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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2022年度 院試 解答例・解説

京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 極座標で見る収束条件

方針

角度 θ=0\theta=0 付近で 1cosθ1-\cos\theta が小さくなるため,単に分母を r2r^2 程度とみなすと誤る。 角度積分を先に正確に計算するのが安全である。

検算

u=1cosθu=1-\cos\theta の置換により角度方向の特異性が 1/(1+r)1/(1+r) という因子にまとまる。 その結果,半径方向の実効次数は r12ar^{1-2a} であり,条件は a>1a>1 となる。

採点の置き所

半径方向だけを先に粗く評価すると,θ=0\theta=0 付近の寄与を失う。 角度積分を 01(1+ru)2du=11+r \int_0^1(1+ru)^{-2}\,du=\frac1{1+r} まで厳密に計算することがこの問題の核心である。 最後は pp 型積分の条件として,r12adr\int^\infty r^{1-2a}\,dr が収束する条件を出す。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 四つのベクトルの一次独立性

方針

基底ではないが一次独立な viv_i が与えられているので,viv_i 方向の係数だけを見ればよい。 四つの wiw_i を列ベクトルとして並べ,(1) は行列式,(2) は行列式が消える特殊値での階数を計算する。

典型ミス

行列式が 00 になる値で,生成次元がすべて同じとは限らない。 a=0a=0 では階数がさらに落ちるため,a=1a=-1 と分けて確認する必要がある。

採点の置き所

v1,,v4v_1,\ldots,v_4 が一次独立であるため,係数行列の列の一次独立性だけを調べればよい。 この還元を書かないと,元のベクトル空間の次元や基底性を余計に仮定した答案に見える。 detM(a)=a2(a+1) \det M(a)=a^2(a+1) で特殊値を拾い,その特殊値で階数を直接計算して生成次元に読み替える。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 有限アーベル群の部分群の数え上げ

方針

有限アーベル群は素数ごとの成分に分けると数えやすい。 条件 G=K+HG=K+H22-部分と 33-部分で独立に判定できる。

検算

位数公式 K+H=KHKH |K+H|=\frac{|K||H|}{|K\cap H|} を使うと,22-部分では交わりが自明である必要があることが分かる。 この条件が,候補の位数4部分群をふるい分ける基準である。

採点の置き所

素因数分解により,22-primary 部分と 33-primary 部分を独立に数える。 33-部分は2次元ベクトル空間の1次元部分空間の数え上げであり,H3H_3 と異なる3本を選ぶ。 22-部分では位数4部分群を具体的に列挙し,H2H_2 と交わらないものだけを残す。 最後に独立な選択なので積を取る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 積分で定まる凸関数の最小値

方針

連続性と無限遠での発散を示せば,最小値の存在は閉区間上の最大最小定理に帰着する。 絶対値の中身が複雑でも,uvuv||u|-|v||\leq|u-v| と三角不等式で十分である。

試験でのポイント

具体的な最小点を求める必要はない。存在を示す問題なので,連続性と coercive 性を明確に書くことが重要である。

採点の置き所

連続性は絶対値関数の Lipschitz 性 uvuv \bigl||u|-|v|\bigr|\le |u-v| からすぐ出る。無限遠での発散は f(x)x0tsintetdt f(x)\ge |x|-\int_0^\infty |t\sin t|e^{-t}\,dt という下からの評価で示す。 この二つが揃えば,十分大きな閉区間に最小化を制限し,閉区間上の連続関数の定理を使える。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 留数計算型の実積分

方針

x3/(x2+1)2x^3/(x^2+1)^2 を分解し,既知のフーリエ積分をパラメータ微分する。 留数計算で公式を導いてもよいが,答案では標準公式からの微分が最短である。

検算

被積分関数は偶関数なので全体の積分が零になることはない。 分解後の二つの正の寄与の差として π/(2e)\pi/(2e) が残る。

採点の置き所

偶奇性の確認では,x3sinxx^3\sin x が偶関数であることを明記する。 標準公式をパラメータ bb で微分する場合,微分後の符号に注意する。 ddbcosbx=xsinbx \frac{d}{db}\cos bx=-x\sin bx なので,左辺の微分と求める正の積分の間にマイナスが入る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 二つの制約で定まる多様体

方針

コンパクト性は球面の閉部分集合として示す。滑らかさは二つの制約関数の勾配が独立であることを確認し, 正則値定理を使う。

典型ミス

球面との交わりだから自動的に多様体,とは言えない。二つ目の制約と接する可能性を排除するため, 勾配の一次独立性を必ず確認する。

採点の置き所

コンパクト性は,XX が単位球面の閉部分集合であることから従う。 正則性では,F1\nabla F_1F2\nabla F_2 が従属と仮定し,各成分が 00 または同じ定数 μ\mu に限られることを導く。 そのうえで F2=0F_2=0F1=0F_1=0 が同時には満たせないことを示せば,正則値定理を適用できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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