院試hub

京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星科学専攻 基礎科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。鉱物・岩石2問・化学1問・地質1問。テーマタグは7件(固有値・固有ベクトル・剛体の回転運動・静電場)。2025年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・静電場。

最終更新:

このページで公開
解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

京大 地球惑星科学専攻 基礎科目 2026年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は鉱物・岩石2問・化学1問・地質1問・電磁気学・回路1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—微分・線形代数・線積分・連立微分方程式極値判定の要点 / 逆行列の検算あり
第2問力学—ばね付き二質点の分け方 / 初期条件の確認あり
第3問電磁気学・回路電磁気学導体板を挿入したコンデンサー / 磁場境界を横切る粒子あり
第4問化学化学・元素存在度第二イオン化エネルギー / 酸化数の計算法あり
第5問鉱物・岩石地球内部構造・プレート運動・岩石破壊地震波速度の不連続 / プレート境界の読み方あり
第6問鉱物・岩石鉱物結晶学・相平衡・変成岩最密充填と間隙 / X線回折の注意あり
第7問地質地質図読解・堆積学・古生物地質図の読解 / 沈降速度の比例関係あり

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に7テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 7問 → 2026年度 7問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル・静電場
2026年度で新しく出たテーマ
剛体の回転運動・結晶構造・境界層・状態図・相変態・X線回折
2025年度のページを見る

第1問 — 微分・線形代数・線積分・連立微分方程式

極値判定の要点

二変数関数では,まず勾配が消える点をすべて求め,その後でヘッセ行列の符号を判定する。 det⁡H<0\det H<0 の点は鞍点であり,関数値を計算しても極値としては採用しない。この問題では 停留点が二つ出るため,片方だけで終えないことが重要である。

逆行列の検算

逆行列は A−1=(adj⁡A)/∣A∣A^{-1}=(\operatorname{adj}A)/|A| で求めた。検算として,求めた行列の第1列 に AA を掛けると 118(132213321)(−571)=(100) \frac1{18} \begin{pmatrix} 1&3&2\\2&1&3\\3&2&1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}-5\\7\\1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix} となる。同様に第2列,第3列も単位行列の列を与える。

線積分で落としやすい点

ベクトル場は保存力場とは限らないので,端点だけで値は決まらない。ここでは経路が線分と 指定されているため,線分のパラメータ表示をして drd\boldsymbol r まで含めて内積を取る。 zz 成分の変化が −2 ds-2\,ds であることを落とすと符号が変わる。

連立微分方程式の方針

同次解は係数行列の固有値・固有ベクトルで作る。非同次項が e−te^{-t} であり,−1-1 は 係数行列の固有値ではないので,特解は ce−t\boldsymbol c e^{-t} と置けばよい。最後に t=0t=0 を代入すると f(0)=12+1−12=1,g(0)=12+4−12=4 f(0)=\frac12+1-\frac12=1,\qquad g(0)=\frac12+4-\frac12=4 となり,初期条件も確認できる。

解答

  1. 停留点は fx=3x2−3y+3=0,fy=−3x+2y−1=0 f_x=3x^2-3y+3=0,\qquad f_y=-3x+2y-1=0 を満たす点である。したがって y=x2+1,y=3x+12 y=x^2+1,\qquad y=\frac{3x+1}{2} より 2x2−3x+1=0,x=1, 12. 2x^2-3x+1=0,\qquad x=1,\ \frac12. 対応する点は (x,y)=(1,2),(12,54) (x,y)=(1,2),\quad \left(\frac12,\frac54\right) である。ヘッセ行列は H=(6x−3−32),det⁡H=12x−9. H= \begin{pmatrix} 6x & -3\\ -3 & 2 \end{pmatrix},\qquad \det H=12x-9. 点 (1,2)(1,2) では det⁡H=3>0\det H=3>0 かつ fxx=6>0f_{xx}=6>0 なので極小であり, f(1,2)=1−6+4+3−2=0. f(1,2)=1-6+4+3-2=0. 点 (1/2,5/4)(1/2,5/4) では det⁡H=−3<0\det H=-3<0 なので鞍点であり,極値ではない。
  2. A=(132213321) A= \begin{pmatrix} 1&3&2\\ 2&1&3\\ 3&2&1 \end{pmatrix} について, det⁡A=1(1−6)−3(2−9)+2(4−3)=18. \det A =1(1-6)-3(2-9)+2(4-3) =18. 余因子行列を用いると adj⁡A=(−5177−5117−5). \operatorname{adj}A= \begin{pmatrix} -5&1&7\\ 7&-5&1\\ 1&7&-5 \end{pmatrix}. したがって A−1=118(−5177−5117−5). A^{-1} =\frac1{18} \begin{pmatrix} -5&1&7\\ 7&-5&1\\ 1&7&-5 \end{pmatrix}.
  3. 線分を r(s)=(1,2,3)+s(2,2,−2)(0≤s≤1) \boldsymbol r(s)=(1,2,3)+s(2,2,-2)\qquad (0\le s\le 1) とおく。このとき x=1+2s,y=2+2s,z=3−2s,dr=(2,2,−2) ds. x=1+2s,\quad y=2+2s,\quad z=3-2s,\quad d\boldsymbol r=(2,2,-2)\,ds. したがって E⋅dr=(xy,yz,zx)⋅(2,2,−2) ds=(2xy+2yz−2zx) ds=(10+8s+8s2) ds. \begin{aligned} \boldsymbol E\cdot d\boldsymbol r &=(xy,yz,zx)\cdot(2,2,-2)\,ds\\ &=(2xy+2yz-2zx)\,ds\\ &=(10+8s+8s^2)\,ds. \end{aligned} ゆえに ∫CE⋅dr=∫01(10+8s+8s2) ds=10+4+83=503. \int_C \boldsymbol E\cdot d\boldsymbol r =\int_0^1(10+8s+8s^2)\,ds =10+4+\frac83 =\frac{50}{3}.
  4. u=(fg),B=(2−14−3) \boldsymbol u= \begin{pmatrix}f\\g\end{pmatrix},\qquad B= \begin{pmatrix}2&-1\\4&-3\end{pmatrix} とおくと u′=Bu+e−t(11). \boldsymbol u'=B\boldsymbol u+e^{-t} \begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}. 行列 BB の固有値は 1,−21,-2 で,対応する固有ベクトルはそれぞれ (1,1)T,(1,4)T(1,1)^T,(1,4)^T と取れる。特解を up=ce−t\boldsymbol u_p=\boldsymbol c e^{-t} とおくと −c=Bc+(11) -\boldsymbol c=B\boldsymbol c+\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix} であり, c=(−1/2−1/2). \boldsymbol c= \begin{pmatrix}-1/2\\-1/2\end{pmatrix}. よって一般解は u=aet(11)+be−2t(14)−12e−t(11). \boldsymbol u =a e^t\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix} +b e^{-2t}\begin{pmatrix}1\\4\end{pmatrix} -\frac12e^{-t}\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}. 初期条件より a+b=32,a+4b=92 a+b=\frac32,\qquad a+4b=\frac92 なので a=1/2, b=1a=1/2,\ b=1 である。

最終答

[1] 極小値 0(点 (1,2))。極大値はない。[2] ∣A∣=18,A−1=118(−5177−5117−5).[3] ∫CE⋅dr=503.[4] f(t)=12et+e−2t−12e−t,g(t)=12et+4e−2t−12e−t. \begin{gathered} \text{[1] 極小値 }0\text{(点 }(1,2)\text{)。極大値はない。}\\ \text{[2] }|A|=18,\quad A^{-1}=\frac1{18} \begin{pmatrix} -5&1&7\\ 7&-5&1\\ 1&7&-5 \end{pmatrix}.\\ \text{[3] }\displaystyle \int_C\boldsymbol E\cdot d\boldsymbol r=\frac{50}{3}.\\ \text{[4] }\displaystyle f(t)=\frac12e^t+e^{-2t}-\frac12e^{-t},\quad g(t)=\frac12e^t+4e^{-2t}-\frac12e^{-t}. \end{gathered}

第2問 — 力学

ばね付き二質点の分け方

重心運動と相対運動に分けると,外力である重力は重心運動だけを加速し,ばね力は相対運動 だけに効く。重心の加速度が g/2g/2 になるのは,斜面方向の外力の合計が MgMg,全質量が 2M2M だからである。

初期条件の確認

t=0t=0 を代入すると x1(0)=0,x2(0)=l+Mg2k x_1(0)=0,\qquad x_2(0)=l+\frac{Mg}{2k} となり,固定解除直前の位置を再現する。また両式を2回微分して足し合わせると x¨1+x¨2=g\ddot x_1+\ddot x_2=g となり,重心加速度の式とも一致する。

歳差運動の幾何

重力モーメントは角運動量の向きを変えるだけで,高速自転の大きさ InIn はほぼ変えない。 角運動量ベクトルの先端は円錐面上を動く。軸の向きそのものの角速度 ω\omega と,軸頭が 水平面で回る角速度 ω′\omega' は同じではなく, ω=ω′sin⁡θ \omega=\omega'\sin\theta で結ばれる。この sin⁡θ\sin\theta を落とすと,最終的な歳差角速度の θ\theta 依存性を誤る。

力学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 電磁気学

導体板を挿入したコンデンサー

導体板を絶縁して入れても,導体内部の電場はゼロである。電位差に寄与するのは二つの空隙 だけなので,LL が L−hL-h に置き換わると考えればよい。導体板の位置には依存しない。

磁場境界を横切る粒子

ローレンツ力は常に速度に垂直なので速さは一定である。したがって半径だけが R=mv/(qB)R=m v/(qB) によって変わる。B1<B2B_1<B_2 から上半平面の半径が大きく,下半平面で戻る量 より上半平面で進む量が大きい。これがドリフトの向きである。

偶数回通過点の検算

θ=π/2\theta=\pi/2 とすれば,上半平面,下半平面とも半円運動になり, x2N=2N(R1−R2) x_{2N}=2N(R_1-R_2) を再現する。また,B1=B2B_1=B_2 と仮に置けば分子が 00 となり,境界で曲率が変わらないため 偶数回目に原点へ戻ることと一致する。

交流起電力の平均

発生する熱は起電力の符号には依存せず,E2/R\mathcal E^2/R に比例する。平均値を取る段階で sin⁡ωt\sin\omega t の平均を 00 としてしまうのは典型的な誤りで,必要なのは二乗平均である。

電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 化学・元素存在度

第二イオン化エネルギー

第一イオン化後の電子配置を見るのが最短である。Na は Na+=[Ne]\mathrm{Na^+}=[\mathrm{Ne}],Mg は Mg+=[Ne]3s1\mathrm{Mg^+}=[\mathrm{Ne}]3s^1 である。閉殻から 電子を取り去る Na の第二イオン化が非常に大きくなる。

酸化数の計算法

有機化合物では,H を +1+1,O を −2-2 として全体の電荷が 00 になるように C の酸化数を 決める。炭素が酸素と結合するほど酸化数は高く,水素と結合するほど低くなる,という 見方でも順序を検算できる。

弱酸近似の妥当性

求めた電離度は約 1.3%1.3\% なので,1−α≃11-\alpha\simeq1 と置いた近似は十分に妥当である。 有効数字1桁を求める問題では,近似の桁が最終結果に影響しないことを確認しておく。

熱力学量の符号

解離では分子数が 11 から 22 に増えるので ΔS∘>0\Delta S^\circ>0 になりやすい。一方で ΔH∘>0\Delta H^\circ>0 なので低温では解離しにくい。標準状態での安定性は ΔG∘\Delta G^\circ の符号で判断する。

元素Aの読み取り

図の矢印は原子番号26付近の大きなピークを指している。これは鉄族元素,特に鉄の高い 存在度を表す。偶奇効果だけでなく,核結合エネルギーの大きい鉄付近が元素合成の終点に なりやすいことを書くと理由として十分である。

化学・元素存在度の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 地球内部構造・プレート運動・岩石破壊

地震波速度の不連続

660 km不連続はマントル鉱物の高圧相転移に伴うため,深部側で密度も弾性波速度も増す。 一方,核・マントル境界では液体外核に入るため剛性率が大きく変わり,P波速度は低下する。 密度は鉄合金主体の核へ入るため増加する。

プレート境界の読み方

プレート上の任意点の相対速度は,オイラー極を中心とする小円に接する向きである。境界線 と速度ベクトルの関係を見て,平行ならトランスフォーム,法線成分が互いに近づくなら 収束,離れるなら発散と判定する。図示問題では,速度矢印を境界上に小さく書き込んで 法線成分を見ると誤りにくい。

回転ベクトルの合成

相対運動は角速度ベクトルの足し算で扱う。ここでは二つのオイラー極が赤道上で 90∘90^\circ 離れているため,互いに直交するベクトルの合成になる。大きさの比 1:31:\sqrt3 から,合成方向は大きい方に近い 60∘60^\circ となる。

間隙水圧と有効応力

水圧はせん断応力を直接変えず,有効垂直応力だけを減らす。そのためモール円は半径を保った まま左へ平行移動する。破壊時は円とクーロン線が接するので,中心から直線までの距離を 半径に等しいと置くのが最も短い計算である。

地球内部構造・プレート運動・岩石破壊の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 鉱物結晶学・相平衡・変成岩

最密充填と間隙

最密充填では,酸素イオンの配列を先に考え,陽イオンは四面体間隙または八面体間隙を 占めると整理するとよい。スピネル型では酸素1個の周囲に四面体席1個,八面体席3個が 隣接するという条件が,静電原子価則の計算に直接効く。

X線回折の注意

問題の「回折角 2θ2\theta」をそのままブラッグ式に入れない。ブラッグ式は 2dsin⁡θ=λ2d\sin\theta=\lambda であり,必要なのは半分の角 θ=18.6∘\theta=18.6^\circ である。 立方晶では (100)(100) 面間隔が格子定数そのものになる点も検算に使える。

三成分共融図の読み方

初晶領域内では一つの固相だけが晶出し,残液はその固相の頂点から遠ざかる方向へ進む。 共晶線に入ると二つの固相が同時に晶出し,三成分共融点で三つの固相がそろう。不混和領域 では「液相が二つに分かれる」ため,相数の数え忘れに注意する。

AFM図で除外する成分

AFM図は,石英や長石類などを過剰相として扱い,Fe--Mg--Al成分を主に見る投影図である。 この問題の鉱物組み合わせでは,泥質高変成岩に典型的な Bt+Grt+Sil\mathrm{Bt}+\mathrm{Grt}+\mathrm{Sil} を示せばよい。

包有関係の判定

ある鉱物が別の鉱物の成長帯に包有されている場合,包有された鉱物はその成長帯より前, または同時期に存在していた。外側にだけ付くリムは,包有されていない限り,ホスト鉱物の 外側成長後にできたと読む。

鉱物結晶学・相平衡・変成岩の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 地質図読解・堆積学・古生物

地質図の読解

地質図問題では,まず「どの面がどの面を切るか」を見る。地層境界が褶曲しており,その 褶曲構造を断層が切るなら,褶曲は断層より古い。貫入岩が地層境界を切り,断層でずれて いなければ,貫入は断層より新しいと読む。数値は図からの内挿なので,厳密な実測値では なく,どの等高線とどの境界を使ったかを答案に書くのが重要である。

沈降速度の比例関係

低レイノルズ数では抗力が速度に比例する。ここで CD=24/ReC_D=24/Re を抗力式へ代入すると ws2w_s^2 が wsw_s に変わるため,ストークスの式と同じく D2D^2 比例になる。高レイノルズ数 では慣性抵抗が卓越し,速度は粒径の平方根に比例する。

ベッドフォーム

流れリップルは非対称性が決め手である。斜交葉理の傾斜方向をそのまま古流向と読む問題では, 波浪による対称リップルを一方向流の構造と取り違えないことが大切である。

同位体と骨格成分

酸素同位体比では,氷床に軽い酸素が固定されることを出発点にする。炭素同位体・炭素循環では, 風化,溶存イオン輸送,炭酸塩沈殿,埋没を一つの流れとして説明すると答案が安定する。

化石の年代範囲と系統

年代範囲では,三葉虫は古生代,フズリナは石炭紀からペルム紀,アンモノイドはデボン紀から 白亜紀,コノドントはカンブリア紀から三畳紀という代表的な範囲を押さえる。系統では, フズリナとヌンムリテスがともに有孔虫であること,アンモノイドが軟体動物であることを 使うと配置しやすい。

地質図読解・堆積学・古生物の途中式・最終答をPDFで見る

京大 地球惑星科学専攻 基礎科目 院試 過去問の収録5年度