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東北大学 院試 過去問 解答例

東北大 理学研究科 地学専攻 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。テーマタグは2件(結晶構造・境界層)。2025年度と共通のテーマは結晶構造。

最終更新:

収録3年度分の解答PDF:東北大学 理学研究科 地学専攻 専門科目(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

東北大 地学専攻 専門科目 2026年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問共通問題—あり
第2問問題A—あり
第3問問題B—あり
第4問問題C1—あり
第5問問題C2—あり

この年度の解説には検算5件・試験で書くべきポイント5件・典型ミス5件が付いています。

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に2テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 5問 → 2026年度 5問
両年度に出たテーマ
結晶構造
2026年度で新しく出たテーマ
境界層
2025年度のページを見る

第1問 — 共通問題

方針

共通問題は、短い記述問題でも「何が変わるから観測量が変わるのか」を明示することが重要である。高度分布なら地殻の厚さ・密度・アイソスタシー、酸素同位体なら同位体分別と氷床固定、地震波速度なら弾性率・密度・相状態を軸に書く。

検算

放射平衡の計算では、半径や π\pi は比を取ると消える。T/T0=21/4T/T_0=2^{1/4} とできるので、数値代入の途中で大きな桁の計算をしなくてよい。306 K−273≃33 ∘C306\,\mathrm{K}-273\simeq 33\,^\circ\mathrm{C} で、温室効果により 255 K255\,\mathrm{K} より高くなることも妥当である。

典型ミス

氷期の氷そのものの δ18O\delta^{18}\mathrm{O} と海水の δ18O\delta^{18}\mathrm{O} を逆にしない。氷床に軽い酸素が固定されるため、海水は重くなる。またP波速度の説明で「深いから速い」とだけ書くと不十分で、弾性率の増加を明記する。

試験で書くべきポイント

短答では語句を並べるだけでなく、原因から結果までを一文でつなぐ。たとえば「液体外核では剛性率がほぼゼロになるため速度が下がる」のように、物性量と観測量の対応を書くと採点されやすい。

解答

問1

  1. 地球表面の高度分布は、大陸地殻に対応する高いピークと海洋地殻に対応する低いピークをもつ。大陸地殻は花崗岩質で厚く、密度が小さいためアイソスタシーにより高く保たれる。一方、海洋地殻は玄武岩質で薄く、密度が大きいため低い。火星では現在の地球型プレートテクトニクスと海洋・大陸地殻の明瞭な分化が弱く、全球的な岩石圏構造の違いが小さいため、地球ほど明瞭な二峰性にならない。
  2. 氷期の海水の δ18O\delta^{18}\mathrm{O} は間氷期より相対的に高い。蒸発・降水・氷床形成の過程で、軽い 16O^{16}\mathrm{O} を多く含む水が高緯度へ運ばれ、同位体分別を受けて選択的に氷床へ固定されるため、海水側には相対的に 18O^{18}\mathrm{O} が濃集する。
  3. 温室効果なしでは 4πr2σT04=SE4\pi r^2\sigma T_0^4=S_{\mathrm E} より T0=255 KT_0=255\,\mathrm{K} である。温室効果ありの一層大気モデルでは、大気圏外のつり合いから Ia=SEI_{\mathrm a}=S_{\mathrm E}、大気のつり合いから IE′=2Ia=2SEI'_{\mathrm E}=2I_{\mathrm a}=2S_{\mathrm E}。したがって 4πr2σT4=2SE 4\pi r^2\sigma T^4=2S_{\mathrm E} であり、T=21/4T0≃1.2×255=306 KT=2^{1/4}T_0\simeq 1.2\times255=306\,\mathrm{K}。摂氏では約 33 ∘C33\,^\circ\mathrm{C} である。

問2

  1. 深さとともに圧力が増し、鉱物の弾性率、特に体積弾性率・剛性率が増大する。密度も増えるが、通常は弾性率の増加の効果が勝つため、VP=(K+4μ/3)/ρV_{\mathrm P}=\sqrt{(K+4\mu/3)/\rho} は大きくなる。
  2. 上部マントルの低速度層では、温度上昇、少量の部分溶融、揮発性成分の存在により剛性率が低下する。密度変化だけでは説明できず、岩石の有効剛性が下がることが速度低下の主因である。
  3. 大きな速度低下は、液体外核への遷移と鉄に富む組成への変化で説明できる。液体では剛性率がほぼゼロになり、また珪酸塩マントルから金属核へ物性が急変するため、P波速度は不連続に低下する。
  4. 内核境界付近では、液体外核から固体内核へ状態が変化する。固化により弾性率が増し、結晶構造・密度・組成の差も加わるため、P波速度が不連続に増加する。

最終答

温室効果ありの地表温度は約 33 ∘C33\,^\circ\mathrm{C}。地震波速度の主な支配要因は弾性率、密度、相状態であり、低速度層・核境界・内核境界では物性の急変を説明する。

第2問 — 問題A

方針

堆積粒子の問題は、粒径階、限界掃流力、沈降速度、乱流拡散を対応させれば整理しやすい。式の計算では単位を kg\mathrm{kg}、m\mathrm{m}、s\mathrm{s} にそろえ、最後に無次元化する。

検算

分母 (ρs−ρ)gd(\rho_s-\rho)gd は粒子を沈める有効重量に対応し、今回の値は約 4.0 N m−24.0\,\mathrm{N\,m^{-2}} である。掃流力がこれよりやや大きいので、θ\theta が 1 を少し超えるのは自然である。

典型ミス

ϕ\phi スケールは粗粒ほど小さい。ϕ\phi の大小を通常の粒径と同じ向きに扱うと、礫・砂・泥の判定が逆になる。また、細粒粒子は軽いからすぐ動く、とだけ考えると粘着性の効果を落とす。

試験で書くべきポイント

図の領域名を答えるだけでなく、粒子に働く駆動力と抵抗力、沈降速度と乱流拡散の釣り合いを一言添えると、記述答案として強い。

問題Aの途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 問題B

方針

地形プロセスの問題では、図から読める分類をそのまま書くより、プロセスの因果を補うと答案になる。河川なら流積・潤辺・径深、岩石海岸なら波の侵食力と岩石強度、周氷河なら凍上・融解・重力移動が軸である。

検算

凍土形成深度は 1600=40\sqrt{1600}=40 を使うだけなので、160 cm=1.6 m160\,\mathrm{cm}=1.6\,\mathrm{m}。200 m200\,\mathrm{m} を割ると 125125 年で、有効数字2桁なら 1.3×1021.3\times10^2 年となる。

典型ミス

平均水深と径深を混同しない。平均水深は水面幅で割るが、径深は潤辺で割る。断面が複雑になるほど潤辺の影響が効くので、平均水深だけでは流速の大小を決められない。

試験で書くべきポイント

計算問題は式、代入、単位を必ず書く。記述問題は指定語をすべて使い、最後に「したがってどちらが速い、どちらが侵食されやすい」と結論まで書く。

問題Bの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 問題C1

方針

鉱物・マグマ・相図の混合問題である。用語指定がある設問では、語句を説明文に機械的に入れるだけでなく、結晶構造、元素置換、物性への帰結をつなぐ。

検算

かんらん石で Si は四面体、Mg・Fe は主に八面体であり、Si と Mg・Fe を同じ席に置かない。粘度では水の効果は一般に低粘度化で、含水マグマが必ず爆発的という単純化は避ける。揮発性成分による発泡は別の効果である。

典型ミス

ベガード則は格子定数と組成の経験的なほぼ線形関係であり、自由エネルギーを直接表す法則ではない。また相図では、低い曲線を選ぶだけでなく、二相共存では共通接線を引く点が重要である。

試験で書くべきポイント

相図を描く問題では、曲線の形よりも「どの組成範囲で何相が安定か」を明示する。図に相名、接点、二相域を入れると説明の不足を補える。

問題C1の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 問題C2

方針

宇宙化学の記述では、元素合成、凝縮、隕石中での保存を時間順に並べると答案が崩れにくい。核融合と中性子捕獲の違いは、結合エネルギーと反応環境の違いとして説明する。

検算

「鉄より重い元素は超新星の核融合で作る」と書き切ると不正確である。爆発的環境が重要なのは、中性子捕獲に必要な高い中性子密度を与えるためであり、主反応は捕獲と崩壊である。

典型ミス

コンドリュールや CAI と先太陽系粒子を混同しない。コンドリュールと CAI は原始太陽系円盤内で形成された成分であり、先太陽系粒子は太陽系形成以前の恒星起源の同位体異常をもつ。

試験で書くべきポイント

sプロセスとrプロセスは「遅い・速い」だけでなく、ベータ崩壊との時間スケール比較を書く。岩石学的タイプでは、数字の意味と保存度の関係を必ず一文で結ぶ。

問題C2の途中式・最終答をPDFで見る

東北大 地学専攻 専門科目 院試 過去問の収録3年度