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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 システム情報科学府 電気電子工学専攻 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。電磁気学・回路3問・制御工学1問・物性物理1問。テーマタグは6件(線形空間・基底・伝達関数・ラプラス変換)。2024年度と共通のテーマは伝達関数・RC回路の過渡応答・オペアンプ回路。

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収録5年度分の解答PDF:九州大学 システム情報科学府 電気電子工学専攻 専門科目(¥2,880・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

九大 専門科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は電磁気学・回路3問・制御工学1問・物性物理1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問電磁気学・回路電気回路過渡応答の注意 / 2端子対網の典型ミスあり
第2問電磁気学・回路電子回路波形の描き方 / 演算増幅器の検算あり
第3問制御工学—図の読み取りの検算 / 安定条件あり
第4問電磁気学・回路電磁気学双極子の向き / 磁束とインダクタンスあり
第5問物性物理半導体デバイス有効質量の見方 / 走行時間の検算あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント3件・典型ミス3件・検算1件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に6テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 5問 → 2025年度 5問
2025年度で新しく出たテーマ
線形空間・基底・ラプラス変換
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第1問 — 電気回路

方針

問1は並列アドミタンスを先にまとめると,電流フェーザがすぐ決まる。R1R_1 は実数なので,VabV_{ab} の位相は II と同じである。このため位相差は YbcY_{bc} の偏角だけで決まる。

検算

n=1n=1 では Ybc=3−jY_{bc}=\sqrt{3}-j なので偏角は −π/6-\pi/6 である。したがって VabV_{ab} は VbcV_{bc} より 30∘30^\circ 遅れ,Vbc/VabV_{bc}/V_{ab} の偏角は +30∘+30^\circ になる。n=3n=3 では Ybc=3−3jY_{bc}=\sqrt{3}-3j で偏角が −π/3-\pi/3 となり,条件と一致する。

過渡応答の注意

問2では電源を切った瞬間に連続なのはインダクタ電流とコンデンサ電荷である。コンデンサ電圧ではなく電荷 qq を未知関数にすると,i=q′i=q' でそのまま初期条件に使える。三角関数の定常解では,sin⁡\sin と cos⁡\cos の係数を分けて連立方程式にするのが符号ミスを減らす。

2端子対網の典型ミス

問3では右ポート電流の向きと,縦続行列に入っている −Ib-I_b の符号を混同しやすい。さらに,端子側電流 I2I_2 は2端子対網へ入る電流だけでなく,右側の並列枝電流も含む。ここを書かないと ZoutZ_{\mathrm{out}} の符号が変わる。

試験で書くべきポイント

フェーザ図は絵だけで終わらせず,IR2I_{R_2} が VbcV_{bc} と同相,IL1I_{L1} が 90∘90^\circ 遅れ,II と VabV_{ab} が同相であることを式で添えると採点されやすい。2端子対網では,V1=Va+2jI1V_1=V_a+2jI_1,I2=Ib+2jVbI_2=I_b+2jV_b の2本を明示することが重要である。

解答

以下では,端子 bb--cc 間の電圧を VbcV_{bc},抵抗 R1R_1 の電圧を VabV_{ab} とし,図で与えられた向きのフェーザを用いる。

  1. R2=1/3 ΩR_2=1/\sqrt{3}\,\Omega であるから,抵抗枝のアドミタンスは YR2=1R2=3 S Y_{R_2}=\frac{1}{R_2}=\sqrt{3}\ \mathrm{S} である。各インダクタ枝のアドミタンスは −j S-j\ \mathrm{S} なので,n=2n=2 のとき Ybc=YR2+YL1+YL2=3−2j S. Y_{bc}=Y_{R_2}+Y_{L1}+Y_{L2} =\sqrt{3}-2j\ \mathrm{S}.
  2. n=1n=1 では Ybc=3−j. Y_{bc}=\sqrt{3}-j. VbcV_{bc} を基準にとると, IR2=3Vbc,IL1=−jVbc, I_{R_2}=\sqrt{3}V_{bc},\qquad I_{L1}=-jV_{bc}, よって I=IR2+IL1=(3−j)Vbc. I=I_{R_2}+I_{L1}=(\sqrt{3}-j)V_{bc}. したがって II は VbcV_{bc} より π/6\pi/6 だけ遅れる。抵抗 R1R_1 の電圧は電流 II と同相なので Vab=R1I=32(3−j)Vbc. V_{ab}=R_1 I =\frac{\sqrt{3}}{2}(\sqrt{3}-j)V_{bc}. よって arg⁡VbcVab=−arg⁡(3−j)=π6. \arg\frac{V_{bc}}{V_{ab}} =-\arg(\sqrt{3}-j) =\frac{\pi}{6}. フェーザ図では,VbcV_{bc} と IR2I_{R_2} を同相,IL1I_{L1} を VbcV_{bc} から 90∘90^\circ 遅れ,II と VabV_{ab} を VbcV_{bc} から 30∘30^\circ 遅れとして描けばよい。
  3. 一般の nn について Ybc=3−nj,Vab=R1YbcVbc. Y_{bc}=\sqrt{3}-nj,\qquad V_{ab}=R_1Y_{bc}V_{bc}. R1R_1 は正の実数なので位相には影響せず, arg⁡VbcVab=−arg⁡(3−nj)=tan⁡−1n3. \arg\frac{V_{bc}}{V_{ab}} =-\arg(\sqrt{3}-nj) =\tan^{-1}\frac{n}{\sqrt{3}}. これが π/3\pi/3 であるから n3=tan⁡π3=3,n=3. \frac{n}{\sqrt{3}}=\tan\frac{\pi}{3}=\sqrt{3}, \qquad n=3.
  1. t<0t<0 では定常状態なので,qq をコンデンサ上側電荷として e(t)=Ri(t)+Ldidt+q(t)C,i(t)=dqdt e(t)=Ri(t)+L\frac{di}{dt}+\frac{q(t)}{C},\qquad i(t)=\frac{dq}{dt} を用いる。R=1 Ω, L=0.5 H, C=2 FR=1\,\Omega,\ L=0.5\,\mathrm{H},\ C=2\,\mathrm{F} より 12q′′+q′+12q=5sin⁡2t. \frac{1}{2}q''+q'+\frac{1}{2}q=5\sin 2t. 定常解を q=Asin⁡2t+Bcos⁡2tq=A\sin2t+B\cos2t とおくと −32A−2B=5,2A−32B=0. -\frac{3}{2}A-2B=5,\qquad 2A-\frac{3}{2}B=0. したがって A=−65,B=−85. A=-\frac{6}{5},\qquad B=-\frac{8}{5}. 電源を切った直後もインダクタ電流とコンデンサ電荷は連続であるから q(0)=B=−85 C,i(0)=q′(0)=2A=−125 A. q(0)=B=-\frac{8}{5}\ \mathrm{C},\qquad i(0)=q'(0)=2A=-\frac{12}{5}\ \mathrm{A}.
  2. t>0t>0 では電源電圧が 00 なので 12q′′+q′+12q=0,q′′+2q′+q=0. \frac{1}{2}q''+q'+\frac{1}{2}q=0, \qquad q''+2q'+q=0. よって q(t)=(C1+C2t)e−t. q(t)=(C_1+C_2t)e^{-t}. 初期条件 q(0)=−8/5q(0)=-8/5,q′(0)=−12/5q'(0)=-12/5 から C1=−85,C2=−4. C_1=-\frac{8}{5},\qquad C_2=-4. したがって i(t)=q′(t)=(4t−125)e−t(t>0). i(t)=q'(t)=\left(4t-\frac{12}{5}\right)e^{-t} \qquad (t>0).
  1. 2端子対網の関係を [VaIa]=[xj−j1][Vb−Ib] \begin{bmatrix}V_a\\ I_a\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}x&j\\ -j&1\end{bmatrix} \begin{bmatrix}V_b\\ -I_b\end{bmatrix} とする。左側の直列インピーダンスにより V1=Va+2jI1,Ia=I1. V_1=V_a+2jI_1,\qquad I_a=I_1. また右側では V2=VbV_2=V_b であり,並列インピーダンス −j/2-j/2 のアドミタンスは 2j2j であるから I2=Ib+2jVb. I_2=I_b+2jV_b. 2端子対網の第2式から Ib=−jVb−I1. I_b=-jV_b-I_1. これを第1式と V1=Va+2jI1V_1=V_a+2jI_1 に代入すると V1=(x−1)Vb+3jI1. V_1=(x-1)V_b+3jI_1. よって V2=V1−3jI1x−1,I2=jV1+(4−x)I1x−1. V_2=\frac{V_1-3jI_1}{x-1},\qquad I_2=\frac{jV_1+(4-x)I_1}{x-1}.
  2. 線形受動素子のみで構成される相反な2端子対網では,縦続行列の行列式が 11 である。ここで det⁡K=x⋅1−j(−j)=x−1. \det K=x\cdot 1-j(-j)=x-1. よって x−1=1,x=2. x-1=1,\qquad x=2.
  3. x=2x=2 とすると V2=V1−3jI1,I2=jV1+2I1. V_2=V_1-3jI_1,\qquad I_2=jV_1+2I_1. 開放電圧を求めるため I2=0I_2=0,V1=EV_1=E とおくと I1=−jE2,V2=E−3j(−jE2)=−E2. I_1=-\frac{jE}{2}, \qquad V_2=E-3j\left(-\frac{jE}{2}\right)=-\frac{E}{2}. したがって VO=−E2. V_O=-\frac{E}{2}. 出力インピーダンスは独立電圧源を短絡して V1=0V_1=0 とすればよく, V2=−3jI1,I2=2I1. V_2=-3jI_1,\qquad I_2=2I_1. よって Zout=V2I2=−32j Ω. Z_{\mathrm{out}}=\frac{V_2}{I_2}=-\frac{3}{2}j\ \Omega.

最終答

  1. (1) Ybc=3−2j S(1)\ Y_{bc}=\sqrt{3}-2j\ \mathrm{S}。 (2) arg⁡(Vbc/Vab)=π/6(2)\ \arg(V_{bc}/V_{ab})=\pi/6。 (3) n=3(3)\ n=3。
  2. (1) i(0)=−12/5 A, q(0)=−8/5 C(1)\ i(0)=-12/5\ \mathrm{A},\ q(0)=-8/5\ \mathrm{C}。 (2) i(t)=(4t−12/5)e−t (t>0)(2)\ i(t)=\left(4t-12/5\right)e^{-t}\ (t>0)。
  3. (1) V2=(V1−3jI1)/(x−1), I2={jV1+(4−x)I1}/(x−1)(1)\ V_2=(V_1-3jI_1)/(x-1),\ I_2=\{jV_1+(4-x)I_1\}/(x-1)。 (2) x=2(2)\ x=2。 (3) VO=−E/2, Zout=−3j/2 Ω(3)\ V_O=-E/2,\ Z_{\mathrm{out}}=-3j/2\ \Omega。

第2問 — 電子回路

方針

問1はダイオードがオンになる条件だけを判定すればよい。理想ダイオードなので,オン時は電圧源の値で節点電圧が固定され,オフ時は抵抗に電流が流れず入力がそのまま出力に現れる。

波形の描き方

波形問題では,正弦波をそのまま描いたあと,E1E_1 を超える部分を水平線 E1E_1 に置き換える。2本のダイオードがある場合は,さらに −E2-E_2 より下の部分を水平線 −E2-E_2 に置き換える。E2<E1<VmE_2<E_1<V_m なので,上下とも必ずクリップが起こる。

演算増幅器の検算

図2(a)の答は非反転増幅器の標準形であり,R2=0R_2=0 とすれば Vo=ViV_o=V_i となる。図2(b)の答は V1=V2V_1=V_2 のとき Vo=0V_o=0 となるので,差動増幅回路として自然である。

典型ミス

図2(b)では,上側演算増幅器の出力 VxV_x と最終出力 VoV_o を同じ記号で扱うと誤る。まず VxV_x を求め,次に下側の反転入力節点でKCLを立てるのが安全である。

試験で書くべきポイント

理想演算増幅器では入力電流がゼロ,負帰還時に V+=V−V_+=V_- である。この2点を最初に明記してから節点方程式を書くと,途中式の根拠がはっきりする。

電子回路の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 制御工学

方針

問1は時間波形から周波数応答のゲインと位相を読む問題である。ω=2\omega=2 の波形は振幅 22,位相遅れ π/2\pi/2 と読めるので,分母の実部 b−ω2b-\omega^2 がゼロになる。この一手で b=4b=4 が決まる。

図の読み取りの検算

a=3,b=4,c=12a=3,b=4,c=12 とすると P(j)=123+3j=22e−jπ/4,P(2j)=126j=2e−jπ/2. P(j)=\frac{12}{3+3j}=2\sqrt{2}e^{-j\pi/4}, \qquad P(2j)=\frac{12}{6j}=2e^{-j\pi/2}. これは,図の ω=1\omega=1 の出力振幅が約 2.82.8,ω=2\omega=2 の出力振幅が 22 であることと一致する。

安定条件

2次系ではRouth表を作らなくても,s2+αs+βs^2+\alpha s+\beta の安定条件は α>0,β>0\alpha>0,\beta>0 で足りる。ただし,定常偏差を扱う前に必ず閉ループ安定条件を満たしていることを確認する。

状態空間の典型ミス

状態フィードバックが u=Kxu=Kx なので閉ループ行列は A+BKA+BK である。教科書によっては u=−Kxu=-Kx を使うため,符号を機械的に覚えていると KK 全体の符号を誤る。

試験で書くべきポイント

可観測性は行列を書くだけでなく,行列式または階数を明記する。線形性による出力の重ね合わせでは,初期状態と入力をセットで線形結合することを示すと答案が簡潔になる。

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第4問 — 電磁気学

方針

問1は双極子近似の問題である。半球状の連続電荷分布を,x=hx=h と x=−hx=-h の薄い円板状電荷の対に分けると,双極子モーメントを直接積分できる。

双極子の向き

電気双極子モーメントは負電荷から正電荷へ向く。この問題では右半分が正電荷,左半分が負電荷なので,球Aの双極子モーメントは +x+x 方向である。球Bを +x+x 方向から +y+y 方向へ回すと,外場との内積が M2EAM_2E_A から 00 へ変わるため,外力の仕事は正になる。

磁束とインダクタンス

2本の導線に反対向きの電流が流れると,導線間の磁束密度は加算される。自己インダクタンスは Φ/I\Phi/I で求めるが,ここでは単位長さあたりを問うているので最後に ll で割る。

内部インダクタンスの検算

一様電流分布では導体内部の BB は rr に比例する。エネルギー積分が r3r^3 の積分になるため,単位長さあたりの内部インダクタンスは半径 aa に依存せず μ0/(8π)\mu_0/(8\pi) になる。半径が残った場合は計算を見直すべきである。

典型ミス

表面電流の場合には導体内部の磁場を考えないので内部インダクタンスは加えない。一方,一様電流分布の場合には外部インダクタンスに2本分の内部インダクタンスを足す。1本分だけ足す誤りが多い。

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第5問 — 半導体デバイス

方針

問1はバンド図の「最小ギャップ」と「伝導帯底の曲率」を読む。伝導帯に複数の谷がある場合,禁制帯幅は最も低い伝導帯底と価電子帯頂上の差で決まる。

有効質量の見方

有効質量は曲率の逆数に比例する。谷が鋭いほど曲率が大きく軽い電子,谷が平坦なほど曲率が小さく重い電子である。移動度とドリフト速度はどちらも 1/m∗1/m^* に比例するので,重い順と速い順は逆になる。

走行時間の検算

断面積は走行時間の計算には不要である。必要なのは電界 E=V/LE=V/L とドリフト速度 vd=μEv_d=\mu E だけである。L=0.20 mL=0.20\,\mathrm{m} を使うので,cmのまま計算しないように注意する。

PN接合の導出

空乏層内の電荷密度は nn 側で正,pp 側で負である。したがって EC(x)E_C(x) は nn 側で上に凸,pp 側で下に凸の2次関数になる。境界で ECE_C と傾きを連続にし,空乏層端で電界がゼロになる条件を使うと内蔵電位が得られる。

典型ミス

qVbqV_b は電子エネルギーの差であり,VbV_b は電位差である。バンド図の縦軸をそのまま読むと qVbqV_b が現れるので,最後に qq で割る必要がある。また,pp 型側を負にするのは逆バイアスであり,空乏層は狭まらず広がる。

半導体デバイスの途中式・最終答をPDFで見る

九大 専門科目 院試 過去問の収録5年度