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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。電磁気学・回路2問・数学1問・量子力学1問。テーマタグは6件(静電場・伝達関数・フーリエ変換)。2019年度と共通のテーマは静電場・フーリエ変換。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
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東京科学大 電気電子系 専門科目 2021年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は電磁気学・回路2問・数学1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学—フーリエ変換の符号 / 境界項についてあり
第2問電磁気学・回路電磁気学同軸ではガウス面を単位長さで取る / 三重円筒は並列合成あり
第3問電磁気学・回路電気回路伝達関数の見方 / ステップ応答の検算あり
第4問量子力学量子力学/物性基礎無限井戸の境界条件 / 摂動エネルギーの意味あり

2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に6テーマが出ています。

前年度(2019年度)との違い

大問数
2019年度 4問 → 2021年度 4問
両年度に出たテーマ
静電場・フーリエ変換
2021年度で新しく出たテーマ
伝達関数・波動関数・井戸型ポテンシャル・摂動論
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第1問 — 数学

フーリエ変換の符号

この問題では指数が e−jωte^{-j\omega t} なので,時間微分は jωj\omega 倍,時間を掛ける操作は j d/dωj\,d/d\omega に対応する。特に t2ft^2f の変換は +F′′+F'' ではなく −F′′-F'' である。ここを逆にすると,後の微分方程式の符号がすべて崩れる。

境界項について

部分積分では [f′(t)e−jωt]−∞∞,[f(t)e−jωt]−∞∞ [f'(t)e^{-j\omega t}]_{-\infty}^{\infty},\qquad [f(t)e^{-j\omega t}]_{-\infty}^{\infty} のような項を落としている。答案では「絶対積分可能で,導関数も十分よく振る舞うため境界項は消える」と一言添えると,変換公式を丸暗記で使っていないことが伝わる。

エルミート多項式の出し方

ガウス因子 e−t2/2e^{-t^2/2} を先にくくると,t2Hnt^2H_n の項がちょうど消える。残る式が Hn′′−2tHn′+2nHn=0 H_n''-2tH_n'+2nH_n=0 であり,これは物理で現れるエルミート多項式の微分方程式である。漸化式は Hn+1=2tHn−2nHn−1 H_{n+1}=2tH_n-2nH_{n-1} を覚えていれば,求められている形へ添字をずらすだけでよい。

非同次方程式の典型ミス

α=2\alpha=2 の場合は右辺の e−2xe^{-2x} が斉次解に含まれるため,Ae−2xAe^{-2x} では特殊解にならない。必ず xx を掛けて Axe−2xAxe^{-2x} と置く。この「重解ではないが既存の特性根と一致する」ケースは入試でよく減点される。

解答

1. フーリエ変換とエルミート多項式

フーリエ変換を F(ω)=∫−∞∞f(t)e−jωt dt F(\omega)=\int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-j\omega t}\,dt で定義する。十分遠方で境界項が消えるとして部分積分すると, F[f′′]=(jω)2F(ω)=−ω2F(ω) \mathcal{F}[f'']=(j\omega)^2F(\omega)=-\omega^2F(\omega) である。また F′(ω)=∫f(t)(−jt)e−jωt dt,F′′(ω)=−∫t2f(t)e−jωt dt F'(\omega)=\int f(t)(-jt)e^{-j\omega t}\,dt,\qquad F''(\omega)=-\int t^2f(t)e^{-j\omega t}\,dt より, F[t2f(t)]=−F′′(ω) \mathcal{F}[t^2f(t)]=-F''(\omega) を得る。

したがって,微分方程式 f′′(t)−t2f(t)=af(t) f''(t)-t^2f(t)=a f(t) をフーリエ変換すると −ω2F(ω)+F′′(ω)=aF(ω) -\omega^2F(\omega)+F''(\omega)=aF(\omega) すなわち F′′(ω)−(ω2+a)F(ω)=0 F''(\omega)-(\omega^2+a)F(\omega)=0 となる。

次に f(t)=Hn(t)e−t2/2 f(t)=H_n(t)e^{-t^2/2} とおく。微分して f′′(t)={Hn′′(t)−2tHn′(t)+(t2−1)Hn(t)}e−t2/2 f''(t)=\{H_n''(t)-2tH_n'(t)+(t^2-1)H_n(t)\}e^{-t^2/2} であるから, f′′(t)−t2f(t)={Hn′′(t)−2tHn′(t)−Hn(t)}e−t2/2. f''(t)-t^2f(t)=\{H_n''(t)-2tH_n'(t)-H_n(t)\}e^{-t^2/2}. これが f′′(t)−t2f(t)=−(2n+1)f(t) f''(t)-t^2f(t)=-(2n+1)f(t) を満たすための条件は Hn′′(t)−2tHn′(t)+2nHn(t)=0 H_n''(t)-2tH_n'(t)+2nH_n(t)=0 である。

エルミート多項式を Hn(t)=(−1)net2dndtne−t2 H_n(t)=(-1)^n e^{t^2}\frac{d^n}{dt^n}e^{-t^2} で定義すると,標準的な漸化式 Hn+1(t)=2tHn(t)−2nHn−1(t) H_{n+1}(t)=2tH_n(t)-2nH_{n-1}(t) が成り立つ。添字を一つ進めれば, Hn+2(t)=2tHn+1(t)−2(n+1)Hn(t) H_{n+2}(t)=2tH_{n+1}(t)-2(n+1)H_n(t) である。

2. 微分方程式

まず dydx+y=e−x \frac{dy}{dx}+y=e^{-x} を解く。積分因子は exe^x であるから ddx(exy)=1 \frac{d}{dx}(e^xy)=1 となり, y=(x+C1)e−x y=(x+C_1)e^{-x} を得る。

次に y′′−2y′−8y=0 y''-2y'-8y=0 では,特性方程式 r2−2r−8=(r−4)(r+2)=0 r^2-2r-8=(r-4)(r+2)=0 より y=C1e4x+C2e−2x y=C_1e^{4x}+C_2e^{-2x} である。

非同次方程式 y′′−2y′−8y=e−αx y''-2y'-8y=e^{-\alpha x} を考える。斉次解は上と同じである。

α=1\alpha=1 では右辺の指数 −1-1 は特性根ではないので,特殊解を yp=Ae−x y_p=Ae^{-x} とおく。代入すると (1+2−8)Ae−x=e−x (1+2-8)Ae^{-x}=e^{-x} より A=−1/5A=-1/5 である。したがって y=C1e4x+C2e−2x−15e−x. y=C_1e^{4x}+C_2e^{-2x}-\frac15e^{-x}.

α=2\alpha=2 では右辺 e−2xe^{-2x} が斉次解と重なるので,特殊解を yp=Axe−2x y_p=Axe^{-2x} とおく。演算子 P(D)=D2−2D−8P(D)=D^2-2D-8 に対し P′(−2)=−6P'(-2)=-6 だから P(D)(Axe−2x)=AP′(−2)e−2x=−6Ae−2x. P(D)(Axe^{-2x})=A P'(-2)e^{-2x}=-6Ae^{-2x}. よって A=−1/6A=-1/6 であり, y=C1e4x+C2e−2x−16xe−2x. y=C_1e^{4x}+C_2e^{-2x}-\frac16xe^{-2x}.

最終答

F[f′′]=−ω2F,F[t2f]=−F′′, \mathcal{F}[f'']=-\omega^2F,\qquad \mathcal{F}[t^2f]=-F'', F′′−(ω2+a)F=0,Hn′′−2tHn′+2nHn=0, F''-(\omega^2+a)F=0,\qquad H_n''-2tH_n'+2nH_n=0, Hn+2=2tHn+1−2(n+1)Hn. H_{n+2}=2tH_{n+1}-2(n+1)H_n.

y=(x+C1)e−x, y=(x+C_1)e^{-x}, y=C1e4x+C2e−2x, y=C_1e^{4x}+C_2e^{-2x}, α=1:y=C1e4x+C2e−2x−15e−x, \alpha=1:\quad y=C_1e^{4x}+C_2e^{-2x}-\frac15e^{-x}, α=2:y=C1e4x+C2e−2x−16xe−2x. \alpha=2:\quad y=C_1e^{4x}+C_2e^{-2x}-\frac16xe^{-2x}.

第2問 — 電磁気学

同軸ではガウス面を単位長さで取る

同軸円筒では電界が半径方向だけを向き,半径 dd の円筒面上で一定になる。したがってガウスの法則は E⋅2πd=q/ε0E\cdot 2\pi d=q/\varepsilon_0 と一行で書ける。長さ ll を入れてもよいが,単位長さあたりの量で処理すると最後に余分な ll が残らない。

三重円筒は並列合成

A と C が導線でつながれて接地されているため,B から見れば内側 A への容量と外側 C への容量が同じ二端子間に並列接続されている。電荷分配は容量比で決まり,A 側と C 側の誘起電荷の和は必ず −q-q になる。この和を検算に使うと符号ミスを発見しやすい。

平行平板線路の検算

得られた L′=μ0ba,C′=ε0ab L'=\frac{\mu_0b}{a},\qquad C'=\frac{\varepsilon_0a}{b} は L′C′=ε0μ0 L'C'=\varepsilon_0\mu_0 を満たす。したがって伝搬速度は 1/L′C′=1/ε0μ01/\sqrt{L'C'}=1/\sqrt{\varepsilon_0\mu_0} となり,ファラデーの法則から求めた結果と一致する。

連続の式の符号

∂I/∂x\partial I/\partial x は cos⁡(ωt−kx)\cos(\omega t-kx) の xx 微分なので +ksin⁡(ωt−kx)+k\sin(\omega t-kx) である。ここを −ksin⁡-k\sin としてしまうと電荷密度と電界の位相が反転し,ファラデーの法則の確認で矛盾が出る。

電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 電気回路

伝達関数の見方

図の回路は直列回路で,出力は抵抗の電圧である。したがって「全インピーダンスに対する抵抗の分圧」として一瞬で H=RZtotal H=\frac{R}{Z_{\mathrm{total}}} と書ける。共振時には jωL+1/(jωC)=0j\omega L+1/(j\omega C)=0 となり,入力電圧がすべて抵抗にかかるので利得は 11 になる。

ステップ応答の検算

この回路は直流ではキャパシタが開放,高周波ではインダクタが大きなインピーダンスになる。そのためステップ応答は t=0t=0 と t→∞t\to\infty の両方で 00 になる。求めた e−α2t−e−α1t e^{-\alpha_2t}-e^{-\alpha_1t} 型の応答は,確かに初期値も最終値も 00 である。

並列LCの電流は差で取る

インダクタ電流とキャパシタ電流はどちらも無効電流だが,位相が反対である。したがって実効値を単純に足さず,フェーザとして差を取る。特に 500 rad/s500\,{\mathrm{rad}/s} では 20−15=5 A20-15=5\,{\mathrm{A}} であり,ここを 35 A35\,{\mathrm{A}} とすると以後の答えが大きく外れる。

第三高調波の扱い

三相の第三高調波は各相で同相になる零相成分である。三線式で中性線がない場合,線間電圧には第三高調波が現れず,負荷にも第三高調波電流は流れない。したがって線 U の実効値は単相で計算した基本波成分の 5 A5\,{\mathrm{A}} のままである。

電気回路の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 量子力学/物性基礎

無限井戸の境界条件

無限障壁では粒子が井戸の外に存在できないため,境界で波動関数が 00 になる。この条件から B=0B=0 と sin⁡kL=0\sin kL=0 が同時に出る。規格化定数 2/L\sqrt{2/L} を落とすと,後の摂動計算で係数がずれる。

摂動エネルギーの意味

一次摂動のエネルギー補正は「摂動ポテンシャルを確率密度で平均した値」である。一定ポテンシャルが一部区間にだけ加わる場合は,その区間に粒子が存在する確率に δV\delta V を掛けたものになる。

反対称摂動の見抜き方

基底状態の確率密度は井戸の中心に関して左右対称である。摂動が左右反対称なら,左側の負の寄与と右側の正の寄与が打ち消し合うため,一次のエネルギー補正は 00 になる。ただし波動関数の形は変わるので,確率密度の山は低ポテンシャル側へ寄る。

有限障壁のグラフ

∣ψ(0)∣2|\psi(0)|^2 は単調増加でも単調減少でもない。浅い井戸では波動関数が広がりすぎて境界の密度は小さく,深い井戸では無限井戸に近づいて境界値が小さくなる。そのため中間で最大を持つ山形の概形を描くのが自然である。

空間電荷制限電流の符号

電子は +x+x 方向へ動くが,通常の電流は電子の運動方向と逆向きである。したがって J=ρvJ=\rho v と定義すると J<0J<0 になる。試験答案では,最後に電流密度の大きさ ∣J∣=98εμV2/L3 |J|=\frac{9}{8}\varepsilon\mu V^2/L^3 も併記しておくと,符号の解釈が明確になる。

量子力学/物性基礎の途中式・最終答をPDFで見る

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