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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 システム情報科学府 電気電子工学専攻 専門科目 2023年度 院試 解答例・解説

九州大学 システム情報科学府 電気電子工学専攻 専門科目 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 電気回路

方針

電気回路分野は、フェーザ、相互誘導の等価回路、二端子対行列、一次過渡応答の基本問題で構成されている。 図を写す必要はなく、どの電圧・電流を正方向にとったかを明示して式を立てればよい。

検算

問1では argZ=π/6\arg Z=\pi/6 の枝電流が電圧より π/6\pi/6 遅れる。容量枝は π/2\pi/2 進むので、全電流の偏角が 00π/2\pi/2 の間、具体的には π/12\pi/12 になるのは自然である。 問4では i(0+)=16Ai(0+)=-16\,\mathrm{A} で、求めた一般解に t=0t=0 を入れると 4864=1648-64=-16 となり初期条件と一致する。

典型ミス

相互誘導の問題では、ドット端子に流入する電流同士なら相互項の符号は正である。ここを逆にすると L0=ML_0=-M になり、以後の IRI_R の分母が変わってしまう。 二端子対では、電流の正方向が両ポートとも網内へ流入する定義であることを忘れない。

試験で書くべきポイント

フェーザ図は、最終的な角度だけでなく I1,I2,I3I_1,I_2,I_3 の相対位相を言葉または簡単なベクトル式で示す。 過渡応答では、定常解と自然応答を分け、最後に初期条件を使って自然応答の係数を決めるところまで書くと減点されにくい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 電子回路

方針

問1は理想反転増幅器の標準形で、入力側インピーダンスと帰還インピーダンスの比だけで決まる。 問2は、増幅部と選択回路部を分け、RLC部の伝達関数を節点方程式で出してからループ利得を見る。

検算

図1(b)の伝達関数は低周波で R2/R1-R_2/R_1、高周波で 00 に近づく。帰還コンデンサが高周波で短絡に近づくため、利得が落ちるという物理的な見通しと一致する。 LC発振器では、発振周波数に抵抗 RR が現れない。これは RR が位相条件では消え、主に選択回路の損失を決めるためである。

典型ミス

RLC部の GBG_B で、右端の C2C_2 を負荷として扱わずに単純な直列共振回路とみなすと、ω0\omega_0 の式を誤る。 また、増幅部が反転増幅器であるため GAG_A の符号は負である。この負号を落とすと、RLC部が負の実数になる周波数を選ぶ理由が見えなくなる。

試験で書くべきポイント

ボード線図は精密な曲線でなく、折点、低周波利得、高周波の傾き、位相の代表値を示せば十分である。 発振条件では、虚部ゼロによる周波数条件と、T=1|T|=1 による振幅条件を分けて書くことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 制御工学

方針

問1は、エネルギーを蓄える量を状態に選ぶのが自然である。インダクタ電流とコンデンサ電荷を状態にすると、2次元の状態方程式がそのまま得られる。 問2は、伝達関数を出して部分分数展開し、対角実現の各モードに対応させる問題である。 問3は、ブロック図を代数式として整理し、目標値応答と外乱応答を分けて見る。

検算

問1の可制御性行列は対角行列になり、L>0L>0 だけで階数2になる。問題文で R,L,CR,L,C が正とされているので、値に依存する例外はない。 問2の A~\tilde A は元の AA と同じ固有値 1,3-1,-3 を持つ。伝達関数の極と状態行列の固有値が一致することは妥当性の確認になる。

典型ミス

問1で出力 i3i_3q˙3\dot q_3 のまま扱うと、出力方程式が状態だけで書けないように見える。関係式 i3=i1q3/(RC)i_3=i_1-q_3/(RC) を使うと通常の可観測性判定ができる。 問3では、外乱 dd は制御対象入力側で uu に加算される。外乱伝達関数を求めるときに r=0r=0 と置くことを明示する。

試験で書くべきポイント

可制御・可観測の判定では、行列を書いて階数または行列式を示すだけで十分説得力がある。 係数比較の問題では、分母分子を交差乗算して、s2,s,s^2,s, 定数項を順に比べると計算の見落としが少ない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 電磁気学

方針

問1は、電位が k/rk/r 型で与えられているため、電界は純粋に放射状である。誘電体が半球ずつ占めるので、電束密度 D=εE\mathbf D=\varepsilon\mathbf E の面積分を半球ごとに足す。 問2は、ソレノイドの自己インダクタンス、RL減衰、ファラデーの法則、ポインティングベクトルを順につなぐ問題である。

検算

問1で ε1=ε2=ε\varepsilon_1=\varepsilon_2=\varepsilon とすると C=4πεaC=4\pi\varepsilon a となり、一様誘電体中の孤立導体球の静電容量に戻る。 問2の総流出エネルギー 12LsI02\frac12L_sI_0^2 はインダクタの初期磁気エネルギーそのものであり、エネルギー保存と一致する。

典型ミス

誘電体境界の問題で、球面全体に一つの誘電率だけを掛けると誤りになる。半球ごとの ε1,ε2\varepsilon_1,\varepsilon_2 を使って電束を足すのが要点である。 ソレノイドのポインティングベクトルでは、電界は周方向、磁界は軸方向なので、向きは半径方向になる。電流減衰時にはエネルギーがソレノイドから外へ出る。

試験で書くべきポイント

誘導電界は保存力場ではないため、電位差ではなく Edl=dΦ/dt\oint\mathbf E\cdot d\mathbf l=-d\Phi/dt から求める。 最後のエネルギー問題では、パワーの時間積分だけでなく、消費先が抵抗のジュール熱であることまで書く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 半導体デバイス

方針

pn接合は、平衡時の質量作用則、空乏層近似、電荷中性条件を順に使う。 MOSFETは、弱反転での表面電位の分圧と、ドレイン電流の指数依存性からサブスレッショルド係数を導く。

検算

pn接合の空乏層幅比 xp/xn=ND/NAx_p/x_n=N_D/N_A は、低ドープ側に空乏層が広がることを示している。与えられた数値でも、p側の幅がn側より大きいので NA<NDN_A<N_D となり整合する。 MOSFETの SSm0m\ge0 のため、熱電圧に ln10\ln10 を掛けた値より小さくならない。室温で約 60mV/decade60\,\mathrm{mV/decade} という既知の下限と一致する。

典型ミス

pn接合の電界式では、p側とn側で電荷密度の符号が逆である。境界条件 E(xp)=E(xn)=0E(-x_p)=E(x_n)=0 を入れずに積分定数を落とすと、接合面の電界連続条件が確認できない。 サブスレッショルド係数では、log\log が常用対数であるため ln10\ln10 が分母または分子に現れる位置を間違えやすい。

試験で書くべきポイント

逆バイアスのバンド図は、障壁が q(Vd+VR)q(V_d+V_R) に増えること、準フェルミ準位の差の大きさが qVRqV_R であること、空乏層端が xp,xn-x_p,x_n であることを必ず書く。 MOSFETの設問(6)は、単に「mm を小さくする」と書くだけでなく、CoxC_{\mathrm{ox}} を大きくし CdC_d を小さくする具体策まで結びつける。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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