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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 社会情報学コース 2025年度 院試 解答例・解説

京都大学 情報学研究科 社会情報学コース 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全22問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 情報学基礎:マシン語プログラム

比較の考え方

この命令セットでは大小比較を直接行う命令を使わず,等号判定と8ビット加算だけで大小を判定するのが要点である。NN から1ずつ巡回的に増やすと,MM に先に到達する場合は N<MN<M,0に先に戻る場合は N>MN>M である。初期状態で N=MN=M の場合だけは先に取り分ける。

シルベスター数列

Fn+1=Fn(Fn1)+1F_{n+1}=F_n(F_n-1)+1m3m\le 3 なので,乗算命令がなくても反復加算で十分である。制約は「実行されたLOAD命令」の個数であり,ループ内部では新たなLOADを使わず,最初に読んだ m,1,1m,-1,1 だけで計算を進める。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 情報学基礎:IPv4・関係演算・排他制御・ハッシュ

関係演算

JOINでは,3表のうち1表だけに現れるEIDは結果から落ちる。したがって,まず共通EIDを取ってから列を横に連結するとミスが少ない。

デッドロック

デッドロックの典型条件は循環待ちである。今回の修正では,Bが write\mathrm{write} を保持したまま read\mathrm{read} を待つ状態をなくしている。A側を変更しない条件では,B側のロック保持時間を分けるのが最も素直である。

整列リスト

削除では先頭要素を消す場合と途中要素を消す場合でポインタ更新が異なる。整列済みという条件を使うと,探索の途中でキーを超えた時点で打ち切れる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 情報学基礎:LCRS木

LCRS表現の見方

LCRS木では「兄弟」は同じ文字位置の候補,「子」は次の文字位置を表す。通常の多分木を二分木風のポインタ2本で表すための変換であり,検索時には横に探してから下に降りる。

終端情報

節点に終端フラグがない場合,保存される単語がすべて葉で終わるという前提が必要である。実用的な辞書木では,ある語が別の語の接頭辞になる場合に備えて終端フラグを持たせる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — T1:UI設計と協調作業実験

評価実験で見るべき交絡

被験者内計画では個人差を抑えられる一方,順序効果が入りやすい。条件順序を固定すると,「2回目だから速い」という効果を「映像ありだから速い」と誤って解釈する危険がある。

課題と仮説の対応

実験課題は仮説の従属変数に合っていなければならない。完了時間を比較したいなら,何をもって完了とするかが客観的に決まる課題を選ぶ必要がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — T2:強化学習

探検関数

訪問回数 N(s,a)N(s,a) が小さいほどボーナスを大きくするのが基本である。形は一意ではないが,「未探索の行動を選ばせる」ことと「十分試した行動ではQ値本体を重視する」ことが説明できればよい。

自動運転への適用

この設問では賛否のどちらか一方ではなく,性能,探索,報酬の三つを必ず結び付ける必要がある。特に探索を現実環境で自由に行えない点は,自動運転で強化学習を使う際の中心的な制約である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — T3:検索評価・HITS/PageRank・中心性

PrecisionとRecall

Precision は上位 kk 件の中の適合率であり,次に適合文書が来れば上がることがある。Recall は累積適合数を全適合数で割った値なので,非適合文書が追加されても変わらない。この違いを使うと反例を作りやすい。

中心と近接中心性

中心は最大距離だけを見るのに対し,近接中心性は全距離の和を見る。したがって,同じ半径を持つ中心頂点の中でも,他の頂点全体により近い頂点だけが近接中心性最大になることがある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — T4:ソフトウェア・AI・ゲーム・オークション

オークションの本質

英国式とVickreyはいずれも,リスク中立で私的価値の標準的な仮定では真の評価額に基づく行動が合理的である。英国式では価格が評価額を超えた時点で降り,Vickreyでは自分の入札額が支払額を直接決めないため真実申告が支配戦略になる。

ユースケース図

ユースケース図では処理の内部手順ではなく,外部アクターとシステムが提供する機能の関係を表す。設問の条件は「各アクターを2つ以上のユースケースに関連づける」ことであるため,銀行も残高照会や取引承認など複数の機能と結ぶ必要がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — B5:中央値と四分位

順位統計量

中央値や四分位は値の大きさそのものではなく順位で決まる。したがって,最大値が非常に大きくなっても,中央値や第一・第三四分位は大きくは変化しない。

平均と中央値

平均は全データの重心である。右側に長い尾があると,少数の大きな値が重心を右に引っ張るため,平均値が中央値を上回りやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — B6:動物の個体識別

個体識別がない場合

個体識別がないと,観察回数が増えても「同じ個体を何度も見た」のか「多数個体を一度ずつ見た」のかを区別しにくい。個体群サイズや生存率の推定で大きな偏りが生じる。

方法の選択

侵襲性,費用,対象種の模様,調査地のアクセス性によって最適な方法は変わる。実務では,写真識別とDNA識別,標識とGPS追跡のように複数手法を組み合わせることが多い。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — B7:森林生態系の窒素循環

アンモニフィケーションと硝化

有機態窒素から NH4+\mathrm{NH_4^+} を作る過程は,多様な微生物が担える。一方,NH4+\mathrm{NH_4^+} を酸化して NO3\mathrm{NO_3^-} に向かわせる硝化は,より専門化した機能群に依存する。この違いが空間分布の広さの違いとして現れる。

図の読み方

単に濃度が高い場所を読むだけでなく,土壌水分量と機能遺伝子濃度を合わせて見る必要がある。水分が多すぎても少なすぎても微生物活性は変わるため,「下部ほど常に高い」と断定せず,中腹から下部に適地があると表現するのが安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — B8:野生哺乳類の食性調査

食性調査の偏り

食性データは「食べたもの」だけでなく「検出しやすいもの」にも左右される。硬い組織は糞に残りやすく,柔らかい組織は残りにくい。観察法では昼間・開けた場所・大型餌が過大評価されやすい。

組み合わせの意味

複数手法の併用は単なる情報量の増加ではなく,偏りの向きが異なる手法を合わせて推定の頑健性を上げるためである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — B9:生態学の短答

短答の書き方

この形式では定義だけでなく,なぜ問題になるかを一文加えると答案の説得力が上がる。例えば市民科学データでは「偏りがある」だけでなく,「分布推定が観察者分布を反映してしまう」と影響まで書く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — D10:道路耐震投資の期待損失

同時不通確率の扱い

ppqq を単純に掛けてはいけない。問題では同時不通確率 rr が直接与えられているため,片方だけ不通の確率は prp-rqrq-r として計算する。

最適化

目的関数は2変数の2次関数である。ヘッセ行列が正定値なので,一階条件の内部解がそのまま大域最小になる。境界チェックは,内部解が制約範囲外に出た場合に必要になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

14 — D11:災害リスクの基本概念

用語の関係

災害リスクはしばしば「ハザード ×\times エクスポージャ ×\times ヴァルナラビリティ」で説明され,レジリエンスは被害後の機能維持・回復を左右する。用語を別々に定義するだけでなく,気候変動による経済被害の説明に組み込むことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

15 — D12:複合災害

単なる複数発生との違い

複合災害では,災害同士が対応資源を奪い合ったり,一方の被害が他方への脆弱性を高めたりする。したがって,事例を書くときは「何が重なるか」だけでなく「なぜ被害や対応が難しくなるか」まで述べる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

16 — D13:実践的な避難訓練

実践性の条件

実践的であるためには,時間制約,通信不能,負傷者,要配慮者,夜間・悪天候などの現実的制約を入れる必要がある。また,訓練は実施して終わりではなく,結果を避難計画や備蓄,役割分担に反映して初めて意味を持つ。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

17 — D14:Common Operational Picture

危機管理での意義

災害対応では情報不足よりも,機関ごとに異なる情報を見て判断することが大きな問題になる。COPは「誰が何を知っているか」をそろえ,指揮調整を可能にする仕組みである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

18 — D15:ISO 19107と鉄道空間情報

幾何と位相

幾何は「どこに,どんな形であるか」を表し,位相は「何と何がつながっているか」を表す。鉄道の空間情報では,座標上の線路形状だけでなく,駅間の接続関係が経路探索に不可欠である。

図が非表示の場合

この設問の第2小問は元のクラス図に依存する。公開版で図が見えない場合は,Railwayを空間ネットワークとして表すという基本構造を押さえ,点・線・接続関係を明示する答案が妥当である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

19 — M16:EMR・EHR・PHR

違いの軸

三者は記録内容だけでなく,管理主体と共有範囲で区別する。EMRは施設内,EHRは施設横断,PHRは本人中心という軸を押さえると説明しやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

20 — M17:電子保存の三原則

三原則の覚え方

真正性は「正しい記録であること」,見読性は「読めること」,保存性は「残ること」である。電子保存では紙と違い,改ざん検知,形式移行,システム障害対策を制度的・技術的に担保する必要がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

21 — M18:医用画像データ量

単位換算

16ビットは2バイト,RGB 8ビット3色は3バイトである。kBとMBは問題の指定通り 10241024 倍で換算する。一方,通信ビットレートの Mbps は通常 10610^6 bits/s として扱う。

MPRの画素数

横断像600枚から冠状断を作ると,頭尾方向の画素数はスライス枚数600に対応する。横方向512画素と合わせて 512×600512\times600 と見るのがポイントである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

22 — M19:DPCと出来高払い

包括と出来高の足し分け

DPC方式では入院基本部分などが1日あたり定額で評価される一方,手術など一部の項目は出来高で別に加算される。したがって,DPC分と出来高分を分けて計算し,最後に合算する。

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