名古屋工業大学 院試 過去問 解答例
名工大 工学研究科 情報工学系 2025年度 院試 解答例・解説
名古屋工業大学 工学研究科 情報工学系 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 計算機ソフトウェア
ソートの判定では、最悪計算量と平均計算量を混同しない。特にクイックソートは実用上高速でも、基準値選択が悪ければ2乗時間になる。
非決定性オートマトンは、最終的に受理状態へ移るタイミングが入力末尾に限られるかを見る。ここでは最後の2文字を覚えるDFAにすればよい。
採点の置き所
ソートでは、アルゴリズム名だけでなく途中列のどの特徴で判断したかを書く。マージソートの空欄は、再帰呼出し、併合条件、代入と添字更新を対応させると部分点が取りやすい。
典型ミス
NFA からDFAへ直すとき、受理状態を「末尾が 」の状態にする必要がある。途中に が現れた状態を受理に固定すると、末尾条件ではなく部分文字列条件になってしまう。
第2問 — 計算機ハードウェア
T-FF は「次状態で反転するか」を表すので、 として表を埋める。未使用状態を don't care にすることで が大きく簡単になる。
パイプライン依存では、同じレジスタ名が出てきても、読む側か書く側かで種類が変わる。レジスタ名変更で消えるのは逆依存と出力依存で、真のデータ依存は消えない。
採点の置き所
補数表現では、変換前の10進値、ビット列、最終的な16進表記を順に示すと読み手が追いやすい。パイプラインでは、フロー依存、逆依存、出力依存を具体的な命令番号とレジスタ名で書くことが採点上重要である。
典型ミス
T-FF の入力を次状態そのものと誤解すると、 の意味を取り違える。ILP では「同じレジスタ名を使っている」だけで依存と決めず、読み書きの順序を確認する。
第3問 — 情報数学
2重マルコフ源は、状態を「直前2記号」に拡張すれば通常のマルコフ連鎖として扱える。定常分布を求めたあと、周辺分布を出す順番にすると の条件が機械的に出る。
演算 は、実数全体を通常の加法から平行移動したものと見ればよい。単位元が0ではなく2になる点を最初に押さえる。
採点の置き所
マルコフ情報源は、状態遷移、定常分布、周辺分布、エントロピーの順で書く。 の条件は2値分布が一様であることに戻すと、 が自然に出る。
典型ミス
1重マルコフで表せるかは、直前1記号が同じなら次の分布も同じかで判定する。2つ前の記号を見たまま条件を比べると、必要条件と十分条件を混同しやすい。
第4問 — 微分積分・線形代数
関数列の係数は、展開から直接読んでもよいが、導関数の漸化式にすると採点上の説明が明確になる。極限は までの係数だけを残せば十分である。
対角化の条件では、固有値が重なること自体は不可ではない。重複固有値に対応する固有空間の次元を確認することが必要である。
採点の置き所
係数問題では、 と定義してから漸化式を立てると、Taylor係数を求めていることが明確になる。対角化では、特性多項式、固有値の実数性、重複時の固有空間次元を順に確認する。
検算
は負の調和数なので と初期値を展開から確認できる。 では重複固有値 の固有空間が2次元であるため、重根でも対角化可能である。
第5問 — 数理科学1
2位の極の留数は、極因子を外した関数を1回微分する。符号は を外したあと、残る の微分で間違いやすい。
偏微分方程式は、 の関数として置くと常微分方程式に落ちる。平行移動しても端の極限が変わらないため、一意性は成り立たない。
採点の置き所
留数計算では、単純極と2位の極を別々の公式で処理する。PDEでは、移動波形 を代入してODEが出ること、端の値、平行移動による非一意性をそれぞれ書く。
典型ミス
の値では、 の実部が指数の大きさ、虚部が偏角を決める。実部と虚部を逆に扱うと、 と三角関数の係数が入れ替わる。
第6問 — 数理科学2
内積計算は、添字対が共有する成分数で場合分けするだけでよい。共通1個と共通0個の式を作り、絶対値の一致条件を解く。
方向微分の最大化は、線形関数を単位球上で最大化する問題である。勾配が0でない限り、最急上昇方向が勾配方向になる。
採点の置き所
内積問題では、共有添字が1個の場合と0個の場合の2式を明記する。方向微分では、 とコーシー・シュワルツの不等式を結びつけると答案の根拠が明確になる。
検算
の場合、各ベクトルの成分和が0であることから、張る空間が7次元以下であることをすぐ確認できる。最大方向の答は、勾配方向に単位化されているかを最後に見る。