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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 化学システム工学専攻 化学システム工学 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。化学3問。テーマタグは6件(調和振動子・結晶構造・境界層)。2023年度と共通のテーマは結晶構造。

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解説5問/全5問(2,016字)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
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東大 化学システム工学 2024年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は化学3問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
1化学物理化学1経路関数と状態量の区別 / 実在気体で内部エネルギーが変わる理由あり
2化学物理化学2赤外活性の判定 / 級数解で落としやすい点あり
3化学無機化学構造因子は位相で考える / 磁鉄鉱の価数配置あり
4化学工学1律速段階の切替 / 自触媒反応の設計あり
5化学工学2相対速度と断面積 / 指数形の意味あり

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に6テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 5問 → 2024年度 5
両年度に出たテーマ
結晶構造
2023年度のページを見る

1 — 物理化学1

経路関数と状態量の区別

第 I 部の要点は,熱と仕事は経路依存だが,内部エネルギーは状態だけで決まるという区別である。経路 ABCABCACACQQWW は異なるが,理想気体では始点と終点の温度が同じなので ΔU=0\Delta U=0 で一致する。この点を式で示せば,単なる暗記ではなく第一法則の答案になる。

実在気体で内部エネルギーが変わる理由

理想気体では分子間相互作用を無視するため U=U(T)U=U(T) である。ファンデルワールス気体では引力項があるため,等温膨張でも分子間距離を広げる仕事が内部エネルギーに反映される。符号は重要で,膨張では 1/Vm,1>1/Vm,21/V_{m,1}>1/V_{m,2} なので ΔU>0\Delta U>0 となる。

最大仕事の符号

燃焼のように ΔG<0\Delta G<0 の反応では,取り出せる最大仕事は ΔG-\Delta G である。効率を計算するときは発熱量の大きさ ΔH-\Delta H で割る。符号つきのまま割ると負の効率になり,物理的意味を失う。

物理化学1の途中式・最終答をPDFで見る

2 — 物理化学2

赤外活性の判定

永久双極子をもつかどうかだけでなく,振動中に双極子モーメントが変化するかを見る。たとえば二酸化炭素は全体として無極性だが,非対称伸縮や曲げ振動では双極子が変化するため赤外活性である。メタンも高い対称性をもつが,縮退した非対称振動は赤外活性である。

級数解で落としやすい点

漸化式を書くだけでは量子化条件にならない。遠方で正規化不能な解を排除するため,級数が有限項で止まる必要がある,という論理を添えると答案として強い。そこから λ=2n+1\lambda=2n+1 が出て,エネルギー準位が離散化される。

非調和性の物理的意味

実在分子では結合を伸ばし続けると解離するため,調和ポテンシャルのように無限に大きな復元力を仮定できない。モース振動子の準位間隔が上に行くほど狭くなることは,赤外スペクトルの倍音やホットバンドを理解する基礎になる。

物理化学2の途中式・最終答をPDFで見る

3 — 無機化学

構造因子は位相で考える

面心立方格子の消滅則は丸暗記でも答えられるが,位相因子を一度書けば符号の判定ミスを避けられる。岩塩型の KCl と KBr の違いも,同じ面心立方の消滅則に加えて,基底内の二原子の散乱能差を見る問題である。

磁鉄鉱の価数配置

Fe3O4\mathrm{Fe_3O_4} は形式的に FeOFe2O3\mathrm{FeO\cdot Fe_2O_3} と見られるが,単純に位置を割り振るだけではなく,逆スピネルであることが重要である。四面体位置と八面体位置の Fe3+\mathrm{Fe^{3+}} が反平行に近く打ち消す,という説明まで書くとフェリ磁性の理解が伝わる。

半導体の比較で必要な軸

金属・半導体・絶縁体の比較では「禁制帯の有無」と「フェルミ準位近傍のキャリア」の二つを同時に述べるとよい。単に電気を通すかどうかだけでは,温度依存性やドーピングの説明につながらない。

無機化学の途中式・最終答をPDFで見る

4 — 化学工学1

律速段階の切替

臭素濃度を変えるだけで速度式の濃度依存性が変わるのは,反応機構が変わったからではなく,どの素過程が遅く見えるかが変わるからである。高臭素濃度では EE が低濃度に保たれ,エノール化の供給速度が全体を支配する。低臭素濃度では臭素付加の頻度が下がり,臭素濃度が速度式に現れる。

自触媒反応の設計

自触媒反応では,入口直後の速度が必ずしも最大ではない。PFR は入口から順にその低速度領域を通過するため,最初の区間で空間時間を消費する。CSTR を先に使うと,反応器内を出口組成に保てるため,速度最大付近へまとめて到達させられる。この特徴が通常の単調減少速度反応との違いである。

化学工学1の途中式・最終答をPDFで見る

5 — 化学工学2

相対速度と断面積

液滴が洗浄する体積は,捕集断面積と相対速度の積である。ここで p(x)p(x) は直径として与えられているため,断面積は πp2/4\pi p^2/4 になる。半径と読み違えると 4 倍の誤差が出る。

指数形の意味

粒子濃度の微分方程式は一次の減衰式であり,透過率は指数関数になる。したがって液滴数を増やした効果は線形ではなく,指数の係数を増やす形で効く。 0.100.100.0010.001 へ下がるのは,捕集の独立試行が濃くなるためである。

装置設計の視点

ベンチュリスクラバーは,単に管を細くする装置ではない。高速化による相対速度増大,液滴微細化による有効接触面積増大,乱流混合による接触頻度増大を同時に使う装置である。一方で圧力損失が増えるため,実設計では捕集効率と動力のバランスが評価点になる。

化学工学2の途中式・最終答をPDFで見る

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