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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 通信情報システムコース 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。情報3問・電磁気学・回路2問・微分積分・解析1問。テーマタグは9件(フーリエ変換・固有値・固有ベクトル・留数定理)。2024年度と共通のテーマはフーリエ変換・固有値・固有ベクトル・留数定理。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

京大 通信情報システムコース 2025年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は情報3問・電磁気学・回路2問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—A-1 微積分・線形代数斉次方程式の判定 / 極限の取り方あり
第2問電磁気学・回路A-2 論理回路論理関数の扱い / 状態最小化あり
第3問情報A-3 情報理論・符号完全グラフのランダムウォーク / 巡回符号の判定あり
第4問—A-4 プロセッサと乗算制御信号の読み方 / Booth再符号化あり
第5問微分積分・解析B-1 解析フーリエ変換の微分性質 / 留数計算の収束条件あり
第6問電磁気学・回路B-2 電磁気・回路磁界と磁束密度の区別 / 発振回路の見方あり
第7問—B-3 通信工学OFDMの時間設計 / 有限容量待ち行列あり
第8問情報B-4 データ構造と探索ヒープ配列表現 / 再帰関数の端点あり
第9問情報B-5 オートマトンと言語NFAからDFAへの変換 / 文法の見かけに惑わされないあり
第10問—B-6 文法と意味空リストとLR(0) / 状態を明示する理由あり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に9テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 10問 → 2025年度 10問
2025年度で新しく出たテーマ
伝達関数・電磁波・計算量理論・符号理論
2024年度のページを見る

第1問 — A-1 微積分・線形代数

斉次方程式の判定

未知数の個数と方程式の個数が等しい斉次一次方程式では、非自明解の有無は係数行列が正則でないこと、すなわち行列式が 0 であることに帰着する。根 a=−2a=-2 は重根であるが、問われているのは aa の値なので重複度を答える必要はない。

極限の取り方

tan⁡x\tan x の第3次項まで見れば、発散する 1/x21/x^2 が打ち消された後の定数項が決まる。ロピタルの定理を繰り返してもよいが、展開の方が誤符号を避けやすい。

球面領域の対称性

円柱は xyxy 平面で (x−a/2)2+y2≤(a/2)2(x-a/2)^2+y^2\le (a/2)^2 という円柱である。球面上では上半球側と下半球側に同じ面積の領域が現れるため、θ\theta の積分範囲が二つに分かれる。この二つを落とすと面積が半分になってしまう。

解答

(1) 係数行列を A(a)=(1210−2a010−11a−1202) A(a)= \begin{pmatrix} 1&2&1&0\\ -2&a&0&1\\ 0&-1&1&a\\ -1&2&0&2 \end{pmatrix} とおく。斉次連立一次方程式が自明でない解をもつための必要十分条件は det⁡A(a)=0\det A(a)=0 である。

行列式を計算すると det⁡A(a)=a3+2a2−2a−4=(a+2)2(a−1). \det A(a) =a^3+2a^2-2a-4 =(a+2)^2(a-1). したがって求める値は a=−2, 1 a=-2,\ 1 である。

(2) tan⁡x\tan x の展開 tan⁡x=x+x33+O(x5) \tan x=x+\frac{x^3}{3}+O(x^5) を用いると xtan⁡x=x2(1+x23+O(x4)). x\tan x=x^2\left(1+\frac{x^2}{3}+O(x^4)\right). よって 1xtan⁡x=1x2(1−x23+O(x4))=1x2−13+O(x2). \frac{1}{x\tan x} =\frac{1}{x^2}\left(1-\frac{x^2}{3}+O(x^4)\right) =\frac{1}{x^2}-\frac{1}{3}+O(x^2). したがって lim⁡x→0(1x2−1xtan⁡x)=13. \lim_{x\to 0} \left(\frac{1}{x^2}-\frac{1}{x\tan x}\right) =\frac{1}{3}.

(3) 球面を x=asin⁡θcos⁡φ,y=asin⁡θsin⁡φ,z=acos⁡θ x=a\sin\theta\cos\varphi,\quad y=a\sin\theta\sin\varphi,\quad z=a\cos\theta で表す。円柱条件は x2+y2≤ax⟺sin⁡2θ≤sin⁡θcos⁡φ. x^2+y^2\le ax \quad\Longleftrightarrow\quad \sin^2\theta\le \sin\theta\cos\varphi. 0≤θ≤π0\le\theta\le\pi では sin⁡θ≥0\sin\theta\ge0 なので、cos⁡φ≥0\cos\varphi\ge0 かつ sin⁡θ≤cos⁡φ \sin\theta\le \cos\varphi である。よって −π/2≤φ≤π/2-\pi/2\le\varphi\le\pi/2 とし、 α(φ)=arcsin⁡(cos⁡φ)\alpha(\varphi)=\arcsin(\cos\varphi) とおけば、許される θ\theta は 0≤θ≤α(φ),π−α(φ)≤θ≤π 0\le\theta\le\alpha(\varphi),\qquad \pi-\alpha(\varphi)\le\theta\le\pi の二つの範囲である。球面の面素は a2sin⁡θ dθdφa^2\sin\theta\,d\theta d\varphi だから、面積 SS は S=a2∫−π/2π/2{∫0α(φ)sin⁡θ dθ+∫π−α(φ)πsin⁡θ dθ}dφ=2a2∫−π/2π/2{1−cos⁡α(φ)} dφ. \begin{aligned} S &=a^2\int_{-\pi/2}^{\pi/2} \left\{\int_0^{\alpha(\varphi)}\sin\theta\,d\theta +\int_{\pi-\alpha(\varphi)}^\pi\sin\theta\,d\theta\right\}d\varphi\\ &=2a^2\int_{-\pi/2}^{\pi/2}\{1-\cos\alpha(\varphi)\}\,d\varphi. \end{aligned} ここで cos⁡α(φ)=1−cos⁡2φ=∣sin⁡φ∣ \cos\alpha(\varphi) =\sqrt{1-\cos^2\varphi} =|\sin\varphi| であるから S=2a2(π−∫−π/2π/2∣sin⁡φ∣ dφ)=2a2(π−2). S=2a^2\left(\pi-\int_{-\pi/2}^{\pi/2}|\sin\varphi|\,d\varphi\right) =2a^2(\pi-2).

最終答

(1) a=−2,1(1)\ a=-2,1、 (2) 1/3(2)\ 1/3、 (3) 2a2(π−2)(3)\ 2a^2(\pi-2)。

第2問 — A-2 論理回路

論理関数の扱い

f=(g⊕h)rf=(g\oplus h)r では、g⊕h=0g\oplus h=0 の場所で f=1f=1 になっていると、どのような rr を選んでも実現できない。最初にこの矛盾の有無を調べ、その後で rr のドントケアを使って最小化するのが安全である。

状態最小化

順序回路の状態最小化では、まず同じ入力に対して同じ出力を返す状態だけを候補にする。次に、それらの次状態が同じ同値類へ入るかを反復的に確認する。出力だけで判断すると、遷移先の違いを見落とす。

A-2 論理回路の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — A-3 情報理論・符号

完全グラフのランダムウォーク

完全グラフでは現在いる頂点以外の3頂点へ等確率で移る。定常分布が一様になるため、相互情報量は「次の頂点が全体として持つ2ビット」から「現在頂点を知った上でも残る log⁡3\log3 ビット」を引けばよい。

巡回符号の判定

巡回符号では、符号語であることは生成多項式で割り切れることと同値である。ハミング符号であるという指定から、最小距離は符号理論の標準結果 33 を使える。ただし、重み3の具体例を出すと最小距離の上界も確認できる。

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第4問 — A-4 プロセッサと乗算

制御信号の読み方

命令ごとの本質は、add が「Accに加算結果、PCに PC+1PC+1」、mov が「Accに即値、PCに PC+1PC+1」、jmp が「Acc保持、PCに即値」である。データパス上のMUXがこの三つを選べるように制御表を作ればよい。

Booth再符号化

通常の繰り返し乗算では1の立っている桁ごとに部分積を作る。一方、Booth 法では連続する1を差で表すため、正の部分積と負の部分積が混じる。負の部分積は必ず指定ビット幅の2の補数で書くことが重要である。

A-4 プロセッサと乗算の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — B-1 解析

フーリエ変換の微分性質

時間領域で tt を掛ける操作は、周波数領域では ω\omega 微分に対応する。符号は定義の指数 e−iωte^{-i\omega t} に依存するので、−i-i の位置を丁寧に追う必要がある。

留数計算の収束条件

−1<α<1-1<\alpha<1 は、原点近くで xαx^\alpha が可積分であり、無限遠で xα−2x^{\alpha-2} が可積分であるための条件である。この条件がそのまま鍵穴型経路で小円・大円の寄与を消せる条件にもなっている。

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第6問 — B-2 電磁気・回路

磁界と磁束密度の区別

真空中では B=μ0HB=\mu_0H である。ここでは磁界 HH を問う形なので、ビオ・サバールの係数は μ0/(4π)\mu_0/(4\pi) ではなく 1/(4π)1/(4\pi) になる。

発振回路の見方

この回路は、積分器が三角波を作り、ヒステリシスを持つコンパレータが閾値で方形波を反転させる構造である。周期は、三角波が二つの閾値間を一定傾きで移動する時間から直接求められる。

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第7問 — B-3 通信工学

OFDMの時間設計

総ビットレートが固定されると、サブキャリア数を増やすほど各サブキャリアのシンボル時間は長くなる。遅延広がりを吸収するためのガードインターバルを相対的に短くしたい場合、十分長い有効シンボル時間が必要になる。

有限容量待ち行列

M/M/2/4 は出生死滅過程として扱うと最も簡単である。サーバ数が2なので、システム内呼数が2以上のときのサービス完了率は常に 2μ2\mu になる点が計算の分岐である。

B-3 通信工学の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — B-4 データ構造と探索

ヒープ配列表現

1始まりの配列では、親と子の添字公式が特に簡単になる。0始まり配列とは公式が異なるため、添字が A[1]A[1] から始まる指定であることを確認してから答える。

再帰関数の端点

この関数は通常の二分探索に近いが、左側を探索するときに c−1c-1 ではなく cc を含める。したがって停止条件や呼び出し回数を数えるときは、実際の区間列を書き出すとミスを避けられる。

B-4 データ構造と探索の途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — B-5 オートマトンと言語

NFAからDFAへの変換

NFAでは同じ入力文字で複数の遷移を同時に追う。部分集合構成で到達可能集合を状態にし、その後で等価状態をまとめると、数え上げや正規表現の導出が安定する。

文法の見かけに惑わされない

TT は bb の個数に合同条件を作るが、S→SbS\to Sb が右側に任意個の bb を追加できるため、最終的な言語ではその合同条件が消える。生成規則を局所的に見るだけで非正規と判断しないことが大切である。

B-5 オートマトンと言語の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — B-6 文法と意味

空リストとLR(0)

空列生成がある文法でも LR(1) なら先読みで還元タイミングを決められる場合がある。しかし LR(0) は先読みを使わないため、次のトークンを見ずに空列へ還元してよいかを決めなければならない。この文法ではそこが衝突になる。

状態を明示する理由

インタプリタでは「式の評価」と「命令の実行」が状態を介してつながる。代入は状態を更新し、条件分岐とループは式を現在状態で評価して実行する命令を選ぶ。この対応を書けていれば、構文解析器を実装しなくても意味論の要点を示せる。

B-6 文法と意味の途中式・最終答をPDFで見る

京大 通信情報システムコース 院試 過去問の収録5年度

  • 2025年度(このページ・全10問)

    A-1 微積分・線形代数 / A-2 論理回路 / A-3 情報理論・符号

  • 2024年度(全10問)

    A-1 解析・線形代数 / A-2 論理回路・順序回路 / A-3 情報理論

  • 2023年度(全10問)

    A-1 微積分・線形代数 / A-2 論理回路・順序回路 / A-3 情報理論・符号化

  • 2022年度(全17問)

    A-1 微積分 / A-2 解析 / A-3 電磁気

  • 2021年度(全17問)

    A-1 微積分と線形代数 / A-2 解析 / A-3 電磁気