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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。テーマタグは8件(伝達関数・剛体の回転運動・はりの曲げ)。2025年度と共通のテーマはラプラス変換・伝熱工学。

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収録6年度分の解答PDF:東京大学 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

東大 機械工学 専門科目 2026年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問逆ブレイトン冷凍サイクルと発熱平板熱伝導のポイントあり
第2問非定常粘性拡散相似変数の意味あり
第3問熱膨張拘束はり符号の考え方 / 降伏条件あり
第4問穴あき円板の回転振動とPD制御慣性モーメントの検算 / ボード線図の描き方あり
第5問手動油圧ポンプと配管選定静的強度の見方 / 体積計算の注意あり

この年度の解説には典型ミス3件・検算1件・試験で書くべきポイント1件が付いています。

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に8テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 5問 → 2026年度 5問
両年度に出たテーマ
ラプラス変換・伝熱工学
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第1問 — 逆ブレイトン冷凍サイクルと発熱平板

方針

第I問は、まず P−vP-v 線図の水平線を等圧変化、曲線を等エントロピー変化と読む。冷凍機なので、低圧側で吸熱し、高圧側で放熱する。冷凍庫入口温度 TcT_c は状態4、熱交換器出口温度 TexT_{\mathrm{ex}} は状態1に対応する点が最重要である。

検算

圧縮機出口圧力は P2=P0(Tex/Tc)κ/(κ−1) P_2=P_0\left(T_{\mathrm{ex}}/T_c\right)^{\kappa/(\kappa-1)} であり、膨張前温度 TexT_{\mathrm{ex}} が冷凍庫入口温度 TcT_c より高ければ P2>P0P_2>P_0 となる。高圧側圧力として自然である。熱交換器入口温度も Q>0Q>0 なら T2>TexT_2>T_{\mathrm{ex}} となり、熱交換器で放熱して TexT_{\mathrm{ex}} まで下がるという向きと一致する。

典型ミス

状態1と状態2の向きを逆にして、熱交換器入口を TexT_{\mathrm{ex}} としてしまう誤りが多い。図の流れは冷凍庫を出た後に圧縮機へ向かうため、低圧吸熱は 4→34\to3、圧縮は 3→23\to2 である。

熱伝導のポイント

第II問では、熱流束の符号を最初に固定する。ここでは qx=−λdT/dxq_x=-\lambda dT/dx を正の xx 方向熱流束としたので、内部発熱により dqx/dx=w0dq_x/dx=w_0 となる。対称面で qx(0)=0q_x(0)=0 を使えば、積分定数を迷わず決められる。最後の λ(T)\lambda(T) は xx を消去して温度の関数として答える必要があるため、dT/dx=−2αxTdT/dx=-2\alpha xT と qx=w0xq_x=w_0x を比較するのが最短である。

逆ブレイトン冷凍サイクルと発熱平板の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 非定常粘性拡散

方針

これは Stokes の第1問題であり、壁の急発進による運動量の粘性拡散を解く問題である。圧力勾配、対流項、xx 方向の空間変化を消すと、熱伝導方程式と同じ形の拡散方程式になる。

相似変数の意味

η=z/νt\eta=z/\sqrt{\nu t} は、粘性が時刻 tt までに影響を及ぼす距離が νt\sqrt{\nu t} に比例することを表す。したがって、同じ zz でも時間が経つほど η\eta は小さくなり、速度は u0u_0 に近づく。

典型ミス

問題で与えられた相似変数は z/νtz/\sqrt{\nu t} である。標準形として z/(2νt)z/(2\sqrt{\nu t}) を覚えていると、常微分方程式の係数を誤りやすい。今回の定義では f′′+η2f′=0 f''+\frac{\eta}{2}f'=0 となり、最終的に誤差関数の中身が η/2\eta/2 になる。

試験で書くべきポイント

消える項を説明するときは、単に「ゼロ」と書くのではなく、u=u(z,t)u=u(z,t)、w=0w=0、∂p/∂x=0\partial p/\partial x=0 を明示する。最後の図では、壁面値 u0u_0 と無限遠値 00 が読めるように描けば十分である。

非定常粘性拡散の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 熱膨張拘束はり

方針

この問題は、熱膨張による自由伸びと、はり・棒の弾性変形の適合条件を組み合わせる。棒 CD が伸びようとして点 D を押し上げるため、はりには中央集中荷重、棒には圧縮軸力が生じる。

符号の考え方

δCD\delta_{CD} を αLΔT+RDLES \alpha L\Delta T+\frac{R_D L}{ES} としてしまうと、圧縮力で棒がさらに伸びることになり物理的におかしい。熱膨張は伸び、圧縮力は短縮であるため、差し引きになる。

降伏条件

中央荷重の単純支持はりでは反力が左右 RD/2R_D/2 ずつで、最大曲げモーメントは RDL/2R_D L/2 である。全長が 2L2L であることを忘れて、公式に LL をそのまま代入すると係数がずれる。

座屈と降伏の比較

ΔTcr\Delta T_{\mathrm{cr}} を直接求めてもよいが、RDR_D は ΔT\Delta T に比例するので、先に起こる現象は必要荷重の大小で判定できる。したがって Pcr<Ryield P_{\mathrm{cr}}<R_{\text{yield}} を比較するのが最短である。最終条件に I,S,αI,S,\alpha が残らない点はよい検算になる。

解答

棒 CD の温度上昇により、棒は自由なら αLΔT\alpha L\Delta T だけ伸びる。しかし点 D で単純支持はり AB に拘束されるため、棒 CD は圧縮力を受け、はり AB は中央集中荷重 RDR_D によって上向きにたわむ。変位の正方向を上向きとする。

はり AB の全長は 2L2L である。単純支持はり中央に集中荷重 RDR_D が作用するとき、中央たわみは δAB=RD(2L)348EI=RDL36EI \delta_{AB} = \frac{R_D(2L)^3}{48EI} = \frac{R_D L^3}{6EI} である。

棒 CD の伸びは、熱膨張分から圧縮による弾性短縮分を差し引いて δCD=αLΔT−RDLES \delta_{CD} = \alpha L\Delta T-\frac{R_D L}{ES} である。点 D で両者はピン結合されているため δAB=δCD \delta_{AB}=\delta_{CD} であり、 RDL36EI=αLΔT−RDLES. \frac{R_D L^3}{6EI} = \alpha L\Delta T-\frac{R_D L}{ES}. これを RDR_D について解くと RD=6EISαΔTSL2+6I. R_D = \frac{6EIS\alpha\Delta T}{SL^2+6I}.

次に、はり AB の降伏条件を求める。中央集中荷重 RDR_D による最大曲げモーメントは中央で Mmax⁡=RD2L M_{\max}=\frac{R_D}{2}L である。高さ hh の長方形断面なので、最外縁距離は h/2h/2 であり、最大曲げ応力は σmax⁡=Mmax⁡(h/2)I=RDLh4I. \sigma_{\max} = \frac{M_{\max}(h/2)}{I} = \frac{R_D Lh}{4I}. 降伏開始時は σmax⁡=σy\sigma_{\max}=\sigma_y だから RD=4IσyLh. R_D=\frac{4I\sigma_y}{Lh}. これを RDR_D の式に代入して ΔTY=2σy(SL2+6I)3ESαLh \Delta T_Y = \frac{2\sigma_y(SL^2+6I)}{3ES\alpha Lh} を得る。

棒 CD の座屈開始温度を ΔTcr\Delta T_{\mathrm{cr}} とすると、座屈が降伏より先に起こる条件は、温度上昇に対して単調に増える RDR_D で比較して Pcr<4IσyLh P_{\mathrm{cr}}<\frac{4I\sigma_y}{Lh} である。与えられたオイラー座屈荷重 Pcr=π2EIL2 P_{\mathrm{cr}}=\frac{\pi^2EI}{L^2} を代入すると π2EIL2<4IσyLh. \frac{\pi^2EI}{L^2}<\frac{4I\sigma_y}{Lh}. I>0I>0 として整理すれば Lh>π2E4σy \frac{L}{h}>\frac{\pi^2E}{4\sigma_y} となる。

最終答

δAB=RDL36EI,δCD=αLΔT−RDLES,RD=6EISαΔTSL2+6I,ΔTY=2σy(SL2+6I)3ESαLh,ΔTcr<ΔTY⟺Lh>π2E4σy. \begin{gathered} \delta_{AB}=\frac{R_D L^3}{6EI},\qquad \delta_{CD}=\alpha L\Delta T-\frac{R_D L}{ES},\\ R_D=\frac{6EIS\alpha\Delta T}{SL^2+6I},\qquad \Delta T_Y=\frac{2\sigma_y(SL^2+6I)}{3ES\alpha Lh},\\ \Delta T_{\mathrm{cr}}<\Delta T_Y \quad\Longleftrightarrow\quad \frac{L}{h}>\frac{\pi^2E}{4\sigma_y}. \end{gathered}

第4問 — 穴あき円板の回転振動とPD制御

方針

前半は剛体回転の1自由度振動、後半は同じプラントにPD制御を閉ループでかける問題である。穴あき円板の慣性モーメントは「大きな円板から穴を差し引く」と考える。

慣性モーメントの検算

円板2は穴の総面積が円板1の半分である。実際、円板1の穴面積は 4πr24\pi r^2、円板2は 8π(r/2)2=2πr28\pi(r/2)^2=2\pi r^2 である。そのため円板2のほうが重く、慣性モーメントも大きくなる。J2−J1>0J_2-J_1>0 はこの直感と一致する。

ボード線図の描き方

数値代入後の伝達関数は G(s)=101(s+0.01)(s+1)(s+100) G(s)=\frac{101(s+0.01)}{(s+1)(s+100)} である。零点が 10−210^{-2}、極が 11 と 10210^2 にあるので、ゲインの傾きは 0→+20→0→−20 dB/dec 0\to +20\to0\to-20\,\mathrm{dB/dec} の順に変化する。問題文の log⁡101.01≃0\log_{10}1.01\simeq0 は、低周波ゲインを −40 dB-40\,\mathrm{dB}、中間の平坦部を 0 dB0\,\mathrm{dB} としてよいことを示している。

位相の補足

位相も折れ線近似で描く場合は、零点 10−210^{-2} が +90∘+90^\circ、極 11 と 10210^2 がそれぞれ −90∘-90^\circ を与える。したがって十分低周波では 0∘0^\circ、10−110^{-1} から 1010 付近で零点と第1極の効果が打ち消し合い、さらに高周波では第2極の分だけ −90∘-90^\circ に近づく。

典型ミス

PD制御の分母に kpk_p を入れ忘れやすい。モータトルクは入力だけでなく現在角度 θ\theta にも依存するため、閉ループ分母は J1s2+kds+k+kp J_1s^2+k_ds+k+k_p となる。

穴あき円板の回転振動とPD制御の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 手動油圧ポンプと配管選定

方針

前半はパスカルの原理とてこのつり合い、後半は配管の静的強度・疲労寿命・外径制約を順にふるいにかける問題である。数値選択では、各条件を別々に満たすだけでなく、最後に同時成立を確認する。

静的強度の見方

厚肉円筒の式は、内径が固定されていると外径を大きくするほど分母 Do2−Di2D_o^2-D_i^2 が大きくなり、周方向応力が下がる。したがって選択肢では、計算で得た下限以上の最小値を選ぶ。

体積計算の注意

油の漏れや圧縮性を無視するので、ピストンAが押し出した体積がそのままピストンBの移動体積になる。直径比が DB/DA=2D_B/D_A=2 なので、同じ移動量ならB側は4倍の体積が必要である。さらにBは 100 mm100\,\mathrm{mm}、Aは1回 50 mm50\,\mathrm{mm} なので、合計で 4×2=84\times2=8 回と確認できる。

疲労寿命の落とし穴

指数 mm が小さいほど 1/m1/m が大きく、寿命が大きく変化する。単に KK の大小だけで判断すると、K=80 MPaK=80\,\mathrm{MPa} の配管Zを過小評価してしまう。必ず (K/σa)1/m \left(K/\sigma_a\right)^{1/m} を数値で比較する。

選定理由の書き方

記述答案では、配管Xだけが残る理由を条件ごとに短く示すとよい。例えば「Xは必要外径23 mmで外径条件を満たし、疲労寿命も 101010^{10} 回で設計寿命を超える。Yは疲労寿命不足、Zは必要外径25 mmで外径25 mm未満の条件に反するため除外する。」と書けば、静的強度・疲労・外径の三条件をすべて押さえられる。

手動油圧ポンプと配管選定の途中式・最終答をPDFで見る

東大 機械工学 専門科目 院試 過去問の収録6年度

  • 2026年度(このページ・全5問)

    逆ブレイトン冷凍サイクルと発熱平板 / 非定常粘性拡散 / 熱膨張拘束はり

  • 2025年度(全5問)

    熱力学・熱伝導 / 流体力学 / 材料力学

  • 2024年度(全5問)

    熱機関サイクルと非定常熱伝導 / 風車モデルと傾斜液膜流 / 応力変換と自重を受ける丸棒

  • 2023年度(全5問)

    熱力学と相変化熱伝導 / 音速と圧縮性流れの相似 / はりの応力と平面トラス

  • 2022年度(全5問)

    熱ポンプサイクルと放射体温計 / 運動量法則と細管内の粘性流れ / はりの曲げと薄肉円筒容器

  • 2021年度(全10問)

    断熱タンクへの充填 / 分子運動論による熱伝導 / 二次元粘性流の減衰