京都大学 院試 過去問 解答例
京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2023年度 院試 解答例・解説
京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 二次形式の球殻積分
方針
積分領域も被積分関数も同じ二次形式だけで決まっているので,二次形式を標準形に直す。 線形変換後は半径だけの球殻積分になる。
検算
領域では なので である。答えも で負になり,符号が合っている。
採点の置き所
平方完成で まで変形できるかが第一の山である。次に, としたときのヤコビアンが になることを明示する。 球殻の内半径は ,外半径は であり,ここを のまま半径と誤読しない。
第2問 — 二つの核の共通部分
方針
共通核は「両方の方程式を同時に満たす解空間」なので,行列を縦に結合して一つの線形方程式として扱う。 和の次元は次元公式で求める。
典型ミス
と の核を別々にパラメータ表示してから交差を取ると計算が長くなる。 縦結合行列の行列式を先に見ると,特殊値 だけを処理すればよい。
採点の置き所
共通核の次元は,縦結合行列の階数から で求める。 のときは行列式が消えるだけでなく,階数が実際に であることを確認する。 最後の和の次元は次元公式を使うため, も答案内に残す。
第3問 — 可換な対角化可能写像
方針
可換性により, は の固有空間分解を壊さない。 相異なる固有値に属する成分を比較すれば, 成分だけを取り出せる。
試験でのポイント
「対角化可能で可換なら同時対角化可能」と言ってもよいが,ここでは必要な部分だけを示す方が短い。 固有空間が 不変であることを明記すれば十分である。
採点の置き所
相異なる 固有値に属する成分は,固有空間の直和分解により一意に比較できる。 したがって を各 固有空間へ射影して, を得る部分が核心である。 そこへ別途与えられた を合わせれば, から と結論できる。
第4問 — ラプラス型の変数変換
方針
が指数の中にあるため, と置くのが自然である。 この変換で外側の係数 と がちょうど打ち消し合い,標準的な指数核 が現れる。
検算
極限で使われるのは における であり, 近傍の値ではない。 変数変換後に が出ることを確認すると,この点が明確になる。
採点の置き所
積分区間が であるため, によって区間が へ反転する。 符号を含めて を正しく処理すると,外側の が消える。 支配収束定理では,積分上限 を まで延ばしても で支配できるよう,指示関数を含めて考えると厳密である。
第5問 — 平方根型常微分方程式の一様収束
方針
右辺が に比例するので,未知関数そのものではなく を解く。 すると明示解が得られ,一様収束は係数の積分の一様収束に帰着する。
典型ミス
各固定 の極限だけでは問題の要求に足りない。積分の明示式 を使うと, 全体で一様に評価できる。
採点の置き所
の正値性は, へ変数変換する前に確認しておく。 初期値が正であり,明示式の右辺も正なので計算は正当化される。 一様収束は を示せばよく,単なる各点収束で終わらせない。
第6問 — 曲面と水平断面
方針
正則値定理を二回使う。まず曲面 は の正則レベル集合として見る。 水平断面では を代入し,平面内のレベル集合 を調べる。
端点の注意
では非空ではあるが一点集合であり,1次元多様体ではない。 「非空」と「1次元正則レベル集合」を同時に満たすには が必要である。
採点の置き所
(1) は が 上で消えないことを示すだけでよい。 (2) では,水平面を固定して平面内の曲線 として見る。右辺が正なら平面内の正則レベル集合,右辺が零なら一点,負なら空集合である。 この三場合を分けると,条件 が自然に出る。