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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 社会情報学コース 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全25問)

全25問。確率・統計1問・情報1問。テーマタグは6件(固有値・固有ベクトル・計算量理論・ソートアルゴリズム)。2023年度と共通のテーマは計算量理論・ニューラルネットワーク。

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解説24問と大問1問の途中式・最終答(全25問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき25問)
問題本文
非収録

京大 社会情報学コース 2024年度 院試 過去問の出題内容(全25問)

この25問の分野は確率・統計1問・情報1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問マシン語オーバーフロー判定 / 制約の読み方あり
第2問マージソート併合の不変条件 / 定数時間の前提あり
第3問情報プログラミング言語Prolog の応答 / 規則の変数順あり
第4問データベース正規化の意義 / JOIN と SELECT の順序あり
第5問計算量内側ループを数式化する / 計算量の改善あり
第6問確率・統計確率的推論分解形から構造を読む / サンプリングの位置づけあり
第7問情報検索とグラフ中心性precision と recall / 中心と近接中心性の違いあり
第8問ソフトウェア工学開発プロセスの比較 / UMLの多重度あり
第9問ヒューマンインタフェースNorman原理の書き分け / オンライン調査の評価軸あり
第10問予測手法予測手法の選び方あり
第11問動物の回遊進化的説明 / 調査方法の整理あり
第12問森林流域の水収支水収支の近似あり
第13問FSC認証と哺乳類相遭遇率の読み方あり
第14問生態・統計の短答選択問題への対応あり
第15問自然災害のリスク管理と危機管理答案の骨格あり
第16問災害リスクの構成要素3要素を分けるあり
第17問防災研究とオープンサイエンス防災分野での意義あり
第18問地区防災計画行政計画との違いあり
第19問ISO 19123 と CoverageCoverage の理解あり
第20問NIMS/ESF と情報情報の観点あり
第21問病院情報システム—あり
第22問医療分野の機械学習300字問題の構成あり
第23問前向き介入試験の選択バイアス選択バイアスの本質あり
第24問CT画像データ量単位変換あり
第25問病院のサプライチェーン攻撃ファイアウォールだけでは不十分な理由あり

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に6テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 25問 → 2024年度 25問
2023年度のページを見る

第1問 — 情報学基礎:マシン語

オーバーフロー判定

自然数が2の補数表記で入っているため、入力値の符号ビットは0である。したがって、和の符号ビットが1になったときだけ正のオーバーフローが起きている。 8080 とのビット積で最上位ビットを抽出し、それを回転して 0101 に変換すればフラグとして使える。

制約の読み方

この問題は「何を計算するか」だけでなく、LOAD、JUMP、ROTATEなどの命令数制約が採点対象になる。 最初の3命令で固定すべきレジスタを読み込み、その後は別レジスタだけを使うのが安全である。

解答

公開されている問題PDFでは命令表が非表示であるため、ここでは命令表を再掲せず、処理の意味が分かる形で記号命令により説明する。

(1)

与えられたプログラムは、メモリ番地 D0 の値の最上位ビットを調べ、その結果に応じてレジスタ3へ 0101 または 0000 を入れる処理になっている。 具体的には、8080 とのビット積により符号ビットを取り出す。

A316=1010 00112 \mathrm{A3}_{16}=1010\,0011_2 は最上位ビットが1であるから、判定結果は真となり、停止時のレジスタ3は 01 01 である。

一方、 2B16=0010 10112 \mathrm{2B}_{16}=0010\,1011_2 は最上位ビットが0であるから、判定結果は偽となり、停止時のレジスタ3は 00 00 である。

(2)

開始後9 ns以内、すなわち3命令以内に R4←80,R1←[D1],R2←[D2] R4\leftarrow80,\qquad R1\leftarrow [D1],\qquad R2\leftarrow [D2] を実行する。その後、R1,R2,R4R1,R2,R4 は変更しない。

以下の記号命令列は、3個のLOAD、2個のJUMP、1個のROTATE、0個のMOVE、0個のXORという条件を満たす。 00:LOADI R4,80R4←8002:LOAD R1,[D1]R1←[D1]04:LOAD R2,[D2]R2←[D2]06:AND R0,R1,R4R0←0(自然数なので符号ビットは0)08:ADD R3,R1,R2R3←R1+R20A:STORE R3,[D3][D3]←R30C:AND R6,R3,R4R6←和の符号ビット0E:ADD R5,R6,R0R5←R610:ROTATE R5,780↦01, 00↦0012:JUMP R6,16R6=R0なら停止へ14:JUMP R6,16指定条件を満たすための2個目のJUMP16:HALT. \begin{array}{lll} 00:&\mathrm{LOADI}\ R4,80 & R4\leftarrow80\\ 02:&\mathrm{LOAD}\ R1,[D1] & R1\leftarrow[D1]\\ 04:&\mathrm{LOAD}\ R2,[D2] & R2\leftarrow[D2]\\ 06:&\mathrm{AND}\ R0,R1,R4 & R0\leftarrow0\quad(\text{自然数なので符号ビットは0})\\ 08:&\mathrm{ADD}\ R3,R1,R2 & R3\leftarrow R1+R2\\ 0A:&\mathrm{STORE}\ R3,[D3] & [D3]\leftarrow R3\\ 0C:&\mathrm{AND}\ R6,R3,R4 & R6\leftarrow\text{和の符号ビット}\\ 0E:&\mathrm{ADD}\ R5,R6,R0 & R5\leftarrow R6\\ 10:&\mathrm{ROTATE}\ R5,7 & 80\mapsto01,\ 00\mapsto00\\ 12:&\mathrm{JUMP}\ R6,16 & R6=R0\text{なら停止へ}\\ 14:&\mathrm{JUMP}\ R6,16 & \text{指定条件を満たすための2個目のJUMP}\\ 16:&\mathrm{HALT}.& \end{array} 加算結果の最上位ビットが0なら R5=00R5=00、1なら回転により R5=01R5=01 となる。命令数は12個なので所要時間は 12⋅3=36 ns 12\cdot3=36\ \mathrm{ns} であり、45 ns以内である。

最終答

(1) D0が A3 のとき R3=01R3=01、D0が 2B のとき R3=00R3=00。 (2) 上の記号命令列で、[D3][D3] に和を格納し、オーバーフローなしなら R5=00R5=00、ありなら R5=01R5=01 とできる。

第2問 — 情報学基礎:マージソート

併合の不変条件

2つの入力リストが整列済みなら、先頭同士を比べて小さい方を出力へ送るだけで、出力リストの整列性は保たれる。 片方が空になった後は、もう片方の残りはすでに整列済みなのでそのまま追加できる。

定数時間の前提

通常の配列スライスや先頭削除はコピーやシフトを伴うため定数時間ではない。 問題文の仮定を満たすには、ビューやポインタ更新で処理できる表現を明示する必要がある。

情報学基礎:マージソートの途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 情報学基礎:プログラミング言語

Prolog の応答

Prologでは変数に代入される値の組を列挙する。 推移律を入れた場合、直接の事実だけでなく、間に人を挟む関係も答えに含まれる。

規則の変数順

規則AとBは、身長条件の向きが逆である。 taller(Y,X)\mathrm{taller(Y,X)} と taller(X,Y)\mathrm{taller(X,Y)} を取り違えると、BMIと体型の答えが逆になる。

情報学基礎:プログラミング言語の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 情報学基礎:データベース

正規化の意義

正規化は単に表を分ける作業ではない。 更新、挿入、削除の異常を避け、同じ事実を一箇所で管理するための設計原理である。

JOIN と SELECT の順序

関係代数では、先に条件で絞ってから結合すると中間結果が小さくなる。 この問題では ClubID=1 で絞ってから Student と結合するのが分かりやすい。

情報学基礎:データベースの途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 情報学基礎:計算量

内側ループを数式化する

内側ループは単に n−xn-x 回 zz を増やしているだけである。 この回数を直接足せば、結果を変えずにループを1段減らせる。

計算量の改善

Algorithm 1 は各 xx で最大 O(n)O(n) 回の内側反復を行う。 Algorithm 2 はその反復を定数時間の加算に置き換えるため、外側の O(log⁡n)O(\log n) 回だけで済む。

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第6問 — 専門 T1:確率的推論

分解形から構造を読む

条件付き確率表の左側に現れる変数が親ノードである。 P(Y∣X)P(Y\mid X) と P(Z∣X)P(Z\mid X) から XX は Y,ZY,Z の親であり、P(W∣Y,Z)P(W\mid Y,Z) から Y,ZY,Z は WW の親である。

サンプリングの位置づけ

サンプリングは厳密推論の代替であり、万能ではない。 標本数が不足すると分散が大きく、証拠の確率が小さい場合には有効標本が得られにくい。

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第7問 — 専門 T2:情報検索とグラフ中心性

precision と recall

recall は「正解集合のうち、上位 kk に含まれた割合」であるため、kk を増やしても下がらない。 precision は分母も増えるので、正解が追加されるか不正解が追加されるかで上下する。

中心と近接中心性の違い

中心は最遠点までの距離、すなわち最大距離だけを見る。 近接中心性は全頂点への距離の総和を見る。 したがって、最遠点まで少し遠くても、多数の頂点に近い頂点が近接中心性最大になることがある。

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第8問 — 専門 T3:ソフトウェア工学

開発プロセスの比較

インクリメンタルと反復は併用されることが多い。 実務では「小さく機能を追加しながら、各機能も反復的に改善する」形になるが、試験では重点の違いを明確に書くとよい。

UMLの多重度

UMLの多重度は、線の反対側の1インスタンスに対して、その端に何個のインスタンスが対応するかを表す。 ラベルの位置だけでなく、どちらのクラスに付いている数字かを取り違えないことが重要である。

専門 T3:ソフトウェア工学の途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — 専門 T4:ヒューマンインタフェース

Norman原理の書き分け

アフォーダンスは「できそうに見える性質」、シグニファイアは「それを示す記号や手がかり」である。 両者を区別して書くと答案が明確になる。

オンライン調査の評価軸

長所は効率性、短所は代表性と信頼性に整理できる。 単に便利と書くだけでなく、回答者の偏りや測定誤差に触れるとよい。

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第10問 — 専門 B5:予測手法

予測手法の選び方

観測データの範囲内で高精度に当てたいなら機械学習が有利になりやすい。 係数の意味や因果解釈が重要なら統計モデル、未知の将来シナリオやメカニズムが重要なら数値モデルが有利である。

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第11問 — 専門 B6:動物の回遊

進化的説明

単に「餌を求めて移動する」と書くだけでは不十分である。 移動による利益が生存率や繁殖成功を高め、その利益がコストを上回るという適応度の観点で説明する。

調査方法の整理

直接追跡法は経路に強く、化学・遺伝的手法は由来や利用海域の推定に強い。 複数手法を組み合わせると、移動経路と個体群構造を補完的に理解できる。

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第12問 — 専門 B7:森林流域の水収支

水収支の近似

貯留量変化を長期平均で無視すれば、降水量から蒸発散量を引いた値が流出量になる。 問題は「概算」を求めているため、この単純な年水収支で十分である。

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第13問 — 専門 B8:FSC認証と哺乳類相

遭遇率の読み方

カメラトラップの遭遇率は、個体数密度、活動量、移動経路、検出確率が合わさった指標である。 したがって、結果を解釈するときは「個体数が多い」と断定せず、「検出頻度が高い」と表現するのが安全である。

専門 B8:FSC認証と哺乳類相の途中式・最終答をPDFで見る

第14問 — 専門 B9:生態・統計の短答

選択問題への対応

本番では4問だけ選べばよいが、短答問題は周辺知識の確認に使いやすい。 血縁度、標準誤差、CAM植物のように式や機構を1つ添えると答案が締まる。

専門 B9:生態・統計の短答の途中式・最終答をPDFで見る

第15問 — 専門 D10:自然災害のリスク管理と危機管理

答案の骨格

自然災害では「予防・軽減」と「発災時対応」を分けて書くと整理しやすい。 手順は、評価、対策、実施、見直しという管理サイクルでまとめる。

専門 D10:自然災害のリスク管理と危機管理の途中式・最終答をPDFで見る

第16問 — 専門 D11:災害リスクの構成要素

3要素を分ける

災害リスクは自然現象の大きさだけでは決まらない。 同じハザードでも、そこに人や資産があるか、被害を受けやすい構造かで結果は大きく変わる。

専門 D11:災害リスクの構成要素の途中式・最終答をPDFで見る

第17問 — 専門 D12:防災研究とオープンサイエンス

防災分野での意義

災害時には時間が重要である。 平時からデータ形式やライセンスを整えておくことで、発災時の分析、情報共有、意思決定が速くなる。

専門 D12:防災研究とオープンサイエンスの途中式・最終答をPDFで見る

第18問 — 専門 D13:地区防災計画

行政計画との違い

地区防災計画は、上位計画を地域の生活空間に落とし込む役割を持つ。 誰が、いつ、どこへ、どの経路で、誰を支援するかまで具体化することが重要である。

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第19問 — 専門 D14:ISO 19123 と Coverage

Coverage の理解

coverageは、空間上の位置から属性値への写像である。 離散格子coverageでは、連続面全体ではなく、有限個の格子点またはセルに値が対応する。

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第20問 — 専門 D15:NIMS/ESF と情報

情報の観点

ESFの機能そのものを説明するだけでなく、どの情報を、誰が、どの意思決定に使うかを書くと設問に合う。 交通は空間情報、避難支援は個人・施設・物資情報が中心になる。

専門 D15:NIMS/ESF と情報の途中式・最終答をPDFで見る

第21問 — 専門 M16:病院情報システム

専門 M16:病院情報システムの途中式・最終答をPDFで見る

第22問 — 専門 M17:医療分野の機械学習

300字問題の構成

背景、場面、利用者、便益を1文ずつ入れると、短い字数でも設問の要求を満たせる。 医療AIでは、便益だけでなく偽陰性や説明可能性にも触れられると評価が高い。

専門 M17:医療分野の機械学習の途中式・最終答をPDFで見る

第23問 — 専門 M18:前向き介入試験の選択バイアス

選択バイアスの本質

選択バイアスは、治療群の選ばれ方がアウトカムに関係する背景因子と結びつくことで起こる。 治療そのものの効果と、患者背景の違いを分離できなくなる点が問題である。

専門 M18:前向き介入試験の選択バイアスの途中式・最終答をPDFで見る

第24問 — 専門 M19:CT画像データ量

単位変換

この問題では 1k=1024,1M=1024k 1\mathrm{k}=1024,\quad 1\mathrm{M}=1024\mathrm{k} と指定されている。 通信速度の Mbps は bit/s なので、byte に直すときは8で割る。

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第25問 — 専門 M20:病院のサプライチェーン攻撃

ファイアウォールだけでは不十分な理由

サプライチェーン攻撃は、信頼された取引先、更新経路、保守アカウントを利用する。 そのため、境界防御だけでなく、ゼロトラスト、権限管理、監査、復旧能力を組み合わせる必要がある。

専門 M20:病院のサプライチェーン攻撃の途中式・最終答をPDFで見る

京大 社会情報学コース 院試 過去問の収録5年度

  • 2025年度(全22問)

    情報学基礎:マシン語プログラム / 情報学基礎:IPv4・関係演算・排他制御・ハッシュ / 情報学基礎:LCRS木

  • 2024年度(このページ・全25問)

    情報学基礎:マシン語 / 情報学基礎:マージソート / 情報学基礎:プログラミング言語

  • 2023年度(全25問)

    情報学基礎:マシン語 / 情報学基礎:最小値・最大値探索 / 情報学基礎:木構造と循環キュー

  • 2022年度(全25問)

    情報学基礎 F-1:論理回路と誤り訂正符号 / 情報学基礎 F-2:記憶装置とOS / 情報学基礎 F-3:探索と整列

  • 2021年度(全27問)

    情報学基礎:論理回路と論理式 / 情報学基礎:非公開参考書演習 / 情報学基礎:ネットワークとインターネット