大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2025年度 院試 解答例・解説
大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 階数と連立一次方程式の整合条件
階数だけでなく整合条件を書く
この問題は,単に掃き出しをするだけでなく,最後の行が消える理由を右辺にも反映させる ところが採点上の要点である。係数行列に一次従属関係があるとき,右辺にも同じ一次従属 関係がなければならない。
という流れで書くと,計算の意味が明確になる。拡大行列を直接掃き出してもよいが,その 場合も最終行が を要求している,という形まで読む必要がある。
第2問 — 2つの放物線上の点の距離
幾何的な見方
2つの放物線は であり,交点をもつ。したがって距離の2乗の最小値が0になる可能性を最初に確認すると, 計算結果の検算になる。
ただし「交点があるから最小値0」で終えると,極値全体の議論としては不足する。偏微分で 停留点を全て列挙し, の停留点が極値ではないことまで述べると答案として安定する。
第3問 — 二点境界条件付き線形常微分方程式
エネルギー法で符号を見る
境界値問題では,方程式を直接解くより, を掛けて積分する方法が強い。境界条件により 部分積分の端点項が消え,残る式は である。 のとき,2つの項はどちらも正になれないので,非自明解が排除される。
一方, では固有値 のときに非自明解 が現れる。したがって「正なら常に0」と判断するのは, 固有値条件を見落とす典型的な誤りである。
第4問 — 関数列の収束と積分極限
有限区間と無限区間の違い
有限区間では一様収束があれば で直ちに制御できる。これが (2) の本質である。
一方,点ごとの収束では鋭い山が動く反例があり,無限区間では低い台形が遠くまで広がる 反例がある。後者は であっても,区間の長さが増えることで面積が残る。無限区間の積分極限を交換するには, 優収束定理のように積分可能な共通上界を用意する,または一様可積分性に相当する条件を 加える必要がある。
第5問 — 指数減衰と冪行列の極限
固有値計算より冪零分解が速い
行列は一見すると固有値分解を要求しているように見えるが, と見ると, 以外の部分が冪零であることが分かる。冪零行列 については二項展開 が有限で止まるため,対角化できるかどうかを心配しなくてよい。
採点上は, の確認と の説明が必要である。特に の場合は の形をそのまま書くと不自然 になるため,別に と処理しておくと答案がきれいである。