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筑波大学 院試 過去問 解答例

筑波大 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 応用理工学学位プログラム 電子・物理工学 専門科目 2025年1-2月実施 院試 解答例・解説

筑波大学 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 応用理工学学位プログラム 電子・物理工学 専門科目 2025年1-2月実施の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 数学

方針

前半は,級数・微分・極座標変換・留数計算をそれぞれ独立に処理する。後半は,二次形式を直交対角化し,長さを保存する座標変換で双曲線の弦の問題に直すのが最短である。

検算

重積分は円板の対称性から Kx2dxdy=Ky2dxdy,2I=K(x2+y2)dxdy=2π01r3dr=π2 \int_K x^2\,dxdy=\int_K y^2\,dxdy,\qquad 2I=\int_K (x^2+y^2)\,dxdy =2\pi\int_0^1 r^3\,dr=\frac{\pi}{2} となり,I=π/4I=\pi/4 と一致する。留数計算の結果も公式 cosbxx2+a2dx=πaeab \int_{-\infty}^{\infty}\frac{\cos bx}{x^2+a^2}\,dx =\frac{\pi}{a}e^{-a|b|} a=5, b=1a=5,\ b=1 を入れた値と一致する。

典型ミス

二次形式の交差項では,行列の非対角成分は 3\sqrt3 であって 232\sqrt3 ではない。xTAxx^{\mathsf T}Ax の交差項は 2A12xy2A_{12}xy になるためである。また,双曲線の弦長を最小化するとき,座標変換が直交変換であることを書かないと,uvuv 平面で求めた長さをそのまま元の長さとしてよい理由が不足する。

試験で書くべきポイント

留数計算では,上半平面を選ぶ理由は eiz=eixye^{iz}=e^{ix-y}y>0y>0 で減衰するからである。線形代数では,P1=PTP^{-1}=P^{\mathsf T} であること,固有値の順序に対応して DDu,vu,v が決まること,最後の最小弦は v=0v=0 のときであることを明記すると答案が安定する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 力学

方針

慣性系では通常の微分で v,a\mathbf v,\mathbf a を求める。回転座標系への変換では,座標軸が +ωt+\omega t だけ回るので,成分には逆向きの回転行列をかける。この「軸の回転」と「ベクトルの能動的回転」を混同しないことが重要である。

物理的な確認

慣性系では粒子は半径 aa,角速度 ω/2\omega/2 の等速円運動をしている。したがって向心力の大きさは ma(ω2)2=maω24 m a\left(\frac{\omega}{2}\right)^2=\frac{ma\omega^2}{4} で,向きは常に原点向きである。角運動量の大きさも ma2(ω/2)m a^2(\omega/2) となり,計算結果と一致する。

回転系で何が起きているか

回転座標系は粒子より速い角速度 ω\omega で回っている。一方,粒子の慣性系での角速度は ω/2\omega/2 なので,回転系から見ると粒子は角速度 ω/2-\omega/2 で回る。そのため yy' 成分の符号が反転し,角運動量も zz 方向から z-z 方向へ反転する。

典型ミス

コリオリ力の符号は,問題で指定された形が 2mv×ω2m\mathbf v'\times\boldsymbol\omega であることに従う。教科書によっては 2mω×v-2m\boldsymbol\omega\times\mathbf v' と書くが,これは同じ式である。外積の順序を入れ替えると符号が逆になるので注意する。

試験で書くべきポイント

回転座標への変換行列を1行でも書いておくと,(3) の符号が説得的になる。また,角運動量では xvyyvxxv_y-yv_x の形を明示し,x,yx,y 成分が 0 になる理由を平面運動として述べれば十分である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 電磁気学

方針

接地導体球の問題は鏡像法がもっとも安定する。球外の電位だけを,実電荷と球内の仮想的な鏡像電荷の和として作る。球内の鏡像電荷は計算の道具であり,(8) の中心電位を求めるときには実際の誘導電荷分布を面積分する点に注意する。

相似の意味

接点 PP では半径 OPOP と接線 APAP が直交する。また PAPA'OAOA に垂直である。したがって2つの直角三角形は角を共有し,相似になる。この相似から d=a2/dd'=a^2/d が決まり,接地条件から Q=(a/d)QQ'=-(a/d)Q が決まる。

符号と次元の確認

σQ\sigma_QQ>0Q>0 なら負である。接地された導体球には外部正電荷に引かれて負電荷が誘導されるので,符号は物理的に妥当である。次元も Q(d2a2)a(a2+d22adcosθ)3/2QL2LL3=QL2 \frac{Q(d^2-a^2)}{a(a^2+d^2-2ad\cos\theta)^{3/2}} \sim \frac{Q L^2}{L\cdot L^3} =\frac{Q}{L^2} で面電荷密度の次元になっている。

典型ミス

鏡像電荷の位置を a/da/d としてしまう誤りが多い。距離は d=a2/dd'=a^2/d,電荷量の比が Q/Q=a/dQ'/Q=-a/d であり,長さと無次元比を混同してはいけない。また,球面電荷密度を出すときは σ=ε0Er\sigma=\varepsilon_0 E_r で,Er=V/rE_r=-\partial V/\partial r の負号を落とすと誘導電荷の符号が逆になる。

試験で書くべきポイント

力は「鏡像電荷が実電荷に及ぼす力」として書く。電位は「球外領域でのみ有効」と断っておくと,(8) で鏡像電荷を中心電位に直接使う誤解を避けられる。誘導電荷の総量が QQ' であることを用いる箇所も明記する。

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4 — 量子力学

方針

3次元等方調和振動子は,3つの独立な1次元調和振動子の和として読む。エネルギーは量子数の和だけで決まり,縮重はその和を作る非負整数3つ組の個数として数える。

準位図の読み方

絶対エネルギーは εN=(N+3/2)ω\varepsilon_N=(N+3/2)\hbar\omega である。図では比較しやすいように零点エネルギーを引いた励起エネルギー NωN\hbar\omega を縦軸にした。絶対エネルギーで 00 から 4ω4\hbar\omega の範囲だけを見るなら,N=0,1,2N=0,1,2 の3本が入る。

検算

N=2N=2 では (2,0,0)(2,0,0) 型が3通り,(1,1,0)(1,1,0) 型が3通りで合計6通りである。公式 g2=(34)/2=6g_2=(3\cdot4)/2=6 と一致する。平方完成後の定数項は負なので,電場をかけると基準エネルギーが下がる。この符号は,古典的にも外力により平衡位置へずれた分だけポテンシャル最小値が下がることと一致する。

典型ミス

33 次元基底状態の零点エネルギーは ω/2\hbar\omega/2 ではなく 3ω/23\hbar\omega/2 である。不確定性原理で見積もる設問は,簡単化された1次元の場合を扱っている点を混同しない。また,電場は xx 方向を特別に見せるが,平方完成後は単なる平行移動であり,厳密なエネルギー縮重は壊れない。

試験で書くべきポイント

縮重度は「同じ NN を与える量子数の組の数」と書くと採点者に意図が伝わる。電場の設問では,x0x_0 の導出と定数エネルギーシフトをセットで書き,固有関数が φ(xx0,y,z)\varphi(x-x_0,y,z) になる理由を平方完成から説明する。

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5 — 光学

方針

前半は薄レンズ公式を2回使う。平面鏡は「像点を鏡に関して反転する」と考えると,2回目のレンズに入る光線の物体位置が一発で決まる。後半は開口関数のフーリエ変換として処理する。

レンズの符号

2回目は光が右から左へ進むため,レンズ左側にできる像を正の b2b_2 と定義する。式 b2=f(2l2f)2l3f b_2=\frac{f(2l-2f)}{2l-3f} の符号をその定義に合わせて読む。l=2fl=2f なら鏡が1回目の焦点位置にあり,光は元の光源位置へ戻るので b2=2fb_2=2f となり,式の検算になる。

回折式の見方

A(x)=1A(x)=1 は幅 2a2a の矩形開口であり,遠方強度は sinc2\mathrm{sinc}^2 型になる。A(x)=eibxA(x)=e^{ibx} は開口面で線形位相を与えるので,フーリエ変換の中心が k=0k=0 から k=bk=b へ移動する。したがって回折パターン全体が x=bλR2π x'=\frac{b\lambda R}{2\pi} だけずれる。

典型ミス

鏡を入れた後の物体距離を単に ll としてしまうと誤りである。レンズが最初に作る像の位置 2f2f を鏡で反転した位置 2l2f2l-2f を使う。また,回折積分では振幅 EE を求めた後に絶対値二乗を取る。振幅の sinu/u\sin u/u と強度の (sinu/u)2(\sin u/u)^2 を混同しない。

試験で書くべきポイント

位相差は厳密な距離差から近似して,最後に問題で与えられた指数 i2πxx/(λR)-i2\pi xx'/(\lambda R) と対応させるとよい。主極大の条件は「指数の xx に比例する位相が消える」すなわち b=2πx/(λR)b=2\pi x'/(\lambda R) と書けば短く確実である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 半導体工学

方針

空乏層近似では,可動キャリアを無視し,イオン化不純物だけを空間電荷として扱う。p 側は負電荷,n 側は正電荷,真性層は電荷なしである。ポアソン方程式を積分し,空乏層端で電界が 0 になる境界条件を使えば分布が決まる。

符号の確認

ここでは E=dϕ/dxE=-d\phi/dx を採用した。p 側の空乏層では ρ<0\rho<0 なので dE/dx<0dE/dx<0 となり,接合面に向かうほど電界は負になる。n 側では ρ>0\rho>0 なので dE/dx>0dE/dx>0 となり,負の電界が 0 に戻る。電界分布が三角形になることが pn 接合の基本的な検算である。

内蔵電位の見方

電位差は ϕD=leftrightE(x)dx \phi_D=-\int_{\text{left}}^{\text{right}}E(x)\,dx であり,図では電界の負の面積の大きさに等しい。pn 接合では三角形1つ分,pin 構造では左の三角形,真性層の長方形,右の三角形の和になる。pin で 12Emxp+Emd+12Em(xnd)=12Em(xp+xn+d) \frac12E_mx_p+E_md+\frac12E_m(x_n-d) = \frac12E_m(x_p+x_n+d) となるのは,真性層の長方形 EmdE_md が入るためである。

典型ミス

pin 構造の n 側空乏層幅は xnx_n ではなく xndx_n-d である。したがって電荷中性条件は NAxp=ND(xnd)N_Ax_p=N_D(x_n-d) となる。また,真性層でポアソン方程式を 0 とせず,誤って不純物電荷を入れると,電界が一定にならず最終式も合わない。

試験で書くべきポイント

各領域の ρ\rho,境界条件 E=0E=0 at 空乏層端,電界の連続条件を順に書く。グラフでは EE が区分的に直線,ϕ\phi が区分的に二次関数または一次関数であること,および p,n,xp,d,xn\ell_p,\ell_n,x_p,d,x_n の位置を明示すれば十分である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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