大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 理学研究科 数学 第2次募集 院試 解答例・解説
大阪大学 理学研究科 数学 第2次募集の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 線形代数
方針は、トレース の条件を成分で書いて次元を確定し、その基底上で交換子作用を行列化することである。
基底確認で典型的に抜けやすい点は、生成だけでなく一意性も見ることである。今回は の形に落ちるため、係数 がそのまま一意に決まる。
交換子が に入ることは、行列成分を全部展開するよりも を使うのが最短である。試験答案では、この等式の使用箇所を一行書くだけで十分である。
の行列は、列に の座標を並べる約束で作る。ここを行で並べると転置行列になり、固有値は同じでも表現行列としては誤りになる。最後の検算として、得られた行列の第2列と第3列が同じであることから固有値 が出るはずであり、固有多項式の因子 と整合している。
第2問 — 重積分・調和関数
前半は二次形式 を円の形に直す問題である。平方完成をして と見ると、自然に上の変数変換が出る。ヤコビアン を忘れると、答えが定数倍だけずれるので注意する。
領域の角度も重要である。 は 、 は なので、原点から偏角 の半直線になる。したがって扇形の角度は である。
後半は複素関数論を知っていれば「正則写像による合成は調和性を保つ」と読めるが、試験答案では連鎖律で直接示すのが安全である。中間項 が と で打ち消し合い、最後にラプラシアンだけが残る構造を明示すればよい。
第3問 — 位相
連結性の問題では、「分離できた」と仮定して矛盾を出すのが基本である。連結集合 が分離の両側にまたがることはできないため、 は片側に丸ごと入る。同じことが にも成り立ち、共通点があるため別々の側には入れない。
後半は、開被覆から始めるコンパクト性の標準証明である。ポイントは、先に だけを有限個で覆い、その余り を作ることである。この余りは閉集合で、しかも と交わらないので、仮定をそのまま適用できる。
典型ミスは「 がコンパクト」と読み替えてしまうことである。仮定はより強く、 に含まれる閉集合すべてがコンパクト、という形で使う。試験答案では、余り が閉集合であることと を明記すると減点されにくい。
第4問 — 複素関数
方針は、 が上半平面で減衰することを利用し、上半円で閉じることである。実軸上の積分は の形になり、求めたい積分は虚部から取り出せる。
半円弧上の積分を単純に弧長評価だけで処理すると、 しか使えず十分に小さくならない。ここでは上半平面で となることを使う。これが Jordan の補題を使う理由である。
検算として、留数は実数 であり、実軸全体の積分は純虚数 になる。これは実部の被積分関数 が奇関数で、全実軸積分が になることと一致している。