東北大学 院試 過去問 解答例
東北大 理学研究科 物理学専攻 物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学) 2026年度 院試 解答例・解説
東北大学 理学研究科 物理学専攻 物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学) 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 基礎数学
方針
[1] は2階定数係数。複素特性根を実形に直し特解を加算する。[2] は対称行列の二次形式が固有座標で対角化されることを使い、線形制約は 方向を切るのと等価。[3] は対称性で平面寄与をゼロにできる。[4] はフーリエ変換で熱方程式を 空間の指数減衰に帰着し、解の周期化と Riemann 和でゼロ点極限を評価する。
典型ミス
固有ベクトルを規格化せずに を書くと係数が変わる。 の外向き法線は ( の符号)。 関数からの熱核解で の係数( ではない)を落としやすい。
試験で書くべきポイント
ガウスの定理と直接面積分が一致することを明示する。 の極限では Riemann 和の連続化を使い、最後に物理像(拡散による濃度均一化)でしめくくる。
第2問 — 力学
方針
[1] は中心力ポテンシャルの典型問題。動径振動と動径+遠心の振動の違いを有効ポテンシャルで処理する。[2] は剛体の並進・回転の独立な運動方程式とインパルス・モーメンタムの保存則。衝突問題では摩擦力積と角運動量変化が同じ で結ばれる点が肝。
典型ミス
ばねの伸びを と書くのは誤り。空間的にばねは斜めに張られているので 。動径の有効ポテンシャルの曲率には遠心項の寄与( など)を必ず加える。剛体衝突で の符号は摩擦力の向きと一致するように決める。
試験で書くべきポイント
から への代入経路を明示する。すべらず転がりへの遷移条件 を の決定式として書き出す。エネルギー比は ( 成分保存分)と にかかる係数(並進+回転に分配される割合)に分けて表すと検算が容易。
第3問 — 電磁気学
方針
[1] は二重の球殻でガウス則と電位の連続性を順に積み上げる。鏡像法は「相似三角形で 」を見抜くと一発で電位条件が解ける。絶縁球の追加鏡像は「球面の総誘導電荷を打ち消す中心電荷」と説明できる。[2] は軸上磁場の公式と 、平衡条件は 、到達条件はエネルギー保存。
典型ミス
鏡像電荷の符号と位置()の取り違え。 の電流方向と磁気モーメントの向き(/)の混同。 を求める際に を解と誤認しないこと(極大)。
試験で書くべきポイント
電位は無限遠から積分する、空隙では球殻の影響を消す(球内電荷は のみ)、絶縁球の追加鏡像は中心 O に置く。ポテンシャル極値の計算では因子分けで を導く流れを書き残す。
第4問 — 量子力学
方針
[1] のデルタポテンシャルは「ジャンプ条件」 が要。基底状態の は SE 方程式から で計算するのが楽。二重ウェルでは対称・反対称の重ね合わせがトンネル振動を生む(時刻 で「左→右」へ移動)。[2] は生成消滅演算子で粒子像を整理し、 で行列要素を読み取る。
典型ミス
ジャンプ条件の符号を反対に取る(ポテンシャル なので右辺は )。重なり積分 で確率には自乗を取る。摂動行列の対角成分を で計算するのを忘れない(本問では )。
試験で書くべきポイント
ジャンプ条件の導出(デルタ関数を含む積分)を明示する。 は のデルタ寄与を「」として計上。摂動の は と のみが残ることを書き、行列固有値で を結論する。
第5問 — 熱・統計力学
方針
[1] は熱力学関係式を使い、van der Waals の補正項のみが内部エネルギーに残るのを示す。等面積則は の連続性とエントロピー・内部エネルギーの相違を結合する標準的導出。[2] は で球状フェルミ面の体積から を計算し、状態密度を 形にする。高温展開は の 2 次までで を読み取る。
典型ミス
で の積分の符号を取り違える()。状態密度の係数で因子 (スピン縮退)を落とす。等面積則の 、 の取り方の符号を間違える。 の値を計算する際 の整理を慎重に。
試験で書くべきポイント
Maxwell 関係 を明記して引用する。van der Waals では から が一気に出る。フェルミ気体では の係数 を導出するときの 積分を丁寧に書く。 の物理理由(パウリ排他律→平均エネルギーの上昇)は一文で良いから明記。