東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2024年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 電気電子系 電気電子系 専門科目 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 数学
方針
前半は、閉曲面全体でのストークスの定理の打ち消しから を積分形で示す問題である。微分公式を暗記で書くのではなく、境界曲線の向きが と で反対になることを明記するのが得点上重要である。
デルタ関数積分の検算
は の球面だけを選び出す。積分結果 は半径 の球面積であり、 が等位面積分を作ることと一致する。
標本化定理の見方
を有限区間上のフーリエ級数に展開し、逆変換すると標本値 に sinc 関数が掛かった和になる。ここで と の対応を落とすと、補間核の引数がずれる。
典型ミス
三角波の級数では、定数項の定義に注意する。本問の表し方は なので、標準形 の とは値が2倍違う。偶関数であることを先に述べれば、 は計算せずに確定できる。
第2問 — 電磁気学
円板電位の見通し
軸上電位は、同心円環に分けると一変数積分になる。最後に が出るため、 と の場合分けでは符号を取り違えやすい。電場は電位の負の勾配なので、正電荷円板の上側で になることを検算に使える。
平行円板の極限
有限円板2枚の電位は、大きな共通項 が差で消える。極限で が残るのは、無限平板2枚の間の一様電場 と に対応する。
ポインティングベクトルの符号
は電流方向、 は周方向なので は半径方向内向きである。問題文の表現だけで「外向きに正」と思い込むと符号を落とす。答案では、外向き流束は負、導体への流入電力は正と書き分けると安全である。
2本線の遠方近似
同方向電流では遠方で 項が残るが、本問は逆向き電流なので 項が打ち消え、双極子的な 項が主項になる。条件 は高次項を無視してよいことを保証している。
第3問 — 電気回路
整合条件の本質
最大電力伝送では、負荷から見た信号源インピーダンスの複素共役を負荷に持たせる。抵抗だけを合わせても、リアクタンスの和が残ると電流の大きさが下がり、消費電力は最大にならない。
L形整合回路の符号
本問の回路は「入力側に並列 、負荷側へ直列 」の順である。伝送行列の掛ける順番を逆にすると が入れ替わり、最後の が合わなくなる。 なので、低い抵抗の負荷を高い入力抵抗に変換する形になる。
三相回路の考え方
対称負荷なので、一相分だけ計算して三倍すればよい。線間電圧 と相電圧の実効値 の区別が最も重要である。図の電源記号に書かれた は線間電圧なので、そのまま一相負荷に掛けてはいけない。
力率補償の検算
コンデンサのサセプタンス が、インダクタを含む枝の負のサセプタンスを打ち消す。得られた は正であり、誘導性負荷を容量で補償するという物理的直感とも一致する。
第4問 — 量子力学/物性基礎
二準位系の要点
非対角相互作用は、もとの準位を混合してエネルギーを反発させる。固有値の平方根内に が入るため、相互作用が強いほど準位間隔は広がる。 とすれば固有値は に戻るので、式の符号確認に使える。
複素共役の扱い
ハミルトニアンはエルミートなので、片方の非対角成分を としたら反対側は である。ここを両方 と書くと、 が複素数の場合に固有値が実数であることを保証できない。
状態密度の数え方
状態密度は「 空間で数える」「単位長さ・単位面積・単位体積で割る」「エネルギーで微分する」の順に進める。スピン2重 degeneracy を最初に掛け忘れると、すべての答えが半分になる。
次元ごとの特徴
3次元では 、2次元では段差状に一定、1次元ではサブバンド端で 型に発散する。量子井戸、量子細線、バルク半導体の違いを説明するときにも同じ結果を使う。