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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 理学研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星科学専攻 基礎科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。地質2問・鉱物・岩石1問・数学1問。テーマタグは6件(固有値・固有ベクトル・フーリエ変換・静電場)。2024年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・静電場。

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解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

京大 地球惑星科学専攻 基礎科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は地質2問・鉱物・岩石1問・数学1問・電磁気学・回路1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学——あり
第2問力学—ラグランジュ法の要点 / 微小振動の検算あり
第3問電磁気学・回路電磁気学ローレンツ力の見方あり
第4問—化学圧力計算の検算 / 熱化学の符号あり
第5問地質地球物理・構造地質トランスフォーム断層の読み方 / アイソスタシーの検算あり
第6問鉱物・岩石—鉱物名と構造 / 消滅則の考え方あり
第7問地質地質図読解・堆積構造・地質年代地質図の順序判定 / 断層面の姿勢あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント3件・典型ミス3件・検算1件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に6テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 7問 → 2025年度 7問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル・静電場
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第1問 — 数学

方針

前半は積分領域・発散定理・固有値問題への変換を正しく選ぶことが重要である。後半のフーリエ変換は,逆変換の係数 1/(2π)1/(2\pi) を落とすと最後の答が 2π2\pi 倍ずれる。

検算

第1問の積分値は,三角形の面積が 1/21/2 で,x2+y2x^2+y^2 が領域内で高々 11 程度であることから,1/61/6 は大きすぎない。第2問は側面・上面・下面に分けて直接計算しても同じになるが,発散定理を使うと法線の向きの処理が短い。

典型ミス

連立微分方程式では x,yx,y をそのまま解こうとすると計算が長くなる。係数行列 (2−1−12) \begin{pmatrix}2&-1\\-1&2\end{pmatrix} の固有ベクトル (1,1),(1,−1)(1,1),(1,-1) に沿って和と差を取るのが最短である。特異値分解では A\mathbf A が 3×23\times2 行列なので,ATA\mathbf A^T\mathbf A を使えば 2×22\times2 の固有値問題で済む。

試験で書くべきポイント

発散定理では「外向き法線」であること,フーリエ逆変換では規約から逆変換係数が 1/(2π)1/(2\pi) であることを明示する。答だけを書いた場合,どの規約を使ったか不明になり減点されやすい。

解答

各小問を順に解く。

  1. 領域は第1象限の直角三角形であり,0≤x≤10\le x\le 1,0≤y≤1−x0\le y\le 1-x と書ける。対称性を用いると ∬D(x2+y2) dx dy=2∫01∫01−xx2 dy dx=2∫01x2(1−x) dx. \iint_D (x^2+y^2)\,dx\,dy =2\int_0^1\int_0^{1-x}x^2\,dy\,dx =2\int_0^1 x^2(1-x)\,dx . よって 2(13−14)=16. 2\left(\frac13-\frac14\right)=\frac16 .
  2. ガウスの発散定理を用いる。ベクトル場 A=(x,−y,z3−1) \mathbf A=(x,-y,z^3-1) の発散は ∇⋅A=∂x∂x+∂(−y)∂y+∂(z3−1)∂z=3z2. \nabla\cdot \mathbf A =\frac{\partial x}{\partial x} +\frac{\partial(-y)}{\partial y} +\frac{\partial(z^3-1)}{\partial z} =3z^2 . したがって,円柱内部を VV とすると ∬SA⋅n dS=∭V3z2 dV=∫013z2 dz∫x2+y2≤1dx dy=1⋅π=π. \iint_S \mathbf A\cdot \mathbf n\,dS =\iiint_V 3z^2\,dV =\int_0^1 3z^2\,dz\int_{x^2+y^2\le 1}dx\,dy =1\cdot \pi=\pi .
  3. u=x+y,v=x−y u=x+y,\qquad v=x-y とおく。2式を足し引きすると u′′+u=0,v′′+3v=0 u''+u=0,\qquad v''+3v=0 となる。初期条件は u(0)=1,u′(0)=0,v(0)=1,v′(0)=0 u(0)=1,\quad u'(0)=0,\qquad v(0)=1,\quad v'(0)=0 であるから u(t)=cos⁡t,v(t)=cos⁡(3 t). u(t)=\cos t,\qquad v(t)=\cos(\sqrt3\,t). ゆえに x(t)=u+v2=cos⁡t+cos⁡(3 t)2,y(t)=u−v2=cos⁡t−cos⁡(3 t)2. x(t)=\frac{u+v}{2} =\frac{\cos t+\cos(\sqrt3\,t)}{2}, \qquad y(t)=\frac{u-v}{2} =\frac{\cos t-\cos(\sqrt3\,t)}{2}.
  4. 特異値は ATA\mathbf A^T\mathbf A の固有値の正の平方根である。 ATA=(132231)(123321)=(14131314). \mathbf A^T\mathbf A = \begin{pmatrix} 1&3&2\\ 2&3&1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1&2\\ 3&3\\ 2&1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 14&13\\ 13&14 \end{pmatrix}. この固有値は (14+13, 14−13)=(27, 1) (14+13,\ 14-13)=(27,\ 1) である。したがって σ1=27=33,σ2=1. \sigma_1=\sqrt{27}=3\sqrt3,\qquad \sigma_2=1 .
  5. 与えられたフーリエ変換の規約では,逆変換は f(t)=12π∫−∞∞F(ω)eiωt dω f(t)=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}F(\omega)e^{i\omega t}\,d\omega である。a>0a>0 に対して ∫−∞∞e−a∣ω∣eiωt dω=2∫0∞e−aωcos⁡(ωt) dω=2aa2+t2. \int_{-\infty}^{\infty}e^{-a|\omega|}e^{i\omega t}\,d\omega =2\int_0^\infty e^{-a\omega}\cos(\omega t)\,d\omega =\frac{2a}{a^2+t^2}. a=πa=\pi とすれば g(t)=F−1{e−π∣ω∣}=12π2ππ2+t2=1π2+t2. g(t)=\mathcal F^{-1}\{e^{-\pi|\omega|}\} =\frac{1}{2\pi}\frac{2\pi}{\pi^2+t^2} =\frac{1}{\pi^2+t^2}. また,gg のフーリエ変換が e−π∣ω∣e^{-\pi|\omega|} なので,ω=1\omega=1 を代入して ∫−∞∞e−itπ2+t2 dt=e−π. \int_{-\infty}^{\infty}\frac{e^{-it}}{\pi^2+t^2}\,dt=e^{-\pi}. 奇関数成分は消えるから 2∫0∞cos⁡xx2+π2 dx=e−π. 2\int_0^\infty \frac{\cos x}{x^2+\pi^2}\,dx=e^{-\pi}. よって ∫0∞cos⁡xx2+π2 dx=12e−π. \int_0^\infty \frac{\cos x}{x^2+\pi^2}\,dx=\frac12 e^{-\pi}.

最終答

  1. 16\dfrac16
  2. π\pi
  3. x(t)=cos⁡t+cos⁡(3 t)2x(t)=\dfrac{\cos t+\cos(\sqrt3\,t)}{2},y(t)=cos⁡t−cos⁡(3 t)2y(t)=\dfrac{\cos t-\cos(\sqrt3\,t)}{2}
  4. σ1=33, σ2=1\sigma_1=3\sqrt3,\ \sigma_2=1
  5. 逆変換は 1π2+t2\dfrac{1}{\pi^2+t^2},積分値は 12e−π\dfrac12 e^{-\pi}

第2問 — 力学

方針

第1問は時間ではなく距離を使うと一行で解ける。第2問はエネルギー保存を使う必要はなく,近日点・遠日点では速度が接線方向であることから角運動量保存だけで十分である。

ラグランジュ法の要点

振り子の問題では,位置エネルギーの基準を明記しておくと符号ミスを防げる。二重振り子の運動エネルギーで重要なのは交差項 m2l2θ˙1θ˙2cos⁡(θ1−θ2) m_2l^2\dot\theta_1\dot\theta_2\cos(\theta_1-\theta_2) である。この項を落とすと,2つの振り子の結合が消え,固有振動数が誤る。

微小振動の検算

m2→0m_2\to 0 の極限で,重い上の振り子は単振り子として振る舞うはずである。得られた式では ω±→g/l \omega_{\pm}\to \sqrt{g/l} となり,この極限と合っている。また m1,m2>0m_1,m_2>0 なら 0<m2/(m1+m2)<1 0<\sqrt{m_2/(m_1+m_2)}<1 なので,2つの ω±\omega_{\pm} はどちらも実数である。

典型ミス

固有振動数を答えるとき,角振動数 ω\omega と通常の振動数 f=ω/(2π)f=\omega/(2\pi) を混同しない。問題文で「固有振動数」とだけある場合でも,力学の導出では角振動数を明示し,必要なら f=ω/(2π)f=\omega/(2\pi) と補足するのが安全である。

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第3問 — 電磁気学

方針

円板の電場は直接電場を積分してもよいが,円環のポテンシャルから微分すると符号と距離因子を整理しやすい。回路はホイートストンブリッジであり,I5=0I_5=0 の条件は「中央の2点が等電位」と読むのが最短である。

ローレンツ力の見方

一様な E\mathbf E と B\mathbf B が直交している場合,運動はサイクロトロン運動と E×B\mathbf E\times\mathbf B ドリフトに分解できる。本問では E×BB2=(E0B0,0,0) \frac{\mathbf E\times\mathbf B}{B^2} =\left(\frac{E_0}{B_0},0,0\right) であり,これは電荷の符号や初速によらない。初速依存性が消える理由は,1周期後に円運動成分が閉じるためである。

典型ミス

円板の極限で無限平面を得るとき,片側の電場は σ/ε0\sigma/\varepsilon_0 ではなく σ/(2ε0)\sigma/(2\varepsilon_0) である。ガウス面の両面から同じ大きさの電束が出ることを忘れない。

試験で書くべきポイント

回路の符号は,電流の正方向と閉路の進行方向を文章で一度説明してから式を書く。ローレンツ力では x˙,y˙\dot x,\dot y のどちらに磁場由来の項が入るかを取り違えやすいので,v×B\mathbf v\times\mathbf B を成分で明示するとよい。

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第4問 — 化学

方針

無機化学の小問は,単なる暗記ではなく「結合の強さ」「孤立電子対反発」「イオン積と溶解度積」「エンタルピーとエントロピー」のように判断軸を一つ添えると答案として強い。

圧力計算の検算

温度を 300 K300\,{\mathrm K} から 900 K900\,{\mathrm K} に上げるだけなら,全圧は 3P3P になる。実際には反応で気体分子数が減ったため,平衡圧が 2P2P に下がっている。2A+B→C2A+B\to C では反応が ξ\xi mol 進むごとに全物質量が 2ξ2\xi mol 減るので,ξ=x/3\xi=x/3 は物質量の減少方向と整合している。

熱化学の符号

熱化学方程式の熱量項は符号を取り違えやすい。本問では問題文が「NaCl の溶解は吸熱」と補足しているため,最終的な溶解エンタルピーは正でなければならない。計算で 3 kJ mol−13\,{\mathrm kJ\,mol^{-1}} の吸熱になることを確認する。

スペクトル問題のポイント

バルマー系列では下準位が必ず n=2n=2 である。Hα\alpha が最長波長になるのは,エネルギー差が最も小さい m=3→2m=3\to2 遷移だからである。イオン化エネルギーはリュードベリ式の極限 m→∞m\to\infty,n=1n=1 と見ればよい。

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第5問 — 地球物理・構造地質

トランスフォーム断層の読み方

中央海嶺をずらす線のすべてが能動的な断層ではない。海嶺軸間の部分がトランスフォーム断層であり,その延長部は断裂帯である。横ずれの向きは,断層の片側に立って相手側が右に見かけ上動くか,左に動くかで判定する。

アイソスタシーの検算

古い海洋リソスフェアは冷却して密度が大きくなるため,海嶺から離れるほど深く沈む。計算でも ρL‾>ρM\overline{\rho_L}>\rho_M なので Δh>0\Delta h>0 となる。符号が逆になった場合は,補償深度での柱の質量の式を見直す。

モール円のポイント

破壊面の角度は「面」と「法線」のどちらの角度かで混乱しやすい。モール円上の角度は実空間の法線角の2倍である。地質学で断層面の傾斜を答えるときは,面そのものが水平面となす角を答える。

試験で書くべきポイント

構造地質の記述問題では,名称だけでなく,圧縮主応力の鉛直・水平配置と断層面の幾何を一文で結びつける。たとえば「σ1\sigma_1 が鉛直なので伸張場で正断層」と書くと,判定理由が明確になる。

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第6問 — 鉱物・岩石

鉱物名と構造

オリビンは (Mg,Fe)2SiO4(Mg,Fe)_2SiO_4 と書けるので,Si は独立した SiO4_4 四面体,Mg・Fe は八面体席に入る。Ca が M2 席を好む理由は,価数ではなく半径と席の大きさで説明する。

消滅則の考え方

消滅則は暗記だけでなく,対称操作で対応する散乱波の位相差が π\pi になる条件として理解する。たとえば b/2b/2 並進を含む映進では,kk が奇数のとき位相因子が eπik=−1e^{\pi i k}=-1 となり,対応する寄与が打ち消し合う。

相図問題の注意

「平衡結晶作用」と「液を取り去る分別融解」は逆の操作ではない。液を残すか除くかで,その後の全岩組成と液組成の経路が変わる。答案では,液相線に沿う液組成の変化と,固相量の変化を分けて書く。

AFM 図の答案

AFM 図は正確な化学組成座標まで要求されない場合でも,どの鉱物を投影し,どの鉱物組み合わせを示すのかを明確にする必要がある。石英・長石をそのまま三角図に置こうとすると,AFM 投影の意味から外れる。

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第7問 — 地質図読解・堆積構造・地質年代

地質図の順序判定

地質図では,地層の上下関係,断層による変位,貫入による切断関係を分けて読む。貫入岩が 断層を切っているように見える場合は,断層運動より貫入が新しい。反対に,貫入岩が断層で ずれていれば断層が新しい。この問題では図の線幅が大きいので,数値は方眼を使った概略値 として扱うのが安全である。

断層面の姿勢

断層線は地表で見えている線であって,そのまま断層面の走向ではない。断層線と地形等高線が 交わる点を使って断層面上の同高度点を結び,それを構造等高線とする。構造等高線の方向が 走向で,高度が低くなる向きが傾斜方向である。

古流向指標

グルーブキャストは底面痕で,流れによって物体が引きずられた方向を示す。礫の覆瓦構造は, 礫の傾きから流れの向きを読む代表的な指標である。ただしアンチデューンは射流条件で 上流へ移動しうるため,斜交葉理の傾斜を単純に下流方向とみなせない。

堆積構造

トラフ型斜交層理は三次元デューンの移動で生じるため,断面では凹面状の葉理セットが 重なる。ハンモック状斜交層理は暴浪時の振動流・複合流と関係し,低角で波状の葉理が 特徴である。両者はスケールと葉理の形から区別する。

地質年代の読み方

顕生代の時代名は,古生代ではカンブリア紀,オルドビス紀,シルル紀,デボン紀,石炭紀, ペルム紀,中生代では三畳紀,ジュラ紀,白亜紀,新生代では古第三紀,新第三紀,第四紀の 順に並ぶ。第四紀の下限は約 258 万年前で,古地磁気のガウス--松山境界が広域対比の重要な 目印になる。

地質図読解・堆積構造・地質年代の途中式・最終答をPDFで見る

京大 地球惑星科学専攻 基礎科目 院試 過去問の収録5年度