院試hub

電気通信大学 院試 過去問 解答例

電通大 情報理工学研究科 専門科目(機械知能システム学) 2020年度 院試 解答例・解説

電気通信大学 情報理工学研究科 専門科目(機械知能システム学) 2020年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全24問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 数学基礎:立体の体積と微分方程式

体積は平面で切られる範囲を先に決める

直方体条件だけを見ると x,yx,y は正方形内を動くが,平面条件によって高さが負になる部分は除外する必要がある。 x<0x<0 では上限 1x1-x11 を超えるため正方形全体が残り,x0x\ge0 では上限が 1x1-x に変わる。 この分割を省くと積分範囲を一つの長方形として扱ってしまい,余分な体積を足すことになる。

同次形は y/xy/x を見る

一つ目の微分方程式は xxyy の次数がそろっているので,y=vxy=vx と置くと分離形になる。 二つ目は線形定数係数なので,特性方程式と未定係数法を機械的に使えばよい。 特解で sin3x\sin3xcos3x\cos3x の両方を置くのは,微分すると互いに入れ替わるためである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 数学基礎:行列の固有値と行列関数

ブロック三角行列として見る

第3行の形から,特性多項式は左上 2×22\times2 ブロックと cc に分かれる。 この観察を先に行うと,三次方程式を直接展開する必要がない。

行列関数は固有値で判定する

g(A)g(A) は奇数次のべきだけから成るため,固有値 ccc-c で値が符号だけ反転する。 そのため行列全体としては AA の定数倍になる。 ただし c=1c=1 では等比数列の分母が消えるので,極限または直接和で nAnA とする。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 物理学基礎:円柱上を転がる輪

接点の角度と輪の回転角は同じではない

輪の中心は半径 a+2a=3aa+2a=3a の円を動くが,輪自身が転がる半径は 2a2a である。 したがって回転角の係数は 3a/(2a)=3/23a/(2a)=3/2 になる。 ここを 1/21/2 としてしまう誤りが多い。

微小振動は有効慣性で読む

運動エネルギーを (1/2)Jeffθ˙2(1/2)J_{\mathrm{eff}}\dot\theta^2 の形に直すと Jeff=18Ma2J_{\mathrm{eff}}=18Ma^2 である。 位置エネルギーの二次項と比べるだけで角振動数が出るため,運動方程式を明示的に立てなくてもよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 物理学基礎:円電流とソレノイド

円電流では横成分が積分で消える

ビオ・サバールの計算では ds×(xr)ds\times(x-r) の各成分を先に出す。 cosφ\cos\varphisinφ\sin\varphi の積分が 0 になるため,中心軸上では軸方向成分だけが残る。

理想ソレノイドの外部磁場は境界条件まで使う

アンペールの法則だけでは経路上の平均値しか決まらない。 無限長・無限遠で 0 という条件と対称性を合わせることで,外部磁場を 0 と結論できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 材料力学:突き出しはり

反力を先に決める

左右に同じ荷重がかかる対称な突き出しはりなので,反力はどちらも WW である。 この結果,中央区間ではせん断力が 0 となり,曲げモーメントが一定になる。

境界条件は支持点のたわみと連続条件

ピン・ローラー支持ではたわみが 0 であり,はり自体は一本なのでたわみ角とたわみは途中で連続する。 この四条件に,二つの支持点でのたわみ条件を合わせれば積分定数が決まる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 材料力学:自重を受ける等応力棒

下から切ると軸力が自然に書ける

断面 xx に働く軸力は,外力 PP とその下側にある棒の自重だけで決まる。 この量を断面積で割ったものが一定応力になる,という条件から微分方程式が出る。

変位は断面積に依存しない

断面積は指数関数的に増えるが,応力一定という条件のためひずみは全長で同じである。 したがって変位量は単純に σ0/E\sigma_0/E に長さを掛ければよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 材料力学:丸棒のねじり

直径の4乗が効く

丸棒のねじりでは,断面の影響は極二次モーメント JJ に入る。 直径が3倍になると JJ は81倍になるため,長さが3倍になっても太い棒Bは非常にねじれにくい。

同じねじれ角ならエネルギー比はトルク比

U=T2L/(2GJ)U=T^2L/(2GJ) を直接使ってもよいが,ϕ\phi が等しい条件があるため U=(1/2)TϕU=(1/2)T\phi の方が速い。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 機械力学:ばね・減衰器付き振り子

取り付け位置の二乗が効く

ばね・減衰器の力は変位や速度に比例し,支点まわりのモーメントではさらに腕の長さを掛ける。 したがって減衰項は cd2θ˙cd^2\dot\theta,ばね項は kl2θkl^2\theta になる。

上向きの質点は倒立振り子の効果を持つ

支点の上にある質点は,微小回転で重心が下がる向きにエネルギーを減らす。 そのため重力は復元剛性ではなく magla-m_agl_a として現れる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 機械力学:2質点弦の自由振動

弦の張力はほぼ一定で、横方向成分だけが復元力を与える。傾きを角度と同一視してよい微小振動では、各弦区間の横方向成分は TΔy/lT\Delta y/l と書ける。

採点上は、左右の弦から来る復元力の符号をそろえることが重要である。等質・等長化した後は対称行列の固有値問題になり、同相モードでは中央の弦がほとんど伸びず低い振動数、逆相モードでは中央の弦も強く効くため高い振動数になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 熱力学:カルノー熱機関

等温過程では理想気体の内部エネルギー変化がないため、熱量はそのまま仕事 Q=VaVbmRTVdV=mRTlnVbVa Q=\int_{V_a}^{V_b}\frac{mRT}{V}\,dV=mRT\ln\frac{V_b}{V_a} になる。断熱過程では温度が変わる分だけ体積が (TH/TC)1/(κ1)(T_H/T_C)^{1/(\kappa-1)} 倍に伸びるため、低温側の体積を高温側の体積と同じまま扱うと誤答になる。

逆運転では、成績係数を直接使ってもよいが、エネルギー収支 Q0=Qin+W Q_0=Q_{\mathrm{in}}+W とカルノー効率の関係 W/Q0=ηW/Q_0=\eta を使うと符号の取り違えを避けやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 熱力学:ブレイトンサイクル

このサイクルでは、熱の出入りは等圧過程だけで起こる。そのため cpΔTc_p\Delta T の比に直せば効率がすぐに出る。断熱過程の指数は (κ1)/κ(\kappa-1)/\kappa であり、体積比の指数と取り違えないことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 熱力学:一次元分子運動と圧力

この設定では全分子が同じ向きの一次元運動をしているため、通常の三次元気体の関係 p=(2/3)εp=(2/3)\varepsilon にはならない。係数の違いは、運動エネルギーが一方向だけに集中していることから生じる。

力の導出では、壁1回あたりの運動量変化 2mu2mu と、同じ壁に戻る周期 2L/u2L/u を分けて考えると計算が安定する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 流体力学:平行平板間流れ

圧力勾配で作られる放物線分布は、壁が動いても同じ圧力勾配ならそのまま残る。そこへ、両壁の速度差だけで生じる直線分布を足せばよい。

せん断応力をゼロにする条件は速度そのものではなく速度勾配である。上側壁では放物線成分が負の勾配を持つので、正方向に動かす平板速度 VV がそれを打ち消す。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

14 — 流体力学:非圧縮速度場と渦度

非圧縮条件は、流体密度一定の仮定では速度場の発散がゼロであることを意味する。多項式で与えられているため、すべての x,yx,y で成り立つように各単項式の係数を一致させればよい。

渦度では v/x\partial v/\partial xu/y\partial u/\partial y の順番を逆にしないことが採点上の要点である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

15 — 流体力学:球の抗力と相似則

レイノルズ数をそろえると抗力係数も同じ値として扱える。抗力の式では代表面積に球の投影面積 πd2/4\pi d^2/4 を使う点に注意する。

速度の単位換算を先に行うこと、また水中では速度が小さくても密度が大きいため抗力が増えることを確認しておくと、数値の桁を検算できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

16 — 制御工学:フィードバック系とランプ偏差

ブロック線図の内側に積分器があるため、代数式を一度 sY=UsY=U の形にしてから整理すると、分母が二次式として自然に出る。

ランプ偏差は位置入力の偏差と同じ式で扱うとゼロにしてしまいやすい。最終値定理では R(s)=1/s2R(s)=1/s^2 を最後まで残し、sE(s)sE(s) の極限を取る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

17 — 制御工学:状態方程式と安定条件

出力 y=x1y=x_1 なので、状態方程式はそのまま二階微分方程式 y¨+by˙+ay=u \ddot y+b\dot y+ay=u に対応する。ここから伝達関数と安定条件を読むこともできる。

重根条件では、単に判別式をゼロにするだけでなく、得られる根が左半平面にあることを確認する。今回 k=1k=1 では特性方程式が (s+2)2=0(s+2)^2=0 となり安定である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

18 — 電気回路学:RC過渡応答とエネルギー

RC回路では、初期値と最終値を先に決めて vC(t)=v+(v0v)et/(RC) v_C(t)=v_{\infty}+(v_0-v_{\infty})e^{-t/(RC)} と書くと符号の誤りが少ない。

電源が供給したエネルギーとコンデンサに残るエネルギーは一致しない。残りは抵抗で熱になる。切替後は、電圧差 E0E1E_0-E_1 を持つコンデンサが新しい平衡値へ緩和する過程として扱えば、損失が 12C(E0E1)2\frac12C(E_0-E_1)^2 とすぐに分かる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

19 — ディジタル信号処理:差分方程式とz変換

この系は入力が1サンプル遅れて出力へ現れるので、インパルス応答の初項が 00 になる。伝達関数を 1/(z2/3)1/(z-2/3) のままにすると、この遅れを見落としにくい。

有限長系 H0(z)H_0(z) は一意ではなく、問われている初めの3点だけを一致させればよい。全応答を一致させるには無限長のインパルス応答が必要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

20 — ディジタル信号処理:4点移動平均

移動平均は低域通過型の有限インパルス応答フィルタである。4項の等比級数をまとめると、中心遅れ 3/23/2 サンプルに対応する位相因子 ej3ω/2e^{-j3\omega/2} が現れる。

標本化周波数 6Hz6\,\mathrm{Hz} に対して 1Hz1\,\mathrm{Hz} の正弦波は、1周期あたり6サンプルで表される。そのため離散角周波数は π/3\pi/3 である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

21 — 応用数学:複素指数関数

複素指数関数では、絶対値に効くのは指数の実部である。iz=ircosθrsinθiz=ir\cos\theta-r\sin\theta なので、実部は rsinθ-r\sin\theta である。

cosi\cos i は実数で、通常の cos1\cos 1 ではなく双曲線関数 cosh1\cosh1 に一致する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

22 — 応用数学:一次分数変換

一次分数変換は円または直線を円または直線に写す。境界 z=1|z|=1 では w=0\Re w=0 となるので、単位円周は虚軸へ写る。内部の点、たとえば z=0z=0w=1w=-1 に写るため、内部全体は左半平面である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

23 — 応用数学:コーシー・リーマン方程式

この恒等式は、複素微分可能性が「xx 方向微分」と「yy 方向微分」を独立でなくしていることを表す。符号は uy=vxu_y=-v_x から決まるので、ここを uy=vxu_y=v_x と誤ると結論の符号も逆になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

24 — 応用数学:留数定理

この問題では、極が両方とも積分路の内側にあるかを最初に判定することが重要である。片方だけを数えると 2πi2\pi i になってしまう。

部分分数分解を使えば 2z3z(z3)=1z+1z3 \frac{2z-3}{z(z-3)}=\frac{1}{z}+\frac{1}{z-3} とも書けるので、各極の留数がともに 11 であることをすぐに検算できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

電気通信大学 専門科目(機械知能システム学) — 他の年度