院試hub

電気通信大学 院試 過去問 解答例

電通大 情報理工学研究科 専門科目(機械知能システム学) 2026年度 院試 解答例・解説

電気通信大学 情報理工学研究科 専門科目(機械知能システム学) 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全23問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 必須数学:解析と微分方程式

半径を取り違えない

領域の条件が x2+y2Rx^2+y^2\le R なので,円の半径は RR ではなく R\sqrt{R} である。この一箇所を誤ると指数部分の上端が R2R^2 になってしまう。極座標変換ではヤコビアン rr も必ず書き,最後に u=r2u=r^2 と置けば自然に π(1eR)\pi(1-e^{-R}) が出る。

特殊解の選び方

右辺の指数 e2xe^{-2x} は同次解に含まれない。したがって未定係数法で Ae2xAe^{-2x} をそのまま置ける。同次解の指数部 exe^{-x} と混同して,余分に xAe2xxAe^{-2x} と置く必要はない。

初期条件は最後に入れる

二階線形微分方程式では,まず一般解を完全に求めてから初期条件を代入すると符号ミスが少ない。特に今回のように三角関数を含む場合,微分した式を x=0x=0 に入れると sin0=0\sin 0=0, cos0=1\cos 0=1 によって係数が大きく整理される。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 必須数学:線形代数と空間図形

連立方程式の両立条件

三本の方程式の係数は互いに近い形をしているので,掃き出しよりも差を取る方が速い。第2式と第1式の差,第3式と第2式の差が同じ左辺をもつため,右辺も一致することが解の存在条件になる。

重解でも対角化できる場合

固有値 22 は代数的重複度が 22 である。対角化できるかどうかは,この固有値に対する固有空間の次元が 22 あるかで決まる。今回 (A2I)x=0(A-2I)x=0 は独立な条件が一つだけなので,固有空間は二次元であり,固有値 33 の一次元固有空間と合わせて三本の固有ベクトルを取れる。

空間図形は射影で見る

交点 RR は,点 QQ を通り ee に垂直な平面へ,点 PP から ee 方向に進んだ点である。式 P+{(QP)e}e P+\{(Q-P)\cdot e\}e は,ベクトル QPQ-Pee 方向成分だけを取り出して PP に足している,という幾何的意味をもつ。ee が単位ベクトルである条件を使っている点も重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 必須物理:斜面上の転がり運動

転がりでは並進エネルギーだけを見ない

斜面を下る円柱は,重心の運動エネルギーに加えて回転運動エネルギーももつ。滑らない条件 v=rωv=r\omega を使うと,回転エネルギーは 14Mv2\frac14 Mv^2 になる。ここを落とすと滑る物体の答えになり,速度も時間も一致しない。

静止摩擦力は仕事をしないがトルクは作る

滑らない転がりでは,接地点の瞬間速度がゼロなので静止摩擦力は仕事をしない。しかし回転運動を生み出すトルクは担っている。したがってエネルギー保存では摩擦を明示しない一方,運動方程式で加速度や摩擦力を求めるときには Iα=frI\alpha=fr が必要になる。

慣性モーメントが大きいほど遅い

同じ質量と半径でも,質量が外側に分布しているほど I/(Mr2)I/(Mr^2) が大きくなり,加速度 gsinθ1+I/(Mr2) \frac{g\sin\theta}{1+I/(Mr^2)} は小さくなる。球は中心寄り,一様円柱は中間,薄い円筒は外周に質量が集中しているため,時間の順序は自然に決まる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 必須物理:電磁気

mAhは電荷の単位に直す

モバイル充電器の容量表示は電流と時間の積であり,物理量としては電荷である。単位変換では 1000mA=1A1000\,\mathrm{mA}=1\,\mathrm{A}1h=3600s1\,\mathrm{h}=3600\,\mathrm{s} を同時に使う。桁だけを暗算すると 10310^3 を落としやすい。

誘電体球では電束密度から始める

自由電荷 QQ が与えられているため,ガウスの法則はまず DD に対して使うのが自然である。外部では媒質が真空なので E=D/ε0E=D/\varepsilon_0,内部では E=D/ε1E=D/\varepsilon_1 になる。電位は電場を積分して求めるが,内部電位は境界 r=ar=a の外部電位から内側へ積分すると定数を間違えにくい。

正方形回路は一辺の寄与を四倍する

中心では四辺からの磁場の大きさが等しく,向きも右ねじの法則で同じになる。無限直線電流の公式をそのまま使うと過大評価になるため,有限直線電流の角度因子 sinα+sinβ\sin\alpha+\sin\beta を入れる。今回は対称性により両端角がともに 4545^\circ である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 選択問題:材料力学(熱ひずみと熱応力)

自由膨張と拘束膨張を分ける

熱応力の問題では,全ひずみを ε=σE+αT \varepsilon=\frac{\sigma}{E}+\alpha T と分けて考えるのが基本である。自由に伸びられる棒では σ=0\sigma=0 で熱ひずみだけが残る。一方,両端固定では「伸びられない」という幾何条件が応力を決める。

直列棒では軸力が共通

2本の棒が直列に接続され,中間点に外力が加わらない場合,内部軸力はどちらの棒でも同じである。今回は断面積も同じなので応力も等しい。棒3は柔らかく,熱膨張も大きいため,単独なら棒2より大きく伸びようとする。その余分な伸びを固定端が抑える結果,両棒には圧縮応力が発生する。

符号の確認

ε2+ε3=0\varepsilon_2+\varepsilon_3=0 であり,実際に 14αT14αT=0 \frac14\alpha T-\frac14\alpha T=0 となる。接続点が右へ動くのは,棒2は最終的にわずかに伸び,棒3はわずかに縮むからである。この符号の説明を書けると,単に公式代入した答案よりも減点されにくい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 選択問題:材料力学(片持ちはりのたわみ)

境界条件は固定端で入れる

座標原点を自由端に取っているため,積分定数は自由端ではなく固定端の条件 θ()=0,y()=0 \theta(\ell)=0,\qquad y(\ell)=0 で決める。ここを誤って x=0x=0 に固定端条件を入れると,符号だけでなく式全体が変わる。

集中荷重と端部モーメントの寄与を分ける

自由端たわみは yA=PA33EIMA22EI y_A= \frac{P_A\ell^3}{3EI} - \frac{M_A\ell^2}{2EI} と書ける。第1項は集中荷重による下向きたわみ,第2項は端部モーメントによる反対向きのたわみである。したがって両者を打ち消す条件が PA=3MA/(2)P_A=3M_A/(2\ell) になる。

符号規約の書き方

材料力学では,曲げモーメントの正負をどちらに取るかで途中式の符号が変わる。最初に「下向きたわみを正」「図の端部モーメントを荷重によるたわみと反対向き」と明記し,最後まで同じ規約で計算すれば答案として一貫する。別の符号規約でも,得られる条件の大きさは同じである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 選択問題:機械力学(微小振動と減衰)

回転系は慣性モーメントと回転剛性で見る

小角振動では,並進の Mx¨+Kx=0M\ddot{x}+Kx=0 と同じ構造で Jθ¨+Kθθ=0 J\ddot{\theta}+K_\theta\theta=0 と書ける。ここで JJ は支点まわりの慣性モーメント,KθK_\theta は単位角変位あたりの復元モーメントである。ばねの伸びが aθa\theta なら,力は kaθka\theta,モーメントはさらに腕の長さ aa を掛けて ka2θka^2\theta になる。この「腕の長さの二乗」が,ばね位置変更で kB=4kk_B=4k になる理由である。

減衰条件は判別式で決まる

減衰系 Jθ¨+Cθ˙+Kθ=0 J\ddot{\theta}+C\dot{\theta}+K\theta=0 の特性方程式は Js2+Cs+K=0Js^2+Cs+K=0 である。根が複素共役になる条件は C24JK<0C^2-4JK<0 であり,これが減衰振動の条件である。臨界減衰係数 Cc=2JKC_c=2\sqrt{JK} を使うと,同じ条件は ξ=C/Cc<1\xi=C/C_c<1 とも書ける。

答案で落としやすい点

ばね定数の比較では,力だけを比べて kB=2kk_B=2k としてしまう誤りが起こりやすい。回転問題では復元モーメントを比べるので,変位の腕と力の腕の両方が効き,腕の長さは二乗で入る。また,減衰器も同様に,速度 bθ˙b\dot{\theta} とモーメント腕 bb の積から cb2θ˙cb^2\dot{\theta} が現れる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 選択問題:機械力学(2自由度振動)

まず剛性行列を正しく作る

2自由度振動では,符号よりも「どの相対変位がどの質点に作用するか」を丁寧に書くことが重要である。箱と内部質点を結ぶばねは相対変位 x1x2x_1-x_2 に比例するため,係数行列には対角成分 +2k+2k,非対角成分 2k-2k が現れる。箱側には外側ばねの寄与も加わるため,箱の対角成分は 4k4k になる。

固有振動数は行列式から一気に出す

自由振動の固有値問題は (KΩ2M)X=0 (K-\Omega^2M)X=0 であり,det(KΩ2M)=0\det(K-\Omega^2M)=0 が固有角振動数の条件である。今回の行列式は二次方程式 m2Ω46kmΩ2+4k2=0 m^2\Omega^4-6km\Omega^2+4k^2=0 に落ちるので,Ω2\Omega^2 を未知数として解くと計算が短い。最後に平方根を取るため,固有角振動数は正の値として書く。

強制振動の分母は固有値条件と同じ

定常応答の振幅の分母 D=m2ω46kmω2+4k2 D=m^2\omega^4-6km\omega^2+4k^2 は,自由振動の特性式で Ω\Omegaω\omega に置き換えたものである。したがって ω\omega が固有角振動数に近づくと,減衰を無視したモデルでは振幅が大きくなる。この対応を意識しておくと,振幅式の分母の符号や次数を検算しやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 選択問題:熱力学(理想気体の第一法則)

仕事と熱の記号を混同しない

問題で ΔQ\Delta Q という記号が使われていても,この小問では定圧膨張で外部になされた仕事 pΔVp\Delta V として扱う箇所がある。第一法則に入れる熱量は別に QinQ_{\mathrm{in}} と置くと,式の意味が崩れにくい。

定圧比熱は cv+Rc_v+R

理想気体では Mayer の関係 cpcv=R c_p-c_v=R が成り立つ。これは定圧加熱では内部エネルギーを増やす分に加えて,外部へ押し広げる仕事 mRΔTmR\Delta T が必要になるためである。定積過程で仕事がゼロになることと対比して覚えると,熱量の式を機械的に暗記しなくても再現できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 選択問題:熱力学(蒸気タービンの動力)

閉じた系の第一法則ではなく定常流エネルギー式を使う

タービン,圧縮機,ノズルのように流体が連続して出入りする装置では,内部エネルギー uu だけでなく流動仕事 pvpv を含んだエンタルピー h=u+pvh=u+pv を使う。したがって,入口と出口の蒸気表値が与えられている問題では,まず h1h2h_1-h_2 を軸仕事の主項として見る。

符号規約

ここではタービンが外部へ取り出す動力を正にした。そのため断熱近似なら W˙outm˙(h1h2) \dot W_{\mathrm{out}}\simeq \dot m(h_1-h_2) であり,入口エンタルピーが出口より大きいほど正の動力が得られる。途中で Q˙W˙\dot Q-\dot W の形を使う場合は,最後に「外へ出る仕事」を正としているかを確認することが重要である。

単位換算

エンタルピー差を kJ/kg\mathrm{kJ/kg},質量流量を kg/s\mathrm{kg/s} で掛けると,結果は kJ/s=kW\mathrm{kJ/s}=\mathrm{kW} になる。蒸気表を使う問題では,ここで 10310^3 を余分に掛けたり割ったりするミスが多い。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 選択問題:熱力学(カルノーサイクル)

等温過程と断熱過程を分けて使う

カルノーサイクルでは,熱量を計算するのは等温過程,状態量をつなぐのは断熱過程,という役割分担がある。等温過程では ΔU=0\Delta U=0 なので Q=WQ=W となり,pdV\int p\,dV から対数が現れる。断熱過程では Q=0Q=0 なので,熱量ではなく TVγ1=const.TV^{\gamma-1}=\text{const.} を使う。

エントロピー変化の符号

高温等温膨張では気体が熱を受け取るため ΔS>0\Delta S>0,低温等温圧縮では気体が熱を捨てるため ΔS<0\Delta S<0 である。大きさが同じになるのは,可逆断熱2本で2本の等温線上の体積比が同じ β\beta に保たれるからである。

効率が作動物質に依存しない理由

効率 η=1TbTa \eta=1-\frac{T_b}{T_a} には mm, RR, β\beta, γ\gamma が残らない。これはカルノーサイクルの効率が熱源温度だけで決まることを表している。途中の状態3,4には γ\gamma が出るが,効率そのものには出ない点を区別しておくとよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

14 — 選択問題:流体力学(速度場と圧力場)

Taylor--Green 渦は三角関数の相殺を見る

連続の式では,uxu_xvyv_y が完全に打ち消し合う。運動方程式では,非線形項に cos2+sin2=1\cos^2+\sin^2=1 が現れ,圧力勾配と同じ sin2kx\sin 2kxsin2ky\sin 2ky 型になる。計算量は多く見えるが,三角関数の形をそろえることが中心である。

圧力勾配の符号を落とさない

運動方程式の右辺は px/ρ-p_x/\rhopy/ρ-p_y/\rho である。圧力に cos2kx\cos 2kx が含まれるため,微分で sin2kx-\sin 2kx が出る。その後さらに運動方程式のマイナスがかかる。ここで符号を1回落とすと,渦は運動方程式を満たさないという誤った結論になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

18 — 選択問題:流体力学(容器からの流出)

流速はベルヌーイ,液面低下は体積保存

流出速度 uu を求めたあと,それをそのまま dh/dt-dh/dt としてはいけない。容器断面積が高さで変化するため, A(h)dhdt=au A(h)\frac{dh}{dt}=-au を使う必要がある。今回 A(h)h1/2A(h)\propto h^{1/2} であり,Torricelli の法則から uh1/2u\propto h^{1/2} となるため,両者が打ち消し合って dh/dtdh/dt が定数になる。

指数を一般化して見る

もし r(h)har(h)\propto h^a なら断面積は A(h)h2aA(h)\propto h^{2a} である。流出量は Qh1/2Q\propto h^{1/2} なので,液面低下速度が一定になるには 2a=1/22a=1/2,すなわち a=1/4a=1/4 が必要である。問題の形状指定は,この指数合わせを狙っている。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

15 — 選択問題:制御工学(質点ばね系の応答)

一定入力とインパルス入力を分ける

右辺には重力による一定項 mg/2mg/2 とインパルス δ(t)\delta(t) が同時に現れる。ラプラス変換では前者が mg/(2s)mg/(2s),後者が 11 になる。これを混ぜて一つの入力と見ず,静的な変位成分と初速を与える成分に分けると式の意味が読みやすい。

インパルスは速度の跳びを作る

δ(t)\delta(t) の項は,力積として質点に速度の跳びを与える。逆変換で出てくる sinωt/(mω)\sin\omega t/(m\omega) はこの効果に対応する。一方,(1cosωt)(1-\cos\omega t) の項は,傾斜板による一定加振に対して静的変位へ向かう振動成分である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

19 — 選択問題:制御工学(比例制御と定常偏差)

比例制御だけでは減衰が入らない

比例制御はばね定数を実質的に k+mgkPk+mgk_P へ変えるだけで,特性方程式に ss の項を作らない。したがって極は純虚数になり,理想モデルでは振動が減衰しない。ゲインを大きくしても固有角周波数が変わるだけで,収束性は改善しない。

定常偏差は定常状態だけで計算できる

一定入力に対する定常偏差を求めるときは,時間応答を最後まで解く必要はない。安定化されることを前提に,x˙=x¨=0\dot{x}=\ddot{x}=0 を代入すれば定常値が出る。有限の比例ゲインでは,ばね力 kxkx とのつり合いのため参照値に完全一致しない。

積分制御が必要になる理由

微分項は過渡応答の減衰には効くが,一定参照入力の定常状態では0になる。定常偏差そのものを消すには,偏差を積分して入力に反映する機構が必要である。この区別は制御工学の答案でよく問われる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

20 — 選択問題:制御工学(状態空間と極配置)

状態変数は位置と速度を選ぶ

2階の運動方程式を状態空間に直すときは,x1=xx_1=xx2=x˙x_2=\dot{x} と置くのが標準である。入力 u=θu=\theta は加速度方程式に gug u として現れるため,BB の第2成分が gg になる。

極配置は係数比較に落とす

2次系の極配置では,閉ループ特性方程式を作り,目標極から得た多項式と係数比較するのが最短である。今回の入力行列は第2状態にだけ効くので,k1k_1 が定数項,k2k_2 が一次項を調整する役割を持つ。

目標多項式の定数項を確認する

2±3i-2\pm3i の目標多項式は (λ+2)2+9=λ2+4λ+13(\lambda+2)^2+9=\lambda^2+4\lambda+13 である。定数項を 22+32=132^2+3^2=13 と素早く確認できると,符号ミスを見つけやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

16 — 選択問題:電気回路学(直列RLC回路)

直列 RLC はリアクタンス XX に集約する

この問題の大半は X(ω)=ωL1ωC X(\omega)=\omega L-\frac{1}{\omega C} を導入すると整理できる。低周波では容量性で X<0X<0,高周波では誘導性で X>0X>0,共振で X=0X=0 になる。この符号変化を押さえると,インピーダンスと電流の軌跡も自然に描ける。

電流軌跡は逆数写像で円になる

インピーダンスの軌跡は縦直線だが,電流はその逆数に比例する。式で a,ba,b を消去すると円の方程式が出る。図だけで済ませず,円の中心と半径まで書くと答案として強い。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

21 — 選択問題:電気回路学(共振と半値電力)

共振ではリアクタンスが消える

直列共振では LLCC のリアクタンスが打ち消し合い,端子から見た回路は抵抗 RR だけになる。インダクタ電圧とキャパシタ電圧はそれぞれ大きくなり得るが,フェーザとしては逆向きなので和は0である。

半値電力は X=R|X|=R

共振時の電力を基準に半分になる条件を立てると,複雑な式ではなく X2=R2 X^2=R^2 に落ちる。ここから二つの角周波数が出る。計算の途中で ω\omega を掛けるため,ω>0\omega>0 の解だけを採用する点に注意する。

QQ はエネルギーの鋭さを表す

Q=ω0L/RQ=\omega_0L/R は,共振がどれだけ鋭いかを表す量である。抵抗 RR が小さいほど損失が小さくなり,QQ は大きくなる。式 Q=(1/R)L/CQ=(1/R)\sqrt{L/C} は次元も無次元になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

22 — 選択問題:電気回路学(最大電力伝送)

最大電力条件は共役整合

負荷に渡る電力を最大にする条件は,負荷が電源側から見た内部インピーダンスの複素共役になることである。リアクタンスを打ち消し,抵抗値を等しくするため,回路全体は純抵抗 2R2R になり,負荷と内部抵抗に電力が半分ずつ分配される。

リアクタンスと抵抗を順に最適化する

答案ではいきなり Z˙L=Z˙\dot{Z}_L=\dot{Z}^* と書いてもよいが,導出を書くなら XL=XX_L=-X で分母を最小化し,その後 RL/(R+RL)2R_L/(R+R_L)^2 を最大化する流れが確実である。複素電力の問題でも,最終的には実消費電力 PLP_L の最大化に帰着する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 選択問題:ディジタル信号処理(移動和システム)

このシステムは畳み込みとして見られる

インパルス応答が h[n]=1(mnm) h[n]=1\quad(-m\le n\le m) であることから,出力は y[n]=k=h[k]x[nk] y[n]=\sum_{k=-\infty}^{\infty}h[k]x[n-k] という畳み込みで表せる。つまり,この問題のシステムは長さ 2m+12m+1 の矩形窓で入力を足し合わせる移動和フィルタである。平均値を出す移動平均フィルタにするには,全体を 2m+12m+1 で割ればよい。

時不変性では添字変換を丁寧に書く

時不変性の証明では,入力を x[nN]x[n-N] にしたときの出力が y[nN]y[n-N] になることを示す。和の上下限も一緒にずれるため,単に「形が同じ」と書くより,j=iNj=i-N と置いて上下限を (nN)m,(nN)+m (n-N)-m,\qquad (n-N)+m へ変換するところまで書くと採点上も明確である。

BIBO 安定性はインパルス応答の絶対和

有限長インパルス応答をもつ FIR システムは必ず BIBO 安定である。本問では非零点が m-m から mm までの 2m+12m+1 点しかないため,絶対和は有限になる。出力が移動和であっても,窓幅が有限である限り,有界入力から有界出力が得られる。

ステップ応答は「1の個数」を数える

ステップ応答の式を複雑な畳み込み計算として扱う必要はない。和の区間に非負の添字が何個含まれるかを場合分けすればよい。中央の区間 mnm-m\le n\le m では,窓がステップの立ち上がりを横切るため,出力が1ずつ増加していく。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 選択問題:ディジタル信号処理(差分フィルタ)

差分は立ち上がりと立ち下がりを取り出す

このシステムは隣接サンプルの差を取るので,値が一定の区間では出力が0になる。入力列が 010\to 1 に変化する n=0n=0 では正の値が出て,101\to 0 に戻る直後の n=3n=3 では負の値が出る。この見方を持っていると,グラフ問題で全時刻を機械的に表にしなくても形を判断できる。

有限長列の zz 変換

有限長列では,非零サンプルだけを足し合わせればよい。今回の入力は長さ3の矩形列なので,zz 変換は 1+z1+z21+z^{-1}+z^{-2} で終わる。収束領域を細かく議論する問題ではないが,有限長右側列として扱う限り,原点を除く zz 平面で通常の多項式として扱える。

位相を求めるときは半角で分解する

1eiω=2ieiω/2sinω2 1-e^{-i\omega} = 2i e^{-i\omega/2}\sin\frac{\omega}{2} という分解は,振幅と位相を同時に読める。絶対値だけを先に計算すると,あとで位相の符号を取り違えやすい。ii による π/2\pi/2 と,遅延に由来する ω/2-\omega/2 を分けて読むのが安定である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

17 — 選択問題:応用数学(正則写像と接線角)

正則性は極形式でも多項式でも確認できる

設問は極形式のコーシー・リーマン方程式を使う流れになっているが,w=z2w=z^2 が多項式であることも重要である。極形式の式は r>0r>0 で書くため,原点だけは別途確認する必要がある。多項式は原点でも正則なので,全平面で正則と言える。

写像後の角は接線ベクトルで計算する

正則写像で導関数が0でない点では角が保たれる。今回は z0=1+iz_0=1+i2z002z_0\neq0 なので,元の曲線の角を見てもよい。ただし像曲線の接線を直接求めても短く計算できる。C1C_1 の像の傾きが 3-3C2C_2 の像の傾きが0になるため,大きい方の角の正接は負になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

23 — 選択問題:応用数学(留数定理と三角積分)

留数は両方の極を数える

円の中心は ii,半径は2である。極 002i2i はどちらも中心から距離1なので,両方とも内部にある。片方だけで計算すると答えが半分になる。積分路が反時計回りであることも,符号を決めるために必要である。

偶数乗の三角積分は Wallis 積分

cos2nθ\cos^{2n}\theta は周期と対称性が強いので,区間を [0,π/2][0,\pi/2] に縮めて Wallis 積分へ落とすのが最も安定である。二重階乗を階乗に直すと,組合せ数 (2n)!(n!)2 \frac{(2n)!}{(n!)^2} が現れる。最終式の 22 の指数を間違えやすいので,最後に n=0n=0 を代入して 2π2\pi になることを確認するとよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

電気通信大学 専門科目(機械知能システム学) — 他の年度