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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 数理学府 数理学コース 基礎科目 2026年度 院試 解答例・解説

九州大学 数理学府 数理学コース 基礎科目 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 連立一次方程式

方針

一意性は係数行列の正則性だけで決まる。正則でない場合は,係数行の線形従属関係と右辺の線形従属関係が一致するかを確認する。

採点の置き所

(1) は detA=a10\det A=a-10 を正しく計算し,a10a\ne10 と結論する。(2) は a=10a=10 に限って,第三行が第一行と第二行の 1,21,2 倍和であることを使い,右辺にも同じ関係 b=3+2(7)=11b=3+2(-7)=-11 が必要であると示す。(3) は自由変数を1つ置き,すべての解を媒介変数表示するところまで書く。

検算

(x,y,z)=(2,12t,t)(x,y,z)=(2,-1-2t,t) を代入すると,第1式は 2(12t)2t=32-(-1-2t)-2t=3,第2式は 4+3(12t)+6t=7-4+3(-1-2t)+6t=-7 となる。a=10,b=11a=10,b=-11 の第3式も 6+5(12t)+10t=11-6+5(-1-2t)+10t=-11 で成り立つ。

典型ミス

a=10a=10 で行列式が消えることだけを述べて終えると不十分である。解なしの場合と無数解の場合を分けるため,右辺の条件 b=11b=-11 まで書く必要がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 二変数関数の極値

方針

停留点を求め,ヘッセ行列で判定する標準問題である。ただし原点は a0a\ne0 のとき鞍点になり,a=0a=0 のときも三次関数の符号変化により極値を持たない。

採点の置き所

まず fx=fy=0f_x=f_y=0 から停留点を漏れなく求める。a=0a=0a0a\ne0 で場合分けするのが安全である。次にヘッセ行列 (6x3a3a6y) \begin{pmatrix}6x&-3a\\-3a&6y\end{pmatrix} を各停留点で評価し,原点は行列式が負で鞍点,(a,a)(a,a)aa の符号に応じて正定値または負定値と判定する。最後に極値の値 a3-a^3 を代入で出す。

検算

(a,a)(a,a) での値が a3-a^3 になるため,a>0a>0 の極小値は負,a<0a<0 の極大値は正である。三次式は全体として上下に非有界なので,ここで言う極値は局所的な極値である。

典型ミス

(0,0)(0,0) を停留点として見つけても,極値と判定してはいけない。a0a\ne0 ではヘッセ行列の行列式が負で鞍点であり,a=0a=0 では f(x,0)=x3f(x,0)=x^3 が正負に変わるため極値を持たない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 線形写像の安定像分解

方針

有限次元性により像の降鎖が停止することを使う。これは一般化固有空間分解やFitting分解の最も基本的な形である。

採点の置き所

(1) は fn=fn1ff^n=f^{n-1}\circ f と書けることから像の包含を示す。(2) は部分空間列 Vf(V)f2(V) V\supset f(V)\supset f^2(V)\supset\cdots の次元が非負整数の単調減少列であることを使う。有限次元性はここで必要になる。(3)(i) は任意の vVv\in VfN(V)f^N(V) の元と kerfN\ker f^N の元の和に分ける構成を示す。(3)(ii) は制限写像 fN ⁣:fN(V)fN(V)f^N\colon f^N(V)\to f^N(V) が全射,したがって単射であることを使う。

試験で書くべきポイント

和が全体を張ることだけでなく,共通部分が 00 であることを示して直和であると結論する。最後の単射性は「有限次元で全射なら単射」と書けば十分である。

典型ミス

fN(V)=f2N(V)f^N(V)=f^{2N}(V) からただちに V=fN(V)kerfNV=f^N(V)\oplus\ker f^N と書くと論証が飛ぶ。特に和が全体になることと,共通部分が 00 であることは別々の主張である。また fNf^NVV 全体で全射になるわけではなく,安定像 fN(V)f^N(V) 上で全射になる点に注意する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 広義二重積分

方針

二重積分の収束性は,原点側と境界側の端点特異性に分解して判定する。極座標にした後,u=r2u=r^2 と置くとベータ積分型になり,条件が読みやすい。

変数変換の確認

極座標では dxdy=rdrdθdxdy=r\,dr\,d\theta であり,θ\theta 積分から 2π2\pi が出る。さらに u=r2u=r^2 とおくと rdr=du/2r\,dr=du/2 なので,係数は 2π12=π2\pi\cdot\frac12=\pi になる。この係数を落とすと (1) の値が半分ずれる。

採点の置き所

(1) はベータ積分 01u1/2(1u)1/2du=B(1/2,1/2)=π \int_0^1 u^{-1/2}(1-u)^{-1/2}\,du=B(1/2,1/2)=\pi を使い,前の係数 π\pi と合わせて π2\pi^2 とする。(2) は u=0u=0u=1u=1 の2つの端点を別々に判定する。u=0u=0 では cos(πau)1\cos(\pi a u)\to1 なので b<1b<1u=1u=1 では cos(πa)0\cos(\pi a)\ne0 なら c<1c<1cos(πa)=0\cos(\pi a)=0 なら一次零点により c<2c<2 まで許される。

典型ミス

cos(πau)\cos(\pi a u) は原点では常に 11 に近いので,原点側の条件は aa に依存しない。境界側だけが cos(πa)=0\cos(\pi a)=0 の場合に緩くなる。

検算

a=0,b=c=1/2a=0,b=c=1/2 は通常のベータ積分で収束し,答えは正の値 π2\pi^2 になる。一般条件でも b=1b=1 は原点で u1u^{-1} 型,cos(πa)0,c=1\cos(\pi a)\ne0,c=1 は境界で (1u)1(1-u)^{-1} 型になり,どちらも発散する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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