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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。電磁気学・回路2問・数学1問・量子力学1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・留数定理・静電場)。2022年度と共通のテーマはMOSFET。

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収録5年度分の解答PDF:東京科学大学 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目(¥2,880・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 電気電子系 専門科目 2023年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は電磁気学・回路2問・数学1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学—複素写像の注意 / 周回積分の典型ミスあり
第2問電磁気学・回路電磁気学同軸線路の方針 / 空欄問題で落としやすい点あり
第3問電磁気学・回路電気回路アドミタンスで見る理由 / 同相条件あり
第4問量子力学量子力学/物性基礎エルミート演算子の証明 / 期待値の重みあり

この年度の解説には検算1件・試験で書くべきポイント1件が付いています。

2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に5テーマが出ています。

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 4問 → 2023年度 4問
両年度に出たテーマ
MOSFET
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第1問 — 数学

方針

前半は Bessel 型方程式の Frobenius 法である。最小次数の係数から指数方程式を作り、以後は同じべき xn+kx^{n+k} の係数をそろえて漸化式を得る。指数は ±m\pm m の二つが出るが、試験答案ではどちらの枝を採用したかを明記する必要がある。原点で有界な解を扱う文脈では k=mk=m が標準である。

検算

ana_n の漸化式は偶数項と奇数項を分ける。条件 a1=0a_1=0 から全ての奇数項が 0 になるので、a0,a2,a4,…a_0,a_2,a_4,\ldots だけを追えばよい。また m→0m\to0 としたとき a2→−a0/4a_2\to-a_0/4 となり、0 次 Bessel 関数の初項と整合する。

複素写像の注意

∣z∣=2|z|=2 の写像では、w=(z+1)/(z−1)w=(z+1)/(z-1) を直接代入するより、逆変換 z=(w+1)/(w−1)z=(w+1)/(w-1) を使う方が円の方程式をすぐ得られる。中心と半径を出すところで平方完成を落とすミスが多い。

周回積分の典型ミス

有理関数の積分では、曲線の内側に入る極を全て数える。今回は二つとも半径 3 の円内にある。三角積分では dθ=dz/(jz)d\theta=dz/(jz) と cos⁡θ=(z+z−1)/2\cos\theta=(z+z^{-1})/2 を同時に使うため、余分な zz を消し忘れないことが重要である。

解答

1. 級数解法

与えられた形の解を y=∑n=0∞anxn+k y=\sum_{n=0}^{\infty}a_n x^{n+k} とおく。項別微分により dydx=∑n=0∞an(n+k)xn+k−1,d2ydx2=∑n=0∞an(n+k)(n+k−1)xn+k−2. \frac{dy}{dx} =\sum_{n=0}^{\infty}a_n(n+k)x^{n+k-1}, \qquad \frac{d^2y}{dx^2} =\sum_{n=0}^{\infty}a_n(n+k)(n+k-1)x^{n+k-2}. これを微分方程式へ代入すると ∑n=0∞an{(n+k)2−m2}xn+k+∑n=0∞anxn+k+2=0. \sum_{n=0}^{\infty}a_n\{(n+k)^2-m^2\}x^{n+k} +\sum_{n=0}^{\infty}a_n x^{n+k+2}=0. 最低次の係数から a0(k2−m2)=0 a_0(k^2-m^2)=0 であり、a0≠0a_0\ne0 なので k=±m. k=\pm m. 通常の原点で有界な Frobenius 解をとるときは k=mk=m を採用する。このとき xk+2x^{k+2} の係数を比べて a2{(m+2)2−m2}+a0=0 a_2\{(m+2)^2-m^2\}+a_0=0 より a2=−a04(m+1). a_2=-\frac{a_0}{4(m+1)}. また n≥2n\ge2 では an{(n+m)2−m2}+an−2=0 a_n\{(n+m)^2-m^2\}+a_{n-2}=0 だから an=−an−2n(n+2m)(n≥2). a_n=-\frac{a_{n-2}}{n(n+2m)}\qquad(n\ge2). なお、もう一つの指数 k=−mk=-m の枝を形式的に選ぶなら a2=−a04(1−m),an=−an−2n(n−2m) a_2=-\frac{a_0}{4(1-m)},\qquad a_n=-\frac{a_{n-2}}{n(n-2m)} となる。

2. 複素関数
  1. 38+j8=14(cos⁡π6+jsin⁡π6) \frac{\sqrt3}{8}+\frac{j}{8} =\frac14\left(\cos\frac{\pi}{6}+j\sin\frac{\pi}{6}\right) であるから、ド・モアブルの定理より z=4−20(cos⁡10π3+jsin⁡10π3)=4−20(−12−j32). z =4^{-20}\left(\cos\frac{10\pi}{3} +j\sin\frac{10\pi}{3}\right) =4^{-20}\left(-\frac12-j\frac{\sqrt3}{2}\right). したがって a=−12⋅420,b=−32⋅420. a=-\frac{1}{2\cdot4^{20}},\qquad b=-\frac{\sqrt3}{2\cdot4^{20}}.
  2. 一次変換を逆に解くと z=w+1w−1. z=\frac{w+1}{w-1}. w=u+jvw=u+jv とおけば、∣z∣=2|z|=2 は ∣w+1∣=2∣w−1∣. |w+1|=2|w-1|. よって (u+1)2+v2=4{(u−1)2+v2}, (u+1)^2+v^2=4\{(u-1)^2+v^2\}, すなわち (u−53)2+v2=(43)2. \left(u-\frac53\right)^2+v^2=\left(\frac43\right)^2. 写像は、ww 平面における中心 5/35/3、半径 4/34/3 の円である。
  3. 分母を因数分解すると 2z2+3z−2=(2z−1)(z+2). 2z^2+3z-2=(2z-1)(z+2). 極 z=1/2,−2z=1/2,-2 はいずれも ∣z∣=3|z|=3 の内側にある。留数は Res⁡z=1/25z−1(2z−1)(z+2)=310, \operatorname*{Res}_{z=1/2} \frac{5z-1}{(2z-1)(z+2)} =\frac{3}{10}, Res⁡z=−25z−1(2z−1)(z+2)=115. \operatorname*{Res}_{z=-2} \frac{5z-1}{(2z-1)(z+2)} =\frac{11}{5}. したがって留数定理より ∮C5z−12z2+3z−2 dz=2πj(310+115)=5πj. \oint_C \frac{5z-1}{2z^2+3z-2}\,dz =2\pi j\left(\frac{3}{10}+\frac{11}{5}\right) =5\pi j.
  4. z=ejθz=e^{j\theta} とすると cos⁡θ=12(z+1z),dθ=dzjz. \cos\theta=\frac12\left(z+\frac1z\right), \qquad d\theta=\frac{dz}{jz}. したがって ∫02πdθ3+2cos⁡θ=∮∣z∣=11j(z2+3z+1) dz. \int_0^{2\pi}\frac{d\theta}{3+2\cos\theta} = \oint_{|z|=1} \frac{1}{j(z^2+3z+1)}\,dz. 分母の根は z=−3±52 z=\frac{-3\pm\sqrt5}{2} であり、単位円の内側にあるのは α=−3+52 \alpha=\frac{-3+\sqrt5}{2} だけである。よって ∫02πdθ3+2cos⁡θ=2πj⋅1j(2α+3)=2π5. \int_0^{2\pi}\frac{d\theta}{3+2\cos\theta} = 2\pi j\cdot \frac{1}{j(2\alpha+3)} = \frac{2\pi}{\sqrt5}.

最終答

級数解法では、原点で有界な枝について k=m,a2=−a04(m+1),an=−an−2n(n+2m). k=m,\qquad a_2=-\frac{a_0}{4(m+1)},\qquad a_n=-\frac{a_{n-2}}{n(n+2m)}. 複素関数の各答は (a,b)=(−12⋅420,−32⋅420),(u−53)2+v2=(43)2,5πj,2π5. (a,b)=\left(-\frac{1}{2\cdot4^{20}},-\frac{\sqrt3}{2\cdot4^{20}}\right), \quad \left(u-\frac53\right)^2+v^2=\left(\frac43\right)^2, \quad 5\pi j, \quad \frac{2\pi}{\sqrt5}.

第2問 — 電磁気学

同軸線路の方針

円筒対称性があるので、磁界はアンペールの法則、電束密度はガウスの法則で一行で決まる。誘電率が半径方向に二層になっていても、自由電荷 QQ が作る DD は同じであり、変わるのは E=D/εE=D/\varepsilon である。

空欄問題で落としやすい点

静電容量の分母には、半径方向の積分から出る対数が入る。内側領域は log⁡(b/a)\log(b/a)、外側領域は log⁡(c/b)\log(c/b) であり、log⁡(c/a)\log(c/a) を一つだけ書くのは誘電率が一様な場合に限られる。

遮蔽と電荷保存

外側導体は導体 A を囲む閉じた導体である。外部の導体球の電荷は導体 B の外面電荷分布を変えるが、導体 A の全電荷は変えない。接触問題では、導体 B の内面に −Q-Q が必要であることと、接触した導体系全体の電荷保存を同時に使う。

コイルの検算

ファラデーの法則では符号よりも、どの向きを正の起電力と定義したかが重要である。答案では大きさを示し、符号は正方向の取り方によると添えると安全である。移動電荷量が角速度に依存しないことは、∫i dt=−(1/R)ΔΦ\int i\,dt=-(1/R)\Delta\Phi と書くと最も明確に示せる。

電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 電気回路

アドミタンスで見る理由

並列回路ではインピーダンスよりアドミタンスで足す方が速い。第 1 問の負荷は枝ごとに直列インピーダンスを作ってから逆数を取り、最後に足す。

同相条件

ILD=YVLDI_{\mathrm{LD}}=YV_{\mathrm{LD}} なので、電圧と電流が同相になる条件は YY が実数であることに等しい。しかも「角周波数によらず」とあるため、ある一つの ω\omega で虚部を 0 にするのではなく、ω\omega の恒等式として虚部を消す必要がある。

最大電力条件

同相条件下では負荷全体が抵抗 RR と等価になる。よって電源抵抗 RSR_S と負荷抵抗 RR の通常の最大電力伝送条件に戻り、R=RSR=R_S が得られる。

ソースフォロワの符号

小信号では vgs=vin−voutv_{gs}=v_{\mathrm{in}}-v_{\mathrm{out}} である。ソース電圧が上がると vgsv_{gs} が小さくなるため、利得は 1 未満の正の値になる。共振時に並列 LCLC のアドミタンスが 0 になることを使えば、利得は gmg_m と ror_o だけで決まる。

電気回路の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 量子力学/物性基礎

エルミート演算子の証明

固有値が実数であることも、異なる固有値の固有関数が直交することも、同じエルミート性の式から出る。内積の第 1 引数に複素共役がかかるため、(aϕ,ϕ)=a∗(ϕ,ϕ)(a\phi,\phi)=a^*(\phi,\phi) となる点を書き落とさないことが重要である。

期待値の重み

展開係数の絶対値二乗が測定確率になる。今回の係数の二乗和は 9+2+25=369+2+25=36 であり、期待値は固有値をこの重みで平均したものである。係数そのものではなく係数の二乗を使う。

プランク公式の導出

平衡では、自然放出と誘導放出で増える基底状態数と、誘導吸収で減る基底状態数が釣り合う。そこへボルツマン比 N1/N2=eℏω/kBTN_1/N_2=e^{\hbar\omega/k_BT} を入れると、分母の −1-1 が自然に現れる。

試験で書くべきポイント

レーザー発振条件では「励起状態の粒子数が基底状態より多い」と明記する。単に「エネルギーを強く入れる」と書いても条件にならない。また、X 線で難しい理由は、自然放出率が大きいことと反転分布形成の困難さを Einstein 係数の ω3\omega^3 依存に結びつけて説明すると得点しやすい。

量子力学/物性基礎の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 電気電子系 専門科目 院試 過去問の収録5年度