東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2022年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 数学
方針
第1題は特性根の位置を読む問題である。収束条件では「判別式」だけでなく,根の実部が正でないことを確認する。第2題は の等比級数に帰着させる。
典型ミス
重解の一般解を としてしまうと,独立な解が1本しか得られない。重解では必ず と書く。また,2つの実根で収束する条件では としてしまいがちだが, では根の一方が となり,解は定数に収束するので除外しない。
検算
の特殊解 は を満たす。さらに重解条件から であり, へ代入しても恒等的に になる。
テイラー級数では,部分和 を得た時点で,収束の根拠として を必ず書く。これを書かないと,有限和の計算だけで極限の証明が終わってしまう。
第2問 — 電磁気学
方針
コンデンサの力は,条件が「電圧一定」か「電荷一定」かでエネルギーの扱いが変わる。電圧一定では電源が仕事をするため,力の大きさは の形で読むのが安全である。電荷一定では を用いる。
誘電体挿入の見方
誘電体が入った部分と入っていない部分は,導体板間の同じ電位差に接続されているため並列である。一方,誘電体が入った部分の中では,電界方向に真空層と誘電体層が重なるため直列である。この「面内は並列,厚み方向は直列」という切り分けが最重要である。
検算
とすると誘電体部分は消え, となる。また としても誘電体と真空の差がないので となる。これは式の符号と次元のよい確認になる。
荷電粒子での注意
磁場による力は速度に垂直なので仕事をしない。仕事を聞かれたときに と距離を掛けるのは誤りである。速度選別の部分では,電場力と磁場力が逆向きであることを明示してから を書くと答案として安定する。
第3問 — 電気回路
MOSFETの答案で書くべき点
飽和条件は単に「 が大きい」ではなく と書く。そこから を代入して を消去するのが設問の要求である。
小信号等価回路の要点
小信号解析では直流電圧源は交流的に接地される。したがって負荷抵抗 はドレインから交流接地へ接続される。依存電流源の向きはドレインからソース向きなので,入力が正になるとドレイン電圧は下がり,利得は負になる。
メッシュ方程式の符号
共有抵抗の項は,必ず「自分のメッシュ電流から隣のメッシュ電流を引く」と覚えると符号をそろえやすい。例えば閉路Bから見た の電流は , の電流は である。
検算
平衡条件 はホイートストンブリッジの条件である。もし なら中央の2点の電位が等しくなり, に電流が流れない。導出した条件はこの直観と一致している。
第4問 — 量子力学/物性基礎
階段ポテンシャルの考え方
ポテンシャルが下がる段差なので,右側では運動エネルギーが になり,波数は大きくなる。したがって である。この大小関係を確認しておくと,反射振幅 が負になることも自然に理解できる。
透過率は振幅二乗だけではない
透過率を としてしまうのは典型的な誤りである。左右で波数が異なるため,確率流密度の速度因子が異なる。必ず を用いる。
半導体電流の符号
電子の拡散電流は であり,正孔の拡散電流は である。電子と正孔で符号が逆になるのは,電荷の符号が逆だからである。本問では密度が とともに減少するので,電子拡散電流は負,正孔拡散電流は正になる。
検算
もし なら,電子と正孔の拡散による電流の大きさがそろい,内部電界は不要になる。実際に は となる。これは式の物理的な妥当性を確認するよいチェックである。