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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2020年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。微分積分・解析3問・位相・幾何1問・線形代数1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標)。

最終更新:

収録6年度分の解答PDF:京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目(¥3,200・紙面見本あり)

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解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

京大 基礎科目 2020年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は微分積分・解析3問・位相・幾何1問・線形代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析第1八分球での単項式積分—あり
第2問線形代数パラメータ付き三次行列の固有値—あり
第3問—右逆写像からの直和分解—あり
第4問微分積分・解析単調関数と可積分性—あり
第5問微分積分・解析ベータ関数型積分—あり
第6問位相・幾何直交2フレームの多様体—あり
第7問—リーマン和の一次補正—あり

この年度の解説には採点の置き所7件・検算4件・典型ミス2件・試験でのポイント1件が付いています。

2020年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に5テーマが出ています。

第1問 — 第1八分球での単項式積分

方針

領域が球の第1八分体であり,被積分関数が xyzxyz なので球座標が自然である。 角度範囲を第1象限に制限するだけで,積分は三つの1変数積分に分離する。

検算

被積分関数は領域上非負なので答えも正である。半径方向は r5r^5 まで上がる点に注意する。

採点の置き所

球座標では xyzxyz から r3r^3,ヤコビアンからさらに r2sin⁡φr^2\sin\varphi が出るため, 半径方向は r5r^5 になる。角度範囲は第1八分球なのでどちらも 00 から π/2\pi/2 までである。 三つの積分に分離した後,各因子を丁寧に計算すれば部分点を取りこぼさない。

解答

球座標 x=rsin⁡φcos⁡θ,y=rsin⁡φsin⁡θ,z=rcos⁡φ x=r\sin\varphi\cos\theta,\quad y=r\sin\varphi\sin\theta,\quad z=r\cos\varphi を用いる。第1八分球なので 0≤r≤1,0≤φ≤π2,0≤θ≤π2. 0\leq r\leq1,\quad 0\leq\varphi\leq\frac{\pi}{2},\quad 0\leq\theta\leq\frac{\pi}{2}. ヤコビアンは r2sin⁡φr^2\sin\varphi であるから xyz dxdydz=r5sin⁡3φcos⁡φcos⁡θsin⁡θ drdφdθ. xyz\,dxdydz =r^5\sin^3\varphi\cos\varphi\cos\theta\sin\theta\,drd\varphi d\theta. したがって ∫Dxyz dxdydz=(∫01r5 dr)(∫0π/2sin⁡3φcos⁡φ dφ)(∫0π/2cos⁡θsin⁡θ dθ). \int_D xyz\,dxdydz = \left(\int_0^1 r^5\,dr\right) \left(\int_0^{\pi/2}\sin^3\varphi\cos\varphi\,d\varphi\right) \left(\int_0^{\pi/2}\cos\theta\sin\theta\,d\theta\right). それぞれ 16,14,12 \frac16,\qquad \frac14,\qquad \frac12 であるから,求める値は 148 \frac1{48} である。

最終答

1/481/48

第2問 — パラメータ付き三次行列の固有値

方針

特性多項式はきれいに一次因子へ分解する。重複が起こる a=0,2a=0,2 だけは, 代数的重複度と固有空間の次元が一致するとは限らないので別途階数を見る。

典型ミス

固有値を 0,a,20,a,2 と書いただけでは,a=0,2a=0,2 の固有空間次元の情報が落ちる。 重根のときこそ,固有空間の次元確認が必要である。

採点の置き所

特性多項式を因数分解した後,aa の値によって固有値の重なり方を分ける。 a≠0,2a\neq0,2 なら相異なる3固有値なので各固有空間は1次元である。 a=0,2a=0,2 では代数的重複度が2になる固有値について,実際の核の次元を階数計算で確認する。

パラメータ付き三次行列の固有値の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 右逆写像からの直和分解

方針

gg は ff の右逆である。したがって gfgf は VV 上の射影になり, その核と像が求める直和分解を与える。

検算

v−gf(v)v-gf(v) は ff で消え,gf(v)gf(v) は明らかに Im⁡g\operatorname{Im}g に入る。 この分解式を最初に書けるかどうかが勝負である。

採点の置き所

f∘g=id⁡Wf\circ g=\operatorname{id}_W から gfgf は VV 上の射影である。 射影の像が Im⁡g\operatorname{Im}g,核が ker⁡f\ker f になることを分解式で確認する。 交わりが零であることは,u=g(w)u=g(w) かつ f(u)=0f(u)=0 と置いて w=f(g(w))=0w=f(g(w))=0 と戻すと短い。

右逆写像からの直和分解の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 単調関数と可積分性

方針

非負性は単調減少性と積分の収束から強制される。あとは,単調性で区間上の積分を xf(x)xf(x) の上界にする。 (1) は尾部で負の定数以下になる矛盾,(2) は原点側と無限遠側で区間を分けて評価する。

典型ミス

可積分だから点wiseに f(x)→0f(x)\to0 とだけ言っても,xf(x)→0xf(x)\to0 は出ない。 単調性を使って短い区間の面積と比較するのが必要である。

採点の置き所

非負性の証明では,もしどこかで負なら単調減少性により以後ずっと負の定数以下になり,積分が収束しないと示す。 原点側は [0,x][0,x],無限遠側は [x/2,x][x/2,x] の区間で面積比較を行う。 どちらも単調性から f(x)f(x) を下から押さえる向きが正しいかを確認する。

単調関数と可積分性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — ベータ関数型積分

方針

xαx^\alpha は xs−1x^{s-1} 型として見る。分母が 1+x21+x^2 なので,ベータ関数・留数計算の標準公式に直接乗る。

検算

0<α<10<\alpha<1 では cos⁡(πα/2)>0\cos(\pi\alpha/2)>0 なので答えは正である。 また α→0\alpha\to0 で π/2\pi/2 に近づき,∫0∞(1+x2)−1dx\int_0^\infty(1+x^2)^{-1}dx と一致する。

採点の置き所

標準公式を使う場合でも,適用条件 0<s<q0<s<q を確認する。 ここでは s=α+1s=\alpha+1,q=2q=2 なので,0<α<10<\alpha<1 から確かに 1<s<21<s<2 である。 最後に sin⁡(π(α+1)2)=cos⁡πα2 \sin\left(\frac{\pi(\alpha+1)}2\right)=\cos\frac{\pi\alpha}{2} へ直すと,答えの形が簡潔になる。

ベータ関数型積分の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 直交2フレームの多様体

方針

XX は球面上の直交する2フレーム全体である。コンパクト性は閉部分集合として, 滑らかさは内積関数の正則レベル集合として示す。

試験でのポイント

正則値であることを示すには,微分がゼロでない方向を一つ見つければよい。 u⊥vu\perp v のため vv は uu における接ベクトルとして使える。

採点の置き所

まず S2×S2S^2\times S^2 がコンパクトで,XX がその閉部分集合であることを書く。 多様体性では,制約関数 F(u,v)=u⋅vF(u,v)=u\cdot v を S2×S2S^2\times S^2 上で考える。 点 (u,v)∈X(u,v)\in X に対し,(ξ,η)=(v,0)(\xi,\eta)=(v,0) が接ベクトルとして許されるのは u⊥vu\perp v だからであり, この方向で微分値が 11 になるため正則性が分かる。

直交2フレームの多様体の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — リーマン和の一次補正

方針

右端リーマン和の誤差の一次項を求める問題である。 各小区間で右端値と関数値との差を f′f' で近似すると,三角形の面積として 1/(2n2)1/(2n^2) が出る。

検算

f(x)=xf(x)=x とすると左辺は 1n(1+⋯+n)−n2=12 \frac1n(1+\cdots+n)-\frac n2=\frac12 であり,公式の (f(1)−f(0))/2=1/2(f(1)-f(0))/2=1/2 と一致する。

採点の置き所

各小区間での誤差を積分として書き直し,右端からの距離 kn−x \frac{k}{n}-x の平均が 1/(2n)1/(2n) であることを見る。 f′f' の一様連続性により,f′(ξk,x)f'(\xi_{k,x}) を f′(k/n)f'(k/n) に置き換えた総誤差が o(1)o(1) になる。 最後は f′f' のリーマン和が ∫01f′=f(1)−f(0)\int_0^1 f'=f(1)-f(0) に収束することを使う。

リーマン和の一次補正の途中式・最終答をPDFで見る

京大 基礎科目 院試 過去問の収録6年度

  • 2026年度(全7問)

    広義積分の収束範囲 / 行列の階数 / 可換な行列全体の次元

  • 2025年度(全7問)

    回転対称な積分 / 三次行列の固有値 / 交換子と対角化可能行列

  • 2024年度(全7問)

    極座標による二重積分 / 三角型に近い行列の固有値と階数 / 核と像の直和分解

  • 2023年度(全6問)

    二次形式の球殻積分 / 二つの核の共通部分 / 可換な対角化可能写像

  • 2022年度(全6問)

    極座標で見る収束条件 / 四つのベクトルの一次独立性 / 有限アーベル群の部分群の数え上げ

  • 2020年度(このページ・全7問)

    第1八分球での単項式積分 / パラメータ付き三次行列の固有値 / 右逆写像からの直和分解