda_1(y))(\mu_1+\gamma)} {b_1\mu_2(\mu_2+y)(\mu_1+\gamma+\lambda_1(y))\lambda_1(y)}, \quad \lambda_1(y)=\frac{(\mu_1+\gamma)y}{\beta-y}. Ψ(0+)=R0\Psi(0+)=R_0Ψ(β)=0\Psi(\beta-)=0 であり,仮定 μ1γμ2μ2+β \mu_1\ge\frac{\gamma\mu_2}{\mu_2+\beta} の下で Ψ\Psi は単調減少である。従って R0>1R_0>1 なら正の解がただ一つ存在し, 正の内部平衡点もただ一つ存在する。

(1) HH は正定値エルミートなので,ユニタリ行列で対角化できる。固有値を λj>0\lambda_j>0 とすれば rI+HrI+H の固有値は r+λj>0r+\lambda_j>0 であり,正則である。 また (rI+H)1(rIH) (rI+H)^{-1}(rI-H) HH の実係数有理関数なのでエルミートである。その固有値は rλjr+λj \frac{r-\lambda_j}{r+\lambda_j} であり,絶対値は 11 より小さい。従ってスペクトル半径も 11 より小さい。

(2) uu(H+L)u=b(H+L)u=b の解とし,誤差 ek=ukue_k=u_k-u を置く。反復式から ek+1=(rI+H)1(rIL)ek, e_{k+1}=(rI+H)^{-1}(rI-L)e_k, ek+2=(rI+L)1(rIH)ek+1 e_{k+2}=(rI+L)^{-1}(rI-H)e_{k+1} である。二段ごとの誤差作用素は Peaceman--Rachford 型の作用素であり,正定値 エルミート行列 H,LH,L に対する Cayley 変換の積に相似である。各 Cayley 変換の スペクトル半径は上で示した通り 11 未満なので,二段作用素のスペクトル半径も 11 未満である。従って e2k0,e2k+10 e_{2k}\to0,\qquad e_{2k+1}\to0 となり,{uk}\{u_k\}uu に収束する。

Gm,n(q)=γΓm,nqA(γ) G_{m,n}(q)=\sum_{\gamma\in\Gamma_{m,n}}q^{A(\gamma)} とおく。経路を右向きの mm 本のステップと上向きの nn 本のステップからなる語と 見なすと,面積 A(γ)A(\gamma) は,上向きステップと右向きステップの反転数として数えられる。 すなわち,右向きステップを RR,上向きステップを UU と書いたとき, U が R より左にある組の個数 U\text{ が }R\text{ より左にある組の個数} A(γ)A(\gamma) である。

最後の文字で分けると,最後が UU の場合は面積は変わらず,最後が RR の場合は 既存の nn 本の UU との反転が増える。従って Gm,n=Gm,n1+qnGm1,n G_{m,n}=G_{m,n-1}+q^nG_{m-1,n} である。初期条件は Gm,0=G0,n=1. G_{m,0}=G_{0,n}=1. 一方,Gaussian二項係数 (m+nm)q=(q)m+n(q)m(q)n \binom{m+n}{m}_q =\frac{(q)_{m+n}}{(q)_m(q)_n} も同じ漸化式と初期条件を満たす。よって Gm,n(q)=(m+nm)q G_{m,n}(q)=\binom{m+n}{m}_q である。

受理集合を F~={(,Y)YQ} \widetilde F=\{(\emptyset,Y)\mid Y\subset Q\} と定める。構成の意味は次の通りである。各時刻で YY には新しく始まる接尾語の初期状態 q0q_0 が追加される。XX は,次に FF に到達することを待っている実行候補の集合である。 X=X=\emptyset になった瞬間に,それまで YY に蓄積したすべての接尾語候補を次の検査対象へ 移す。遷移条件 (ii) は,検査中の候補が必ず一歩先へ進み,かつ FF に到達したものを 次ラウンドへ渡すことを表している。

A~\widetilde Aπ\pi を受理するとする。すると F~\widetilde F を無限回訪れるので, 各時刻 nn で投入された q0q_0 から始まる候補は,その後の各ラウンドで少なくとも一度 FF を通過し続ける。従って接尾語 π+n\pi^{+n} に対して,AA の無限実行で FF を 無限回訪れるものが存在する。すなわち π+nL(A) \pi^{+n}\in L(A) である。

逆に,すべての接尾語 π+n\pi^{+n}AA に受理されるとする。各 nn について,接尾語を 受理する AA の実行を一つ選ぶ。有限個の状態集合だけを時刻ごとに集約し,まだ FF に到達していない候補を XX,次ラウンドに回せる候補を YY に入れるように A~\widetilde A の遷移を選ぶ。各接尾語の実行は FF を無限回訪れるため,どの時刻以降も 検査ラウンドは有限時間で空になる。従って F~\widetilde F を無限回訪れる実行が構成でき, πL(A~) \pi\in L(\widetilde A) である。

(1) x>1x>1 では px=P(Xk>x)=xα p_x=P(X_k>x)=x^{-\alpha} であり,N(x)N(x) は二項分布に従う。従って P(N(x)=m)=(Km)xαm(1xα)Km P(N(x)=m)=\binom Km x^{-\alpha m}(1-x^{-\alpha})^{K-m} である。

(2) 任意の a>0a>0 について P(N(ax)2)(K2)(ax)2α P(N(ax)\ge2) \le \binom K2 (ax)^{-2\alpha} なので xαP(N(ax)2)0. x^\alpha P(N(ax)\ge2)\to0. また P(N(ax)=1)=K(ax)α(1(ax)α)K1 P(N(ax)=1)=K(ax)^{-\alpha}(1-(ax)^{-\alpha})^{K-1} であるから xαP(N(ax)=1)Kaα. x^\alpha P(N(ax)=1)\to Ka^{-\alpha}.

(3) 最後に和の尾を評価する。下からは P(k=1KXk>x)P(N(x)1) P\left(\sum_{k=1}^KX_k>x\right)\ge P(N(x)\ge1) であり,右辺に xαx^\alpha を掛けた極限は KK である。上からは {k=1KXk>x}{N(x)1}{N(x/K)2} \left\{\sum_{k=1}^KX_k>x\right\} \subset \{N(x)\ge1\}\cup\{N(x/K)\ge2\} が成り立つ。第二項は上で示した評価により xαx^\alpha 倍しても 00 に収束する。 従って xαP(k=1KXk>x)K. x^\alpha P\left(\sum_{k=1}^KX_k>x\right)\to K.

最終答

g(f)=(f(0,0),f(3,0),f(3,6)),#Z3/g(A)=18 \boxed{g(f)=\bigl(f(0,0),f(3,0),f(3,6)\bigr),\quad \#\mathbb Z^3/g(A)=18} Spec(A)で 2 を含む素イデアルは (2,S,T),(2,S1,T) \boxed{\operatorname{Spec}(A)\text{で }2\text{ を含む素イデアルは }(2,S,T),(2,S-1,T)} A[1/2]×Z3Z/2Z. \boxed{A[1/2]^\times\simeq \mathbb Z^3\oplus\mathbb Z/2\mathbb Z.}

東京大学 専門科目B — 他の年度