電気通信大学 院試 過去問 解答例
電通大 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 専門科目(電気電子・光デバイス系) 2026年度 院試 解答例・解説
電気通信大学 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 専門科目(電気電子・光デバイス系) 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 選択問題:電気・電子回路
方針
前半はキルヒホッフの電圧則から微分方程式を作り,特性方程式の判別式で過減衰と不足減衰を分ける。後半は理想オペアンプの二条件,すなわち入力電流 0 と仮想短絡を使って節点電流式を書く。
途中式
RL 応答は定常値との差 を未知関数にすると一階同次方程式になる。RLC 応答ではコンデンサ電圧を直接消去するため, を使って電圧方程式を一回微分するのが最短である。計装増幅器では の電流を先に と置くと,左右対称な節点式を足すだけでゲインが出る。
検算
を RL 応答に代入すると , で となる。RLC のしきい値 は抵抗なので, の次元が であることも確認できる。加算回路は入力が正なら反転増幅なので符号が負になる。
典型ミス
コンデンサ電流を と書く誤りが多い。正しくは と から である。また理想オペアンプで「端子電圧が等しい」ことと「入力電流が流れない」ことは別条件なので,どちらか一方だけでは出力式まで決まらない。
試験で書くべきポイント
微分方程式,初期条件,特性根,しきい値の順に答案を組むと採点者が追いやすい。オペアンプ問題では,最初に「理想オペアンプより入力電流 0,反転・非反転端子同電位」と明記してから電流式に入る。
第2問 — 選択問題:光波動工学
方針
干渉は「電場を足してから二乗平均」,電磁波の基本量は「Maxwell 方程式からの速度」と「Poynting ベクトルの時間平均」で処理する。強度変動回数は位相差の 周期性を数える問題である。
途中式
二つの波の二乗平均では を使う。これにより干渉項だけが として残る。強度式では と書いても同じである。
検算
を強度式に戻すと となる。大気中で波長が短くなるなら,同じ光路差変化で数える周期数は増えるので,定性的説明とも一致する。
典型ミス
干渉強度を だけで計算し,交差項 を落とすと干渉縞が出ない。またミラー変位と光路差変化を混同しやすい。反射型の干渉計ではミラー変位の 2 倍が光路差に効く場合がある。
試験で書くべきポイント
数値だけでなく,どの量が波長,光路差,位相差,強度に対応するかを一行ずつ明示する。電磁波の分類は順序を問われることが多いので,長波長側から短波長側へ一貫した並びで書く。
第3問 — 選択問題:量子力学/統計力学
方針
黒体放射は,箱の中の電磁波モードを数え,各モードをボース粒子の調和振動子として扱う問題である。状態密度,平均エネルギー,エネルギー密度の三段階を分けると式の意味が崩れにくい。
途中式
偏光自由度の 2 倍は状態密度に入れる。平均エネルギーに入れると二重に数える危険がある。積分で が出る理由は,変数変換 により が を与えるためである。
検算
の次元は「単位体積あたり,単位角振動数あたりのモード数」である。式 は の次元を持ち, を掛けると になる。波長表示では長波長極限で ,短波長極限で指数減衰になるので,Rayleigh--Jeans 極限と Wien 極限に対応している。
典型ミス
-空間の球殻体積 を使うところで,球の体積 のままにする誤りがある。また波長表示への変換では ではなく,必ずヤコビアン を掛ける。
試験で書くべきポイント
周期境界条件,偏光自由度,,分配関数の幾何級数, の五点を書けば導出の骨格が伝わる。最後の は比例だけでなく係数まで書けると強い。
第8問 — 選択問題:電磁気学
方針
同軸導体は円筒対称性が強いので,電場はガウスの法則,磁場はアンペールの法則で一行に落ちる。エネルギーと Poynting ベクトルは,得られた 型の場を断面積分する。
途中式
電場も磁場も だけで非零になるのは,導体内部では静電場が 0 であり,外側では包む正味電荷または正味電流が 0 になるためである。積分では体積要素ではなく,単位長さあたりなので を使う。
検算
電位差式から単位長さあたりの静電容量は であり, となってエネルギー積分と一致する。磁場側も と見れば が得られる。
典型ミス
を全電荷と読む場合は長さ が式に残る。ここでは公式解答例の形に合わせ, を単位長さあたりの電荷として扱っている。Poynting ベクトルでは の向きを間違えると,エネルギー流の向きが逆になる。
試験で書くべきポイント
ガウス面とアンペール経路を何に取ったか,場がどの領域で非零か,単位長さあたりの量として積分しているかを明示する。最後に を示すと,電磁場によるエネルギー輸送の物理的意味まで答案に入る。
第9問 — 選択問題:光・電子デバイス基礎
方針
前半は Bohr 模型を半導体ドナー準位へ応用する問題である。量子条件,力の釣り合い,全エネルギーの順に書けば半径と束縛エネルギーが出る。後半は pn 接合の濃度比を Boltzmann 因子で表し,内蔵電位とダイオード電流式へつなげる。
途中式
Bohr 模型では を遠心力へ代入してからクーロン力と等置する。全エネルギーでは より となるので,ポテンシャルエネルギーとの差から負の束縛エネルギーが得られる。
検算
は が大きくなるほど 0 に近づく。これは電子が遠くへ行くほど束縛が弱くなるという物理像と一致する。光子の式では 程度なら波長は 程度なので, は妥当である。
典型ミス
円運動の量子条件を で書く場合は であり, で書く場合は である。ここを混ぜると の係数が崩れる。pn 接合では と のどちらを取ったかで指数の符号が変わるため,内蔵電位が正になるように濃度の大小を確認する。
試験で書くべきポイント
ドナーの説明では,単に と書くだけでなく,それがイオン化エネルギーと同程度なので室温でイオン化しやすい,という物理的結論まで書く。ダイオード式では,問題の近似形に合わせつつ,逆方向飽和電流 と指数因子の意味を明記するとよい。