東北大学 院試 過去問 解答例
東北大 理学研究科 地学専攻 専門科目 2025年度 院試 解答例・解説
東北大学 理学研究科 地学専攻 専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 共通問題
方針
共通問題は、気候変動・氷期証拠・火山活動を横断して問う構成である。時間スケールを短期、氷期サイクル、地質学的長期に分けると答案がまとまる。
検算
火山エアロゾルは日射を減らすので短期寒冷化、温室効果ガスは赤外放射収支を変えるので長期温暖化である。符号を取り違えない。
典型ミス
「氷期の証拠」として単に寒冷だったと書くのではなく、氷河が実際に存在したことを示す地形・堆積物・同位体記録を挙げる。火山の効果も、エアロゾルと を混同しない。
試験で書くべきポイント
指定語がある場合は、各語を原因、過程、結果のどこに入れるか決めてから短文にする。証拠を問われたら「何を観察し、なぜそれが証拠になるか」まで書く。
第2問 — 問題A
方針
地質年代境界の問題は、暗記した用語を出すだけでは不十分である。層序対比の根拠、境界認定の指標、環境変動との対応を順に書く。
検算
GSSP は「模式地」ではあるが、単なる有名露頭ではない。国際的合意により年代境界を定める一点であり、連続性・対比可能性・保存性が必要である。
典型ミス
大量絶滅の原因を隕石衝突だけに寄せない。ペルム紀末ではシベリア洪水玄武岩、温暖化、海洋無酸素、酸性化を結びつける方が標準的である。
試験で書くべきポイント
レンジチャートを読む答案では、化石の出現・消滅、同位体ピーク、火山灰の年代を別々に扱わず、同じ時間面をどう追跡するかを明記する。
第3問 — 問題B
方針
環境地理・地形の大問では、図が示す観察事実と、背後にある物理過程を分ける。観察、解釈、根拠の順に書くと、短い答案でも説得力が出る。
検算
テフラ名は給源とセットで覚える。K-Ah は鬼界、AT は姶良であり、いずれも日本列島の第四紀層序対比に頻用される。
典型ミス
河川縦断形を単に「下流ほど低い」と説明しない。下に凸である理由は、流量増加に伴う運搬能力と勾配の調整である。斜面崩壊では、降雨と地震の効果を同じ言葉で済ませない。
試験で書くべきポイント
地形判読では、地形面、堆積物、傾斜、比高、分布を最低一つずつ根拠として挙げる。図がある場合は、図から読める事実と自分の推論を混同しない。
第4問 — 問題C1
方針
惑星物質科学では、形成場、熱源、時間スケールを分ける。太陽系円盤内過程、衛星内部過程、母天体熱進化を混ぜずに答案化する。
検算
イオは太陽から遠いにもかかわらず激しい火山活動を示すため、太陽加熱では説明できない。潮汐加熱を主因とするのが自然である。
典型ミス
CAI とコンドリュールを同じものとして扱わない。CAI は高温凝縮物で、コンドリュールは溶融・急冷した球粒である。
試験で書くべきポイント
小天体の保存度を述べるときは、形成時刻、半径、熱源、冷却速度の四つをそろえる。熱変成を受けたかどうかは、この組み合わせで決まる。
第5問 — 問題C2
方針
元素分配の問題は、元素名を覚えるより、なぜ固相に入りにくいかを結晶化学で説明する。Hf-W 系は親石性・親鉄性の対比が中心である。
検算
Hf と W は似た重元素として扱われがちだが、地球化学的挙動は異なる。Hf は珪酸塩側、W は金属側へ寄りやすいので、核形成で分別が起こる。
典型ミス
玄武岩をすべて同じ起源として書かない。MORB、OIB、島弧玄武岩、大陸洪水玄武岩は、テクトニックセッティングと微量元素組成が異なる。
試験で書くべきポイント
同位体体系は、親核種、娘核種、半減期、元素分配、閉鎖時刻をそろえて書く。これが書ければ、年代・分化史の説明として成立する。