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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2017年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。微分積分・解析3問・線形代数2問。テーマタグは6件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・一様収束)。2016年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

阪大 数学 2017年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は微分積分・解析3問・線形代数2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析二重積分と球・円柱の共通部分体積積分の読み方あり
第2問線形代数二次形式の最大値と固有値なぜ M になるかあり
第3問微分積分・解析漸化式と収束半径生成関数での検算あり
第4問線形代数行列空間のトレース双対添字の向き / 非退化性の使い方あり
第5問微分積分・解析対数二乗を含む広義積分微分の正当化あり

この年度の解説には典型ミス5件・検算3件が付いています。

2017年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に6テーマが出ています。

前年度(2016年度)との違い

大問数
2016年度 5問 → 2017年度 5問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
2016年度のページを見る

第1問 — 二重積分と球・円柱の共通部分

方針

前半は特異点を含むように見えるが,xx 方向に先に積分すると一変数の対数積分に落ちる。 後半は円柱を (x−a2)2+y2≤(a2)2 \left(x-\frac{a}{2}\right)^2+y^2\le \left(\frac{a}{2}\right)^2 と見直すと,zz 軸まわりの極座標で扱いやすい領域だと分かる。

円柱の xyxy 平面への射影

体積積分の読み方

球の内部では zz 方向の長さが 2a2−r22\sqrt{a^2-r^2} である。これに極座標の面積要素 r dr dθr\,dr\,d\theta を掛ける。円柱は zz に依存しないので,まず射影領域を決め, その上に球の高さを載せるのが自然である。

検算

体積は a3a^3 に比例するはずである。得られた式 2a39(3π−4) \frac{2a^3}{9}(3\pi-4) は次元が正しく,係数も正である。また円柱は球に内接するような太さなので, 球全体の体積 4πa3/34\pi a^3/3 より十分小さい。

典型ミス

θ\theta の範囲を 0≤θ≤2π0\le\theta\le2\pi のままにして,cos⁡θ<0\cos\theta<0 の領域でも 0≤r≤acos⁡θ0\le r\le a\cos\theta と書くと符号が破綻する。先に cos⁡θ≥0\cos\theta\ge0 を明示する。

解答

前半は,yy を固定して xx から積分する。被積分関数は y(x+y)2 \frac{y}{(x+y)^2} であり,y>0y>0 では ∫01y(x+y)2 dx=y[−1x+y]x=01=1−y1+y=11+y. \int_0^1 \frac{y}{(x+y)^2}\,dx = y\left[-\frac{1}{x+y}\right]_{x=0}^{1} = 1-\frac{y}{1+y} = \frac{1}{1+y}. y=0y=0 の点は積分値に影響しないので, ∫01dy1+y=log⁡2 \int_0^1 \frac{dy}{1+y} = \log 2 を得る。

後半は円柱を xyxy 平面に射影して考える。円柱条件は極座標 x=rcos⁡θ,y=rsin⁡θ x=r\cos\theta,\qquad y=r\sin\theta で r2≤arcos⁡θ r^2\le ar\cos\theta となる。したがって cos⁡θ≥0\cos\theta\ge0,すなわち −π/2≤θ≤π/2-\pi/2\le\theta\le\pi/2 の範囲で 0≤r≤acos⁡θ 0\le r\le a\cos\theta である。球の条件から,この rr に対する zz の長さは −a2−r2≤z≤a2−r2 -\sqrt{a^2-r^2}\le z\le \sqrt{a^2-r^2} である。よって体積 VV は V=∫−π/2π/2∫0acos⁡θ2a2−r2 r dr dθ. V = \int_{-\pi/2}^{\pi/2} \int_0^{a\cos\theta} 2\sqrt{a^2-r^2}\,r\,dr\,d\theta . 内側の積分は ∫0acos⁡θ2ra2−r2 dr=2a33{1−∣sin⁡θ∣3} \int_0^{a\cos\theta}2r\sqrt{a^2-r^2}\,dr = \frac{2a^3}{3}\{1-|\sin\theta|^3\} である。したがって V=2a33∫−π/2π/2{1−∣sin⁡θ∣3} dθ=4a33(π2−23). V = \frac{2a^3}{3} \int_{-\pi/2}^{\pi/2}\{1-|\sin\theta|^3\}\,d\theta = \frac{4a^3}{3} \left(\frac{\pi}{2}-\frac{2}{3}\right). 整理して V=2a39(3π−4) V=\frac{2a^3}{9}(3\pi-4) となる。

最終答

log⁡2\displaystyle \log 2, 2a39(3π−4)\displaystyle \frac{2a^3}{9}(3\pi-4)

第2問 — 二次形式の最大値と固有値

方針

二次形式を行列で表すと,問題は「実対称行列のレイリー商の最大値は固有値になる」 という標準事実そのものである。答案では定理名だけで済ませず,最大点での未定乗数条件を 書くと減点されにくい。

なぜ λ=M\lambda=M になるか

未定乗数法で出る λ\lambda は単なる補助変数ではない。固有方程式 Au=λuAu=\lambda u に 左から uTu^T を掛け,∥u∥=1\|u\|=1 を使うと λ=uTAu=Q(u) \lambda=u^TAu=Q(u) となる。最大点であればこの値が最大値 MM である。

検算

対角行列の場合,二次形式は ax2+by2+cz2 ax^2+by^2+cz^2 であり,単位球面上の最大値は max⁡{a,b,c}\max\{a,b,c\} である。これは対角行列の固有値の最大値 と一致するので,今回の結論と整合する。

典型ミス

最大値が存在することを言わずに未定乗数法を始めると,極値点の存在が抜ける。 また,二次形式の交差項 2fyz,2gzx,2hxy2fyz,2gzx,2hxy に対応する行列成分は f,g,hf,g,h であり,2f,2g,2h2f,2g,2h ではない。

二次形式の最大値と固有値の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 漸化式と収束半径

方針

これはフィボナッチ型の線形漸化式である。特性方程式の2根が異なるため, 一般項は2つの指数列の線形結合で書ける。初期条件が 0,10,1 なので係数がきれいに決まる。

生成関数での検算

生成関数を F(z)=∑n≥0anznF(z)=\sum_{n\ge0}a_nz^n とすると,漸化式から F(z)=z1−z−z2 F(z)=\frac{z}{1-z-z^2} となる。分母の零点は z=−1+52,z=−1−52 z=\frac{-1+\sqrt5}{2},\quad z=\frac{-1-\sqrt5}{2} であり,原点に近い方の絶対値が (5−1)/2(\sqrt5-1)/2 である。これは上の収束半径と一致する。

典型ミス

β=(1−5)/2\beta=(1-\sqrt5)/2 は負であるが,収束半径を決めるのは絶対値である。 ただし ∣β∣<1<α|\beta|<1<\alpha なので,成長率では α\alpha だけが支配的になる。

漸化式と収束半径の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 行列空間のトレース双対

方針

行列空間 MM とその双対空間は,トレースのペアリングで同一視できる。 前半はこの同一視を標準基底で書き下したもの,後半は「すべての交換子を消す線形汎関数は トレースの定数倍」という事実である。

添字の向き

AA の成分は aij=f(Eji)a_{ij}=f(E_{ji}) と転置向きに入る。これは Tr⁡(AX)=∑i,jajixij \operatorname{Tr}(AX)=\sum_{i,j}a_{ji}x_{ij} となるためである。ここを aij=f(Eij)a_{ij}=f(E_{ij}) と置くと,転置がずれてしまう。

非退化性の使い方

Tr⁡(BX)=0\operatorname{Tr}(BX)=0 がすべての XX に対して成り立つなら,B=0B=0 である。 これは抽象論を使わなくても,X=EjiX=E_{ji} を代入して各成分 bijb_{ij} を取り出せば分かる。

典型ミス

巡回性は Tr⁡(UVW)=Tr⁡(WUV)\operatorname{Tr}(UVW)=\operatorname{Tr}(WUV) のように全体を回す性質であり, 途中の2因子だけを自由に交換できるわけではない。条件 f(XY)=f(YX)f(XY)=f(YX) から可換性を出すには, トレースの非退化性まで書く必要がある。

行列空間のトレース双対の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 対数二乗を含む広義積分

方針

(log⁡x)2(\log x)^2 は,xs−1x^{s-1} をパラメータで2回微分すると出てくる。 分母が (1+x)3(1+x)^3 なのでベータ関数 ∫0∞xs−1(1+x)m dx=B(s,m−s) \int_0^\infty \frac{x^{s-1}}{(1+x)^m}\,dx=B(s,m-s) を使うのが最短である。

微分の正当化

ss を 11 の近くに限れば,xs−1(log⁡x)2/(1+x)3x^{s-1}(\log x)^2/(1+x)^3 は 00 近傍でも無限遠でも可積分な関数で支配できる。したがって積分記号下の微分が正当化される。 答案では時間がなければ「近傍で一様収束するため」と短く書けばよい。

検算

置換 x=1/tx=1/t を行うと,積分は ∫0∞x(log⁡x)2(1+x)3 dx \int_0^\infty \frac{x(\log x)^2}{(1+x)^3}\,dx とも等しい。したがって重みは x=1x=1 の周辺を中心に対称的に見え,値が正で有限になることが 確認できる。得られた π2/6\pi^2/6 は正で,広義積分として自然な大きさである。

典型ミス

F′′(1)F''(1) を計算するとき,(log⁡F)′′(\log F)'' と F′′F'' を混同しやすい。 必ず F′′=F{(log⁡F)′′+((log⁡F)′)2} F''=F\{(\log F)''+((\log F)')^2\} を使う。ここで (L′(1))2=1(L'(1))^2=1 が入り,−1-1 と打ち消し合う。

対数二乗を含む広義積分の途中式・最終答をPDFで見る

阪大 数学 院試 過去問の収録21年度

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  • 2017年度(このページ・全5問)

    二重積分と球・円柱の共通部分 / 二次形式の最大値と固有値 / 漸化式と収束半径

  • 2016年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2015年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2014年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2013年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2012年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2011年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2010年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2009年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2008年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2007年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    左右から近づく微分商 / 楕円体の体積 / 留数による有理関数積分

  • 2006年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    漸化式と階乗正規化 / 二変数関数の極値 / 単位円上の留数計算

  • 2005年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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