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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。微分積分・解析3問・位相・幾何1問・線形代数1問。テーマタグは2件(線形空間・基底・留数定理)。2020年度と共通のテーマは線形空間・基底・留数定理。

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

京大 基礎科目 2022年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は微分積分・解析3問・位相・幾何1問・線形代数1問・代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析極座標で見る収束条件—あり
第2問線形代数四つのベクトルの一次独立性—あり
第3問代数有限アーベル群の部分群の数え上げ—あり
第4問微分積分・解析積分で定まる凸関数の最小値—あり
第5問微分積分・解析留数計算型の実積分—あり
第6問位相・幾何二つの制約で定まる多様体—あり

この年度の解説には採点の置き所6件・検算3件・典型ミス2件・試験でのポイント1件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2020年度)との違い

大問数
2020年度 7問 → 2022年度 6問
両年度に出たテーマ
線形空間・基底・留数定理
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第1問 — 極座標で見る収束条件

方針

角度 θ=0\theta=0 付近で 1−cos⁡θ1-\cos\theta が小さくなるため,単に分母を r2r^2 程度とみなすと誤る。 角度積分を先に正確に計算するのが安全である。

検算

u=1−cos⁡θu=1-\cos\theta の置換により角度方向の特異性が 1/(1+r)1/(1+r) という因子にまとまる。 その結果,半径方向の実効次数は r1−2ar^{1-2a} であり,条件は a>1a>1 となる。

採点の置き所

半径方向だけを先に粗く評価すると,θ=0\theta=0 付近の寄与を失う。 角度積分を ∫01(1+ru)−2 du=11+r \int_0^1(1+ru)^{-2}\,du=\frac1{1+r} まで厳密に計算することがこの問題の核心である。 最後は pp 型積分の条件として,∫∞r1−2a dr\int^\infty r^{1-2a}\,dr が収束する条件を出す。

解答

極座標 x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta を用いる。領域は r≥1,0≤θ≤π2 r\geq1,\qquad 0\leq\theta\leq\frac{\pi}{2} である。また x2+y2−x=r(1−cos⁡θ),y=rsin⁡θ \sqrt{x^2+y^2}-x=r(1-\cos\theta),\qquad y=r\sin\theta なので,積分は定数因子を除かずに ∫1∞∫0π/2r2sin⁡θ(1+r(1−cos⁡θ))2r2a dθdr \int_1^\infty\int_0^{\pi/2} \frac{r^2\sin\theta}{(1+r(1-\cos\theta))^2r^{2a}}\,d\theta dr となる。内側の角度積分で u=1−cos⁡θu=1-\cos\theta とおくと du=sin⁡θ dθdu=\sin\theta\,d\theta であり, ∫0π/2sin⁡θ dθ(1+r(1−cos⁡θ))2=∫01du(1+ru)2=11+r. \int_0^{\pi/2}\frac{\sin\theta\,d\theta}{(1+r(1-\cos\theta))^2} =\int_0^1\frac{du}{(1+ru)^2} =\frac1{1+r}. したがって収束性は ∫1∞r2−2a1+r dr \int_1^\infty \frac{r^{2-2a}}{1+r}\,dr の収束性と同じである。無限遠でこれは r1−2ar^{1-2a} と同程度なので, 1−2a<−1 1-2a<-1 すなわち a>1 a>1 が必要十分条件である。

最終答

a>1a>1

第2問 — 四つのベクトルの一次独立性

方針

基底ではないが一次独立な viv_i が与えられているので,viv_i 方向の係数だけを見ればよい。 四つの wiw_i を列ベクトルとして並べ,(1) は行列式,(2) は行列式が消える特殊値での階数を計算する。

典型ミス

行列式が 00 になる値で,生成次元がすべて同じとは限らない。 a=0a=0 では階数がさらに落ちるため,a=−1a=-1 と分けて確認する必要がある。

採点の置き所

v1,…,v4v_1,\ldots,v_4 が一次独立であるため,係数行列の列の一次独立性だけを調べればよい。 この還元を書かないと,元のベクトル空間の次元や基底性を余計に仮定した答案に見える。 det⁡M(a)=a2(a+1) \det M(a)=a^2(a+1) で特殊値を拾い,その特殊値で階数を直接計算して生成次元に読み替える。

四つのベクトルの一次独立性の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 有限アーベル群の部分群の数え上げ

方針

有限アーベル群は素数ごとの成分に分けると数えやすい。 条件 G=K+HG=K+H も 22-部分と 33-部分で独立に判定できる。

検算

位数公式 ∣K+H∣=∣K∣∣H∣∣K∩H∣ |K+H|=\frac{|K||H|}{|K\cap H|} を使うと,22-部分では交わりが自明である必要があることが分かる。 この条件が,候補の位数4部分群をふるい分ける基準である。

採点の置き所

素因数分解により,22-primary 部分と 33-primary 部分を独立に数える。 33-部分は2次元ベクトル空間の1次元部分空間の数え上げであり,H3H_3 と異なる3本を選ぶ。 22-部分では位数4部分群を具体的に列挙し,H2H_2 と交わらないものだけを残す。 最後に独立な選択なので積を取る。

有限アーベル群の部分群の数え上げの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 積分で定まる凸関数の最小値

方針

連続性と無限遠での発散を示せば,最小値の存在は閉区間上の最大最小定理に帰着する。 絶対値の中身が複雑でも,∣∣u∣−∣v∣∣≤∣u−v∣||u|-|v||\leq|u-v| と三角不等式で十分である。

試験でのポイント

具体的な最小点を求める必要はない。存在を示す問題なので,連続性と coercive 性を明確に書くことが重要である。

採点の置き所

連続性は絶対値関数の Lipschitz 性 ∣∣u∣−∣v∣∣≤∣u−v∣ \bigl||u|-|v|\bigr|\le |u-v| からすぐ出る。無限遠での発散は f(x)≥∣x∣−∫0∞∣tsin⁡t∣e−t dt f(x)\ge |x|-\int_0^\infty |t\sin t|e^{-t}\,dt という下からの評価で示す。 この二つが揃えば,十分大きな閉区間に最小化を制限し,閉区間上の連続関数の定理を使える。

積分で定まる凸関数の最小値の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 留数計算型の実積分

方針

x3/(x2+1)2x^3/(x^2+1)^2 を分解し,既知のフーリエ積分をパラメータ微分する。 留数計算で公式を導いてもよいが,答案では標準公式からの微分が最短である。

検算

被積分関数は偶関数なので全体の積分が零になることはない。 分解後の二つの正の寄与の差として π/(2e)\pi/(2e) が残る。

採点の置き所

偶奇性の確認では,x3sin⁡xx^3\sin x が偶関数であることを明記する。 標準公式をパラメータ bb で微分する場合,微分後の符号に注意する。 ddbcos⁡bx=−xsin⁡bx \frac{d}{db}\cos bx=-x\sin bx なので,左辺の微分と求める正の積分の間にマイナスが入る。

留数計算型の実積分の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 二つの制約で定まる多様体

方針

コンパクト性は球面の閉部分集合として示す。滑らかさは二つの制約関数の勾配が独立であることを確認し, 正則値定理を使う。

典型ミス

球面との交わりだから自動的に多様体,とは言えない。二つ目の制約と接する可能性を排除するため, 勾配の一次独立性を必ず確認する。

採点の置き所

コンパクト性は,XX が単位球面の閉部分集合であることから従う。 正則性では,∇F1\nabla F_1 と ∇F2\nabla F_2 が従属と仮定し,各成分が 00 または同じ定数 μ\mu に限られることを導く。 そのうえで F2=0F_2=0 と F1=0F_1=0 が同時には満たせないことを示せば,正則値定理を適用できる。

二つの制約で定まる多様体の途中式・最終答をPDFで見る

京大 基礎科目 院試 過去問の収録6年度

  • 2026年度(全7問)

    広義積分の収束範囲 / 行列の階数 / 可換な行列全体の次元

  • 2025年度(全7問)

    回転対称な積分 / 三次行列の固有値 / 交換子と対角化可能行列

  • 2024年度(全7問)

    極座標による二重積分 / 三角型に近い行列の固有値と階数 / 核と像の直和分解

  • 2023年度(全6問)

    二次形式の球殻積分 / 二つの核の共通部分 / 可換な対角化可能写像

  • 2022年度(このページ・全6問)

    極座標で見る収束条件 / 四つのベクトルの一次独立性 / 有限アーベル群の部分群の数え上げ

  • 2020年度(全7問)

    第1八分球での単項式積分 / パラメータ付き三次行列の固有値 / 右逆写像からの直和分解