東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2025年度 院試 解答例・解説
東京大学 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 熱力学・熱伝導
方針
前半は状態点の意味を取り違えないことが最重要である。圧縮機出口が過熱 蒸気,凝縮器出口が飽和液,蒸発器出口が飽和蒸気,膨張弁出口が湿り蒸気 である。後半は円筒面積が に比例するため,直交座標の ではなく の形になる。
検算
熱伝導方程式の右辺の次元は で,左辺の と一致する。定常解では であり, で となるので,外向きを正に取った符号も整合している。
典型ミス
を等エントロピー膨張として描く誤りが多い。膨張弁は仕事を 取り出す膨張機ではなく,絞りなので である。また,凝縮器内の 過熱蒸気温度を求めるときは,理想気体のエントロピー式から始め, 凝縮器では 一定だから の項が消える,という一行を書くと 答案として強い。
第2問 — 流体力学
方針
この問題は垂直管内のポアズイユ流として処理する。圧力差ではなく重力項 が速度分布を作る点が特徴である。十分発達流なので だけが未知関数になり,対流項も 微分も消える。
境界条件
で速度が有限であることから,積分定数のうち 型の特異項を 除く。さらに で滑りなし条件を課す。この二つを書かないと,放物線 分布をただ暗記しただけに見える。
検算
円管の平均速度は最大速度の半分である。ここでも , となっており, 通常の円管層流と同じ比になっている。正方形管の時間比が より小さい のは,辺長を円管内径と同じにしたため断面積が大きくなるからである。
典型ミス
正方形管で の代表長さを勝手に変えると係数がずれる。本問では とともに辺長 が与えられているので, と読んでよい。また,体積が同じという条件では 流速比だけでなく断面積比も必ず入れる。
第3問 — 材料力学
方針
点 では曲げによる軸応力と,ねじりによるせん断応力を重ね合わせる。 ひずみゲージの値は応力そのものではなく,ゲージ方向へのひずみ変換で 求める。 ゲージでは工学せん断ひずみの半分が入る点に注意する。
検算
数値は意図的に計算しやすくなっている。, となり, , である。したがって ゲージは と 暗算でも確認できる。
典型ミス
材料変更後の応力比に や を直接掛けるのは誤りである。荷重 が同じなら,応力は断面二次モーメントや極モーメントで決まり,弾性係数は 変位やひずみに効く。今回は直径を大きくした効果だけが応力比に残る。
第4問 — 機械力学・制御
方針
二つの絶対変位で解こうとすると式が増える。相対変位が指定されているので, 最初から の式を作り,換算質量 にまとめるのが短い。
安定判別
閉ループ特性は 3 次式になる。すべての係数が正でも 3 次系では十分ではなく, Routh の条件 が必要である。この問題ではこの不等式から ばね定数 と質量が消え, だけが残る。
典型ミス
制御入力の符号を誤ると,特性多項式の の符号が逆になり, 正のゲインで安定化できない形になる。 のとき,台車 2 を左へ 押すと相対変位 は増える,という物理的向きで符号を確認できる。
第5問 — 機械設計・生産材料
方針
前半は用語問題,後半は歯車列の速度比とトルク比の問題である。歯車箱の 図には外径や軸間距離も示されているが,損失なしのトルク比にはピッチ円 直径だけを使えばよい。
インボリュート歯形
インボリュート歯形の重要点は,作用線が一定で,中心距離が少しずれても 速度比の一定性を保ちやすいことである。また,ラック形工具で創成できるため 製造・標準化の面でも有利である。試験では「滑らか」だけでは弱く, 速度比一定や工具標準化まで書くと採点されやすい。
軸受選定
円筒ころ軸受は大きなラジアル荷重には強いが,単体では軸方向荷重の支持に 向かない。自動調心玉軸受はミスアライメントには強いが,はすば歯車の スラストを積極的に受ける選択としては弱い。アンギュラ玉軸受は接触角に よりラジアル荷重とアキシアル荷重を同時に支持できる。
典型ミス
トルク比を外径 で書くのは避ける。歯車の速度比を決めるのはピッチ円 直径 である。また,中間軸では歯車 2 と歯車 3 が同じ角速度で回る ため,二段の速度比を掛け合わせればよい。