名古屋工業大学 院試 過去問 解答例
名工大 工学研究科 情報工学系 2024年度 院試 解答例・解説
名古屋工業大学 工学研究科 情報工学系 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 計算機ソフトウェア
TSP の2近似は、全域木を2重化したオイラー歩道を考えると見通しがよい。ショートカットで重みが増えない点に三角不等式を使う。
文法は、 が初めの と末尾の を同時に増やし、 が中央の と末尾の を同時に増やす、と読むと生成形がすぐ分かる。
採点の置き所
TSP では、全探索の候補数、MST が下界になる理由、2近似の上界を別々に書くと部分点を拾いやすい。数値例では Kruskal 法で選んだ3辺の重み合計、近似巡回路の重み、最適巡回路の重みを混ぜずに示す。
典型ミス
文脈自由文法では、末尾の の個数が初めの と中央の の合計になる。 と読んでしまうと、長さ8の列挙と非正規性の証明が両方ずれる。
第2問 — 計算機ハードウェア
2の補数の範囲は である。演算前の値だけでなく演算結果もこの範囲に入る必要がある。
リングカウンタと Johnson カウンタは、初期状態による周期が違う。設計表では、D-FF の反転出力をそのまま使えるため NOT ゲートを数えない点に注意する。
採点の置き所
数値表現は、答だけでなく範囲判定の不等式を1つ添えると安全である。カウンタ設計では、現状態、次状態、入力値の表を先に作り、そこから論理式を簡単化した流れを残すと減点されにくい。
典型ミス
算術右シフトを論理右シフトとして扱うと負数の答が変わる。MIPS では添字をバイトアドレスに変換するため、要素数の加算とアドレスの4バイト加算を区別する。
第3問 — 情報数学
加法雑音通信路では、入力を固定した条件付き出力分布は雑音分布の置換になる。容量は を一様にできるかで決まり、今回は一様入力で達成できる。
グラフの推移閉包は、直接辺ではなく到達可能性で考える。反射閉包と推移閉包を混ぜないように分けて答える。
採点の置き所
通信路では を雑音分布のエントロピーとして求め、次に で上界を置き、最後に一様入力で達成できることを示す。この3段階が容量計算の答案になる。
典型ミス
反復符号の多数決では、正しい記号が2回以上出ればよい。3回すべて正しい場合だけを数えると で止まり、 にならない。
第4問 — 微分積分・線形代数
偏微分では、平方根の外側微分と分数の内側微分を分けるとよい。重積分は極座標にすると角度部分が として外に出る。
行列式は最後の列で展開すると、 の項が各行から同符号で現れる。係数が と足し上がるため閉じた形が得られる。
採点の置き所
接平面では、点の 座標、、 をそれぞれ明示してから平面式に代入する。行列式では の初期値と漸化式を両方書くと、一般式の根拠が明確になる。
検算
重積分の integrand は上半円板で正なので、答も正でなければならない。非自明解条件は と同値であり、 を代入すると一般式が0になることを確認できる。
第5問 — 数理科学1
複素積分では、円内に入る極をまず判定する。 だけは重極になるため、単純極の公式を使わない。
のフーリエ級数は偶関数であることを使うと半分になる。 の代入と Parseval は、古典的な の導出である。
採点の置き所
複素積分は、極の位置、極の位数、留数の3点を分けて書く。 と だけ場合分けが必要になる理由を明示すると、一般式との混同を避けられる。
典型ミス
Parseval では の係数が になる。ここを落とすと の係数がずれるので、左辺の平均値積分と右辺の係数を同じ正規化で書く。
第6問 — 数理科学2
補間の存在一意性は、Vandermonde 行列が正則かどうかに尽きる。行列式が0でない条件を、節点が互いに異なることとして言い換える。
比判定で となる例は、調和級数と の級数を並べるのが最も短い。どちらも比は1へ行くが収束性が異なる。
採点の置き所
補間では、3点を代入した連立方程式の解と、一般の Vandermonde 行列が正則である理由を別に示す。後半の級数では、比の極限、比較判定、項が0に近づかないことを問題ごとに使い分ける。
典型ミス
なら比判定で発散だが、 では何も言えない。 を発散条件として使う答案は、 の反例で崩れる。