東京大学 院試 過去問 解答例
東大 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 専門科目(コンピュータ科学) 2026年度 院試 解答例・解説
東京大学 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 専門科目(コンピュータ科学) 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 形式言語とオートマトン
削除操作の見方
は連続部分文字列の削除ではなく,部分列の削除である。 したがって では,1文字目の と4文字目の を 削除する場合も考える必要がある。この点を落とすと(1)の列挙で漏れが出る。
正規表現の作り方
では は各ブロックの先頭に1つずつ現れる。 2つの を消すと,それぞれのブロックは だけになる。 その前,間,後ろには通常の ブロックが任意個残るため, という形が自然に出る。
オートマトン構成の核心
残す文字は入力として読む。削除する文字は入力には現れないので 遷移で処理する。この2種類の遷移を同じ 上で動かすことで, 「残した語」と「削除した語」を合わせたものが に属するかを確認できる。 文脈自由の場合も同じ発想で,削除列を有限オートマトンではなく プッシュダウンオートマトンに読ませればよい。
第2問 — ページングとTLB
ページテーブルサイズの基本
仮想ページ番号はページ内オフセットを除いた上位ビットで決まる。 そのため,総ページ数は である。 単一レベルページテーブルでは,全仮想ページにPTEを1つずつ持つため, ページテーブルサイズは「総ページ数 PTEサイズ」で決まる。
FIFOの落とし穴
FIFOは最も古く入ったページを追い出すだけで,最近使われたかどうかを見ない。 そのため,フレーム数を3から4に増やしてもフォールト数が12から13に増える。 これはアルゴリズムの性質によるもので,計算ミスではない。
TLBとページフォールトの時間
TLB missでページフォールトがない場合は,TLB参照,ページテーブル参照, データ参照の3段階になる。ページフォールトがある場合は, ページテーブル参照でフォールトを検出してから処理を行い,その後にアクセスを再開する。 「処理後はTLB参照から再開する」と明記されているので,再開後のTLB参照と ページテーブル参照も時間に含める。
第3問 — パイプラインと論理回路
パイプライン時間の分解
実行時間は「クロック周期 サイクル数」である。 クロック周期はステージ遅延の最大値で決まる。サイクル数は理想的には だが,ロード直後利用の回数だけ1サイクルずつ増える。 この問題ではストール理由がそれだけに限定されているため,分岐や構造ハザードを 追加で考える必要はない。
ゲート数制限への対応
デコーダでは3入力ANDをそのまま作るとゲート数が増える。 のように, NANDでOR項を作り最後をNORで受ける形にすると,4出力を条件内で作れる。
ロードユースハザード
フォワーディングは「計算済みだがまだレジスタに書かれていない値」を早く渡す仕組みである。 しかしロード値はMAステージでメモリから戻るまで計算済みにならない。 この時刻の違いが,ロード命令だけ特別に1サイクル止まる理由である。
第4問 — 有限差分と対数時間探索
有限差分の係数
は離散版の 階微分に対応する。 係数は二項係数で現れ,符号は と交互になる。したがって5階差分では が並び, の係数は である。
最大値探索の見方
列そのものを見るより,隣接差分 を見る方がよい。差分が正なら上り坂,負なら下り坂である。 2階差分が負という条件は,この傾きが単調に下がることを意味するので, 山は高々1つになり,二分探索が使える。
一般の固定次数の場合
が入力サイズに依存しないことが重要である。 山や谷の個数は によってのみ抑えられるため,候補点の数は定数個で済む。 もし が とともに増えるなら,同じ議論では は保証できない。