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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2024年度 院試 解答例・解説

東京大学 工学系研究科 機械工学専攻 機械工学 専門科目 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 熱機関サイクルと非定常熱伝導

方針

前半はブレイトンサイクルと同じ構造であり,熱効率は「定圧過程で出入りする熱量」だけから書ける。 断熱過程では熱の出入りがないので,仕事を個別に計算する必要はない。 後半はフーリエの法則で微小区間のエネルギー収支を作り,境界条件に合う固有関数を使う。

検算

圧力比 p1/p0p_1/p_0 が大きくなると (p0/p1)(κ1)/κ(p_0/p_1)^{(\kappa-1)/\kappa} は小さくなり,効率は大きくなる。 これは圧縮比を上げると理想サイクル効率が上がるという物理的な傾向と一致する。 熱伝導解は x=0,Lx=0,L で常に TLT_L となり,tt\to\infty で全体が TLT_L に近づくため,境界条件と終状態の検算も通っている。

典型ミス

可逆断熱関係の指数を (κ1)/κ(\kappa-1)/\kappa ではなく κ/(κ1)\kappa/(\kappa-1) としてしまうミスが多い。 また熱伝導の放熱エントロピー項は「外へ出る熱量」を正に取ると,媒体側のエントロピー寄与は負になる。 符号を明示せずに正の値だけを書くと,最後の大小関係を誤る。

試験で書くべきポイント

効率式では QinQ_{\mathrm{in}}QoutQ_{\mathrm{out}} のどちらを正量として扱っているかを先に書く。 熱伝導では,微小区間への正味流入熱量を qx(x)qx(x+δx)q_x(x)-q_x(x+\delta x) と置いた一行が偏微分方程式導出の採点点になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 風車モデルと傾斜液膜流

方針

風車の問題はアクチュエータディスクの標準形である。 力は運動量保存,仕事率は運動エネルギー保存,ディスク面速度は W˙=FUT\dot W=FU_T から決まる。 液膜流では,速度分布を完全に求めなくても,連続の式,法線方向の静水圧分布,検査体積の力のつり合いだけで設問に答えられる。

検算

U1=U0U_1=U_0 なら風車は流れからエネルギーを取り出さないので η=0\eta=0 になる。 U10U_1\to0 でも η1/2\eta\to1/2 にとどまり,最大が中間の U1/U0=1/3U_1/U_0=1/3 に出ることは自然である。 液膜の圧力は自由表面で p0p_0,壁面に近づくほど大きくなるので,p=p0+ρgcosθ(δy)p=p_0+\rho g\cos\theta(\delta-y) の符号は正しい。

典型ミス

風車の力を ρATUT(U0U1)\rho A_TU_T(U_0-U_1) と書くこと自体は連続の式で同値だが,設問が指定する変数である ρ,A0,U0,U1\rho,A_0,U_0,U_1 に整理する必要がある。 また,液膜の摩擦係数では分母を ρU0\rho U_0 としてしまうと次元が合わない。 動圧型の量にするには必ず U02U_0^2 が必要である。

試験で書くべきポイント

運動量保存では「圧力項が大気圧で相殺される」ことを一言書く。 液膜では「十分発達なので入口・出口の運動量流束が等しい」と書いてから壁面せん断を出すと,検査体積法の導出として明確になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 応力変換と自重を受ける丸棒

方針

溶接線の問題は,任意面の応力ベクトル t(n)=σn\boldsymbol{t}^{(n)}=\boldsymbol{\sigma}\boldsymbol{n} を使うのが最短である。 ひずみゲージは応力変換ではなく,まずひずみ変換で γxy\gamma_{xy} を求めてからフックの法則に戻す。 丸棒は自重を分布荷重として扱い,反力,曲げモーメント,軸力を順に求める。

検算

初めの応力状態では xx 方向引張と yy 方向圧縮が同時に作用するため,3030^\circ の面の垂直応力が小さな圧縮になる。 丸棒の曲げモーメントは x0=0x_0=0x0=Lx_0=L00 になる式になっており,端部条件と整合する。

典型ミス

溶接線の内力を求めるとき,線の長さ 60mm60\,{\mathrm{mm}} と板厚 1mm1\,{\mathrm{mm}} を掛け忘れやすい。 また,ゲージ cc の式では工学せん断ひずみ γxy\gamma_{xy} を用いるため, γxysinθcosθ\gamma_{xy}\sin\theta\cos\theta と書く形になる。 丸棒の最大垂直応力では曲げ応力だけでなく,自重と反力による軸圧縮応力を足し合わせる必要がある。

試験で書くべきポイント

内力ベクトルは法線の向きで符号が反転するので,採点者が追えるように自分の法線を明記する。 曲げ問題では,どちらの部分を自由物体として切り出したかを図なしでもわかるように書くと符号の減点を避けられる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 強制振動とPID調整

方針

強制振動は複素振幅法を使うと,変位振幅と力伝達率を一つの代数計算で求められる。 PID調整では,まず P 制御で安定限界となる周波数を位相条件から求め,その周波数でゲイン条件をかける。

検算

力伝達率は ω=0\omega=011 になる。低周波ではばね力が外力をそのまま机に伝えるため妥当である。 G(s)=1/(2s+1)4G(s)=1/(2s+1)^4 は同じ一次遅れが4個直列なので,位相が 180-180^\circ になるのは各要素が 45-45^\circ になる ω=1/2\omega=1/2 である。

典型ミス

式(2-1)の右辺は F/mF/m であり,外力振幅 AA をそのまま右辺振幅に置くと変位振幅に mm が抜ける。 また,Ziegler--Nichols の表では P 制御器のゲインは限界感度そのものではなく 0.5Ku0.5K_u である。 この問題では Kp=2K_p=2 を使うため,定常偏差は 1/(1+4)1/(1+4) ではなく 1/(1+2)1/(1+2) になる。

試験で書くべきポイント

Bode 線図の折れ線近似は文章だけでなく,折点 ω=1/2\omega=1/2 と傾き 20dB/dec-20\,{\mathrm{dB/dec}} を明記すれば十分に採点可能である。 PIDの定常偏差では,積分動作により直流ゲインが無限大になることを最終値定理と結び付けて書く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 送りねじの設計・加工と効率

方針

前半は機械要素の設計上のトラブルを,すきま,同期,製造法の観点で簡潔に答える問題である。 後半は「1回転あたりの仕事」で効率を定義し,リード角と摩擦角だけの関数にして最大化する。

検算

摩擦がない極限 ρ0\rho\to0 では η=tanβtanβ=1 \eta=\frac{\tan\beta}{\tan\beta}=1 となる。最大効率の式も ηmax(10)2=1 \eta_{\max}\to(1-0)^2=1 であり,物理的に正しい。 また ρ\rho が大きくなるほど 1+tan2ρtanρ\sqrt{1+\tan^2\rho}-\tan\rho は小さくなるため,最大効率も低下する。

典型ミス

2πT2\pi T を力と解釈したり,mgLmgL を出力パワーと解釈したりすると効率の意味が崩れる。 どちらも「1回転あたりの仕事」である。 また最大化では tan(β+ρ)\tan(\beta+\rho) を展開せずに微分すると計算が重くなる。 x=tanβx=\tan\beta と置くと二次方程式で終わる。

試験で書くべきポイント

記述問題では「大きい場合」「小さい場合」を対で書き分け,現象と理由を一文にまとめる。 効率最大化では,最適な β\beta だけでなく,設問の指定どおり ρ\rho または tanρ\tan\rho の関数として整理した最終形を示す。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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