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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 理学研究科 数学 第1次募集 院試 解答例・解説

大阪大学 理学研究科 数学 第1次募集の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全10問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — A-1 一様収束と幾何級数

方針

一様収束の強さは,積分誤差を区間長と一様ノルムで直接抑えられる点にある。(3) はこの結果を幾何級数へ適用するだけでよい。

最大値が 11 未満になる理由

g(x)<1g(x)<1 が各点で成り立つだけではなく,閉区間上の連続関数であるため最大値 mm が存在する。もし m=1m=1 ならどこかで g(x)=1g(x)=1 となり仮定に反する。ここを明記すると一様収束の証明になる。

典型ミス

各点収束だけを使って和と積分を交換すると根拠不足である。今回は比が 3/43/4 以下に一様に抑えられるため,ワイエルシュトラスの判定法で安全に交換できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — A-2 べき零線形写像

方針

べき零なら固有値は 00 という向きは体によらず成立する。逆向きは,特性多項式が固有値で完全に分解する複素数体上ではケーリー・ハミルトンで示せる。

実数体で何が壊れるか

実数体上では複素固有値だけをもつ線形写像がある。回転行列は固有値が ±i\pm i なので実固有値をもたず,条件を満たすがべき零ではない。

典型ミス

(4) で「固有値がないからべき零」としてはいけない。べき零なら特性多項式は tnt^n であり,回転行列のように特性多項式が t2+1t^2+1 となるものは除外される。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — A-3 連続写像と位相的性質

方針

三つとも基本性質の確認である。(1) は開被覆,(2) は分離,(3) はコンパクト空間の閉部分集合,という定義に戻れば短く証明できる。

注意点

(3) ではハウスドルフ性は不要である。「コンパクト集合が閉である」にはハウスドルフ性が必要だが,ここで使うのは「コンパクト空間の閉部分集合はコンパクト」であり,これは一般の位相空間で成立する。

試験での書き方

成立・不成立だけでなく,成立する理由を一行でも定義から書くと確実である。特に (2) は像の開集合ではなく,f(K)f(K) の相対位相での開集合を使う点を明確にする。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — A-4 二重極の留数と実積分

方針

eize^{iz} は上半平面で減衰するため,上半円閉曲線を使う。分母が二乗なので二重極の留数を微分で求めるのが中心である。

留数の検算

z=iz=i での留数は純虚数 i/(2e)-i/(2e) になり,2πi2\pi i を掛けると正の実数 π/e\pi/e になる。偶関数的な実積分が実数になることとも一致する。

典型ミス

z=iz=-i は下半平面の極なので,上半円の積分には寄与しない。それでも (2) では全極の留数を問われているため,z=iz=-i の留数も計算しておく必要がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — B-1 半直積群の計算

方針

この群は R13R_{13} の加法群に R8R_8ρ\rho を通じて作用する半直積である。計算は第二成分を先に追うと整理しやすい。

二乗集合の数え方

ggg*g の第二成分は必ず偶数になる。第一成分は係数 1+ρ(b)1+\rho(b)00 かどうかで,全体に動く場合と 00 に潰れる場合に分かれる。

共役類の検算

共役で第二成分は変わらない。したがって SS に含まれる共役類を数えるときも,第二成分 0,2,4,60,2,4,6 ごとに分ければ過不足を避けられる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — B-2 Z[sqrt(-5)

方針

ノルム N(a+b5)=a2+5b2N(a+b\sqrt{-5})=a^2+5b^2 は乗法的で,値が非負整数になる。これにより単元・既約性・一意分解の失敗をすべて判定できる。

既約性の見方

N(3)=9N(3)=9 なので,非自明に分解できるならノルム 33 の元が必要になる。しかし a2+5b2=3a^2+5b^2=3 は不可能である。2±52\pm\sqrt{-5} についても同じ論法が使える。

典型ミス

一意分解でないことを示すには,単に二通りの分解を書くだけでは足りない。各因子が既約であることと,互いに同伴でないことまで確認する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — B-3 クライン瓶型商と2形式

方針

商空間上の形式は,普遍被覆側ではデッキ変換で不変な形式として見える。ただし g1,0g_{1,0} は向きを反転するので,dxdydx\wedge dy にマイナスが付く。この符号反転が零点の存在を強制する。

零点の作り方

f(x+1,y)=f(x,y)f(x+1,-y)=-f(x,y) から,特に y=0y=0 上では f(1,0)=f(0,0)f(1,0)=-f(0,0) となる。連続性により,端点の値が反対符号なら途中で必ず 00 になる。

試験で書くべき点

最後に πω=0\pi^*\omega=0 から ω=0\omega=0 を結論するには,π\pi の微分が階数 22 であることを使う。問題文の多様体構造の条件はここで使われる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — B-4 球面と円の和空間のホモロジー

方針

交点の個数でホモトピー型が変わる。円が球面に一点で接すればウェッジ和 S2S1S^2\vee S^1,二点で交われば一次サイクルがさらに一つ増える。

交点計算

BB は球面に一点で接し,CC は球面と二点で交わる。ここを計算で確認してから位相型を判断するのが安全である。

検算

YYH2H_2 は球面成分に由来して Z\mathbb Z が残る。円を貼り付けても球面の二次サイクルが境界になるわけではない。一方,二点貼り付けの円は独立な一次サイクルを二つ作るため H1H_1Z2\mathbb Z^2 になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — B-5 ガウス核による積分変換

方針

u(t,x)u(t,x) はガウス重み付きの平行移動平均である。t0t\to0 では引数が xx に戻り,積分量は変数変換で保存される。

一次モーメント

xx の一次モーメントを取ると,変数変換後に ξ\xi の寄与 BB と平行移動量 (tyt2)(ty-t^2) の寄与が分かれる。ガウス核は偶関数なので tyty の項は消え,t2A-t^2A だけが残る。

典型ミス

(1) で全実数上の一様連続性を仮定する必要はない。xx 固定で,ガウス重みの尾部を先に小さくし,残りの有界区間上で連続性を使えば十分である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — B-6 符号条件付き自律方程式

方針

符号条件 yf(y)0yf(y)\le0 は,解が原点から遠ざからないことを表す。u2u^2 を微分するとこの意味がそのまま不等式になる。

極限の存在

u2u^2 が減少するだけでは uu 自身の極限が直ちに出るわけではない。u>0u>0 なら減少,u<0u<0 なら増加という符号ごとの単調性を使うのが確実である。

検算

極限 α\alpha が存在するなら,遠方では uu はほぼ定数である。自律方程式 u=f(u)u'=f(u) で定数極限に落ち着くためには,右辺も 00 でなければならない。区間積分はこの直観を厳密にする方法である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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