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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 理学研究科 数学 2023年度 第2次募集 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。微分積分・解析2問・位相・幾何1問。テーマタグは1件(留数定理)。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

阪大 数学 2023年度 第2次募集 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は微分積分・解析2問・位相・幾何1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析一変数関数の極限—あり
第2問—射影と直和分解—あり
第3問位相・幾何距離空間—あり
第4問微分積分・解析留数と広義積分—あり

2023年度 第2次募集の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
留数定理第4問18大学・126問

第1問 — 一変数関数の極限

前半の本質は、導関数の右極限が存在するなら、導関数が 00 の近くで有界になるという点である。有界性があれば、平均値の定理により ∣f(y)−f(x)∣≤M∣y−x∣ |f(y)-f(x)|\le M|y-x| が得られ、f(x)f(x) が 00 の近くで Cauchy になる。

後半では、関数そのものは 00 に収束するが、導関数が激しく振動する例を作る。x2sin⁡(1/x2)x^2\sin(1/x^2) は値としては x2x^2 に押さえられて 00 に行くが、微分すると −2x−1cos⁡(1/x2)-2x^{-1}\cos(1/x^2) が現れ、導関数の極限が壊れる。

試験答案では、反例の導関数が (0,1)(0,1) で連続であることも暗に必要である。上の関数は (0,1)(0,1) では通常の合成・積で作られた滑らかな関数なので、この条件を満たしている。

解答

(1) まず、lim⁡x→+0f′(x)\lim_{x\to+0}f'(x) が存在すると仮定する。この極限を LL とする。すると、ある δ>0\delta>0 と M>0M>0 が存在して 0<x<δ⟹∣f′(x)∣≤M 0<x<\delta\quad\Longrightarrow\quad |f'(x)|\le M が成り立つ。任意の 0<x<y<δ0<x<y<\delta に対して、平均値の定理より、ある ξ∈(x,y)\xi\in(x,y) が存在して f(y)−f(x)=f′(ξ)(y−x) f(y)-f(x)=f'(\xi)(y-x) となる。したがって ∣f(y)−f(x)∣≤M∣y−x∣. |f(y)-f(x)|\le M|y-x|. よって x→+0x\to+0 のとき f(x)f(x) は Cauchy の条件を満たすので、右極限 lim⁡x→+0f(x) \lim_{x\to+0}f(x) が存在する。

(2) 逆は一般には成り立たない。反例として f(x)=x2sin⁡1x2(0<x<1) f(x)=x^2\sin\frac{1}{x^2}\qquad(0<x<1) を考える。このとき lim⁡x→+0f(x)=0 \lim_{x\to+0}f(x)=0 である。一方、 f′(x)=2xsin⁡1x2−2xcos⁡1x2 f'(x)=2x\sin\frac{1}{x^2}-\frac{2}{x}\cos\frac{1}{x^2} であり、右極限は存在しない。実際、cos⁡(1/x2)\cos(1/x^2) が 11 になる列と −1-1 になる列を 00 に近づけると、第二項がそれぞれ大きく負または正に振れる。

最終答

(1) lim⁡x→+0f′(x)\lim_{x\to+0}f'(x) が存在すれば lim⁡x→+0f(x)\lim_{x\to+0}f(x) は存在する。

(2) 逆は成り立たない。反例は f(x)=x2sin⁡1x2(0<x<1) f(x)=x^2\sin\frac{1}{x^2}\qquad(0<x<1) である。

第2問 — 射影と直和分解

条件 f∘f=ff\circ f=f は、ff が射影であることを表している。射影では、像の成分を f(v)f(v)、核の成分を v−f(v)v-f(v) として分けるのが基本である。

像と核の交わりが 00 であることは、 w=f(v),f(w)=0 w=f(v),\qquad f(w)=0 を同時に使うと一行で出る。ここで f(w)=f(f(v))=f(v)=w f(w)=f(f(v))=f(v)=w となるため、w=0w=0 しかあり得ない。

直和を示す際には、「和で書ける」ことと「交わりが 00」であることの両方が必要である。どちらか一方だけでは直和分解の証明として不十分になる。

射影と直和分解の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 距離空間

この距離は、写像 h:R→(0,∞),h(x)=ex h:\mathbb R\to(0,\infty),\qquad h(x)=e^x で通常の距離を引き戻したものである。hh が単射であるため、d(x,y)=0d(x,y)=0 から x=yx=y が従う。

完備でない理由は、(0,∞)(0,\infty) が通常の距離で完備でないことに対応している。列 e−ne^{-n} は (0,∞)(0,\infty) 内では Cauchy だが、極限 00 が (0,∞)(0,\infty) に入らない。その現象を xn=−nx_n=-n として R\mathbb R 側に戻している。

縮小写像は、通常の距離での平行移動ではなく、指数を通したときに倍率がかかるものを選ぶ。x↦x−1x\mapsto x-1 は指数を e−1e^{-1} 倍するので、縮小率 e−1e^{-1} がそのまま出る。

距離空間の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 留数と広義積分

前半は単純零点と単純極の基本対応である。f(a)=0f(a)=0 かつ f′(a)≠0f'(a)\ne0 なので、ff は一次因子 (z−a)(z-a) をちょうど一つだけ持ち、その残り h(a)h(a) が f′(a)f'(a) になる。

後半では、実軸全体の偶関数積分を直接三角置換で計算する方法もあるが、問題の前半が留数の公式なので、留数定理に接続するのが自然である。弧上の積分は分母の次数が十分高いため、Jordan の補題ではなく単純な弧長評価で消える。

根の和の計算では符号に注意する。1+z6=01+z^6=0 だから根は z6=−1z^6=-1 の根であり、上半平面には偏角 π6,π2,5π6 \frac{\pi}{6},\quad \frac{\pi}{2},\quad \frac{5\pi}{6} の三つが入る。検算として、被積分関数は正で偶関数なので答えは正になるはずであり、2π3\frac{2\pi}{3} はこの符号条件と合っている。

留数と広義積分の途中式・最終答をPDFで見る

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