東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2023年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 数学
方針
前半は Bessel 型方程式の Frobenius 法である。最小次数の係数から指数方程式を作り、以後は同じべき の係数をそろえて漸化式を得る。指数は の二つが出るが、試験答案ではどちらの枝を採用したかを明記する必要がある。原点で有界な解を扱う文脈では が標準である。
検算
の漸化式は偶数項と奇数項を分ける。条件 から全ての奇数項が 0 になるので、 だけを追えばよい。また としたとき となり、0 次 Bessel 関数の初項と整合する。
複素写像の注意
の写像では、 を直接代入するより、逆変換 を使う方が円の方程式をすぐ得られる。中心と半径を出すところで平方完成を落とすミスが多い。
周回積分の典型ミス
有理関数の積分では、曲線の内側に入る極を全て数える。今回は二つとも半径 3 の円内にある。三角積分では と を同時に使うため、余分な を消し忘れないことが重要である。
第2問 — 電磁気学
同軸線路の方針
円筒対称性があるので、磁界はアンペールの法則、電束密度はガウスの法則で一行で決まる。誘電率が半径方向に二層になっていても、自由電荷 が作る は同じであり、変わるのは である。
空欄問題で落としやすい点
静電容量の分母には、半径方向の積分から出る対数が入る。内側領域は 、外側領域は であり、 を一つだけ書くのは誘電率が一様な場合に限られる。
遮蔽と電荷保存
外側導体は導体 A を囲む閉じた導体である。外部の導体球の電荷は導体 B の外面電荷分布を変えるが、導体 A の全電荷は変えない。接触問題では、導体 B の内面に が必要であることと、接触した導体系全体の電荷保存を同時に使う。
コイルの検算
ファラデーの法則では符号よりも、どの向きを正の起電力と定義したかが重要である。答案では大きさを示し、符号は正方向の取り方によると添えると安全である。移動電荷量が角速度に依存しないことは、 と書くと最も明確に示せる。
第3問 — 電気回路
アドミタンスで見る理由
並列回路ではインピーダンスよりアドミタンスで足す方が速い。第 1 問の負荷は枝ごとに直列インピーダンスを作ってから逆数を取り、最後に足す。
同相条件
なので、電圧と電流が同相になる条件は が実数であることに等しい。しかも「角周波数によらず」とあるため、ある一つの で虚部を 0 にするのではなく、 の恒等式として虚部を消す必要がある。
最大電力条件
同相条件下では負荷全体が抵抗 と等価になる。よって電源抵抗 と負荷抵抗 の通常の最大電力伝送条件に戻り、 が得られる。
ソースフォロワの符号
小信号では である。ソース電圧が上がると が小さくなるため、利得は 1 未満の正の値になる。共振時に並列 のアドミタンスが 0 になることを使えば、利得は と だけで決まる。
第4問 — 量子力学/物性基礎
エルミート演算子の証明
固有値が実数であることも、異なる固有値の固有関数が直交することも、同じエルミート性の式から出る。内積の第 1 引数に複素共役がかかるため、 となる点を書き落とさないことが重要である。
期待値の重み
展開係数の絶対値二乗が測定確率になる。今回の係数の二乗和は であり、期待値は固有値をこの重みで平均したものである。係数そのものではなく係数の二乗を使う。
プランク公式の導出
平衡では、自然放出と誘導放出で増える基底状態数と、誘導吸収で減る基底状態数が釣り合う。そこへボルツマン比 を入れると、分母の が自然に現れる。
試験で書くべきポイント
レーザー発振条件では「励起状態の粒子数が基底状態より多い」と明記する。単に「エネルギーを強く入れる」と書いても条件にならない。また、X 線で難しい理由は、自然放出率が大きいことと反転分布形成の困難さを Einstein 係数の 依存に結びつけて説明すると得点しやすい。