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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2023年度 院試 解答例・解説

京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 二次形式の球殻積分

方針

積分領域も被積分関数も同じ二次形式だけで決まっているので,二次形式を標準形に直す。 線形変換後は半径だけの球殻積分になる。

検算

領域では q1q\leq1 なので logq0\log q\leq0 である。答えも 3log27<03\log2-7<0 で負になり,符号が合っている。

採点の置き所

平方完成で q=x2+(yz)2+3z2 q=x^2+(y-z)^2+3z^2 まで変形できるかが第一の山である。次に,w=3zw=\sqrt3z としたときのヤコビアンが 1/31/\sqrt3 になることを明示する。 球殻の内半径は 1/21/2,外半径は 11 であり,ここを 14,1\frac14,1 のまま半径と誤読しない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 二つの核の共通部分

方針

共通核は「両方の方程式を同時に満たす解空間」なので,行列を縦に結合して一つの線形方程式として扱う。 和の次元は次元公式で求める。

典型ミス

AABB の核を別々にパラメータ表示してから交差を取ると計算が長くなる。 縦結合行列の行列式を先に見ると,特殊値 a=2a=2 だけを処理すればよい。

採点の置き所

共通核の次元は,縦結合行列の階数から dim(kerfkerg)=4rankM \dim(\ker f\cap\ker g)=4-\operatorname{rank}M で求める。a=2a=2 のときは行列式が消えるだけでなく,階数が実際に 33 であることを確認する。 最後の和の次元は次元公式を使うため,dimkerf=dimkerg=2\dim\ker f=\dim\ker g=2 も答案内に残す。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 可換な対角化可能写像

方針

可換性により,TTSS の固有空間分解を壊さない。 相異なる固有値に属する成分を比較すれば,u1u_1 成分だけを取り出せる。

試験でのポイント

「対角化可能で可換なら同時対角化可能」と言ってもよいが,ここでは必要な部分だけを示す方が短い。 SS 固有空間が TT 不変であることを明記すれば十分である。

採点の置き所

相異なる SS 固有値に属する成分は,固有空間の直和分解により一意に比較できる。 したがって Tv=αvTv=\alpha v を各 SS 固有空間へ射影して,Tu1=αu1Tu_1=\alpha u_1 を得る部分が核心である。 そこへ別途与えられた Tu1=βu1Tu_1=\beta u_1 を合わせれば,u10u_1\neq0 から α=β\alpha=\beta と結論できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — ラプラス型の変数変換

方針

n/xn/x が指数の中にあるため,t=n/xt=n/x と置くのが自然である。 この変換で外側の係数 nndx/x2dx/x^2 がちょうど打ち消し合い,標準的な指数核 ete^{-t} が現れる。

検算

極限で使われるのは xx\to\infty における f(x)1f(x)\to1 であり,x=1x=1 近傍の値ではない。 変数変換後に f(n/t)f(n/t) が出ることを確認すると,この点が明確になる。

採点の置き所

積分区間が [1,)[1,\infty) であるため,t=n/xt=n/x によって区間が [n,0][n,0] へ反転する。 符号を含めて dxx2=dtn \frac{dx}{x^2}=-\frac{dt}{n} を正しく処理すると,外側の nn が消える。 支配収束定理では,積分上限 nn\infty まで延ばしても CetCe^{-t} で支配できるよう,指示関数を含めて考えると厳密である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 平方根型常微分方程式の一様収束

方針

右辺が xm\sqrt{x_m} に比例するので,未知関数そのものではなく xm\sqrt{x_m} を解く。 すると明示解が得られ,一様収束は係数の積分の一様収束に帰着する。

典型ミス

各固定 tt の極限だけでは問題の要求に足りない。積分の明示式 11+1/m11+t+1/m \frac1{1+1/m}-\frac1{1+t+1/m} を使うと,t[0,)t\in[0,\infty) 全体で一様に評価できる。

採点の置き所

xm(t)x_m(t) の正値性は,xm(t)\sqrt{x_m(t)} へ変数変換する前に確認しておく。 初期値が正であり,明示式の右辺も正なので計算は正当化される。 一様収束は supt011+1/m11+t+1/mt1+t0 \sup_{t\ge0}\left| \frac1{1+1/m}-\frac1{1+t+1/m} -\frac{t}{1+t} \right|\to0 を示せばよく,単なる各点収束で終わらせない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 曲面と水平断面

方針

正則値定理を二回使う。まず曲面 XXF=0F=0 の正則レベル集合として見る。 水平断面では z=rz=r を代入し,平面内のレベル集合 x4+y4=cx^4+y^4=c を調べる。

端点の注意

r=1r=-1 では非空ではあるが一点集合であり,1次元多様体ではない。 「非空」と「1次元正則レベル集合」を同時に満たすには 1+r3>01+r^3>0 が必要である。

採点の置き所

(1)F\nabla FXX 上で消えないことを示すだけでよい。 (2) では,水平面を固定して平面内の曲線 x4+y4=1+r3 x^4+y^4=1+r^3 として見る。右辺が正なら平面内の正則レベル集合,右辺が零なら一点,負なら空集合である。 この三場合を分けると,条件 r>1r>-1 が自然に出る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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