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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 システム情報科学府 電気電子工学専攻 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。電磁気学・回路3問・制御工学1問・物性物理1問。テーマタグは5件(伝達関数・静電場・RC回路の過渡応答)。2025年度と共通のテーマは伝達関数・RC回路の過渡応答・オペアンプ回路。

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

九大 専門科目 2026年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は電磁気学・回路3問・制御工学1問・物性物理1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問電磁気学・回路電気回路典型的なミス / 答案作成のポイントあり
第2問電磁気学・回路電子回路波形の描き方 / 典型的なミスあり
第3問制御工学—安定性の書き方 / 典型的なミスあり
第4問電磁気学・回路電磁気学—あり
第5問物性物理半導体デバイス—あり

この年度の解説には検算3件・試験で書くべきポイント2件・典型ミス2件が付いています。

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に5テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 5問 → 2026年度 5問
2026年度で新しく出たテーマ
静電場
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第1問 — 電気回路

方針

電気回路分野は,フェーザ,過渡応答,二端子対網の3種類が混在している。問1では電流を基準にして 抵抗電圧と容量電圧を直交成分として扱う。問2ではインダクタ電流の連続性を最初に使う。問3では どの行列を足す接続かを先に判断するのが得点の分かれ目である。

検算

問1の ∣Z∣=252|Z|=25\sqrt2 なので ∣V∣=4∣Z∣=1002|V|=4|Z|=100\sqrt2 となり,実部と虚部から計算した (602)2+(802)2\sqrt{(60\sqrt2)^2+(80\sqrt2)^2} と一致する。問2の最終値は i2(∞)=1/3,i1(∞)=2/3 i_2(\infty)=1/3,\qquad i_1(\infty)=2/3 で,直流定常時の 1 Ω1\,\Omega 枝と 2 Ω2\,\Omega 枝の電流分配にも一致する。

典型的なミス

容量リアクタンスの符号を +jXC+jX_C としてしまうと,力率の進み・遅れが逆になる。また,問2では スイッチを開いた直後の抵抗電流は変化できるが,インダクタ電流は変化できない。ここを取り違えると 初期条件が逆になる。

答案作成のポイント

問3の最大電力問題では,負荷の虚部が −5j-5j に固定されているため,まず Im⁡Zth=5\operatorname{Im} Z_{\mathrm{th}}=5 から n=5n=5 を候補にできる。ただし VthV_{\mathrm{th}} も nn に依存するため, 厳密には固定した nn ごとに RR を最適化し,得られる PL(n)P_L(n) を比較する必要がある。

解答

問1 電流を基準フェーザ I=4∠0 [A]I=4\angle 0\,[\mathrm{A}] とする。角周波数と容量から XC=1ωC=1104⋅(5/2)×10−6=202 [Ω] X_C=\frac{1}{\omega C} =\frac{1}{10^4\cdot (5/\sqrt2)\times 10^{-6}} =20\sqrt2\,[\Omega] であるから,端子から見たインピーダンスは Z=R+1jωC=152−j202=252∠(−tan⁡−14/3) [Ω]. Z=R+\frac{1}{j\omega C} =15\sqrt2-j20\sqrt2 =25\sqrt2\angle(-\tan^{-1}4/3)\,[\Omega]. したがって V=IZ=602−j802,∣V∣=1002 [V]. V=IZ=60\sqrt2-j80\sqrt2,\qquad |V|=100\sqrt2\,[\mathrm{V}]. 力率は cos⁡ϕ=R∣Z∣=1525=35 \cos\phi=\frac{R}{|Z|}=\frac{15}{25}=\frac35 であり,容量性なので進み力率である。

フェーザ図は,II と VR=602V_R=60\sqrt2 を実軸正方向,VC=−j802V_C=-j80\sqrt2 を虚軸負方向に取り, V=VR+VCV=V_R+V_C を第4象限の対角線として描けばよい。

変更後の電圧は V′=(1−α)602−j 802 α V'=(1-\alpha)60\sqrt2-j\,80\sqrt2\,\alpha である。よって ∣V′∣2=7200(1−α)2+12800α2=(325)2 |V'|^2=7200(1-\alpha)^2+12800\alpha^2=(32\sqrt5)^2 から 125α2−90α+13=0,α=15, 1325. 125\alpha^2-90\alpha+13=0,\qquad \alpha=\frac15,\ \frac{13}{25}. 変更前の力率は 3/53/5 である。各候補の力率は 602(1−α)325 \frac{60\sqrt2(1-\alpha)}{32\sqrt5} であり,α=1/5\alpha=1/5 のときだけ変更前より大きい。したがって α=15. \alpha=\frac15.

問2 t<0t<0 でスイッチが閉じているので上下端子間電圧は 00 である。定常状態ではインダクタ電流も i2(0−)=0 i_2(0-)=0 であり,インダクタ電流は不連続に変化できないから i2(0+)=0,i1(0+)=1. i_2(0+)=0,\qquad i_1(0+)=1. t>0t>0 で上下端子間電圧を v(t)v(t) とすると i1=v,1=i1+i2,v=2i2+2di2dt. i_1=v,\qquad 1=i_1+i_2,\qquad v=2i_2+2\frac{di_2}{dt}. したがって 2di2dt+3i2=1,i2(0)=0 2\frac{di_2}{dt}+3i_2=1,\qquad i_2(0)=0 より i2(t)=13(1−e−3t/2),i1(t)=1−i2(t)=23+13e−3t/2. i_2(t)=\frac13\left(1-e^{-3t/2}\right),\qquad i_1(t)=1-i_2(t)=\frac23+\frac13e^{-3t/2}.

問3 設問では,図の接続によって各二端子対網の ZZ 行列が互いに影響を受けないとしている。したがって 全体の端子電圧は,各段の端子電圧の和として整理でき,等価インピーダンス行列は各 ZkZ_k の和で 求める。

(1)(1) 実際の相反的な線形二端子対として扱うには Y12=Y21Y_{12}=Y_{21} が必要である。x>0x>0 として 2x=2x 2x=\frac{2}{x} より x=1x=1。このとき ZA(1)=YA(1)−1=(1−2j−2−21+2j) [Ω]. Z_A(1)=Y_A(1)^{-1} = \begin{pmatrix} 1-2j & -2\\ -2 & 1+2j \end{pmatrix}\ [\Omega].

(2)(2) 接続後の等価インピーダンス行列は各 ZkZ_k の和で表される。よって ZA(n)=∑k=1n(2k−3j2k2(n+1−k)2k+j)=(n(n+1)−3njn(n+1)n(n+1)n(n+1)+nj) [Ω]. \begin{aligned} Z_A(n) &=\sum_{k=1}^n \begin{pmatrix} 2k-3j & 2k\\ 2(n+1-k) & 2k+j \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} n(n+1)-3nj & n(n+1)\\ n(n+1) & n(n+1)+nj \end{pmatrix}\ [\Omega]. \end{aligned} 等価回路はT形二端子対で表せる。共通枝を Zm=Z12=n(n+1), Z_m=Z_{12}=n(n+1), 入力側直列枝を Z1=Z11−Z12=−3nj, Z_1=Z_{11}-Z_{12}=-3nj, 出力側直列枝を Z2=Z22−Z12=nj Z_2=Z_{22}-Z_{12}=nj とすればよい。

(3)(3) 同一二端子対が nn 個あるので ZA(n)=(2n2jn2jnn(1+j)). Z_A(n)= \begin{pmatrix} 2n & 2jn\\ 2jn & n(1+j) \end{pmatrix}. 負荷側から見たテブナンインピーダンスは,電源を短絡して Zth=Z22−Z21Z12ZG+Z11=n(1+j)−(2jn)25+2n=n(6n+5)2n+5+jn. Z_{\mathrm{th}} =Z_{22}-\frac{Z_{21}Z_{12}}{Z_G+Z_{11}} =n(1+j)-\frac{(2jn)^2}{5+2n} =\frac{n(6n+5)}{2n+5}+jn. 負荷は ZL=R−5jZ_L=R-5j であるから,最大電力条件 ZL=Zth∗Z_L=Z_{\mathrm{th}}^\ast を満たすには n=5,R=5(6⋅5+5)2⋅5+5=353 [Ω] n=5,\qquad R=\frac{5(6\cdot 5+5)}{2\cdot 5+5}=\frac{35}{3}\,[\Omega] が候補になる。ただし本問では nn を変えるとテブナン電圧 Vth=2jn5+2nE V_{\mathrm{th}}=\frac{2jn}{5+2n}E も変わるため,この候補だけで全体最大とは限らない。固定した nn に対して負荷電力 PL(n,R)=∣2jn5+2nE∣2R(R+n(6n+5)2n+5)2+(n−5)2 P_L(n,R)= \frac{\left|\dfrac{2jn}{5+2n}E\right|^2R} {\left(R+\dfrac{n(6n+5)}{2n+5}\right)^2+(n-5)^2} を RR で最大化すると R=(n(6n+5)2n+5)2+(n−5)2. R=\sqrt{\left(\frac{n(6n+5)}{2n+5}\right)^2+(n-5)^2}. この値を代入した PLP_L を自然数 nn で比較すると最大は n=3n=3 で得られる。したがって R=(6911)2+(−2)2=524511 [Ω]. R= \sqrt{\left(\frac{69}{11}\right)^2+(-2)^2} =\frac{\sqrt{5245}}{11}\,[\Omega].

最終答

Z=152−j202 Ω, ∣V∣=1002 V,\displaystyle Z=15\sqrt2-j20\sqrt2\,\Omega,\ |V|=100\sqrt2\,\mathrm{V}, 力率 3/53/5 進み。 α=1/5\alpha=1/5。 i2(t)=13(1−e−3t/2), i1(t)=23+13e−3t/2\displaystyle i_2(t)=\frac13(1-e^{-3t/2}),\ i_1(t)=\frac23+\frac13e^{-3t/2}。 問3は本文の各行列の通りで,問3(3)でテブナン電圧の nn 依存まで含めて全体最大にすると n=3, R=5245/11 Ω\displaystyle n=3,\ R=\sqrt{5245}/11\,\Omega。

第2問 — 電子回路

方針

ダイオード回路は,オン時を短絡,オフ時を開放として場合分けするだけでよい。演算増幅器回路は 入力電流ゼロと仮想短絡の二つを使う。発振回路はウィーンブリッジ形なので,周波数選択帰還率 β\beta を先に求め,Barkhausen条件 T=1T=1 を適用する。

波形の描き方

波形問題では式だけでなく最大値・最小値の時刻を書く必要がある。ここでは入力の周期が 1 s1\,\mathrm{s} であり,正の最大は t=1/4t=1/4,負の最大振幅は t=3/4t=3/4 に現れる。出力は正半周期で クリップされ,負半周期で半分の振幅になる。

典型的なミス

非反転入力側の分圧点を v2v_2 そのものとしてしまうと,vo=2v2−v1v_o=2v_2-v_1 という誤答になる。 下側にも同じ抵抗が接地されているため,まず v+=v2/2v_+=v_2/2 と置くことが重要である。

試験上のポイント

ウィーンブリッジ発振器では,ω0=1/RC\omega_0=1/RC のとき帰還率が実数 1/31/3 になる。この値を 覚えていてもよいが,答案では Zs,ZpZ_s,Z_p から一度導くと,位相条件と振幅条件の両方を明確に示せる。

電子回路の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 制御工学

方針

問1は開ループ伝達関数 L(s)L(s) を作れば,安定判別,ゲイン交差,位相余裕がすべて同じ式から出る。 問2は状態方程式を二階微分方程式に落とすと初期値応答が短く求まる。

安定性の書き方

二次多項式 s2+a1s+a0s^2+a_1s+a_0 では a1>0,a0>0a_1>0,a_0>0 が安定条件である。ここでは a1=3, a0=10Ka_1=\sqrt3,\ a_0=10K なので,任意の K>0K>0 に対して安定であることを一行で示せる。

典型的なミス

位相余裕を求めるとき,積分器の −90∘-90^\circ を忘れやすい。今回の位相は −90∘−30∘=−120∘-90^\circ-30^\circ=-120^\circ であり,位相余裕は 180∘−120∘=60∘180^\circ-120^\circ=60^\circ である。

試験上のポイント

最後の出力一致条件は,二つの入力が同じであることに着目すると差分系になる。直接 y1(t),y2(t)y_1(t),y_2(t) を全部計算するより,Cd=0, CAd=0Cd=0,\ CAd=0 を使う方が短く,条件の意味も明確である。

制御工学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 電磁気学

方針

同心導体球殻はガウスの法則と容量の直列・並列関係で処理する。導体内部の電界はゼロで, 導体表面の電荷は「各領域にどの電界を作るか」から決まる。ベクトルポテンシャルの問題では, 有限長の式で発散項を持たせておき,差を取ってから極限をとる。

検算

問1(4)ではAとCを接続した導体全体の正味電荷は QA+QC=0Q_A+Q_C=0 になる。実際,Aには −Q/3-Q/3,C全体には +Q/3+Q/3 が現れる。領域4の電界は外側電荷 QQ が作るので,領域4の エネルギーは問1(3)と同じになる。

典型ミス

導体Bだけに電荷を与えた場合,Bの内側の領域2に電界があると考えてしまう誤りが多い。 ガウス面がBの内側にあるなら,内包電荷はAの正味電荷だけであり,ここではゼロである。 また,∮A⋅dl\oint\mathbf{A}\cdot d\mathbf{l} の符号は経路の向きで決まるので,磁束の「大きさ」と 比較するときは向きの説明が必要である。

試験で書くべきポイント

球殻問題では,各領域の電界がゼロか Q/(4πεr2)Q/(4\pi\varepsilon r^2) かを先に表にするのが安全である。 ベクトルポテンシャルでは,Az(x0)A_z(x_0) 自体は無限長極限で発散するが,差 Az(x0)−Az(a)A_z(x_0)-A_z(a) は有限であることを明記するとよい。

電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 半導体デバイス

方針

問1は電荷中性条件と質量作用則の2式から,n−p=ND−NAn-p=N_D-N_A と np=ni2np=n_i^2 を連立する。 問2はバンドの曲がりのエネルギー差を q(Vbi−V)q(V_{\mathrm{bi}}-V) と対応させ,空乏層を単位面積の 平行板容量として扱う。

検算

問1(4)では ND≫NAN_D\gg N_A なのでn形半導体となり,多数キャリアである電子密度が 2.0×1015 cm−32.0\times10^{15}\ \mathrm{cm^{-3}} 程度になるのは自然である。正孔密度との積も (1.999×1015)(5.0×104)≃1.0×1020=ni2 (1.999\times10^{15})(5.0\times10^4)\simeq 1.0\times10^{20}=n_i^2 となり,質量作用則を満たす。

典型ミス

電荷中性条件の符号を逆にして p−n+NA−ND=0p-n+N_A-N_D=0 としてしまうと,多数キャリアが逆になる。 また,1/C21/C^2--VV プロットでは傾きが NDN_D に反比例するので,傾きが大きい直線ほど ドナー濃度が小さい。

試験で書くべきポイント

近似ではいきなり n=NDn=N_D と書かず,まず n≃ND−NAn\simeq N_D-N_A を示すと補償ドーピングを理解して いることが伝わる。C--V法では,切片が VbiV_{\mathrm{bi}},傾きの絶対値が 1/ND1/N_D に比例する, という2点を明確に書く。

半導体デバイスの途中式・最終答をPDFで見る

九大 専門科目 院試 過去問の収録5年度