院試hub

名古屋工業大学 院試 過去問 解答例

名工大 工学研究科 情報工学系 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。情報2問。テーマタグは9件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・留数定理)。2025年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・留数定理・正規表現・形式言語。

最終更新:

このページで公開
解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

名工大 情報工学系 2026年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は情報2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問情報計算機ソフトウェア—あり
第2問情報計算機ハードウェア—あり
第3問—情報数学—あり
第4問—微分積分・線形代数—あり
第5問—数理科学1—あり
第6問—数理科学2—あり

この年度の解説には採点の置き所6件・典型ミス4件・検算2件が付いています。

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に9テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 6問 → 2026年度 6問
2025年度のページを見る

第1問 — 計算機ソフトウェア

この問題の採点では、アルゴリズム名を覚えているかよりも、節点を取り出す順序を不変量として説明できるかが重要である。スタック版中間順走査では「まだ自分自身を出力していない祖先」をスタックに保つ。右部分木へ移ったあとも同じ不変量を保てるので、再帰版と同じ順序になる。

正規性の議論では「閉路がある」だけでは不十分である。閉路を反復しても受理されるため、受理語長が等差的に増やせることを明示する。平方数列は隣り合う差が無限に大きくなるため、この等差的な増加と両立しない。

採点の置き所

木の問題では、走査列、スタック操作、探索停止条件、計算量を別々に答える。正規性の証明では、正規な例はオートマトンを示し、非正規な例は閉路反復またはポンピング補題で矛盾を作る。

典型ミス

二分探索木の計算量は木の高さに依存する。常に O(log⁡N)O(\log N) と書くと、退化した木の O(N)O(N) を落とすことになる。

計算機ソフトウェアの途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 計算機ハードウェア

2の補数では最上位ビットが重み −2n−1-2^{n-1} を持つと考えると符号付き値を素早く読める。算術右シフトは除算とは似ているが、負数ではゼロ埋めではなく符号拡張を行う点を落としやすい。

桁上げ先見の式は丸暗記より、ci+1=gi+picic_{i+1}=g_i+p_ic_i を順に代入すると安全である。MIPS の制御表では、メモリを読まない命令の MemRead など、出力に影響しない信号を don't care として扱える。

採点の置き所

組合せ回路では、半加算器2個から全加算器を作る構成、MUXの選択信号ごとの出力、桁上げ先見の再帰式を順に示す。命令処理では、命令形式、制御信号、PC更新部の追加を分けて書くと読みやすい。

典型ミス

選択回路の式では、s1,s0s_1,s_0 のどちらを上位選択信号として読むかを固定する必要がある。制御表では store 命令の RegWrite を0にしないと、不要なレジスタ書込みをする回路になる。

解答

I. 数値表現

8ビット2の補数として読むと 100101102=−106,011011002=108. 10010110_2=-106,\qquad 01101100_2=108. 算術右シフトでは符号ビットを複製するので 111100002≫2=111111002=−4. 11110000_2 \gg 2=11111100_2=-4. 0.6240.624 を誤差 0.0010.001 以内で2進小数にするには 0.1012=0.6250.101_2=0.625 で十分である。また 2025r=2r3+2r+5=1045 2025_r=2r^3+2r+5=1045 より r=8r=8 である。

II. 組合せ回路

全加算器の出力は s=a⊕b⊕cin,cout=ab+bcin+acin. s=a\oplus b\oplus c_{\mathrm{in}},\qquad c_{\mathrm{out}}=ab+bc_{\mathrm{in}}+ac_{\mathrm{in}}. 半加算器2個で a+ba+b、その和と cinc_{\mathrm{in}} を加算し、2つの桁上げを OR すれば実現できる。

選択回路の出力は、選択信号を s1,s0s_1,s_0 とすると f=s0‾s1‾(a+b)+s0‾s1(a⊕b)+s0abc. f=\overline{s_0}\overline{s_1}(a+b) +\overline{s_0}s_1(a\oplus b)+s_0abc. 桁上げ伝搬型加算器は1ビット全加算器を直列に接続するため、遅延はビット数に比例する。

桁上げ先見では gi=aibi, pi=ai⊕big_i=a_ib_i,\ p_i=a_i\oplus b_i とおけば c1=g0+p0c0,c2=g1+p1g0+p1p0c0,c3=g2+p2g1+p2p1g0+p2p1p0c0,c4=g3+p3g2+p3p2g1+p3p2p1g0+p3p2p1p0c0. \begin{aligned} c_1&=g_0+p_0c_0,\\ c_2&=g_1+p_1g_0+p_1p_0c_0,\\ c_3&=g_2+p_2g_1+p_2p_1g_0+p_2p_1p_0c_0,\\ c_4&=g_3+p_3g_2+p_3p_2g_1+p_3p_2p_1g_0+p_3p_2p_1p_0c_0. \end{aligned} 高速化できる一方、論理ゲート数と配線量が増える。

III. 命令処理

6ビットの命令コードなら最大 26=642^6=64 種、5ビットのレジスタ番号なら 25=322^5=32 本を指定できる。PC+4 の加算器は逐次実行時の次命令アドレスを作る。

R形式の加算命令では、レジスタ番号部に 1,2,31,2,3 が並ぶ。ロード命令では、基底レジスタ、転送先レジスタ、16ビット即値が命令語に入る。制御信号は標準的な単一サイクルデータパスでは RegDstALUSrcMemtoRegRegWriteMemReadMemWriteALUOpadd1001∗00load0111100write∗1∗0010 \begin{array}{c|ccccccc} & \mathrm{RegDst}&\mathrm{ALUSrc}&\mathrm{MemtoReg}&\mathrm{RegWrite}&\mathrm{MemRead}&\mathrm{MemWrite}&\mathrm{ALUOp}\\\hline \mathrm{add}&1&0&0&1&*&0&0\\ \mathrm{load}&0&1&1&1&1&0&0\\ \mathrm{write}&*&1&*&0&0&1&0 \end{array} と整理できる。ジャンプを追加するには、次PC入力の直前に選択器を置き、通常の PC+4 とジャンプ先計算結果を選べるようにする。

最終答

数値は −106,108,−4,0.1012,r=8-106,108,-4,0.101_2,r=8。加算器・選択回路・制御信号は上記の論理式と表の通り。

第3問 — 情報数学

情報量の設問では、まず同時分布を表にしてから周辺分布・条件付き分布へ進むと符号ミスが減る。ここでは XX ごとに YY の値を集計し、最後に確率和が1になっているかを確認する。

べき集合の和集合では、2A∩2B=2A∩B2^A\cap 2^B=2^{A\cap B} を使う。A∩BA\cap B ではなく 2A∩2B2^A\cap 2^B の要素数を直接足し引きする点が典型的な落とし穴である。

採点の置き所

相互情報量は、PXP_X、PYP_Y、P(Y∣X)P(Y\mid X) を表にしてから H(Y)−H(Y∣X)H(Y)-H(Y\mid X) に代入する。写像問題では、pap_a 単体の単射性と後段の線形写像を含めた全単射性を分けて判定する。

検算

無向グラフの次数和は常に偶数で、辺数の2倍になる。写像 pap_a は a<0a<0 で正の部分が消える区間を持つため、単射でないことを具体例で確認できる。

情報数学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 微分積分・線形代数

この関数は 2x−y2x-y を新変数にすると境界も式も大きく簡単になる。停留点だけで終えず、指定領域では境界上の候補も必ず比較する。

行列は J−3IJ-3I と見抜くのが最短である。JJ は (1,1,1)T(1,1,1)^T 方向に固有値3、直交平面で固有値0を持つので、AA の固有構造は直ちに分かる。

採点の置き所

極値問題では、内点の停留点、Hessianによる分類、制約領域の境界比較を分ける。行列問題では、JJ の固有空間を使って AA の固有値と AnA^n を同時に出す流れが最も短い。

典型ミス

制約領域では、内点の極大値 16/916/9 より境界上の値 33 が大きい。停留点だけで最大値を決めると誤答になる。

微分積分・線形代数の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 数理科学1

ローラン展開では、積分値に必要なのは z−1z^{-1} の係数だけである。2つ目の積分は、ff の零点が 1/f1/f の極になることを使う。

微分方程式では、無限遠で発散する exe^x 成分を必ず消す。特性根の実部と特解の係数を分けて見ると、境界条件を満たせる場合の分類を誤りにくい。

採点の置き所

1/f1/f の積分では、零点の位置、単純零点であること、各零点での留数を順に書く。微分方程式の一般条件では、特解が境界値を満たす場合と同次解で補正できる場合を分ける。

典型ミス

特性方程式の根に正の実部がある成分は無限遠で発散するため使えない。境界条件の分類で、根の符号と特解の係数を同じ条件としてまとめないこと。

数理科学1の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 数理科学2

独立集合族では「極大」と「最大」を混同しないことが大切である。交換性があるため、極大なら自動的に最大サイズになる。

ガンマ・ベータ関数の証明は、同じ二重積分を2通りに評価するだけである。変数変換のヤコビアン vv を落とすと指数が1ずれ、後続の式がすべて崩れる。

採点の置き所

独立集合族の判定では、空集合、部分集合閉性、交換性の3条件を順に確認する。ガンマ・ベータ関数では、領域変換、ヤコビアン、分離積分、恒等式の導出を一続きで書く。

検算

x=uv, y=(1−u)vx=uv,\ y=(1-u)v では x+y=vx+y=v なので、vv の範囲が元の x+yx+y の範囲に対応する。最後の積分は正値なので、Γ(1/4)2/(4π)\Gamma(1/4)^2/(4\sqrt{\pi}) も正になる。

数理科学2の途中式・最終答をPDFで見る

名工大 情報工学系 院試 過去問の収録3年度

  • 2026年度(このページ・全6問)

    計算機ソフトウェア / 計算機ハードウェア / 情報数学

  • 2025年度(全6問)

    計算機ソフトウェア / 計算機ハードウェア / 情報数学

  • 2024年度(全6問)

    計算機ソフトウェア / 計算機ハードウェア / 情報数学