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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。電磁気学・回路2問・数学1問・量子力学1問。テーマタグは4件(電磁波・テイラー展開・シュレディンガー方程式)。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 電気電子系 専門科目 2022年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は電磁気学・回路2問・数学1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学——あり
第2問電磁気学・回路電磁気学誘電体挿入の見方 / 荷電粒子での注意あり
第3問電磁気学・回路電気回路MOSFETの答案で書くべき点 / 小信号等価回路の要点あり
第4問量子力学量子力学/物性基礎階段ポテンシャルの考え方 / 透過率は振幅二乗だけではないあり

この年度の解説には検算4件・典型ミス1件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に4テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 4問 → 2022年度 4問
2022年度で新しく出たテーマ
電磁波・テイラー展開・シュレディンガー方程式・MOSFET
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第1問 — 数学

方針

第1題は特性根の位置を読む問題である。収束条件では「判別式」だけでなく,根の実部が正でないことを確認する。第2題は (1−rN+1)/(1−r)(1-r^{N+1})/(1-r) の等比級数に帰着させる。

典型ミス

重解の一般解を C1erx+C2erxC_1e^{rx}+C_2e^{rx} としてしまうと,独立な解が1本しか得られない。重解では必ず (C1+C2x)erx (C_1+C_2x)e^{rx} と書く。また,2つの実根で収束する条件では B>0B>0 としてしまいがちだが,B=0B=0 では根の一方が 00 となり,解は定数に収束するので除外しない。

検算

A=2A=2 の特殊解 y=(1+2x)e−xy=(1+2x)e^{-x} は y(0)=1,y′(0)=1 y(0)=1,\qquad y'(0)=1 を満たす。さらに重解条件から B=A2/4=1B=A^2/4=1 であり, y′′+2y′+y=0 y''+2y'+y=0 へ代入しても恒等的に 00 になる。

テイラー級数では,部分和 h(x,N)=1−(−x)N+11+x h(x,N)=\frac{1-(-x)^{N+1}}{1+x} を得た時点で,収束の根拠として ∣x∣<1|x|<1 を必ず書く。これを書かないと,有限和の計算だけで極限の証明が終わってしまう。

解答

1. 定係数2階微分方程式

特性方程式を r2+Ar+B=0 r^2+Ar+B=0 とおくと, r=−A±A2−4B2 r=\frac{-A\pm\sqrt{A^2-4B}}{2} である。したがって,指定された形 y=C1e(α+β)x+C2e(α−β)x y=C_1 e^{(\alpha+\beta)x}+C_2 e^{(\alpha-\beta)x} と比べれば α=−A2,β=A2−4B2 \alpha=-\frac{A}{2},\qquad \beta=\frac{\sqrt{A^2-4B}}{2} である。

2つの異なる実数解を持つ条件は A2−4B>0 A^2-4B>0 である。また,一般解が x→∞x\to\infty で発散しないためには,2つの特性根がともに正でないことが必要十分である。根の和と積を用いると r1+r2=−A,r1r2=B r_1+r_2=-A,\qquad r_1r_2=B であるから, A>0,0≤B<A24 A>0,\qquad 0\le B<\frac{A^2}{4} となる。ここで B=0B=0 のときは一方の根が 00,他方が −A-A であり,解は定数に収束するので許される。

特性根が異なる虚数解を持つときは A2−4B<0,γ=4B−A22 A^2-4B<0,\qquad \gamma=\frac{\sqrt{4B-A^2}}{2} とおける。このとき y=e−Ax/2{C1ejγx+C2e−jγx} y=e^{-Ax/2} \left\{ C_1 e^{j\gamma x}+C_2 e^{-j\gamma x} \right\} であり,オイラーの公式から y=e−Ax/2{(C1+C2)cos⁡(γx)+j(C1−C2)sin⁡(γx)}. y=e^{-Ax/2} \left\{ (C_1+C_2)\cos(\gamma x) +j(C_1-C_2)\sin(\gamma x) \right\}. よって空欄に対応する式は −Ax2,C1+C2,4B−A22x,j(C1−C2) -\frac{Ax}{2},\qquad C_1+C_2,\qquad \frac{\sqrt{4B-A^2}}{2}x,\qquad j(C_1-C_2) である。

重解の場合は A2−4B=0A^2-4B=0 で,重根は r=−A2 r=-\frac{A}{2} である。したがって y=(C1+C2x)e−Ax/2. y=(C_1+C_2x)e^{-Ax/2}. 初期条件 y(0)=1y(0)=1 より C1=1C_1=1。さらに y′={C2−A2(C1+C2x)}e−Ax/2 y'=\left\{C_2-\frac{A}{2}(C_1+C_2x)\right\}e^{-Ax/2} なので,y′(0)=1y'(0)=1 から C2−A2=1,C2=1+A2. C_2-\frac{A}{2}=1,\qquad C_2=1+\frac{A}{2}. よって y={1+(1+A2)x}e−Ax/2. y=\left\{1+\left(1+\frac{A}{2}\right)x\right\}e^{-Ax/2}.

A=2A=2 では y=(1+2x)e−x. y=(1+2x)e^{-x}. 微分すると y′={2−(1+2x)}e−x=(1−2x)e−x. y'=\{2-(1+2x)\}e^{-x}=(1-2x)e^{-x}. したがって停留点は x=12 x=\frac{1}{2} である。さらに x<1/2x<1/2 で y′>0y'>0,x>1/2x>1/2 で y′<0y'<0 だから極大であり, ymax⁡=(1+2⋅12)e−1/2=2e−1/2. y_{\max}=\left(1+2\cdot\frac{1}{2}\right)e^{-1/2} =2e^{-1/2}.

2. テイラー展開

11+x=1−x+x2−x3+⋯(∣x∣<1) \frac{1}{1+x}=1-x+x^2-x^3+\cdots\qquad (|x|<1) である。したがって2次までの係数は a0=1,a1=−1,a2=1 a_0=1,\qquad a_1=-1,\qquad a_2=1 であり,一般には an=(−1)n(n=0,1,2,…) a_n=(-1)^n\qquad(n=0,1,2,\ldots) である。

部分和は等比級数として h(x,N)=∑n=0N(−x)n=1−(−x)N+11+x h(x,N)=\sum_{n=0}^{N}(-x)^n =\frac{1-(-x)^{N+1}}{1+x} となる。したがって空欄は (−x)N+1,1+x (-x)^{N+1},\qquad 1+x である。

−1<x<1-1<x<1 より ∣−x∣<1|-x|<1 であるから lim⁡N→∞(−x)N+1=0. \lim_{N\to\infty}(-x)^{N+1}=0. ゆえに lim⁡N→∞h(x,N)=11+x=f(x) \lim_{N\to\infty}h(x,N) =\frac{1}{1+x} =f(x) が示された。

最終答

α=−A2,β=A2−4B2,A>0,0≤B<A24,y重解={1+(1+A2)x}e−Ax/2,A=2: x=12, ymax⁡=2e−1/2,an=(−1)n,h(x,N)=1−(−x)N+11+x. \begin{gathered} \alpha=-\frac{A}{2},\quad \beta=\frac{\sqrt{A^2-4B}}{2},\quad A>0,\quad 0\le B<\frac{A^2}{4},\\ y_{\text{重解}}= \left\{1+\left(1+\frac{A}{2}\right)x\right\}e^{-Ax/2},\quad A=2:\ x=\frac12,\ y_{\max}=2e^{-1/2},\\ a_n=(-1)^n,\quad h(x,N)=\frac{1-(-x)^{N+1}}{1+x}. \end{gathered}

第2問 — 電磁気学

方針

コンデンサの力は,条件が「電圧一定」か「電荷一定」かでエネルギーの扱いが変わる。電圧一定では電源が仕事をするため,力の大きさは F=12V2dCdx挿入 F=\frac12V^2\frac{dC}{dx_{\text{挿入}}} の形で読むのが安全である。電荷一定では U=Q22C U=\frac{Q^2}{2C} を用いる。

誘電体挿入の見方

誘電体が入った部分と入っていない部分は,導体板間の同じ電位差に接続されているため並列である。一方,誘電体が入った部分の中では,電界方向に真空層と誘電体層が重なるため直列である。この「面内は並列,厚み方向は直列」という切り分けが最重要である。

検算

d=0d=0 とすると誘電体部分は消え, F3=0 F_3=0 となる。また ε=ε0\varepsilon=\varepsilon_0 としても誘電体と真空の差がないので F3=0F_3=0 となる。これは式の符号と次元のよい確認になる。

荷電粒子での注意

磁場による力は速度に垂直なので仕事をしない。仕事を聞かれたときに qvBqvB と距離を掛けるのは誤りである。速度選別の部分では,電場力と磁場力が逆向きであることを明示してから v0=E/Bv_0=E/B を書くと答案として安定する。

電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 電気回路

MOSFETの答案で書くべき点

飽和条件は単に「VOUTV_{OUT} が大きい」ではなく VDS≥VGS−VT V_{DS}\ge V_{GS}-V_T と書く。そこから VOUT=VDD−RIDV_{OUT}=V_{DD}-RI_D を代入して VOUTV_{OUT} を消去するのが設問の要求である。

小信号等価回路の要点

小信号解析では直流電圧源は交流的に接地される。したがって負荷抵抗 RR はドレインから交流接地へ接続される。依存電流源の向きはドレインからソース向きなので,入力が正になるとドレイン電圧は下がり,利得は負になる。

メッシュ方程式の符号

共有抵抗の項は,必ず「自分のメッシュ電流から隣のメッシュ電流を引く」と覚えると符号をそろえやすい。例えば閉路Bから見た R1R_1 の電流は I2−I1I_2-I_1,R5R_5 の電流は I2−I3I_2-I_3 である。

検算

平衡条件 R1R4=R2R3 R_1R_4=R_2R_3 はホイートストンブリッジの条件である。もし R1/R3=R2/R4R_1/R_3=R_2/R_4 なら中央の2点の電位が等しくなり,R5R_5 に電流が流れない。導出した条件はこの直観と一致している。

電気回路の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 量子力学/物性基礎

階段ポテンシャルの考え方

ポテンシャルが下がる段差なので,右側では運動エネルギーが E+V0E+V_0 になり,波数は大きくなる。したがって k2>k1k_2>k_1 である。この大小関係を確認しておくと,反射振幅 B=k1−k2k1+k2 B=\frac{k_1-k_2}{k_1+k_2} が負になることも自然に理解できる。

透過率は振幅二乗だけではない

透過率を ∣C∣2|C|^2 としてしまうのは典型的な誤りである。左右で波数が異なるため,確率流密度の速度因子が異なる。必ず T=k2k1∣C∣2 T=\frac{k_2}{k_1}|C|^2 を用いる。

半導体電流の符号

電子の拡散電流は Jn,diff=qDndndx J_{n,\mathrm{diff}}=qD_n\frac{dn}{dx} であり,正孔の拡散電流は Jp,diff=−qDpdpdx J_{p,\mathrm{diff}}=-qD_p\frac{dp}{dx} である。電子と正孔で符号が逆になるのは,電荷の符号が逆だからである。本問では密度が xx とともに減少するので,電子拡散電流は負,正孔拡散電流は正になる。

検算

もし Dn=DpD_n=D_p なら,電子と正孔の拡散による電流の大きさがそろい,内部電界は不要になる。実際に E=N(Dn−Dp)Wμppp0 E=\frac{N(D_n-D_p)}{W\mu_p p_{p0}} は 00 となる。これは式の物理的な妥当性を確認するよいチェックである。

量子力学/物性基礎の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 電気電子系 専門科目 院試 過去問の収録5年度