球対称拡散の収支
半径 r から r+Δr の球殻を考える。
時刻 t における酸素量は
4πr2ΔrC
で近似できる。流入は内側面から
4πr2Nr、流出は外側面から
4π(r+Δr)2Nr+Δr であるから
∂t∂(4πr2ΔrC)=4πr2Nr−4π(r+Δr)2Nr+Δr.
拡散だけなら Fick の法則より
Nr=−D∂r∂C.
Δr→0 とすると
∂t∂C=r2D∂r∂(r2∂r∂C).
流れがないときの定常供給
定常状態では
r21drd(r2drdC)=0.
境界条件は
C(R)=0,C(∞)=Cb.
これより
C(r)=Cb(1−rR)
であり、細胞表面への酸素フラックスは
Ns=−DdrdCr=R=RDCb.
境膜モデルでは Ns=D(Cb−0)/δ と書くので
δ=R.
数値を入れると
Ns=1.0×10−5(2.0×10−9)(2.0×10−1)=4.0×10−5molm−2s−1.
相対流れがある場合
右辺第 1 項の 2.0 は、球のまわりに流れがない純拡散極限を表す。
粒子レイノルズ数が 0 に近づいても、球面への定常拡散は残るため、
Sh→2.0
となる。
相対速度 u=1.0×10−3ms−1 のとき
Rep=μm2Rρmu=8.9×10−4(2.0×10−5)(1.0×103)(1.0×10−3)=2.2×10−2,
Sc=ρmDμm=(1.0×103)(2.0×10−9)8.9×10−4=4.5×102.
したがって
Sh=2.0+0.60Rep1/2Sc1/3≃2.7.
物質移動係数は
k=2RShD≃2.0×10−5(2.7)(2.0×10−9)=2.7×10−4ms−1.
境膜厚みは
δ=kD=Sh2R≃7.4×10−6m.
表面フラックスは
Ns=kCb≃(2.7×10−4)(2.0×10−1)=5.4×10−5molm−2s−1.
流れなしの場合との比は
4.0×10−55.4×10−5≃1.3.
沈降速度
粒子径を dp=2R とする。終端速度では、浮力を差し引いた重力と抵抗力が釣り合う。
6πdp3(ρc−ρm)g=21CDρmut24πdp2.
まず Stokes 域を仮定すると
CD=Rep24,ut=18μdp2(ρc−ρm)g.
増粘剤なしでは
ut=18(8.9×10−4)(2.0×10−5)2(1.0×102)(9.8)=2.4×10−5ms−1.
このとき
Rep=μmρmdput≃5.5×10−4<6
なので仮定は整合する。
増粘剤添加後は μadd=8.9×10−2Pas なので
ut=2.4×10−7ms−1,Rep≃5.5×10−8<6.
粘度上昇と拡散係数
式
D=6π1kBTμlR0n
の次元を比較する。μ の次元は
kgm−1s−1、kBT は
kgm2s−2、D は m2s−1 である。
質量次元から 1+l=0、時間次元から −2−l=−1 となり
l=−1.
長さ次元から 2−l+n=2 なので
n=−1.
したがって
D∝μR01.
粘度が 100 倍になると
Dadd=1002.0×10−9=2.0×10−11m2s−1.
沈降流れだけがある場合の無次元数は、増粘剤なしで
Rep≃5.5×10−4,Sc≃4.5×102,
増粘剤ありで
Rep≃5.5×10−8,Sc=(1.0×103)(2.0×10−11)8.9×10−2≃4.5×106.
それぞれ
Shno≃2.11,Shadd≃2.02.
したがって
Ns,noNs,add=ShnoDShaddDadd≃2.112.02×10−2=9.6×10−3.
増粘剤を加えると、沈降は抑えられるが、酸素拡散も大きく低下する。
最終答
∂t∂C=r2D∂r∂(r2∂r∂C),Ns=RDCb,δ=R.
流れなしでは
Ns=4.0×10−5molm−2s−1.
外部流れ u=1.0×10−3ms−1 では
Rep=2.2×10−2,Sc=4.5×102,Sh≃2.7,δ≃7.4×10−6m,
Ns≃5.4×10−5molm−2s−1,流れなしの約 1.3 倍.
沈降速度は、増粘剤なしで 2.4×10−5ms−1、
増粘剤ありで 2.4×10−7ms−1。
l=−1,n=−1,Dadd=2.0×10−11m2s−1,Ns,add/Ns,no≃9.6×10−3.