東京都立大学 院試 過去問 解答例
都立大 理学研究科 物理学専攻 物理 2026年冬季 院試 過去問 解答例・解説(全4問)
全4問。電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問。テーマタグは4件(調和振動子・波動関数・フェルミ・ボース統計)。2026年夏季と共通のテーマは調和振動子。
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- 解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
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- 途中式と最終答(最終答つき4問)
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都立大 物理 2026年冬季 院試 過去問の出題内容(全4問)
この4問の分野は電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問・力学1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 力学 | 解析力学 | 答案で書くべき点 | あり |
| 第2問 | 電磁気学・回路 | 電磁気学 | 答案で書くべき点 | あり |
| 第3問 | 量子力学 | — | 答案で書くべき点 | あり |
| 第4問 | 熱・統計力学 | 統計力学 | 答案で書くべき点 | あり |
この年度の解説には検算4件・典型ミス4件が付いています。
2026年冬季の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は3問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 調和振動子 | 第1・3問 | 16大学・110問 | |
| 波動関数 | 第3問 | 15大学・36問 | |
| フェルミ・ボース統計 | 第4問 | 13大学・27問 | |
| 摂動論 | 第3問 | 11大学・20問 |
前年度(2026年夏季)との違い
- 大問数
- 2026年夏季 4問 → 2026年冬季 4問
- 両年度に出たテーマ
- 調和振動子
- 2026年冬季で新しく出たテーマ
- 波動関数・フェルミ・ボース統計・摂動論
第1問 — 解析力学
方針
前半は異方的な調和振動子であり、各座標の運動を先に解いてから時刻を消去する。角運動量保存の判定では、運動方程式を解くよりも を直接見る方が早い。後半は保存力条件と、結合した2本の線形方程式の対角化が要点である。
検算
1-1 の軌跡式に を入れると 、 を入れると 、 を入れると となり、時間発展の代表点と一致する。また の周期は 、 の周期は なので、位置と速度が同時に初期値へ戻る最小時刻は である。
典型ミス
1-1 を楕円やリサージュ曲線の閉じた輪として描くと誤りである。この初期条件では が の一価関数になり、同じ放物線を往復する。1-2 では、特定の初期条件でたまたま になる場合ではなく、任意の初期条件で保存する条件を問われているため、 まで言い切る必要がある。
答案で書くべき点
保存力の判定では、単に「ポテンシャルが存在する」と書くだけでなく、 を計算して を出すこと。一般解では を直接解くより、 と に分けたことを示すと、振動解と指数的解の両方を落としにくい。
第2問 — 電磁気学
方針
1-1 は円電流の軸上磁界をビオ・サバールの法則から出す。1-3 は球面を緯度方向の細い円電流の重ね合わせとして扱う。帯の電荷、帯の電流、円電流が中心につくる磁界、という順に分けると計算が安定する。
検算
円電流の結果は で になり、中心での既知の値と一致する。また では となり、遠方で磁気双極子的に で減衰する。
回転球の答えは の次元を持つ。 は 、 は なので は となり、 の次元に合う。
典型ミス
帯の面積を として を落とすミスが多い。一方で、帯がつくる電流 にさらに周長を掛けてしまうのも誤りである。電流は「1周期あたりに断面を通過する電荷」なので だけでよい。
答案で書くべき点
向きは最後に「右ねじの向き」と書くだけでなく、正電荷が角速度ベクトルの向きに対応する円電流を作るため、全ての帯の寄与が 方向にそろうことを明記する。問題で磁界 と磁束密度 のどちらを採点対象にしているか曖昧な場合は、 の関係を併記するとよい。
解答
以下では、SIの磁界を と書く。磁束密度で答える約束の場合は を用いて全体に を掛ければよい。
1-1
円形電流の中心軸上では、対称性により磁界の軸に垂直な成分は打ち消し合い、軸方向成分だけが残る。電流素片から点までの距離を とすると、ビオ・サバールの法則より軸方向成分は である。円周全体で積分して となる。向きは右ねじの向きで決まり、図の電流の向きでは点 側の軸方向である。
1-2
極角 から までの帯の面積は したがって、この帯に含まれる電荷は である。
1-3
帯状部分は、半径 の円電流とみなせる。回転周期は なので、帯がつくる電流は この円電流の中心は球の中心から軸方向に だけ離れている。1-1 の結果を使うと、球の中心での微小磁界は 向きは正電荷の回転がつくる電流の右ねじ方向、すなわち角速度ベクトル の向きでそろっている。よって
最終答
(図の電流方向では 側)。帯の電荷は 。球中心では 。磁束密度なら 。
第3問 — 量子力学
方針
この問題の中心は、ガウス試行関数の幅 を変分パラメータとして、エネルギー期待値を最小化することである。運動エネルギーは を使うと一行で計算でき、 は極小条件を の1次まで展開して求める。
検算
で となり、調和振動子の厳密な基底状態と基底エネルギーに一致する。また ではポテンシャルが硬くなるため、波動関数は狭くなり は増加する。求めた はこの物理的予想と合う。
典型ミス
極小条件の式で を微分すると になる。この係数を半分にしてしまうと がずれる。また、 を1次まで求める際に、 の1次補正を調和振動子部分へ代入して余分な1次項を作るのも誤りである。停留条件により、その寄与は から始まる。
答案で書くべき点
摂動論との一致を示すには、「 が無摂動基底状態である」ことと、 を明記すれば十分である。単に最終エネルギーが同じと書くだけでなく、1次摂動の公式 に対応していることを示すと答案として強い。
第4問 — 統計力学
方針
前半は自由粒子の状態数を運動量空間の体積で数える問題である。スピン なので縮退度2を必ず掛ける。感受率は、絶対零度ではフェルミ面での状態密度、有限温度では粒子数揺らぎに対応する。後半はギブス・デュエム関係と圧縮率の定義を、密度 を介して結びつける。
検算
状態密度は3次元では に比例する。これは 空間の状態数が に比例し、 であるため、累積状態数が 、その微分が になることからも確認できる。
有限温度の式 は、安定な系で だから となる。圧縮率も安定な系では正なので、熱力学的な式の右辺 も正になり、化学ポテンシャルが粒子数とともに増加することと整合する。
典型ミス
状態密度でスピン縮退度2を落とすと全体が半分になる。また、有限温度の感受率で と書いてしまう誤りがあるが、必要なのは分散 である。
答案で書くべき点
問2では、 が に独立に依存するのではなく、固定温度では密度 を通して依存することを書く必要がある。この一文がないと、 と圧縮率の関係が飛躍して見える。ギブス・デュエムからは を使い、最後に を示せばよい。
都立大 物理 院試 過去問の収録19年度
2026年冬季(このページ・全4問)
解析力学 / 電磁気学 / 量子力学
力学 / 電磁気学 / 量子力学
線形代数・微積分 / 強制振動 / 電磁気
複素積分 / ばね振動と波動 / 電磁気
数学 / 剛体の転がり / 静電ポテンシャル
偏微分方程式・留数積分 / 力学 / 電磁気学
数学:固有値問題・行列の指数関数・不定積分 / 力学:一様棒の物理振り子と回転軸の移動 / 電磁気学:直交電磁場中の荷電粒子とサイクロイド運動
数学:演算子の指数関数と留数定理による実積分 / 力学:ばねで連結された2質点と中空円板の制動 / 電磁気学:電流間の力・電磁波の横波性・点電荷系の遠方展開
数学:実対称行列の直交対角化と留数定理による実積分 / 力学:円板の物理振り子と周期を最小にする支点 / 電磁気学:点電荷の電場と接地導体面の鏡像法
数学:ベクトル解析・複素積分・行列の対角化と偏微分方程式 / 力学:単振り子と巻取り軸つき円板の落下 / 電磁気学:3点電荷の釣り合い・電流回路の磁場・RC回路の過渡応答
数学:複素数の方程式 \sin z=2 と実対称行列の指数関数 / 力学:あらい斜面上を転がる円柱と滑りから転がりへの移行 / 電磁気学:平行板コンデンサの電荷配置と各領域の電場
数学:固有値・ベクトル解析・フーリエ余弦級数 / 力学:一様密度球の重力場と質点の運動 / 電磁気学:同軸ケーブルの静電容量と自己インダクタンス
数学:ラゲール多項式とパウリ行列の指数関数 / 力学:斜面を転がり落ちる剛体球 / 電磁気学:一様帯電球の静電エネルギーと円電流にはたらく力
数学:極座標変換によるガウス積分と拡散方程式の変数分離 / 力学:完全非弾性衝突後の単振動と斜面を転がる剛体 / 電磁気学:電気双極子と鏡像法、円電流と磁気双極子
数学:留数定理による定積分とパウリ行列の指数関数 / 力学:有効ポテンシャルによる円軌道の安定性と、強制振動・臨界減衰 / 電磁気学:一様磁場を出入りするループの落下と、球対称電荷分布の静電場
数学:複素積分と巡回行列の指数関数 / 力学:3質点・4ばね系の基準振動 / 電磁気学:導体球殻の静電場と円柱電流の磁場
数学:母関数・行列の固有値・定積分・微分方程式 / 力学:剛体の制動回転と円すい面上の質点 / 電磁気学:帯電円環板の静電場とRLC共振回路
2016年度 冬季(全5問)解答・最終答まで全文公開
数学:母関数・行列の固有値・本質的特異点まわりの積分 / 力学:バネにつながれた物体への衝突と、二軸に拘束された棒の運動 / 電磁気学:一様帯電球の電場と電位、回転する帯電球の磁束密度
2016年度 夏季(全5問)解答・最終答まで全文公開
数学:母関数・行列指数関数・境界値問題 / 力学:連結ばね・斜面の摩擦・滑車の回転 / 電磁気学:変位電流と共焦点回転楕円体導体