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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2012年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。微分積分・解析3問・線形代数1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・留数定理)。2011年度と共通のテーマは線形空間・基底。

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解説5問・解答5問・最終答5問(全5問)
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2012年度は解答・最終答まで全文公開
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阪大 数学 2012年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は微分積分・解析3問・線形代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析積分の変数変換採点上の注意あり
第2問—実数連立方程式重根の扱い / 採点上の注意あり
第3問微分積分・解析指数型母関数と3周期列収束の確認あり
第4問線形代数2次行列の交換子上三角化の意味 / 採点上の注意あり
第5問微分積分・解析留数計算による対数二乗積分消える積分の確認 / 別解による検算あり

この年度の解説には採点上の注意3件・検算2件が付いています。

2012年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に3テーマが出ています。

前年度(2011年度)との違い

大問数
2011年度 5問 → 2012年度 5問
両年度に出たテーマ
線形空間・基底
2012年度で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル・留数定理
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第1問 — 積分の変数変換

方針

どちらも積分そのものを力ずくで評価するのではなく,領域を先に読む。第1の積分は x2+y2x^2+y^2 が現れるので極座標に移すと対数が 2log⁡r2\log r だけになる。第2の積分は y≤xy\le x という三角領域で,積分順序を入れ替えると内側の積分が長さ xx になる。

検算

∫01rmlog⁡r dr=−1/(m+1)2\int_0^1 r^m\log r\,dr=-1/(m+1)^2 を使っている。ここで m=3m=3 なので −1/16-1/16 であり,さらに log⁡(r2)=2log⁡r\log(r^2)=2\log r と角度積分 1/21/2 が掛かって −1/16-1/16 になる。係数 22 を落とすと −1/32-1/32 になってしまう。

採点上の注意

第2の積分では,入れ替え後の yy の長さが xx であることを書くとよい。 ∫cos⁡(x2) dx\int\cos(x^2)\,dx を直接求めようとすると初等関数では進まないので,ここが出題の狙いである。

解答

  1. 第1象限の単位円板なので,極座標 x=rcos⁡θ,y=rsin⁡θ x=r\cos\theta,\qquad y=r\sin\theta を用いると,0≤r≤1, 0≤θ≤π/20\le r\le 1,\ 0\le \theta\le \pi/2 であり, xylog⁡(x2+y2) dx dy=r2cos⁡θsin⁡θ⋅2log⁡r⋅r dr dθ. xy\log(x^2+y^2)\,dx\,dy =r^2\cos\theta\sin\theta\cdot 2\log r\cdot r\,dr\,d\theta. したがって I1=(∫0π/2cos⁡θsin⁡θ dθ)(∫012r3log⁡r dr)=12⋅2[−1(3+1)2]=−116. \begin{aligned} I_1 &=\left(\int_0^{\pi/2}\cos\theta\sin\theta\,d\theta\right) \left(\int_0^1 2r^3\log r\,dr\right) \\ &=\frac12\cdot 2\left[-\frac{1}{(3+1)^2}\right] =-\frac1{16}. \end{aligned}
  2. a=π2 a=\sqrt{\frac{\pi}{2}} とおく。積分領域は 0≤y≤a,y≤x≤a 0\le y\le a,\qquad y\le x\le a であるから,順序を入れ替えると 0≤x≤a,0≤y≤x 0\le x\le a,\qquad 0\le y\le x となる。よって I2=∫0a∫0xcos⁡(x2) dy dx=∫0axcos⁡(x2) dx=12[sin⁡(x2)]0a=12sin⁡π2=12. \begin{aligned} I_2 &=\int_0^a\int_0^x \cos(x^2)\,dy\,dx =\int_0^a x\cos(x^2)\,dx \\ &=\frac12\left[\sin(x^2)\right]_{0}^{a} =\frac12\sin\frac{\pi}{2} =\frac12. \end{aligned}

最終答

I1=−116,I2=12. I_1=-\frac1{16},\qquad I_2=\frac12.

第2問 — 実数連立方程式

方針

未知数が4つあるので,まず ww をパラメータとして固定する。すると残りは同次線形方程式であり, 非自明解が出るのは係数行列の行列式が 00 になるときだけである。

重根の扱い

det⁡M(w)=(w−2)2(w+4)\det M(w)=(w-2)^2(w+4) なので,w=2w=2 は重根である。ただし重根だからといって 解空間が必ず2次元とは限らない。実際には行列を代入して階数を見る必要があり,今回は w=2w=2 で階数 11,w=−4w=-4 で階数 22 になる。

採点上の注意

x=y=z=0x=y=z=0 は任意の ww で解である。行列式が消える場合だけを書いて終えると, この1次元族を落とすことになる。最後は解集合を和集合として明示しておくと,重複があっても誤解されにくい。

解答

固定した ww に対して,x,y,zx,y,z に関する同次一次方程式と見る。係数行列は M(w)=(w−1212w+2212w−1) M(w)= \begin{pmatrix} w-1 & 2 & 1\\ 2 & w+2 & 2\\ 1 & 2 & w-1 \end{pmatrix} である。行列式を計算すると det⁡M(w)=(w−1)2(w+2)−8(w−1)+8−(w+2)=w3−12w+16=(w−2)2(w+4). \begin{aligned} \det M(w) &=(w-1)^2(w+2)-8(w-1)+8-(w+2)\\ &=w^3-12w+16 =(w-2)^2(w+4). \end{aligned}

したがって,w≠2,−4w\ne 2,-4 では x=y=z=0 x=y=z=0 だけが可能である。この場合,ww は任意の実数でよい。

w=2w=2 のときは M(2)=(121242121) M(2)= \begin{pmatrix} 1&2&1\\ 2&4&2\\ 1&2&1 \end{pmatrix} であり,条件は x+2y+z=0 x+2y+z=0 だけに落ちる。よって y=s, z=ty=s,\ z=t とおけば (x,y,z,w)=(−2s−t,s,t,2)(s,t∈R). (x,y,z,w)=(-2s-t,s,t,2)\qquad (s,t\in\mathbb R).

w=−4w=-4 のときは M(−4)=(−5212−2212−5). M(-4)= \begin{pmatrix} -5&2&1\\ 2&-2&2\\ 1&2&-5 \end{pmatrix}. 第2行から y=x+zy=x+z,第3行から x+2y−5z=0x+2y-5z=0 なので x=z,y=2x. x=z,\qquad y=2x. したがって (x,y,z,w)=(t,2t,t,−4)(t∈R). (x,y,z,w)=(t,2t,t,-4)\qquad (t\in\mathbb R).

最終答

{(0,0,0,w)∣w∈R}∪{(−2s−t,s,t,2)∣s,t∈R}∪{(t,2t,t,−4)∣t∈R}. \{(0,0,0,w)\mid w\in\mathbb R\} \cup \{(-2s-t,s,t,2)\mid s,t\in\mathbb R\} \cup \{(t,2t,t,-4)\mid t\in\mathbb R\}.

第3問 — 指数型母関数と3周期列

方針

この問題は通常の母関数ではなく,階乗で割った指数型母関数である。指数型母関数では, 3回微分すると添字がちょうど n+3n+3 へ移るため,微分方程式と周期条件がそのまま対応する。

収束の確認

周期列は有界である。したがって指数型母関数は指数関数 e∣x∣e^{|x|} で押さえられ,任意の実数で絶対収束する。 この有界性を書かずに形式計算だけで済ませると,収束を問う部分の説明が不足する。

検算

得られた式で x=0x=0 を代入すると f(0)=1/3−1/3=0f(0)=1/3-1/3=0 である。また f′(0)=13+16−16=13,f′′(0)=13+16+16=23 f'(0)=\frac13+\frac16-\frac16=\frac13,\qquad f''(0)=\frac13+\frac16+\frac16=\frac23 となり,最初の3項の係数と一致する。

解答

  1. f(x)=∑n=0∞ann!xn f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{a_n}{n!}x^n と書くと,項別微分により f′′′(x)=∑n=0∞an+3n!xn. f'''(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{a_{n+3}}{n!}x^n. 微分方程式 f′′′=ff'''=f と係数比較から an+3=an(n≥0) a_{n+3}=a_n\qquad (n\ge 0) である。よって {an}\{a_n\} は周期 33 をもつ。
  2. 逆に an+3=ana_{n+3}=a_n とする。このとき {an}\{a_n\} は有界であるから,ある M>0M>0 に対して ∣an∣≤M(n≥0) |a_n|\le M\qquad(n\ge 0) とできる。任意の x∈Rx\in\mathbb R について ∑n=0∞∣ann!xn∣≤M∑n=0∞∣x∣nn!=Me∣x∣ \sum_{n=0}^{\infty}\left|\frac{a_n}{n!}x^n\right| \le M\sum_{n=0}^{\infty}\frac{|x|^n}{n!} =Me^{|x|} であり,冪級数は全実数で収束する。さらに項別に3回微分でき, f′′′(x)=∑n=0∞an+3n!xn=∑n=0∞ann!xn=f(x). f'''(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{a_{n+3}}{n!}x^n =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{a_n}{n!}x^n =f(x).
  3. ここでは a0=0,a1=13,a2=23 a_0=0,\qquad a_1=\frac13,\qquad a_2=\frac23 であり,以後はこの3つが繰り返される。したがって ff は f′′′=f,f(0)=0,f′(0)=13,f′′(0)=23 f'''=f,\qquad f(0)=0,\quad f'(0)=\frac13,\quad f''(0)=\frac23 を満たす解である。 特性方程式 r3=1r^3=1 より,実数値解は f(x)=Aex+e−x/2(Bcos⁡3x2+Csin⁡3x2) f(x)=Ae^x+e^{-x/2}\left(B\cos\frac{\sqrt3 x}{2} +C\sin\frac{\sqrt3 x}{2}\right) と書ける。初期条件から A+B=0, A+B=0, 32A+32C=13,32A−32C=23. \frac32 A+\frac{\sqrt3}{2}C=\frac13,\qquad \frac32 A-\frac{\sqrt3}{2}C=\frac23. よって A=13,B=−13,C=−133. A=\frac13,\qquad B=-\frac13,\qquad C=-\frac{1}{3\sqrt3}. したがって f(x)=13ex−13e−x/2cos⁡3x2−133e−x/2sin⁡3x2. f(x)=\frac13 e^x-\frac13 e^{-x/2}\cos\frac{\sqrt3 x}{2} -\frac{1}{3\sqrt3}e^{-x/2}\sin\frac{\sqrt3 x}{2}.

最終答

an+3=an,f(x)=13ex−13e−x/2cos⁡3x2−133e−x/2sin⁡3x2. a_{n+3}=a_n,\qquad f(x)=\frac13 e^x-\frac13 e^{-x/2}\cos\frac{\sqrt3 x}{2} -\frac{1}{3\sqrt3}e^{-x/2}\sin\frac{\sqrt3 x}{2}.

第4問 — 2次行列の交換子

方針

中心は交換子 C=AB−BA C=AB-BA の性質である。交換子は常にトレース 00 なので,2次行列ではCayley--Hamiltonの定理により C2=−(det⁡C)I C^2=-(\det C)I まで一気に落ちる。したがって,最後は det⁡C\det C が 00 かどうかを共通固有ベクトルの有無に結びつければよい。

上三角化の意味

共通固有ベクトルがあるとき,そのベクトルを基底の1本目に取ると両方の行列が上三角になる。 上三角行列同士の交換子は対角成分が消えるので,2次では必ず平方零になる。

採点上の注意

(3)では「共通固有ベクトルがない」という仮定を使う場所を明確にする必要がある。対角化可能な場合は q,r≠0q,r\ne0,Jordan型の場合は r≠0r\ne0 がその具体的な使い所である。

解答

以下,C=AB−BAC=AB-BA とおく。

  1. 2次行列のCayley--Hamiltonの定理より A2−(tr⁡A)A+(det⁡A)I=O. A^2-(\operatorname{tr}A)A+(\det A)I=O. tr⁡A=0\operatorname{tr}A=0 なら A2=−(det⁡A)I. A^2=-(\det A)I. したがって λ=−det⁡A\lambda=-\det A とおけばよい。
  2. A,BA,B が共通の固有ベクトルをもつとする。その固有ベクトルを第1基底ベクトルに含む基底を取れば, A=(αa0β),B=(γb0δ) A=\begin{pmatrix}\alpha&a\\0&\beta\end{pmatrix}, \qquad B=\begin{pmatrix}\gamma&b\\0&\delta\end{pmatrix} と上三角に書ける。すると C=AB−BA C=AB-BA も上三角であり,対角成分はどちらも 00 である。よって C=(0c00) C=\begin{pmatrix}0&c\\0&0\end{pmatrix} の形になり, C2=O. C^2=O.
  3. まず tr⁡(AB−BA)=0\operatorname{tr}(AB-BA)=0 である。したがって,(1)を CC に適用すれば C2=−(det⁡C)I. C^2=-(\det C)I. あとは,共通固有ベクトルをもたない場合に det⁡C≠0\det C\ne0 であることを,指定された2つの場合に分けて示す。 (a) AA が対角化可能な場合。 もし AA がスカラー行列なら,BB の任意の固有ベクトルが AA の固有ベクトルでもあるので, 共通固有ベクトルをもたない仮定に反する。よって異なる固有値 α≠β\alpha\ne\beta をもち,ある基底で A=(α00β),B=(pqrs) A=\begin{pmatrix}\alpha&0\\0&\beta\end{pmatrix},\qquad B=\begin{pmatrix}p&q\\ r&s\end{pmatrix} と書ける。このとき C=(0(α−β)q(β−α)r0). C= \begin{pmatrix} 0&(\alpha-\beta)q\\ (\beta-\alpha)r&0 \end{pmatrix}. もし q=0q=0 なら第2基底ベクトルが,もし r=0r=0 なら第1基底ベクトルが,共通固有ベクトルになる。 したがって仮定の下では q≠0, r≠0q\ne0,\ r\ne0 である。ゆえに C2=−(α−β)2qr I C^2=-(\alpha-\beta)^2qr\,I であり,右辺の係数は 00 でない。 (b) AA が対角化可能でない場合。 複素数体上では,ある基底で A=αI+(0100) A=\alpha I+ \begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix} と書ける。スカラー部分は交換子に寄与しないので, N=(0100),B=(pqrs) N=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix},\qquad B=\begin{pmatrix}p&q\\ r&s\end{pmatrix} として C=NB−BNC=NB-BN を計算する。 C=(rs−p0−r). C= \begin{pmatrix} r&s-p\\ 0&-r \end{pmatrix}. AA の固有方向は第1基底ベクトルの張る直線だけである。もし r=0r=0 なら BB もこの直線を保ち, 共通固有ベクトルをもつ。したがって仮定の下では r≠0r\ne0 である。よって C2=r2I C^2=r^2 I であり,この係数は 00 でない。

最終答

tr⁡A=0⇒A2=−(det⁡A)I,共通固有ベクトルあり⇒(AB−BA)2=O. \operatorname{tr}A=0\Rightarrow A^2=-(\det A)I,\qquad \text{共通固有ベクトルあり}\Rightarrow (AB-BA)^2=O. 共通固有ベクトルがない場合は (AB−BA)2=λI (AB-BA)^2=\lambda I となり,対角化可能な場合は λ=−(α−β)2qr≠0\lambda=-(\alpha-\beta)^2qr\ne0, 非対角化の場合は λ=r2≠0\lambda=r^2\ne0 と書ける。

第5問 — 留数計算による対数二乗積分

方針

対数の二乗を得るため,Log⁡2z/(z2+1)\operatorname{Log}^2 z/(z^2+1) を上半平面で積分する。 負の実軸に回り込むと Log⁡(−x)=log⁡x+iπ\operatorname{Log}(-x)=\log x+i\pi となり,この差が (log⁡x)2(\log x)^2 と定数項を同時に生む。

消える積分の確認

J=∫0∞log⁡xx2+1 dx J=\int_0^\infty\frac{\log x}{x^2+1}\,dx に x=1/tx=1/t を入れると J=∫0∞−log⁡tt2+1 dt=−J J=\int_0^\infty \frac{-\log t}{t^2+1}\,dt=-J となるので J=0J=0 である。この一行により,実軸部分の虚部を気にせず実部だけで II を決定できる。

別解による検算

パラメータ積分 G(a)=∫0∞xa−11+x2 dx=π2csc⁡πa2(0<a<2) G(a)=\int_0^\infty\frac{x^{a-1}}{1+x^2}\,dx =\frac{\pi}{2}\csc\frac{\pi a}{2}\qquad(0<a<2) を2回微分して a=1a=1 とおくと,同じく G′′(1)=π38 G''(1)=\frac{\pi^3}{8} を得る。留数計算で符号を迷ったときのよい検算になる。

解答

求める積分を I=∫0∞(log⁡x)2x2+1 dx I=\int_0^\infty \frac{(\log x)^2}{x^2+1}\,dx とおく。上半平面で F(z)=Log⁡2zz2+1 F(z)=\frac{\operatorname{Log}^2 z}{z^2+1} を考える。ただし 0<arg⁡z<π0<\arg z<\pi の分枝を用いる。

半径 ε\varepsilon と RR の上半円環の境界で積分し,ε→0, R→∞\varepsilon\to0,\ R\to\infty とする。 大円弧と小円弧の寄与はそれぞれ O ⁣((log⁡R)2R),O ⁣(ε(log⁡ε)2) O\!\left(\frac{(\log R)^2}{R}\right),\qquad O\!\left(\varepsilon(\log \varepsilon)^2\right) なので消える。

正の実軸上では Log⁡x=log⁡x\operatorname{Log}x=\log x,負の実軸上では Log⁡(−x)=log⁡x+iπ(x>0) \operatorname{Log}(-x)=\log x+i\pi \qquad (x>0) である。したがって実軸部分の和は ∫0∞(log⁡x)2+(log⁡x+iπ)2x2+1 dx=2I+2iπ∫0∞log⁡xx2+1 dx−π2∫0∞dxx2+1. \begin{aligned} \int_0^\infty \frac{(\log x)^2+(\log x+i\pi)^2}{x^2+1}\,dx &= 2I+2i\pi\int_0^\infty\frac{\log x}{x^2+1}\,dx -\pi^2\int_0^\infty\frac{dx}{x^2+1}. \end{aligned} ここで ∫0∞log⁡xx2+1 dx=0 \int_0^\infty\frac{\log x}{x^2+1}\,dx=0 である。これは x=1/tx=1/t とおくと積分値が自分自身の負になるためである。また ∫0∞dxx2+1=π2. \int_0^\infty\frac{dx}{x^2+1}=\frac{\pi}{2}.

上半平面内の極は z=iz=i だけであり, Res⁡z=iF(z)=Log⁡2i2i=(iπ/2)22i. \operatorname{Res}_{z=i}F(z) =\frac{\operatorname{Log}^2 i}{2i} =\frac{(i\pi/2)^2}{2i}. よって留数定理より 2πi Res⁡z=iF(z)=π(iπ2)2=−π34. 2\pi i\,\operatorname{Res}_{z=i}F(z) =\pi\left(\frac{i\pi}{2}\right)^2 =-\frac{\pi^3}{4}. 以上から 2I−π2⋅π2=−π34. 2I-\pi^2\cdot\frac{\pi}{2} =-\frac{\pi^3}{4}. したがって I=π38. I=\frac{\pi^3}{8}.

最終答

∫0∞(log⁡x)2x2+1 dx=π38. \int_0^\infty \frac{(\log x)^2}{x^2+1}\,dx=\frac{\pi^3}{8}.

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