東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2021年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 数学
フーリエ変換の符号
この問題では指数が なので,時間微分は 倍,時間を掛ける操作は に対応する。特に の変換は ではなく である。ここを逆にすると,後の微分方程式の符号がすべて崩れる。
境界項について
部分積分では のような項を落としている。答案では「絶対積分可能で,導関数も十分よく振る舞うため境界項は消える」と一言添えると,変換公式を丸暗記で使っていないことが伝わる。
エルミート多項式の出し方
ガウス因子 を先にくくると, の項がちょうど消える。残る式が であり,これは物理で現れるエルミート多項式の微分方程式である。漸化式は を覚えていれば,求められている形へ添字をずらすだけでよい。
非同次方程式の典型ミス
の場合は右辺の が斉次解に含まれるため, では特殊解にならない。必ず を掛けて と置く。この「重解ではないが既存の特性根と一致する」ケースは入試でよく減点される。
第2問 — 電磁気学
同軸ではガウス面を単位長さで取る
同軸円筒では電界が半径方向だけを向き,半径 の円筒面上で一定になる。したがってガウスの法則は と一行で書ける。長さ を入れてもよいが,単位長さあたりの量で処理すると最後に余分な が残らない。
三重円筒は並列合成
A と C が導線でつながれて接地されているため,B から見れば内側 A への容量と外側 C への容量が同じ二端子間に並列接続されている。電荷分配は容量比で決まり,A 側と C 側の誘起電荷の和は必ず になる。この和を検算に使うと符号ミスを発見しやすい。
平行平板線路の検算
得られた は を満たす。したがって伝搬速度は となり,ファラデーの法則から求めた結果と一致する。
連続の式の符号
は の 微分なので である。ここを としてしまうと電荷密度と電界の位相が反転し,ファラデーの法則の確認で矛盾が出る。
第3問 — 電気回路
伝達関数の見方
図の回路は直列回路で,出力は抵抗の電圧である。したがって「全インピーダンスに対する抵抗の分圧」として一瞬で と書ける。共振時には となり,入力電圧がすべて抵抗にかかるので利得は になる。
ステップ応答の検算
この回路は直流ではキャパシタが開放,高周波ではインダクタが大きなインピーダンスになる。そのためステップ応答は と の両方で になる。求めた 型の応答は,確かに初期値も最終値も である。
並列LCの電流は差で取る
インダクタ電流とキャパシタ電流はどちらも無効電流だが,位相が反対である。したがって実効値を単純に足さず,フェーザとして差を取る。特に では であり,ここを とすると以後の答えが大きく外れる。
第三高調波の扱い
三相の第三高調波は各相で同相になる零相成分である。三線式で中性線がない場合,線間電圧には第三高調波が現れず,負荷にも第三高調波電流は流れない。したがって線 U の実効値は単相で計算した基本波成分の のままである。
第4問 — 量子力学/物性基礎
無限井戸の境界条件
無限障壁では粒子が井戸の外に存在できないため,境界で波動関数が になる。この条件から と が同時に出る。規格化定数 を落とすと,後の摂動計算で係数がずれる。
摂動エネルギーの意味
一次摂動のエネルギー補正は「摂動ポテンシャルを確率密度で平均した値」である。一定ポテンシャルが一部区間にだけ加わる場合は,その区間に粒子が存在する確率に を掛けたものになる。
反対称摂動の見抜き方
基底状態の確率密度は井戸の中心に関して左右対称である。摂動が左右反対称なら,左側の負の寄与と右側の正の寄与が打ち消し合うため,一次のエネルギー補正は になる。ただし波動関数の形は変わるので,確率密度の山は低ポテンシャル側へ寄る。
有限障壁のグラフ
は単調増加でも単調減少でもない。浅い井戸では波動関数が広がりすぎて境界の密度は小さく,深い井戸では無限井戸に近づいて境界値が小さくなる。そのため中間で最大を持つ山形の概形を描くのが自然である。
空間電荷制限電流の符号
電子は 方向へ動くが,通常の電流は電子の運動方向と逆向きである。したがって と定義すると になる。試験答案では,最後に電流密度の大きさ も併記しておくと,符号の解釈が明確になる。