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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2026年度 院試 解答例・解説

京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 広義積分の収束範囲

方針

広義積分では,特異性が起こる場所を分けるのが第一歩である。この問題では 分母が小さくなる原点近傍と,領域が無限に伸びる xx\to\infty の二つだけを見ればよい。

原点近傍の典型ミス

0yx20\leq y\leq x^2 という幅を忘れて,単に (x3+y3)αx3α(x^3+y^3)^{-\alpha}\sim x^{-3\alpha} とだけ見ると 条件が一つずれる。幅が x2x^2 なので,実際には x23αx^{2-3\alpha} が現れる。

無限遠の見方

無限遠では yy の範囲が 0yx20\leq y\leq x^2 と広いので,yyxx で割る変数変換が自然である。 このとき上限が xx になるため,内側の積分 I(x)I(x) の増大度をさらに調べる必要がある。 特に α=1/3\alpha=1/3 は対数発散を生む境界値なので,試験答案では等号の場合を省かないことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 行列の階数

方針

階数分類では,まず行列式で階数 44 の場合を分離する。行列式が消える場合だけを個別に調べれば, 場合分けの量をかなり減らせる。

検算

a=0, b0a=0,\ b\neq0 のときは detA=4b40\det A=4b^4\neq0 なので階数は 44 である。 この点を b=0b=0 の場合と混同しやすい。行列式の因子は b2(ba)(b+a)b^2(b-a)(b+a) であり, aa だけが零であることは特異条件ではない。

答案で書くべきこと

「行列式が零だから階数 33」とは言えない。階数が 22 以下に落ちていないことを示すため, 少なくとも一つの 33 次小行列式が非零であること,または三つの独立な行・列を明示することが必要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 可換な行列全体の次元

方針

可換な行列全体は中心化代数と呼ばれる。最小値を問う問題では, 「どんな行列でも少なくとも nn 次元ある」ことと「実際に nn 次元で済む例がある」ことを分けて示す。

別解の見方

相異なる固有値をもつ対角行列を先に思いつけば,上限 nn はすぐ得られる。 下限については,巡回行列なら多項式 p(X)p(X)nn 次元分あるが,一般の XX では最小多項式の次数が nn 未満になり得る。 したがって「I,X,,Xn1I,X,\ldots,X^{n-1} が常に独立」と書くのは誤りである。ジョルダン標準形を用いるのが安全である。

試験での書き方

ジョルダンブロックの公式を完全に証明しなくても,少なくとも各固有値の一般化固有空間上に ブロック対角的に可換な自由度が合計 nn 以上存在することを説明すれば,下限の主張は通る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 上極限・下極限の最値

方針

上極限・下極限の問題では,個々の数列の極限点集合を区間として眺めると整理しやすい。 ただし ana_nbnb_n をどのタイミングで組み合わせるかは自由なので,端点を同時に出す構成が必要である。

典型ミス

[0,3][0,3][1,7][1,7] の距離だけを見て「下極限の最大も 44」などと判断してはいけない。 bnb_n は必ず 11 に近づく部分列をもつため,その時点で ana_n を最大の 33 にしても距離は高々 22 である。

検算

構成例はすべて二値または三値の周期的な数列で足りる。複雑な数列を作る必要はなく, 指定された lim inf,lim sup\liminf,\limsup が本当に実現しているかを最後に確認すればよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 調和関数の表示

方針

調和関数そのものではなく,複素微分に対応する uxiuyu_x-iu_y を見ると,正則関数の孤立特異点の問題に変わる。 与えられた勾配評価は,原点では単純極まで,無限遠では定数までしか許さないことを意味している。

一価性の確認

1/z1/z を積分すると logz\log z が現れるが,logz=logz+iargz\log z=\log|z|+i\arg z は多価である。 実数値の一価な uu に残せるのは logz\log|z| の実数倍だけで,偏角の実数倍は残せない。 ここを省くと,存在しない関数まで答えに含めてしまう。

検算

log(x2+y2)\log(x^2+y^2) の勾配は (2xx2+y2,2yx2+y2) \left(\frac{2x}{x^2+y^2},\frac{2y}{x^2+y^2}\right) で,評価の右辺と同じ 1/z1/|z| オーダーである。一次関数の勾配は定数なので, 仮定の 1+1/z1+1/|z| という成長条件とちょうど合っている。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 陰関数で定まる曲面と高さ関数の臨界点

方針

前半は正則値定理,後半はラグランジュ未定乗数法で処理する。 同じ F\nabla F を使うが,前半では「F\nabla FXX 上で消えない」こと,後半では 「f\nabla fF\nabla F と平行になる」ことを見る。

臨界点条件の意味

曲面 XX 上で zz が臨界値をとるとは,高さ方向の変化が接平面に沿って一次的に消えるということである。 これは高さ方向ベクトル (0,0,1)(0,0,1) が曲面の法線 F\nabla F と平行になることと同値である。

典型ミス

nn が偶数なら常に二つ,とはならない。右辺 1/a1/a が正でなければ偶数乗の実数解は存在しない。 また a=0a=0 は曲面としては問題ないが,azn=1az^n=1 を満たせないので臨界点はない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 二元部分集合族の分類

方針

これは「互いに交わる辺集合」の分類である。星型族が標準例で,例外として K3K_3 の三角形がある。 n=4n=4 ではこの三角形がちょうど大きさ n1n-1 になるため,全射性を壊す。

共通頂点をもたない場合

二つの辺が交わるとして,第三の辺がその交点を通らないなら,互いに交わるためには三角形を作るしかない。 この観察により,非星型の交わり族は三角形の三辺以内に閉じ込められる。

試験での注意

n=4n=4 の反例を見落としやすい。一般のErdos--Ko--Rado型の直感では「最大交わり族は星型」と言いたくなるが, 22 元部分集合では三角形が小さい次数で例外になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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