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筑波大学 院試 過去問 解答例

筑波大 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 応用理工学学位プログラム 電子・物理工学 専門科目 2026年8月実施 院試 解答例・解説

筑波大学 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 応用理工学学位プログラム 電子・物理工学 専門科目 2026年8月実施の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 数学

方針

微積分、ラグランジュ未定乗数、複素積分、対称行列の対角化という標準事項の確認である。各小問は計算量よりも、符号と有効範囲を落とさないことが重要である。

極限の検算

分子は x=0x=0 で値も1次項も消える。したがって分母の sin2x\sin^2x と同じ2次から始まる。ここで e5xe^{-5x} の2次係数を 25/225/2 とせず 2525 としてしまうのが典型的なミスである。

変数変換の注意

y=2rsinθy=2r\sin\theta なのでヤコビアンは rr ではなく 2r2r である。また x0, y0x\ge0,\ y\le0π/2θ0-\pi/2\le\theta\le0 に対応する。この符号を間違えると積分値の符号が反転する。

未定乗数法の意味

Gx2+Gy20G_x^2+G_y^2\ne0 は制約曲線上で勾配が消えないことを保証している。今回の制約は半径2の円であり、勾配 (2x,2y)(2x,2y) は円周上でゼロにならない。求めた4点は、円周上の xyxy の極値候補である。

ローラン展開と留数

中心を z=1z=-1 に移すために w=z+1w=z+1 とおくと、展開は幾何級数そのものになる。積分値は経路の半径には依存せず、経路内の留数だけで決まる。z=0z=0 は円 z+1=1/2|z+1|=1/2 の外側なので含めない。

行列計算の見通し

AA は対称行列なので、正規直交固有ベクトルを並べた行列で直交対角化できる。BB は「2つの成分を入れ替えて AA を掛ける」形なので、QQ は和と差の基底に変換している。したがって QBQQBQAAA-A のブロック対角形になる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 力学

方針

球の自転ではなく、支点まわりの剛体回転として扱う。最初は物理振り子、後半は速度比例抵抗をもつ線形減衰振動に帰着する。

慣性モーメントの確認

球の中心を通る軸まわりの慣性モーメントだけを書くと不足である。実際の回転軸は支点を通るので、平行軸の定理による M2M\ell^2 が支配的な項になる。次元はいずれも ML2ML^2 でそろっている。

小振幅周期の検算

a0a\to0 とすれば質点振り子になり、T02π/gT_0\to2\pi\sqrt{\ell/g} となる。この極限が出ない場合は、慣性モーメントか重力トルクの腕の長さを取り違えている。

有限振幅で周期が長くなる理由

同じ角度 θ\theta に対して、線形近似の復元トルクは MgθMg\ell\,\theta だが、実際の復元トルクは MgsinθMg\ell\sin\theta であり、0<θ<π/20<\theta<\pi/2 では sinθ<θ\sin\theta<\theta である。大振幅ほど平均的な復元作用が弱くなり、運動が遅くなるため周期は長くなる。

減衰項の符号

抵抗力の大きさだけを式に入れると符号を誤りやすい。抵抗トルクは常に θ˙\dot{\theta} と逆向きなので 2Mγ2θ˙-2M\gamma\ell^2\dot{\theta} である。この符号でなければ振幅が減衰しない。

試験で書くべきポイント

後半では問題文の仮定 a\ell\gg a を使って IM2I\simeq M\ell^2 とすることを明記する。これにより標準形 θ¨+2γθ˙+ω02θ=0\ddot{\theta}+2\gamma\dot{\theta}+\omega_0^2\theta=0 と比較でき、減衰角振動数をすぐに読める。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 電磁気

方針

中心に電荷があり、殻も同心球なので球対称である。したがってガウス面を球に取れば、場の大きさはすぐ決まる。導体では電場ゼロ、誘電体では自由電荷に対して D\boldsymbol{D} を使うのが最短である。

導体殻の電荷分布

導体内部の電場をゼロにするため、内面には q-q、外面には +q+q が誘起される。導体殻の正味電荷はゼロだが、外部から見た全電荷は中心電荷を含めて qq である。この点を見落とすと外部電場をゼロとしてしまう。

電位の連続性

電位は面電荷があっても有限に連続であり、電場の法線成分が不連続になる。したがって r=a,br=a,b で電位をつなぐ。導体内部が一定電位であることから、空洞内の電位には定数項 1/a+1/b-1/a+1/b が必要になる。

誘電体での典型ミス

誘電体内で ε0\varepsilon_0 を使って電場を出すのは誤りである。ガウスの法則で直接決まるのは D=q/(4πr2)D=q/(4\pi r^2) であり、電場は E=D/εE=D/\varepsilon である。

内面の誘起電荷の符号

中心電荷が正なので誘電体内の分極は外向きである。しかし内面の外向き法線は空洞側、すなわち r^-\hat{\boldsymbol{r}} である。したがって内面の束縛表面電荷は負になる。符号は物理的にも、正電荷に近い内面に負電荷が誘起されることと一致する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 量子力学

方針

水素原子型ポテンシャルの問題である。前半はシュレディンガー方程式に明示的な微分演算子を代入し、後半は pp 軌道の角度因子が球面調和関数の l=1l=1 に対応することを使う。

基底状態の確認

er/a0e^{-r/a_0} を2回微分すると 1/r1/r を含む項が出る。この 1/r1/r 項がクーロンポテンシャルの項とちょうど打ち消し合うため、残りが定数倍になり固有関数であることが示せる。打ち消しを書かずにエネルギーだけを書くと、証明としては不十分である。

確率の次元

A2A^2 の次元は長さ3^{-3} であり、4πr2dr4\pi r^2dr の次元は長さ3^3 である。したがって確率は無次元になる。積分変数を t=2r/a0t=2r/a_0 とするのは、確率密度が e2r/a0e^{-2r/a_0} を含むからである。

角運動量の典型ミス

l^z\hat{l}_z の固有値は eimϕe^{im\phi} の指数 mm で決まる。eiϕe^{-i\phi}++\hbar と読んでしまう符号ミスが多い。l^z=i/ϕ\hat{l}_z=-i\hbar\partial/\partial\phi を1行作用させれば符号は確実に決まる。

実軌道と固有関数

px,py,pzp_x,p_y,p_z 型の実関数は見慣れた軌道の形を与えるが、pxp_xpyp_yl^z\hat{l}_z の固有関数ではない。l^z\hat{l}_zpxp_xpyp_y に混ぜるので、測定される zz 成分の角運動量は単一値に定まらない。

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5 — 光学

方針

前半は薄レンズの符号規約を固定し、凹レンズが作る像を第2レンズの物体として扱う。後半は2波の位相差だけを追えばよい。

像距離の符号

凹レンズ単体では b1<0b_1<0 となる。これはレンズ右側に実際の光が集まらず、左側から出ているように見える像であることを意味する。b1b_1 を正にしてしまうと、第2レンズの物体距離 a2=Lb1a_2=L-b_1 も誤る。

倍率の符号

横倍率 m=b/am=-b/a の符号は倒立・正立を表す。L=fL=fm=f/a1m=-f/a_1 となるので、最終像は符号付きでは倒立である。問題が倍率の大きさだけを求める意図なら f/a1f/a_1 と併記するのが安全である。

干渉縞の周期

スリット間隔は 2a2a である。通常の式 Δx=λL/d\Delta x=\lambda L/dd=2ad=2ak=2π/λk=2\pi/\lambda を入れると Δx=2πkL2a=πLka \Delta x=\frac{2\pi}{k}\frac{L}{2a}=\frac{\pi L}{ka} となり、導出結果と一致する。

位相差によるシフト

初期位相差 δ\delta は、光路差による位相 2kax/L2kax/L に加算される。明線条件を満たすには xx がその分だけ反対向きに動くため、シフトは δL/(2ka)-\delta L/(2ka) である。符号まで答える場合は、図の xx 軸の向きに従って説明する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 半導体物理

方針

理想MOSなので、まず VG=0V_G=0 がフラットバンドであることを使う。p型半導体では正のゲート電圧が空乏化と反転を起こし、負のゲート電圧が蓄積を起こす。

バンド曲がりと表面電位

半導体のバンド端は electrostatic potential が増えるとエネルギーとしては qϕS-q\phi_S だけ下がる。したがって正の ϕS\phi_S は下向きバンド曲がりであり、p型表面を電子が多い状態へ近づける。

弱反転で完全空乏近似が使える理由

弱反転では電子は現れ始めるが、面電荷としてはまだ空乏層中のイオン化アクセプタが支配的である。そのため ρ=qNA\rho=-qN_A と置いてポアソン方程式を解ける。強反転に入ると電子シート電荷が無視できなくなり、この近似だけでは不十分になる。

符号と電圧降下

QBQ_B は負である。一方、正のゲート電圧では金属側に正電荷が誘起され、酸化膜電圧 VoxV_{\mathrm{ox}} は正として Vox=QB/CoxV_{\mathrm{ox}}=-Q_B/C_{\mathrm{ox}} と書ける。ここで符号を落とすと VGV_G が負になってしまう。

強反転での電圧配分

強反転では表面の EiE_iEFE_F の相対位置がしきい条件付近に保たれる。追加電圧は主に酸化膜電場を増やし、反転電子の面密度を増やす。したがって dVGdVoxdV_G\simeq dV_{\mathrm{ox}} と考えられる。

試験で書くべきポイント

バンド図では EFE_F を平衡で水平に描くこと、p型なのでバルクで EiE_iEFE_F より上にあること、強反転では表面でその関係がほぼ反転することを明示する。計算問題では E(Wp)=0E(W_p)=0 の境界条件を書いてから積分すると、係数 1/21/2 を落としにくい。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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