京都大学 院試 過去問 解答例
京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)
全6問。微分積分・解析2問・微分方程式1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標)。2022年度と共通のテーマは線形空間・基底。
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- 解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき6問)
- 問題本文
- 非収録
京大 基礎科目 2023年度 院試 過去問の出題内容(全6問)
この6問の分野は微分積分・解析2問・微分方程式1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 微分積分・解析 | 二次形式の球殻積分 | — | あり |
| 第2問 | — | 二つの核の共通部分 | — | あり |
| 第3問 | — | 可換な対角化可能写像 | — | あり |
| 第4問 | 微分積分・解析 | ラプラス型の変数変換 | — | あり |
| 第5問 | 微分方程式 | 平方根型常微分方程式の一様収束 | — | あり |
| 第6問 | — | 曲面と水平断面 | 端点の注意 | あり |
この年度の解説には採点の置き所6件・検算2件・典型ミス2件・試験でのポイント1件が付いています。
2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は4問に5テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第3問 | 25大学・544問 | |
| 線形空間・基底 | 第2問 | 21大学・152問 | |
| 重積分と極座標 | 第1問 | 23大学・142問 | |
| 一様収束 | 第5問 | 14大学・63問 | |
| 二次形式 | 第1問 | 16大学・63問 |
前年度(2022年度)との違い
- 大問数
- 2022年度 6問 → 2023年度 6問
- 両年度に出たテーマ
- 線形空間・基底
- 2023年度で新しく出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・一様収束・二次形式
第1問 — 二次形式の球殻積分
方針
積分領域も被積分関数も同じ二次形式だけで決まっているので,二次形式を標準形に直す。 線形変換後は半径だけの球殻積分になる。
検算
領域では なので である。答えも で負になり,符号が合っている。
採点の置き所
平方完成で まで変形できるかが第一の山である。次に, としたときのヤコビアンが になることを明示する。 球殻の内半径は ,外半径は であり,ここを のまま半径と誤読しない。
解答
二次形式を と平方完成する。変数変換 を用いると, であり,ヤコビアンは である。領域は に移る。したがって球座標により ここで だから よって求める値は
最終答
第2問 — 二つの核の共通部分
方針
共通核は「両方の方程式を同時に満たす解空間」なので,行列を縦に結合して一つの線形方程式として扱う。 和の次元は次元公式で求める。
典型ミス
と の核を別々にパラメータ表示してから交差を取ると計算が長くなる。 縦結合行列の行列式を先に見ると,特殊値 だけを処理すればよい。
採点の置き所
共通核の次元は,縦結合行列の階数から で求める。 のときは行列式が消えるだけでなく,階数が実際に であることを確認する。 最後の和の次元は次元公式を使うため, も答案内に残す。
第3問 — 可換な対角化可能写像
方針
可換性により, は の固有空間分解を壊さない。 相異なる固有値に属する成分を比較すれば, 成分だけを取り出せる。
試験でのポイント
「対角化可能で可換なら同時対角化可能」と言ってもよいが,ここでは必要な部分だけを示す方が短い。 固有空間が 不変であることを明記すれば十分である。
採点の置き所
相異なる 固有値に属する成分は,固有空間の直和分解により一意に比較できる。 したがって を各 固有空間へ射影して, を得る部分が核心である。 そこへ別途与えられた を合わせれば, から と結論できる。
第4問 — ラプラス型の変数変換
方針
が指数の中にあるため, と置くのが自然である。 この変換で外側の係数 と がちょうど打ち消し合い,標準的な指数核 が現れる。
検算
極限で使われるのは における であり, 近傍の値ではない。 変数変換後に が出ることを確認すると,この点が明確になる。
採点の置き所
積分区間が であるため, によって区間が へ反転する。 符号を含めて を正しく処理すると,外側の が消える。 支配収束定理では,積分上限 を まで延ばしても で支配できるよう,指示関数を含めて考えると厳密である。
第5問 — 平方根型常微分方程式の一様収束
方針
右辺が に比例するので,未知関数そのものではなく を解く。 すると明示解が得られ,一様収束は係数の積分の一様収束に帰着する。
典型ミス
各固定 の極限だけでは問題の要求に足りない。積分の明示式 を使うと, 全体で一様に評価できる。
採点の置き所
の正値性は, へ変数変換する前に確認しておく。 初期値が正であり,明示式の右辺も正なので計算は正当化される。 一様収束は を示せばよく,単なる各点収束で終わらせない。
第6問 — 曲面と水平断面
方針
正則値定理を二回使う。まず曲面 は の正則レベル集合として見る。 水平断面では を代入し,平面内のレベル集合 を調べる。
端点の注意
では非空ではあるが一点集合であり,1次元多様体ではない。 「非空」と「1次元正則レベル集合」を同時に満たすには が必要である。
採点の置き所
(1) は が 上で消えないことを示すだけでよい。 (2) では,水平面を固定して平面内の曲線 として見る。右辺が正なら平面内の正則レベル集合,右辺が零なら一点,負なら空集合である。 この三場合を分けると,条件 が自然に出る。
京大 基礎科目 院試 過去問の収録6年度
広義積分の収束範囲 / 行列の階数 / 可換な行列全体の次元
回転対称な積分 / 三次行列の固有値 / 交換子と対角化可能行列
極座標による二重積分 / 三角型に近い行列の固有値と階数 / 核と像の直和分解
2023年度(このページ・全6問)
二次形式の球殻積分 / 二つの核の共通部分 / 可換な対角化可能写像
極座標で見る収束条件 / 四つのベクトルの一次独立性 / 有限アーベル群の部分群の数え上げ
第1八分球での単項式積分 / パラメータ付き三次行列の固有値 / 右逆写像からの直和分解