東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2026年度 院試 解答例・解説
東京大学 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 逆ブレイトン冷凍サイクルと発熱平板
方針
第I問は、まず 線図の水平線を等圧変化、曲線を等エントロピー変化と読む。冷凍機なので、低圧側で吸熱し、高圧側で放熱する。冷凍庫入口温度 は状態4、熱交換器出口温度 は状態1に対応する点が最重要である。
検算
圧縮機出口圧力は であり、膨張前温度 が冷凍庫入口温度 より高ければ となる。高圧側圧力として自然である。熱交換器入口温度も なら となり、熱交換器で放熱して まで下がるという向きと一致する。
典型ミス
状態1と状態2の向きを逆にして、熱交換器入口を としてしまう誤りが多い。図の流れは冷凍庫を出た後に圧縮機へ向かうため、低圧吸熱は 、圧縮は である。
熱伝導のポイント
第II問では、熱流束の符号を最初に固定する。ここでは を正の 方向熱流束としたので、内部発熱により となる。対称面で を使えば、積分定数を迷わず決められる。最後の は を消去して温度の関数として答える必要があるため、 と を比較するのが最短である。
第2問 — 非定常粘性拡散
方針
これは Stokes の第1問題であり、壁の急発進による運動量の粘性拡散を解く問題である。圧力勾配、対流項、 方向の空間変化を消すと、熱伝導方程式と同じ形の拡散方程式になる。
相似変数の意味
は、粘性が時刻 までに影響を及ぼす距離が に比例することを表す。したがって、同じ でも時間が経つほど は小さくなり、速度は に近づく。
典型ミス
問題で与えられた相似変数は である。標準形として を覚えていると、常微分方程式の係数を誤りやすい。今回の定義では となり、最終的に誤差関数の中身が になる。
試験で書くべきポイント
消える項を説明するときは、単に「ゼロ」と書くのではなく、、、 を明示する。最後の図では、壁面値 と無限遠値 が読めるように描けば十分である。
第3問 — 熱膨張拘束はり
方針
この問題は、熱膨張による自由伸びと、はり・棒の弾性変形の適合条件を組み合わせる。棒 CD が伸びようとして点 D を押し上げるため、はりには中央集中荷重、棒には圧縮軸力が生じる。
符号の考え方
を としてしまうと、圧縮力で棒がさらに伸びることになり物理的におかしい。熱膨張は伸び、圧縮力は短縮であるため、差し引きになる。
降伏条件
中央荷重の単純支持はりでは反力が左右 ずつで、最大曲げモーメントは である。全長が であることを忘れて、公式に をそのまま代入すると係数がずれる。
座屈と降伏の比較
を直接求めてもよいが、 は に比例するので、先に起こる現象は必要荷重の大小で判定できる。したがって を比較するのが最短である。最終条件に が残らない点はよい検算になる。
第4問 — 穴あき円板の回転振動とPD制御
方針
前半は剛体回転の1自由度振動、後半は同じプラントにPD制御を閉ループでかける問題である。穴あき円板の慣性モーメントは「大きな円板から穴を差し引く」と考える。
慣性モーメントの検算
円板2は穴の総面積が円板1の半分である。実際、円板1の穴面積は 、円板2は である。そのため円板2のほうが重く、慣性モーメントも大きくなる。 はこの直感と一致する。
ボード線図の描き方
数値代入後の伝達関数は である。零点が 、極が と にあるので、ゲインの傾きは の順に変化する。問題文の は、低周波ゲインを 、中間の平坦部を としてよいことを示している。
位相の補足
位相も折れ線近似で描く場合は、零点 が 、極 と がそれぞれ を与える。したがって十分低周波では 、 から 付近で零点と第1極の効果が打ち消し合い、さらに高周波では第2極の分だけ に近づく。
典型ミス
PD制御の分母に を入れ忘れやすい。モータトルクは入力だけでなく現在角度 にも依存するため、閉ループ分母は となる。
第5問 — 手動油圧ポンプと配管選定
方針
前半はパスカルの原理とてこのつり合い、後半は配管の静的強度・疲労寿命・外径制約を順にふるいにかける問題である。数値選択では、各条件を別々に満たすだけでなく、最後に同時成立を確認する。
静的強度の見方
厚肉円筒の式は、内径が固定されていると外径を大きくするほど分母 が大きくなり、周方向応力が下がる。したがって選択肢では、計算で得た下限以上の最小値を選ぶ。
体積計算の注意
油の漏れや圧縮性を無視するので、ピストンAが押し出した体積がそのままピストンBの移動体積になる。直径比が なので、同じ移動量ならB側は4倍の体積が必要である。さらにBは 、Aは1回 なので、合計で 回と確認できる。
疲労寿命の落とし穴
指数 が小さいほど が大きく、寿命が大きく変化する。単に の大小だけで判断すると、 の配管Zを過小評価してしまう。必ず を数値で比較する。
選定理由の書き方
記述答案では、配管Xだけが残る理由を条件ごとに短く示すとよい。例えば「Xは必要外径23 mmで外径条件を満たし、疲労寿命も 回で設計寿命を超える。Yは疲労寿命不足、Zは必要外径25 mmで外径25 mm未満の条件に反するため除外する。」と書けば、静的強度・疲労・外径の三条件をすべて押さえられる。