東北大学 院試 過去問 解答例
東北大 理学研究科 地学専攻 専門科目 2026年度 院試 解答例・解説
東北大学 理学研究科 地学専攻 専門科目 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 共通問題
方針
共通問題は、短い記述問題でも「何が変わるから観測量が変わるのか」を明示することが重要である。高度分布なら地殻の厚さ・密度・アイソスタシー、酸素同位体なら同位体分別と氷床固定、地震波速度なら弾性率・密度・相状態を軸に書く。
検算
放射平衡の計算では、半径や は比を取ると消える。 とできるので、数値代入の途中で大きな桁の計算をしなくてよい。 で、温室効果により より高くなることも妥当である。
典型ミス
氷期の氷そのものの と海水の を逆にしない。氷床に軽い酸素が固定されるため、海水は重くなる。またP波速度の説明で「深いから速い」とだけ書くと不十分で、弾性率の増加を明記する。
試験で書くべきポイント
短答では語句を並べるだけでなく、原因から結果までを一文でつなぐ。たとえば「液体外核では剛性率がほぼゼロになるため速度が下がる」のように、物性量と観測量の対応を書くと採点されやすい。
第2問 — 問題A
方針
堆積粒子の問題は、粒径階、限界掃流力、沈降速度、乱流拡散を対応させれば整理しやすい。式の計算では単位を 、、 にそろえ、最後に無次元化する。
検算
分母 は粒子を沈める有効重量に対応し、今回の値は約 である。掃流力がこれよりやや大きいので、 が 1 を少し超えるのは自然である。
典型ミス
スケールは粗粒ほど小さい。 の大小を通常の粒径と同じ向きに扱うと、礫・砂・泥の判定が逆になる。また、細粒粒子は軽いからすぐ動く、とだけ考えると粘着性の効果を落とす。
試験で書くべきポイント
図の領域名を答えるだけでなく、粒子に働く駆動力と抵抗力、沈降速度と乱流拡散の釣り合いを一言添えると、記述答案として強い。
第3問 — 問題B
方針
地形プロセスの問題では、図から読める分類をそのまま書くより、プロセスの因果を補うと答案になる。河川なら流積・潤辺・径深、岩石海岸なら波の侵食力と岩石強度、周氷河なら凍上・融解・重力移動が軸である。
検算
凍土形成深度は を使うだけなので、。 を割ると 年で、有効数字2桁なら 年となる。
典型ミス
平均水深と径深を混同しない。平均水深は水面幅で割るが、径深は潤辺で割る。断面が複雑になるほど潤辺の影響が効くので、平均水深だけでは流速の大小を決められない。
試験で書くべきポイント
計算問題は式、代入、単位を必ず書く。記述問題は指定語をすべて使い、最後に「したがってどちらが速い、どちらが侵食されやすい」と結論まで書く。
第4問 — 問題C1
方針
鉱物・マグマ・相図の混合問題である。用語指定がある設問では、語句を説明文に機械的に入れるだけでなく、結晶構造、元素置換、物性への帰結をつなぐ。
検算
かんらん石で Si は四面体、Mg・Fe は主に八面体であり、Si と Mg・Fe を同じ席に置かない。粘度では水の効果は一般に低粘度化で、含水マグマが必ず爆発的という単純化は避ける。揮発性成分による発泡は別の効果である。
典型ミス
ベガード則は格子定数と組成の経験的なほぼ線形関係であり、自由エネルギーを直接表す法則ではない。また相図では、低い曲線を選ぶだけでなく、二相共存では共通接線を引く点が重要である。
試験で書くべきポイント
相図を描く問題では、曲線の形よりも「どの組成範囲で何相が安定か」を明示する。図に相名、接点、二相域を入れると説明の不足を補える。
第5問 — 問題C2
方針
宇宙化学の記述では、元素合成、凝縮、隕石中での保存を時間順に並べると答案が崩れにくい。核融合と中性子捕獲の違いは、結合エネルギーと反応環境の違いとして説明する。
検算
「鉄より重い元素は超新星の核融合で作る」と書き切ると不正確である。爆発的環境が重要なのは、中性子捕獲に必要な高い中性子密度を与えるためであり、主反応は捕獲と崩壊である。
典型ミス
コンドリュールや CAI と先太陽系粒子を混同しない。コンドリュールと CAI は原始太陽系円盤内で形成された成分であり、先太陽系粒子は太陽系形成以前の恒星起源の同位体異常をもつ。
試験で書くべきポイント
sプロセスとrプロセスは「遅い・速い」だけでなく、ベータ崩壊との時間スケール比較を書く。岩石学的タイプでは、数字の意味と保存度の関係を必ず一文で結ぶ。