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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 社会情報学コース 2023年度 院試 解答例・解説

京都大学 情報学研究科 社会情報学コース 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全25問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 情報学基礎:マシン語

命令列の読み方

2バイト命令は偶数番地ごとに読む。したがって,メモリ表を1バイトずつ読むのではなく, 0000--01010202--0303 のように組にして命令を復元する必要がある。 16進数の1桁は4ビットなので,0F+F0=FF0F+F0=FF は8ビット内に収まる。

乗算プログラムの不変量

ループ開始時に元の乗数を mm とすると,kk 回反復後には R3=k[F0],R2=mk R3=k[F0],\qquad R2=m-k が成り立つ。R2=0R2=0 になった時点で k=mk=m なので,R3=m[F0]R3=m[F0] が積である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 情報学基礎:最小値・最大値探索

最小値比較が省略される理由

逐次版は A[i]>max A[i]>\max を先に判定し,それが真なら min\min との比較を行わない。これは同じ要素が同時に「既存の最大値より大きい」かつ「既存の最小値より小さい」ことはないからである。

再帰版の比較回数

再帰版は分割統治であり,葉では比較せず,内部節点で左右の最小値どうし・最大値どうしを比較する。 計算量の漸近評価は逐次版と同じ O(N)O(N) だが,構造が並列化しやすい点が異なる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 情報学基礎:木構造と循環キュー

連結リストへの変換

「6セルを廃棄」は,6個の節点それぞれから1セルずつ廃棄することを示している。 木では右ポインタがほとんど使われていないため,右ポインタセルを全て捨てるのが最も自然である。 そのうえで,左ポインタを次ポインタに読み替えると,1箇所だけ CC から DD へつなげば全節点を含むリストになる。

循環キューの注意

キュー問題では,ヘッド・テールが「要素そのもの」を指す流儀と「次に使う空セル」を指す流儀がある。 答案では採用した流儀を明記し,挿入ではテールが進み,削除ではヘッドが進むことを図示すれば採点者に意図が伝わる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 情報学基礎:データベース

JOINの重複

Course表にはMathが2行あり,Location表のMath行と結合すると2行になる。 このため R3R3 ではMathがTuesdayとFridayの2行に増える。結合は「同じCourseIDの行を1つにまとめる」処理ではなく,条件を満たす行の組を全て作る処理である。

更新条件

実務上はNameだけで更新すると同姓同名に弱い。ここでは表にStudentIDがあるので, もし問題でStudentID指定が許されるなら `StudentID = 200' を条件に入れる方が安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 情報学基礎:計算理論

NP完全性の言い方

NP完全を示すには「NPに属する」と「NP困難である」の両方を書く必要がある。 Po1がPに属するという条件は,Po3にPo1が付いていてもPo2のNP完全性を打ち消さない,という役割を持つ。

停止問題の対角化

停止問題の証明では,判定器に自分自身を入力するのが核心である。 「止まると判定されたら止まらない」「止まらないと判定されたら止まる」という反転を作るため,どちらの判定でも矛盾する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 専門科目T1:機械学習と強化学習

Q-learningの採点ポイント

各遷移を受け取った直後に更新するので,同じエピソード内でも直前に更新された値を次の計算で使う。 特にEpisode 2の CDC\to D では,Episode 1で得た Q(D,exit)=5Q(D,\mathrm{exit})=5 が効いて Q(C,east)Q(C,\mathrm{east}) が正になる。

強化学習の選択基準

強化学習は「正解ラベルを当てる」手法ではなく,「行動して結果を観測し,累積報酬を最大化する」手法である。 訓練データ,汎化,後悔の3点を明示すると,教師あり学習との違いを説明しやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 専門科目T2:類似度・PageRank・中心性

平均中心化

コサイン類似度は原点から見た角度を測る。ピアソン相関は各変数の平均を基準にした共変動を測る。 この違いは,ユーザ評価データのように「全体に高く採点する人」と「低く採点する人」を比較するときに重要である。

PageRankの直観

PageRankでは,入リンクが多いだけでなく「ランクを多く持つ頂点から受ける」ことが重要である。 G2で CC に入ったランクがさらに BB に流れるため,最終的に BB が強くなる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 専門科目T3:ソフトウェア工学

比較問題の書き方

単に用語を定義するだけでなく,「どの状況に向くか」を書くと長所・短所の比較になる。 ウォーターフォールは要求が安定し証跡が必要な開発,アジャイルは不確実性が高く継続的に価値検証したい開発に向く。

ユースケース図

ユースケース図では内部処理の順序よりも,誰がシステムとどの目的で関わるかを示す。 利用者,銀行,管理者の責務を混ぜないことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 専門科目T4:ヒューマンインタフェース評価

評価方法の選び方

探索的に問題を見つけたい段階では半構造化インタビューやユーザビリティテストが向く。 設計案を比較したい段階では質問紙,ログ分析,A/Bテストが向く。 専門家評価は早いが,最後は実ユーザで確認する必要がある。

利点と欠点

この設問では列挙だけでは不十分である。各方法について「何が分かるか」「どのコストや偏りがあるか」を対にして書くと,評価方法としての理解を示せる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 専門科目B1:共線性と線形モデル

共線性の本質

共線性は予測そのものを必ず悪化させるとは限らないが,個々の係数の解釈を不安定にする。 回帰係数は「他の説明変数を固定したときの効果」であるため,説明変数どうしが強く連動すると, 片方だけを変化させる仮想的な比較がデータ内でほとんど支えられなくなる。

対処

目的が解釈なら,片方の変数を除く,合成指標を作る,主成分回帰やリッジ回帰を使う,事前に相関行列やVIFを確認する, といった対応が必要である。目的が予測だけなら,ホールドアウト性能を確認したうえで正則化を使うのが実践的である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 専門科目B2:森林改変と水収支

符号の読み方

流出量の差が正ということは,落葉広葉樹林だった時より水が流れ出やすいという意味である。 差が負に転じると,植栽後の針葉樹林の方が水を消費し,流域から出る水が少なくなったと解釈できる。

斜面方位

南向き斜面は日射が強く,蒸発散が大きくなりやすい。北向き斜面は湿潤に保たれやすいため, 伐採による蒸散低下の効果が流出量として表れやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 専門科目B3:自然選択と温度依存性性決定

Charnov-Bullモデル

環境性決定が有利になる条件は,環境が子の適応度に影響し,その影響が雄と雌で異なることである。 温度がどちらの性にも同じ効果しか持たないなら,温度で性を変える利益は小さい。

ホルモン処理の意味

通常は温度と性が結びついているため,温度の効果と性の効果を分けにくい。 ホルモン処理で同じ温度から雌雄を作ると,その温度で雄と雌のどちらが高い繁殖成功を得るかを比較できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 専門科目B4:植物と動物の相互作用

直接損失以外を見る

植食の影響は「食べられて量が減る」だけではない。防御,補償成長,開花時期の変化,種間競争の変化などを通じて, 植物の将来の繁殖や群集構造に影響する。

相利共生の答案

植物側と哺乳類側の利益を両方書くことが重要である。一方だけの利益しか説明しないと,相互作用としての理解が弱くなる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

14 — 専門科目B5:生態・統計の基礎事項

選択問題への対応

本番答案では4項目を選べばよいが,得点しやすいのは定義と具体例を短く書ける項目である。 森林帯や標準化は具体例・式が書きやすく,答案が安定しやすい。

統計項目

標準化とランダム効果は混同しやすい。標準化は説明変数の前処理であり,ランダム効果はモデル構造の一部である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

15 — 専門科目D1:災害レジリエンス

レジリエンスの4要素

答案では「予防」「吸収」「復旧」「学習」を分けると書きやすい。 耐震化だけを書くと,復旧・適応・学習の側面が不足する。

社会情報学的視点

災害対応では情報の流れが重要である。誰が何を知り,どのタイミングで意思決定し,どの媒体で住民に届くかを設計することが,レジリエンスを左右する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

16 — 専門科目D2:制約付き最適化

幾何的解釈

(1,1)(1,1) は2本の制約直線の交点である。最大化問題でこの角が最適になるには, 目的関数の勾配が,その角を支える2つの制約法線の非負結合で表せる必要がある。

端点を含む理由

a=1/2a=1/2 では λ1=0\lambda_1=0a=2/3a=2/3 では λ2=0\lambda_2=0 となる。 どちらもKKT条件を満たすので範囲に含める。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

17 — 専門科目D3:防災と福祉の連携

平時からの接続

災害発生後に初めて支援対象者を探すのでは遅い。福祉部局が持つ情報と防災部局の避難計画を平時から結びつけることが核心である。

個人情報と実効性

要配慮者名簿は作るだけでは機能しない。本人同意,支援者,移動手段,避難先,更新頻度を決めて初めて実効性が出る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

18 — 専門科目D4:南海トラフ地震臨時情報

予知情報ではない

臨時情報は「いつ必ず起きる」と予知する情報ではない。平常時よりリスクが高い期間に, 被害を減らすための備えを前倒しする情報として理解する必要がある。

具体例

沿岸部の高齢者施設は早めの避難が合理的である一方,内陸の事業所まで一律に停止すると社会的損失が大きい。 このように,場所と脆弱性に応じて対応を変えることが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

19 — 専門科目D5:Common Operational Picture

情報共有と意思決定

情報を集めるだけでは不十分である。どの情報が最新で,誰が確認し,どの判断に使われたかが分かることが,実際の協調行動につながる。

具体例を書く理由

この用語は抽象的なので,洪水,地震,感染症対応などの場面に落とし込むと説明が明確になる。 地図,タイムライン,資源一覧,意思決定ログを結びつけると,common operational pictureの役割を示しやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

20 — 専門科目D6:被覆幾何とグリッド

幾何と属性を分ける

グリッドデータでは,座標を毎セルに持つのではなく,原点と間隔から座標を復元できる。 そのため,幾何構造と属性値行列を分けると,データを効率よく表現できる。

非表示図への対応

公開PDFでは参照UML図が非表示であるため,答案では図の再現ではなく,標準的な役割を言葉と簡単な行列例で説明すればよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

21 — 専門科目M1:医療情報連携

区別の軸

EMR, EHR, PHRは「誰が中心か」で区別するとよい。 EMRは医療機関中心,EHRは地域・連携基盤中心,PHRは患者本人中心である。

情報共有の注意

共有範囲が広がるほど,同意管理,アクセス権限,監査ログ,標準形式,セキュリティが重要になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

22 — 専門科目M2:医用画像データ量

ビットとバイト

16 bit階調は1画素2 byteである。RGB表示では各色8 bitなので1画素3 byteになる。 この変換を間違えると,全ての桁がずれる。

圧縮データと表示データ

DICOM保存時の圧縮データ量と,PACSで表示するRGB展開後のデータ量は別である。 後半の設問では表示用データを基準に計算している。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

23 — 専門科目M3:標本化定理

2倍条件

「2倍」は最高周波数の2倍であり,信号の平均周波数や見かけの周期ではない。 医用波形,音声,画像のどれでも,観測したい帯域を先に決める必要がある。

フィルタの順序

標本化後に高周波成分を消しても,既に低周波へ折り返した成分は元と区別できない。 したがって,アンチエイリアシングフィルタは標本化の前に置く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

24 — 専門科目M4:CPAPデータ解析の品質管理

在宅機器データの特徴

在宅データは病院内検査より欠測や装着不良が多い。データがないことが「症状がない」のか「使っていない」のかを区別しないと,解析結果が歪む。

再現可能性

医療データ解析では,同じデータと同じ手順から同じ結果が出ることが重要である。 前処理や除外基準を記録しないと,後で妥当性を説明できない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

25 — 専門科目M5:RSA暗号と組織セキュリティ

小さいRSAの注意

例題の n=35n=35 は手計算用なので簡単に素因数分解できる。実際のRSAでは非常に大きな素数を使い, 素因数分解の困難性に安全性を依存させる。

境界防御の限界

ファイアウォールは外部から内部への入口を守るが,内部端末の感染,クラウド利用,持ち出し端末,認証情報窃取には十分でない。 そのため,内部通信も検証し,侵害を前提に被害を局所化する設計が必要になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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