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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 電気系工学専攻 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。電磁気学・回路3問・情報1問・制御工学1問。テーマタグは7件(伝達関数・静電場・固有振動数と振動系)。

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収録1年度分の解答PDF:東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻 専門科目(¥2,180・紙面見本あり)

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
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東大 専門科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は電磁気学・回路3問・情報1問・制御工学1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問電磁気学・回路電磁気学自由電荷には ,エネルギーには D / 磁界 と磁束密度 を区別するあり
第2問電磁気学・回路電気回路・MOSFETスイッチ投入後にどの素子が残るかを先に見る / MOS小信号は交流接地と出力抵抗で決まるあり
第3問情報情報理論・信号処理相互情報量は候補の割れ方で見る / 逆フィルタは極の位置まで書くあり
第4問電磁気学・回路論理回路・アルゴリズム回路は式に落としてから最小化する / このソートは挿入ソートではないあり
第5問量子力学量子井戸・固体電子統計無限井戸と有限井戸の違い / 状態密度ではスピンを明記するあり
第6問制御工学制御・電気エネルギー工学図の内側フィードバックを分母へ入れる / 三相は平均だけでなく瞬時電力も見るあり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に7テーマが出ています。

第1問 — 電磁気学

自由電荷には D\mathbf D,エネルギーには E⋅D\mathbf E\cdot\mathbf D

誘電体中の Gauss の法則で直接扱うのは自由電荷である。内部電場を真空中の式で書くと εr=3\varepsilon_r=3 の因子を落とす。さらにエネルギーでは内部と外部で媒質が違うため,内部を 12E⋅D\frac12\mathbf E\cdot\mathbf D,外部を 12ε0E2\frac12\varepsilon_0E^2 と分けて積分する必要がある。

磁界 HH と磁束密度 BB を区別する

円柱導体の問は「磁界」を求めるので,Ampere の法則でまず HH を出し,エネルギー計算で B=μHB=\mu H を使う。相互インダクタンスは符号が図の電流向きに依存するため,符号規約を明記すると減点されにくい。

解答

I. 静電場

(1) 導体球では電荷は表面に分布し,球内部の電場は 0 である。半径 r>ar>a の球面を Gauss 面に取ると 4πr2ε0Er(r)=Q 4\pi r^2 \varepsilon_0 E_r(r)=Q より E(r)={0,0≤r<a,Q4πε0r2er,r>a. \mathbf E(r)= \begin{cases} \mathbf 0,&0\le r<a,\\[1mm] \dfrac{Q}{4\pi\varepsilon_0 r^2}\mathbf e_r,&r>a. \end{cases}

(2) 無限遠を基準にして Er=−dV/drE_r=-dV/dr を積分する。外部では V(r)=∫r∞Q4πε0s2 ds=Q4πε0r(r≥a). V(r)=\int_r^\infty \frac{Q}{4\pi\varepsilon_0 s^2}\,ds =\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0 r}\qquad (r\ge a). 導体内部は等電位なので V(r)=Q4πε0a(0≤r≤a). V(r)=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0 a}\qquad (0\le r\le a).

(3) 誘電体球では自由電荷だけが Gauss の法則 ∮D⋅dS=Qf,enc \oint \mathbf D\cdot d\mathbf S=Q_{\mathrm f,enc} に入る。球内部 r<ar<a では Dr(r)=ρ0r3,Er(r)=Drε0εr=ρ0r9ε0(εr=3). D_r(r)=\frac{\rho_0 r}{3},\qquad E_r(r)=\frac{D_r}{\varepsilon_0\varepsilon_r} =\frac{\rho_0 r}{9\varepsilon_0} \quad(\varepsilon_r=3). 球外部では全自由電荷 Qf=4πa3ρ0/3Q_{\mathrm f}=4\pi a^3\rho_0/3 が作る場だから Er(r)=ρ0a33ε0r2(r>a). E_r(r)=\frac{\rho_0 a^3}{3\varepsilon_0 r^2}\qquad (r>a). したがってグラフは,内部で原点から直線的に増加し,表面直外で ρ0a/(3ε0)\rho_0 a/(3\varepsilon_0) に跳び,外部では r−2r^{-2} で減少する。

(4) 静電エネルギー密度は誘電体内部で u=12E⋅D=ρ02r254ε0, u=\frac12 \mathbf E\cdot\mathbf D =\frac{\rho_0^2 r^2}{54\varepsilon_0}, 真空中で u=12ε0E2=ρ02a618ε0r4 u=\frac12 \varepsilon_0 E^2 =\frac{\rho_0^2 a^6}{18\varepsilon_0 r^4} である。よって Win=4π∫0aρ02r254ε0r2 dr=2πρ02a5135ε0,Wout=4π∫a∞ρ02a618ε0r4r2 dr=2πρ02a59ε0. \begin{aligned} W_{\mathrm{in}} &=4\pi\int_0^a \frac{\rho_0^2 r^2}{54\varepsilon_0}r^2\,dr =\frac{2\pi\rho_0^2a^5}{135\varepsilon_0},\\ W_{\mathrm{out}} &=4\pi\int_a^\infty \frac{\rho_0^2a^6}{18\varepsilon_0r^4}r^2\,dr =\frac{2\pi\rho_0^2a^5}{9\varepsilon_0}. \end{aligned} したがって W=Win+Wout=32πρ02a5135ε0. W=W_{\mathrm{in}}+W_{\mathrm{out}} =\frac{32\pi\rho_0^2a^5}{135\varepsilon_0}.

(5) 線形誘電体なので P=ε0(εr−1)E=2ρ0r9er(r<a). \mathbf P=\varepsilon_0(\varepsilon_r-1)\mathbf E =\frac{2\rho_0 r}{9}\mathbf e_r\qquad (r<a). したがって ρp=−∇⋅P=−1r2ddr(r22ρ0r9)=−2ρ03. \rho_{\mathrm p}=-\nabla\cdot\mathbf P =-\frac1{r^2}\frac{d}{dr}\left(r^2\frac{2\rho_0 r}{9}\right) =-\frac{2\rho_0}{3}. 表面では外向き法線 n=er\mathbf n=\mathbf e_r に対して σp=P(a)⋅n=2ρ0a9. \sigma_{\mathrm p}=\mathbf P(a)\cdot\mathbf n =\frac{2\rho_0 a}{9}. 体積分極電荷と表面分極電荷の総和は相殺し,全体として分極電荷の総量は 0 になる。

(6) 球内部でも誘電率は 3ε03\varepsilon_0 である。与えられた電位から Er(r)=−dVdr=3V0r210a3,Dr(r)=3ε0Er=9ε0V0r210a3. E_r(r)=-\frac{dV}{dr} =\frac{3V_0r^2}{10a^3}, \qquad D_r(r)=3\varepsilon_0E_r =\frac{9\varepsilon_0V_0r^2}{10a^3}. よって自由電荷密度は ρ(r)=∇⋅D=1r2ddr(r2Dr)=18ε0V05a3r. \rho(r)=\nabla\cdot\mathbf D =\frac1{r^2}\frac{d}{dr}\left(r^2D_r\right) =\frac{18\varepsilon_0V_0}{5a^3}r.

II. 静磁場

(1) 一方の導線が他方の位置に作る磁束密度は B=μ0I2πd. B=\frac{\mu_0 I}{2\pi d}. 単位長さあたりの力は IBI B なので Fℓ=μ0I22πd. \frac{F}{\ell}=\frac{\mu_0 I^2}{2\pi d}. 同方向電流では引力であり,各導線は相手の導線の向きへ引かれる。

(2) 同方向電流では,2本の外側で磁力線が大きく回り,導線間では互いに打ち消し合う向きになる。逆方向電流では導線間で磁場が同方向に重なり,導線外側で打ち消し合う。答案では,右ねじの向きを各導線の周りに描き,同方向なら吸引,逆方向なら反発と添える。

(3) 円柱導体の電流密度は一様なので,半径 r<ar<a の円内に含まれる電流は Ienc=I1r2a2. I_{\mathrm{enc}}=I_1\frac{r^2}{a^2}. Ampere の法則より磁界の大きさは Hφ(r)={I1r2πa2,0≤r<a,I12πr,r>a. H_\varphi(r)= \begin{cases} \dfrac{I_1 r}{2\pi a^2},&0\le r<a,\\[2mm] \dfrac{I_1}{2\pi r},&r>a. \end{cases} 内部の磁束密度は B=μHB=\mu H,外部の磁束密度は B=μ0HB=\mu_0H である。

(4) 円柱内部の磁界エネルギーを単位長さあたりで積分すると Wm′=∫0a12μHφ2 2πr dr=∫0a12μ(I1r2πa2)22πr dr=μI1216π. \begin{aligned} W'_m &=\int_0^a \frac12 \mu H_\varphi^2\,2\pi r\,dr\\ &=\int_0^a \frac12\mu\left(\frac{I_1r}{2\pi a^2}\right)^2 2\pi r\,dr =\frac{\mu I_1^2}{16\pi}. \end{aligned} Wm′=12Lint′I12W'_m=\frac12 L'_{\mathrm{int}}I_1^2 より Lint′=μ8π. L'_{\mathrm{int}}=\frac{\mu}{8\pi}.

(5) D≫bD\gg b なので,円形コイル内の磁束密度は中心値で近似する。円柱電流がコイル中心に作る磁束密度は B(D)=μ0I12πD. B(D)=\frac{\mu_0I_1}{2\pi D}. したがって鎖交磁束の大きさは ∣Φ21∣=B(D)πb2=μ0I1b22D. |\Phi_{21}|=B(D)\pi b^2 =\frac{\mu_0I_1b^2}{2D}. 相互インダクタンスの大きさは ∣M∣=∣Φ21∣I1=μ0b22D. |M|=\frac{|\Phi_{21}|}{I_1} =\frac{\mu_0 b^2}{2D}. 図の電流向きを正に取ると,円柱電流の作る磁束とコイル電流の正向き法線が逆向きになるため,符号付きでは M=−μ0b22D. M=-\frac{\mu_0 b^2}{2D}.

(6) 電流源で I1,I2I_1,I_2 を一定に保つと,力は FD=I1I2dMdD F_D=I_1I_2\frac{dM}{dD} で与えられる。上の符号規約では FD=μ0I1I2b22D2. F_D=\frac{\mu_0I_1I_2b^2}{2D^2}. したがって図の向きではコイルは円柱から遠ざかる向きに力を受ける。大きさだけを書けば ∣F∣=μ0I1I2b22D2. |F|=\frac{\mu_0I_1I_2b^2}{2D^2}.

最終答

導体球は E=0 (r<a)E=0\ (r<a), E=Q/(4πε0r2) (r>a)E=Q/(4\pi\varepsilon_0r^2)\ (r>a)。誘電体球では E=ρ0r/(9ε0) (r<a)E=\rho_0r/(9\varepsilon_0)\ (r<a), E=ρ0a3/(3ε0r2) (r>a)E=\rho_0a^3/(3\varepsilon_0r^2)\ (r>a), エネルギーは 32πρ02a5/(135ε0)32\pi\rho_0^2a^5/(135\varepsilon_0)。円柱導体の内部インダクタンスは μ/(8π)\mu/(8\pi),円形コイルとの相互インダクタンスの大きさは μ0b2/(2D)\mu_0b^2/(2D)。

第2問 — 電気回路・MOSFET

スイッチ投入後にどの素子が残るかを先に見る

過渡回路では,スイッチ後の閉路を見誤ると RS1R_{S1} を式に入れてしまう。図1では投入後の放電ループは R1,L1,C1R_1,L_1,C_1 だけで,初期条件だけが VS1V_{S1} から決まる。

MOS小信号は交流接地と出力抵抗で決まる

MOSの各図では,電源やバイアス電圧を交流接地に置き換え,ドレイン節点から見える抵抗を読む。容量帰還では,ゲート電流 0 の条件が節点 XX の式そのものになる。

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第3問 — 情報理論・信号処理

相互情報量は候補の割れ方で見る

この天秤問題では,測定結果 YY は状態 XX から一意に決まる。したがって I(X;Y)=H(Y)I(X;Y)=H(Y) であり,左右・釣合いの 3 分岐ができるだけ均等になる測定がよい。左右に 4 個ずつ載せると 8,8,98,8,9 通りに分かれるため,最初の一手として最も情報量が大きい。

逆フィルタは極の位置まで書く

差分方程式だけで止めず,G(z)=1/(1+az−1)G(z)=1/(1+az^{-1}) と書くと,インパルス応答と安定条件が同時に出る。遅延が 1 サンプルであることを図から読み取り,x(n−1)x(n-1) とするのがこの設問の要点である。

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第4問 — 論理回路・アルゴリズム

回路は式に落としてから最小化する

図をそのまま追うより,まず (x‾+y‾)(y+z)(\overline{x}+\overline{y})(y+z) と式にしてから吸収則を使うと簡単になる。和差選択回路は,減算を 2 の補数加算に帰着するのが最小構成への近道である。

このソートは挿入ソートではない

問題文の再帰構造はクイックソートそのものである。ピボットが端に偏ると O(n2)O(n^2),ランダム化で平均 O(nlog⁡n)O(n\log n) になる,という対比を明確に書くと部分点を取りやすい。

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第5問 — 量子井戸・固体電子統計

無限井戸と有限井戸の違い

無限井戸では壁で ψ=0\psi=0 だが,有限障壁では ψ\psi と ψ′\psi' が連続する。有限障壁のしきい値は,外側の減衰定数 KK が 0 に近づく極限で決まる。

状態密度ではスピンを明記する

自由電子の状態数はスピン縮退を含めるかで 2 倍違う。Fermi エネルギーまで求める答案では,スピンを含めた N=L3kF3/(3π2)N=L^3k_F^3/(3\pi^2) を使うのが標準である。

量子井戸・固体電子統計の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 制御・電気エネルギー工学

図の内側フィードバックを分母へ入れる

問(5)では C2(s)C_2(s) が制御対象の入力側で引き算されているため,点線部の伝達関数は 2K1/{s(s+1)(s+2)+2K2s}2K_1/\{s(s+1)(s+2)+2K_2s\} になる。ここを外側の単位帰還と混ぜないことが重要である。

三相は平均だけでなく瞬時電力も見る

負荷有効電力だけなら単相と三相は同じ数値になるが,電線損失と瞬時電力の脈動で差が出る。対称三相では二倍周波数成分が相殺されるため,機器側から見る電力が一定になる。

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