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東北大学 院試 過去問 解答例

東北大 理学研究科 物理学専攻 物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学) 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。テーマタグは9件(固有値・固有ベクトル・留数定理・調和振動子)。2021年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・調和振動子・ラグランジアン。

最終更新:

収録6年度分の解答PDF:東北大学 理学研究科 物理学専攻 物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学)(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

東北大 物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学) 2022年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問問題1 基礎数学—あり
第2問問題2 力学—あり
第3問問題3 電磁気学—あり
第4問問題4 量子力学—あり
第5問問題5 熱・統計力学—あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント5件・典型ミス5件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に9テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 5問 → 2022年度 5問
2021年度のページを見る

第1問 — 問題1 基礎数学

方針

[1] は係数比較と特性方程式、[2] は固有値の絶対値で挙動を分ける、[3] は単位円上の留数、[4] は ∇×\nabla\times の消滅条件と直線パラメータ積分。各小問とも短時間で済むので最後の検算に時間を残したい。

典型ミス

[2] 2) で「縮退して原点になる」と書くと u1\boldsymbol u_{1} 方向に発散する成分を見落とす。∣λ∣>1|\lambda|>1 の固有値があるかどうかを必ず最初に確認する。[4] 1) で法線ベクトルの符号を逆にしないこと。zz 成分が正という条件から (2s,2t,1)(2s,2t,1) をそのまま使う。

試験で書くべきポイント

[3] では ∣z∣=1|z|=1 内の極が 1/21/2 で、z=2z=2 は外であることを明記する。[4] 2b) で線積分が経路によらないことは、2a) の保存場の確認で保証されている点を一言添えると満点を確実にできる。

解答

  1. {[1 ] 微分方程式 y′′−y′−2y=xe3xy''-y'-2y=xe^{3x}。 1) yp=(ax+b)e3xy_p=(ax+b)e^{3x} を代入する。微分は yp′=(3ax+a+3b)e3x,yp′′=(9ax+6a+9b)e3x y_p'=\bigl(3ax+a+3b\bigr)e^{3x},\qquad y_p''=\bigl(9ax+6a+9b\bigr)e^{3x} であるから yp′′−yp′−2yp=(4ax+5a+4b)e3x=xe3x. y_p''-y_p'-2y_p=\bigl(4ax+5a+4b\bigr)e^{3x}=xe^{3x}. 係数比較により 4a=1, 5a+4b=04a=1,\ 5a+4b=0 なので a=14,b=−516. a=\tfrac14,\qquad b=-\tfrac{5}{16}. 2) 同次方程式 y′′−y′−2y=0y''-y'-2y=0 の特性方程式 λ2−λ−2=0\lambda^{2}-\lambda-2=0 より λ=2,−1\lambda=2,-1。よって一般解は y=C1e2x+C2e−x+(14x−516)e3x(C1,C2 は任意定数). y=C_{1}e^{2x}+C_{2}e^{-x}+\Bigl(\tfrac14 x-\tfrac{5}{16}\Bigr)e^{3x}\quad(C_{1},C_{2}\text{ は任意定数}).
  2. {[2 ] A=(−10−1/3−1105/35/32)A=\begin{pmatrix}-1&0&-1/3\\-1&1&0\\5/3&5/3&2\end{pmatrix}。 1) 第 1 行に沿って行列式を展開すると det⁡(A−λI)=(−1−λ)(1−λ)(2−λ)−13[(−1)⋅53−(1−λ)⋅53] \det(A-\lambda I)=(-1-\lambda)(1-\lambda)(2-\lambda)-\tfrac{1}{3}\Bigl[(-1)\cdot\tfrac{5}{3}-(1-\lambda)\cdot\tfrac{5}{3}\Bigr] =(−1−λ)(1−λ)(2−λ)+59(2−λ)=(2−λ)[λ2−1+59]=(2−λ)(λ2−49). =(-1-\lambda)(1-\lambda)(2-\lambda)+\tfrac{5}{9}(2-\lambda) =(2-\lambda)\bigl[\lambda^{2}-1+\tfrac{5}{9}\bigr] =(2-\lambda)\Bigl(\lambda^{2}-\tfrac{4}{9}\Bigr). よって固有値は λ1=2,λ2=23,λ3=−23. \lambda_{1}=2,\qquad \lambda_{2}=\tfrac{2}{3},\qquad \lambda_{3}=-\tfrac{2}{3}. それぞれ (A−λI)u=0(A-\lambda I)\boldsymbol u=\boldsymbol 0 を解くと、λ1=2\lambda_{1}=2 では z=−9x, y=−xz=-9x,\ y=-x より u1=(1,−1,−9)T\boldsymbol u_{1}=(1,-1,-9)^{T}、λ2=2/3\lambda_{2}=2/3 では z=−5x, y=3xz=-5x,\ y=3x より u2=(1,3,−5)T\boldsymbol u_{2}=(1,3,-5)^{T}、λ3=−2/3\lambda_{3}=-2/3 では z=−x, y=3x/5z=-x,\ y=3x/5 より u3=(5,3,−5)T\boldsymbol u_{3}=(5,3,-5)^{T}。 u1=(1−1−9),u2=(13−5),u3=(53−5). \boldsymbol u_{1}=\begin{pmatrix}1\\-1\\-9\end{pmatrix},\quad \boldsymbol u_{2}=\begin{pmatrix}1\\3\\-5\end{pmatrix},\quad \boldsymbol u_{3}=\begin{pmatrix}5\\3\\-5\end{pmatrix}. (成分の比のみ意味があり、規格化は任意である。) 2) 固有値の絶対値は ∣λ1∣=2>1|\lambda_{1}|=2>1、∣λ2∣=∣λ3∣=2/3<1|\lambda_{2}|=|\lambda_{3}|=2/3<1 である。一般の点 x=c1u1+c2u2+c3u3\boldsymbol x=c_{1}\boldsymbol u_{1}+c_{2}\boldsymbol u_{2}+c_{3}\boldsymbol u_{3} に対し Anx=c1 2nu1+c2(23)nu2+c3(−23)nu3. A^{n}\boldsymbol x=c_{1}\,2^{n}\boldsymbol u_{1}+c_{2}\bigl(\tfrac23\bigr)^{n}\boldsymbol u_{2}+c_{3}\bigl(-\tfrac23\bigr)^{n}\boldsymbol u_{3}. n→∞n\to\infty で c1≠0c_{1}\ne 0 ならば ∣Anx∣→∞|A^{n}\boldsymbol x|\to\infty、c1=0c_{1}=0 ならば Anx→0A^{n}\boldsymbol x\to\boldsymbol 0 である。すなわち u2,u3\boldsymbol u_{2},\boldsymbol u_{3} 方向の幅は 0 に潰れ、u1\boldsymbol u_{1} 方向には無限に伸びる。したがって VnV_{n} は原点を通り u1\boldsymbol u_{1} 方向に無限に伸びた直線(厚みのない 1 次元集合)になる。
  3. {[3 ] z=eiθz=e^{i\theta} より cos⁡θ=(z+z−1)/2\cos\theta=(z+z^{-1})/2、dθ=dz/(iz)d\theta=dz/(iz)。 I=∮∣z∣=115−2(z+z−1)dziz=∮∣z∣=1dzi(5z−2z2−2)=∮∣z∣=1−dz2i(z−2)(z−12). I=\oint_{|z|=1}\frac{1}{5-2(z+z^{-1})}\frac{dz}{iz} =\oint_{|z|=1}\frac{dz}{i(5z-2z^{2}-2)} =\oint_{|z|=1}\frac{-dz}{2i(z-2)(z-\tfrac12)}. ∣z∣<1|z|<1 内の極は z=1/2z=1/2 のみ。留数は Resz=1/2−12i(z−2)(z−1/2)=−12i(1/2−2)=13i. \mathrm{Res}_{z=1/2}\frac{-1}{2i(z-2)(z-1/2)}=\frac{-1}{2i(1/2-2)}=\frac{1}{3i}. よって I=2πi⋅13i=2π3. I=2\pi i\cdot\frac{1}{3i}=\frac{2\pi}{3}.
  4. {[4 ] F=(y,x−z,2yz)\boldsymbol F=(y,x-z,2yz)、G=(0,−z,2yz−z)\boldsymbol G=(0,-z,2yz-z)。 1) ∇×F=(2z+1,0,0)\nabla\times\boldsymbol F=(2z+1,0,0) である。SS は半球面の一部だが、Stokes の定理を直接使うより面積分で直接計算するのが速い。SS は z=a2−s2−t2z=a^{2}-s^{2}-t^{2}、0≤s≤a0\le s\le a、0≤t≤a0\le t\le a のグラフで、上向き法線つき面素は n dS=(2s,2t,1) ds dt. \boldsymbol n\,dS=(2s,2t,1)\,ds\,dt. F⋅n=2sy+2t(x−z)+2yz=2st+2t(s−(a2−s2−t2))+2t(a2−s2−t2)\boldsymbol F\cdot \boldsymbol n=2sy+2t(x-z)+2yz=2st+2t(s-(a^{2}-s^{2}-t^{2}))+2t(a^{2}-s^{2}-t^{2})。x=s,y=t,z=a2−s2−t2x=s,y=t,z=a^{2}-s^{2}-t^{2} を代入すると F⋅n=2st+2ts−2t(a2−s2−t2)+2t(a2−s2−t2)=4st. \boldsymbol F\cdot \boldsymbol n=2st+2ts-2t(a^{2}-s^{2}-t^{2})+2t(a^{2}-s^{2}-t^{2})=4st. よって ∫SF⋅n dS=∫0a ⁣ ⁣∫0a4st ds dt=4⋅a22⋅a22=a4. \int_{S}\boldsymbol F\cdot \boldsymbol n\,dS=\int_{0}^{a}\!\!\int_{0}^{a}4st\,ds\,dt=4\cdot\tfrac{a^{2}}{2}\cdot\tfrac{a^{2}}{2}=a^{4}. 2a) J=∇ϕ\boldsymbol J=\nabla\phi となるためには ∇×J=0\nabla\times\boldsymbol J=\boldsymbol 0 が必要十分。 ∇×F=(2z+1,0,0),∇×G=(2z+1,0,0). \nabla\times\boldsymbol F=(2z+1,0,0),\qquad \nabla\times\boldsymbol G=(2z+1,0,0). よって ∇×(F+kG)=(1+k)(2z+1,0,0)=0\nabla\times(\boldsymbol F+k\boldsymbol G)=(1+k)(2z+1,0,0)=\boldsymbol 0 から k=−1k=-1。 2b) k=−1k=-1 のとき J=(y,x,z)\boldsymbol J=(y,x,z)。CC 上で r′=(ux,uy,uz)\boldsymbol r'=(ux,uy,uz)、dr′=(x,y,z)dud\boldsymbol r'=(x,y,z)du、J(r′)=(uy,ux,uz)\boldsymbol J(\boldsymbol r')=(uy,ux,uz) なので J⋅dr′=(uxy+uxy+uz2)du=(2xy+z2)u du. \boldsymbol J\cdot d\boldsymbol r'=(uxy+uxy+uz^{2})du=(2xy+z^{2})u\,du. u:0→1u:0\to 1 で積分すると ϕ(x,y,z)=2xy+z22=xy+12z2. \phi(x,y,z)=\frac{2xy+z^{2}}{2}=xy+\tfrac{1}{2}z^{2}.

最終答

% [1] a=1/4, b=−5/16a=1/4,\ b=-5/16、一般解 y=C1e2x+C2e−x+(x/4−5/16)e3xy=C_{1}e^{2x}+C_{2}e^{-x}+(x/4-5/16)e^{3x}。 [2] 固有値 2, 2/3, −2/32,\,2/3,\,-2/3 と上記 ui\boldsymbol u_{i}。VnV_{n} は u1\boldsymbol u_{1} 方向に伸びた直線(線分)に収束する。 [3] I=2π/3I=2\pi/3。 [4] ∫SF⋅n dS=a4\int_{S}\boldsymbol F\cdot \boldsymbol n\,dS=a^{4}、k=−1k=-1、ϕ=xy+z2/2\phi=xy+z^{2}/2。

第2問 — 問題2 力学

方針

転がる剛体は「並進と回転の両方にエネルギーが入る」点が肝。摩擦のない区間では回転は維持されるので、h1h_{1} は並進 KE のみが寄与する。連成振動はラグランジアンを書いてから固有値問題に帰着させると符号ミスが起きにくい。

典型ミス

2) で「全エネルギーが位置エネルギーに変換される」と書くと h1=hA−hBh_{1}=h_{A}-h_{B} となり誤り。摩擦のない FG 上では回転 KE が転換されない点に注意する。3) では II の具体値を求めず、「球殻のほうが慣性モーメントが大きい」という一般論で十分。

試験で書くべきポイント

連成振動の共鳴条件は「固有モードと外力ベクトルの内積が非零」と書くのが安全。ω2\omega_{2} で共鳴しない理由として「中央成分が 0 だから外力と直交する」と一行添える。

問題2 力学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 問題3 電磁気学

方針

電気双極子は「テイラー展開で双極子モーメントが定義される」ことを毎回明示するのが安全。鏡像問題では「実体と像のエネルギーは仮想電荷ペアエネルギーの 1/2」を必ず書く。光学では Fresnel 係数の導出は接線連続条件から ω\omega と kk の比を整理するだけ。

典型ミス

鏡像問題で 1/2 を忘れると 2 倍誤差。鏡像双極子の向きは「面に垂直成分は不変、面に平行成分は反転」と覚える。Fresnel 係数で n=ε/ε0n=\sqrt{\varepsilon/\varepsilon_{0}} と置くか屈折率 nn と書くかは混同しないこと。

試験で書くべきポイント

横波性は ∇⋅E=0\nabla\cdot\boldsymbol E=0 が根拠。波動方程式の導出は二回微分するだけだが「真空中ゆえ ∇⋅E=0\nabla\cdot\boldsymbol E=0」を一行明記する。反射率の最小・最大の物理的意味(ε=ε0\varepsilon=\varepsilon_{0} で 0、ε→∞\varepsilon\to\infty で 1)に触れると満点を狙える。

問題3 電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 問題4 量子力学

方針

δ\delta 関数ポテンシャルでの接続条件は「波動関数連続、導関数の差は −2mgψ(0)/ℏ2-2mg\psi(0)/\hbar^{2}」で覚える。ρ1ρ2\rho_{1}\rho_{2} 平面の双曲線と直線の交点という幾何的描像で「束縛が起きるには gg がある閾値以上」が見える。

典型ミス

δ\delta 関数が引力(−gδ(x)-g\delta(x)、g>0g>0)であることに注意。引力が弱いと束縛は出来ない。ℓ=1\ell=1 の角度関数の直交性は積分でなく対称性(ϕ\phi の偶奇)で示してもよい。

試験で書くべきポイント

[2] 4) で「摂動が球対称なら ℓ,m\ell,m について非対角項は 0」と一行書くと「対角化不要」が論理的に正当化される。動径積分の値は表をそのまま使うが、ΔE=σ⟨r⟩\Delta E=\sigma\langle r\rangle の形を経由するので ℓ\ell 方向の規格化と 4π4\pi の因子は約分される。

問題4 量子力学の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 問題5 熱・統計力学

方針

[1] は FF の偏微分で機械的に出る Maxwell 関係式の典型問題。[2] は (∂U/∂V)T=a/V2(\partial U/\partial V)_{T}=a/V^{2} さえ出れば 1a, 1b は連立で済む。[3] の分配関数は Z1,Z2Z_{1},Z_{2} の各因子を独立に積分するだけだが、回転の Jacobian sin⁡θ\sin\theta が pϕp_{\phi} 積分から自然に出ることに注意。

典型ミス

Z2Z_{2} で sin⁡2θ\sin^{2}\theta が分母にあると不安になりがちだが、pϕp_{\phi} Gauss 積分で sin⁡θ\sin\theta が掛かる結果、dθ dϕd\theta\,d\phi 上の積分は綺麗にまとまる。⟨ε2+ε3⟩\langle\varepsilon_{2}+\varepsilon_{3}\rangle で項数を数え間違えると等分配則との整合性が崩れる。

試験で書くべきポイント

x→∞x\to\infty では双極子が電場方向に「凍結」して角度自由度の運動が 2 次元調和振動子的になり、CV=7R/2C_{V}=7R/2 に上昇する点を 1 行触れると満点を狙える。x→0x\to 0 ではポテンシャル −μEcos⁡θ-\mu E\cos\theta が二次形式でないため等分配則の数え方どおり 5R/25R/2 となる。

問題5 熱・統計力学の途中式・最終答をPDFで見る

東北大 物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学) 院試 過去問の収録6年度