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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星科学専攻 基礎科目 2024年度 院試 解答例・解説

京都大学 理学研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星科学専攻 基礎科目 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 数学

方針

第1問は,計算の定義を正確に使えば解ける標準問題である。ベクトル解析では,ω×r\boldsymbol{\omega}\times\boldsymbol{r} が剛体回転の速度場であり,回転が 2ω2\boldsymbol{\omega} になることを知っていると検算になる。r/r3\boldsymbol{r}/|\boldsymbol{r}|^3 は原点を除いて 1/r-1/r の勾配なので,回転は直ちに 00 と分かる。ただし原点には特異性があり,本問では r0\boldsymbol{r}\ne0 と指定されている点が重要である。

フーリエ級数の注意

g(x)g(x) は偶関数でも奇関数でもない。したがって,最初から正弦級数や余弦級数だけにしてはいけない。半波整流波の形なので,sinx\sin x の項に加えて偶数次の余弦項が残る。特に a0/2=1/πa_0/2=1/\pi を落とす誤答が多い。

行列問題の検算

第4小問は,D=(1x)I+xJD=(1-x)I+xJ と見ると固有値が一瞬で分かる。第5小問では固有値を直接解くより,実対称行列の正定値判定を使う方が計算量が少ない。最後の条件 detA>0\det A>0 だけでは不十分で,主座小行列式を順に確認することが答案上の要点である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 力学・波動

波動方程式

f(xvt)f(x-vt) は右向き,g(x+vt)g(x+vt) は左向きに形を変えずに進む波である。微分では,tt 微分のたびに v\mp v が掛かるため,2階微分ではどちらも v2v^2 が掛かる。この符号が消えることが,任意の f,gf,g で波動方程式が成立する理由である。

衝突問題の見方

円板と弾丸の衝突では,氷面からの摩擦がないので水平運動量は保存される。一方,弾丸がめり込む過程は非弾性衝突なので力学的エネルギーは保存しない。端に撃ち込む場合は,並進運動には全運動量保存,回転運動には合体後重心まわりの角運動量保存を使う。角運動量を円板中心まわりで計算すると,並進重心運動の寄与を後で差し引く必要が出るため,最初から合体後重心まわりに取るのが安全である。

人工衛星の検算

空気抵抗でエネルギーが失われるのに速さが増す,という点がこの問題の核心である。円軌道では E=KE=-K なので,EE が小さくなると KK は大きくなる。これは抵抗力が直接加速しているという意味ではなく,衛星が低い軌道へ落ち込み,より大きな円軌道速度をもつ状態へ移るという意味である。密度の式では v2v^2 が消えるため,数値計算で衛星速度を求める必要はない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 電磁気学

双極子近似

rdr\gg d という条件は,二つの点電荷を電気双極子として扱う合図である。ポテンシャルを先に 1/r21/r^2 まで近似し,その後で E=Φ\boldsymbol{E}=-\nabla\Phi を取ると計算が短い。球座標では EθE_\theta1/r1/r が掛かることを忘れない。

ヘルムホルツコイル条件

二つの同方向コイルの中央付近で磁場を一様にする条件は,中心での2階微分を消すことで得られる。対称性により1階微分は自動的に消えるので,答案では2階の係数だけを評価すればよい。結果 a=2ba=2b は,コイル間隔 2b2b が半径 aa に等しい,というよく知られたヘルムホルツ配置である。

電磁波の向き

ガウスの法則から電場は進行方向に垂直である。ファラデーの法則から磁場は k×E\boldsymbol{k}\times\boldsymbol{E} の向きにあり,E\boldsymbol{E}, B\boldsymbol{B}, k\boldsymbol{k} は右手系を作る。ポインティングベクトルはこの進行方向を向くため,向きまで書くことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 化学

炭酸平衡の近似

この問題では第2電離と水の自己解離を無視する。すると,生成した H+\mathrm{H^+}HCO3\mathrm{HCO_3^-} はほぼ同数であり,[H+]2=KAKBPCO2[\mathrm{H^+}]^2=K_AK_BP_{\mathrm{CO_2}} まで一気に進める。pH は log(2.0×106)-\log(2.0\times10^{-6}) なので,log102=0.30\log_{10}2=0.30 を使って 5.75.7 とする。

蒸気組成

液相で少ない成分でも,純液体の蒸気圧が大きければ蒸気中で濃縮される。本問では2-プロパノールの純蒸気圧が大きいため,液相モル分率 0.750.75 より蒸気相モル分率はさらに大きくなる。答えが逆になっていないか,この直感で検算できる。

圧縮率因子の描き方

低温での曲線は,単に全体を上へずらすのではない。低圧から中圧では引力が効いて ZZ はより小さくなり,高圧では排除体積により上昇する。答案の図では「低温で谷が深くなる」ことが伝わればよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 固体地球科学

オイラー極

球面上の剛体回転では,回転軸からの距離が速度を決める。オイラー極を北極にした緯度が高いほど回転軸に近く,速度は小さい。極そのものでは cosθ=0\cos\theta=0 となり速度が0になるので,式の形の検算になる。

三重会合点

海嶺では両側のプレートが海嶺軸に直交して対称に離れる。相対速度ベクトルだけを見ると閉じた三角形になるが,ホットスポット列を考えるには,三重点を基準にしたプレート A の運動を求める必要がある。ここで vAB/2v_{AB}/2vAB/(23)v_{AB}/(2\sqrt3) の成分を区別して計算するのが得点の分かれ目である。

Riedel 構造の角度

破壊包絡線の傾きから内部摩擦角を読む。R1 と R2 は共役剪断面なので,45ϕf/245^\circ\mp\phi_{\mathrm f}/2 が基本である。問題の図では角度の取り方が Y 面基準なので,R1 が小角度,R2 が大角度になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 鉱物・岩石

ケイ酸塩構造

架橋酸素の数はケイ酸塩の分類に直結する。独立四面体はネソケイ酸塩,単鎖・二重鎖はイノケイ酸塩,層状はフィロケイ酸塩,三次元骨格はテクトケイ酸塩である。本問の「半分が2個,半分が3個」は二重鎖を示す典型的な記述である。

消滅則

空間群の候補を絞るときは,「観測されていない反射」よりも「観測されている反射が消滅則に反していないか」を優先して見る。強度が弱くて見えない反射はあり得るが,系統的に禁制の反射が観測されるならその空間群は除外できる。

共融系の冷却と分別融解

平衡結晶化では残液が液相面を下り,共晶線を通って三成分共融点へ向かう。これに対し,分別融解では生じたメルトを取り去るので,残留固相の全組成がメルト組成から遠ざかる。冷却経路と加熱経路が逆にならないことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 地質・古環境

地質図の読み取り

断層や地層境界の地表トレースは,面の傾斜が緩いほど地形等高線に強く影響される。ほぼ直線的に等高線を横切る部分は高角から鉛直と読み,等高線に応じて屈曲する部分では走向・傾斜を読む。選択肢問題では,地質境界の大局的な向きと V 字則を組み合わせ,最も近い走向・傾斜を選ぶ。

ナップとクリッペ

大規模な低角逆断層では,上盤側の岩体が遠方まで移動してナップを作る。浸食によってナップの一部だけが周囲から切り離されて残ったものがクリッペである。反対に,下盤側が窓状に露出するものはフェンスターであり,混同しやすい。

酸素同位体

氷期には,蒸発・降水過程で軽い 16O^{16}\mathrm{O} に富む水が大陸氷床に蓄えられる。そのため海水は相対的に 18O^{18}\mathrm{O} に富み,海生炭酸塩殻の酸素同位体比も重くなる。現在の海水が最終氷期最盛期より重い,と考えるのは典型的な逆転ミスである。

古地磁気

伏角は古緯度の推定に,偏角は鉛直軸まわりの回転の推定に効く。日本列島では現在の磁北は真北より西偏し,その大きさは北海道で大きく,沖縄で小さい。地質時間で平均すれば地磁気双極子軸は自転軸に近いとみなせるため,残留磁化から地塊回転を議論できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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