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電気通信大学 院試 過去問 解答例

電通大 情報理工学研究科 専門科目(機械知能システム学) 2023年度 院試 解答例・解説

電気通信大学 情報理工学研究科 専門科目(機械知能システム学) 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全20問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 必須数学:極座標・重積分・微分方程式

極座標曲線の傾き

r=r(θ)r=r(\theta) の曲線では,x=rcosθx=r\cos\thetay=rsinθy=r\sin\theta を直接微分するのが確実である。特に θ=π/2\theta=\pi/2 のように cosθ=0\cos\theta=0 となる点では,分母の符号を落としやすい。

共鳴する非斉次項

(D2)2y=e2x(D-2)^2y=e^{2x} 型では,右辺が斉次解と重なる。y=e2xuy=e^{2x}u と置くと左辺が e2xue^{2x}u'' に簡約され,共鳴による x2x^2 の項が自然に現れる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 必須数学:線形写像・連立方程式・対角化

核と像の次元

F:R4R3F:\mathbb{R}^4\to\mathbb{R}^3 なので,dimkerF+rankF=4\dim\ker F+\operatorname{rank}F=4 を使える。核を直接求めると自由度が二つ残り,像の次元もすぐに決まる。

対角化は固有ベクトルの一次独立性

相異なる固有値に対応する固有ベクトルであっても,ここでは与えられたベクトルの形に含まれる bb により列が平行になる場合がある。行列 PP の正則性を確認するのが最短である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 必須物理:半円板の転がり振動

転がり拘束は中心の水平移動に入る

円弧半径が RR なので,滑らずに角度 θ\theta だけ回転すると円弧中心は RθR\theta だけ水平に進む。ここを忘れると重心速度の Rθ˙R\dot{\theta} の項が落ちる。

微小振動では慣性係数をつり合い点で評価する

運動方程式は非線形だが,周期を求める段階では θ=0\theta=0 近傍で線形化すればよい。慣性係数は I+M(R+c)2I+M(R+c)^2,復元係数は MgcMgc になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 必須物理:円形コイルの磁場

軸上磁場は対称性で一成分だけ残る

円形コイルの軸上では,各微小電流素片の横方向成分が反対側の素片で打ち消される。したがって全体の磁場は軸方向だけになる。

ヘルムホルツコイル条件

二つの同一コイルを対称に置いたとき,中心近傍の一次項は対称性で消える。さらに二次項を消す条件が b=a/2b=a/2 であり,これはコイル間隔が半径に等しいヘルムホルツコイルの条件である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 材料力学:対称トラスの軸力と変位

軸方向伸びは変位の射影

斜材の伸びは鉛直変位そのものではなく,棒の軸方向への射影 δcosθ\delta\cos\theta である。ここを δ\delta としてしまうと,剛性寄与の cos2θ\cos^2\theta が出ない。

並列ばねとして見る

三本の棒は点 DD の鉛直変位に対して並列のばねのように働く。中央棒の鉛直剛性は E1A1/1E_1A_1/\ell_1,斜材一本の鉛直剛性は (E2A2/2)cos2θ(E_2A_2/\ell_2)\cos^2\theta である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 材料力学:片持ち支持付きはり

不静定反力は変位条件で決める

このはりは反力だけではつり合い式が一つ足りない。固定端をもつ片持ちはりに左端反力を加えた重ね合わせで,左端たわみが零という条件を使うと RAR_A が決まる。

固定端条件と単純支持条件を混同しない

AA は単純支持なので y(0)=0y(0)=0 だが,回転角は拘束されない。BB は固定端なので y()=0y(\ell)=0θ()=0\theta(\ell)=0 が必要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 材料力学:中実丸棒と中空丸棒のねじり

ねじりでは極二次モーメントを使う

曲げの断面二次モーメントではなく,ねじりでは極二次モーメント JJ を使う。中空断面では外径の四乗から内径の四乗を引くため,1k41-k^4 が自然に現れる。

条件を先に式にする

比ねじれ角が等しい条件は JS=JHJ_S=J_H,断面積が等しい条件は AS=AHA_S=A_H である。どちらも先に ddd2d_2 の関係へ直すと,応力比や面積比が簡単に整理できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 機械力学:減衰振動と強制振動

標準形へ直す

減衰比は係数を標準形へそろえるだけで読める。c/(2m)c/(2m) ではなく c/(2mk)c/(2\sqrt{mk}) である点に注意する。

定常振動では複素表示が速い

十分時間が経過すると過渡項は消える。外力と同じ角周波数の複素振幅を仮定すれば,微分方程式が代数方程式になり,振幅がすぐに得られる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 機械力学:ばねで結合された二つの振り子

同相モードと逆相モード

同相に揺れると二つの取り付け点の相対変位がないため,ばねは伸びない。逆相に揺れるとばねが伸び縮みするため,固有角振動数が大きくなる。

β1,β2\beta_1,\beta_2 はモード座標

β1\beta_1 は平均角,β2\beta_2 は差の半分である。この変数に直すと連立方程式が二つの独立な単振動へ分離する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 熱力学:剛体容器内の理想気体

剛体容器では境界仕事がない

体積一定なので pdVp\,dV 仕事はゼロである。したがって加えた熱は内部エネルギーの増加に等しい。

エントロピー変化は可逆経路で計算してよい

実際の加熱過程が不可逆でも,状態量であるエントロピー変化は同じ初期状態と終状態を結ぶ可逆経路で計算できる。今回は体積一定なので対数項は温度比だけになる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 熱力学:p-Vサイクル

1kPam3=1kJ1\,\mathrm{kPa\,m^3}=1\,\mathrm{kJ}

pVpV の単位換算を間違えなければ,仕事は面積としてそのまま kJ\mathrm{kJ} で計算できる。線形過程では台形面積を使うと速い。

吸熱量だけを分母にする

熱効率は正味仕事を「外部から受け取った熱量」で割る。放熱過程の熱量を符号付きで合計したものを分母にしないように注意する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 熱力学:ボイラとタービン

質量流量を先にSI単位へ直す

ton/h\mathrm{ton/h} のまま計算すると,最後の kW\mathrm{kW} への換算でミスが出やすい。最初に kg/s\mathrm{kg/s} へ直せば,kJ/kg\mathrm{kJ/kg} を掛けるだけで kW\mathrm{kW} になる。

タービンの熱損失は仕事から差し引く

断熱タービンなら仕事はエンタルピー降下そのものだが,本問では熱損失がある。エンタルピー降下 800kJ/kg800\,\mathrm{kJ/kg} のうち 200kJ/kg200\,\mathrm{kJ/kg} が熱として逃げるため,仕事は 600kJ/kg600\,\mathrm{kJ/kg} である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 流体力学:流線・渦度・ベンチュリ管・噴出速度

流線・流脈線・流跡線の違い

流線は一つの時刻の速度場に接する線,流跡線は一つの粒子の軌跡,流脈線は同じ点を過去に通った粒子の現在位置である。非定常流ではこの三つは一致しない。

圧力差は速度差へ変換される

ベンチュリ管も注射器も,圧力エネルギーが運動エネルギーへ変わる問題である。損失が指定されている場合は,ベルヌーイ式の右辺からその分を差し引く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

14 — 制御工学:三次系の状態空間表現

可制御正準形

y,y,yy,y',y'' を状態に取ると,三次微分方程式はそのままコンパニオン形になる。状態フィードバックは最下段の係数だけを変えるため,極配置の計算が直感的である。

可観測性は出力の選び方で決まる

ここでは出力が yy'' であるため,C=[0 0 1]C=[0\ 0\ 1] となる。可観測行列を作ると条件は c0c\ne0 に集約される。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

15 — 制御工学:二自由度フィードバック系

目標値経路と外乱経路を分ける

この図では目標値 RR がプラント入力へ直接入る経路と,下側の P(s)P(s) を通る経路を持つ。そのため GR=PG_R=P という一見単純な結果になる。外乱に対しては通常の負帰還の形 P/(1+PC)P/(1+PC) が残る。

安定性は閉ループ分母で判定する

外乱応答の分母 1+PC1+PC が閉ループ極を決める。二次式では係数正の条件を確認すればよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

16 — 電気回路:交流ブリッジ

ブリッジ平衡は電圧分割

検流計の電流がゼロなら,中央の二点は同電位である。したがって左右の分圧比が等しくなり,ブリッジ条件が得られる。

複素インピーダンスを最後に実部・虚部へ分ける

Z1=R1+jωL1Z_1=R_1+j\omega L_1 と比較するため,最後に実部と虚部へ分ける。虚部そのものではなく,虚部を ω\omega で割ったものが L1L_1 である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

17 — 電気回路:二つのインダクタを含む過渡応答

インダクタ電流は連続

スイッチ操作の直後でもインダクタ電流は瞬時に変化できない。したがって t=0t=0- の定常電流が各自然応答の初期値になる。

閉じた後は二つの一次回路に分かれる

スイッチを閉じると右側の枝は電源から切り離された短絡ループとして減衰し,左側は R1,L1R_1,L_1 の直流過渡応答になる。分けて考えると式が単純になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

18 — ディジタル信号処理:伝達関数とBIBO安定性

指数列のz変換

anu[n]a^n u[n]zz 変換は 1/(1az1)1/(1-az^{-1}) である。入力と出力が指数列の差で与えられているため,まず X(z),Y(z)X(z),Y(z) を計算して比を取るのが最短である。

安定性は極で確認する

因果LTIシステムでは,すべての極が単位円内にあればBIBO安定である。本問の極は 2/32/3 だけなので安定と判断できる。

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19 — ディジタル信号処理:移動平均の周波数特性

移動平均はFIRフィルタ

移動平均は長さ NN のFIRフィルタであり,伝達関数は等比数列の和で表せる。周波数特性では,中心が (N1)/2(N-1)/2 サンプルだけ遅れる線形位相が現れる。

特定周波数では見かけの位相が変わる

N=5N=5 では一般的な群遅延は2サンプルだが,本問の入力周波数では2サンプルが半周期に相当し,振幅の符号と合わせると y[n]=(1/5)x[n]y[n]=(1/5)x[n] と表せる。そのため,正の振幅表示では遅れを 0s0\,\mathrm{s} とできる。

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20 — 応用数学:複素関数・線積分・フーリエ変換

正則関数は実部から復元できる

実部が調和関数であれば,局所的に調和共役が存在する。コーシー・リーマンの関係式を積分して虚部を求め,最後に f(0)f(0) で積分定数を決める。

複素積分は円内の極だけを見る

半径2の円には ii は入るが 3i-3i は入らない。経路が反時計回りなので留数定理の符号は正である。

フーリエ変換の双対性

この定義では ete^{-|t|} の変換が 2/(1+ω2)2/(1+\omega^2) になる。したがって双対性から 1/(1+t2)1/(1+t^2) の変換は πeω\pi e^{-|\omega|} である。

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